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公認心理師と精神保健福祉士の違いは?資格の取得方法も解説

公開日:2023.02.12 更新日:2023.02.27
公認心理師と精神保健福祉士の違いは?資格の取得方法も解説

メンタルヘルスの専門職にはさまざまな分野がありますが、その中でも「公認心理師」と「精神保健福祉士」はよく比較される資格です。この2つの資格は、似た特徴を持っているため、どっちがよいか、またはダブルライセンスを取得したほうがよいのかなど、悩む方も多いでしょう。

当記事では、公認心理師と精神保健福祉士の違いについて、仕事内容や資格取得条件を詳しく解説します。また、それぞれの資格の取得により活躍できる分野にも触れるので、心理支援専門職に携わりたい方は、ぜひ目標を設定する上での参考にしてください。

1. 公認心理師と精神保健福祉士の違いは?

公認心理師と精神保健福祉士の資格や専門業務、受験資格、受験までに要する期間は以下の通りです。

公認心理師 精神保健福祉士
資格 国家資格 国家資格
専門業務 ・心理状態の観察・分析
・本人や関係者への相談や助言・指導・その他の援助
・心の健康に関する教育・情報提供
・精神障害やメンタルに不調を抱えた方に向けた相談・助言・指導・訓練などの援助
受験資格
※メインルート
・心理系大学4年+大学院2年を卒業
・心理系大学4年+指定のプログラム3年を完了
・上記の受験資格と同等の知識や技術を有すると認定された場合
・福祉大学等4年+指定科目の履修
・福祉系短大等3年+指定科目履修後に1年の相談援助実務経験
・福祉系短大等2年+指定科目履修後に2年の相談援助実務経験
受験までの期間 最短6年 最短4年

公認心理師と精神保健福祉士は、どちらもメンタルヘルスにかかわる国家資格です。大きな違いは、精神保健福祉士は心の問題を抱える人への社会復帰支援に重点を置く一方で、公認心理師は心の問題に対し、より広い視点でのサポートを行います。

公認心理師の受験資格は、上記のメインルートに加えて、要件に当てはまる方には経過措置があります。精神保健福祉士においては、短期養成施設や一般養成施設などを介したルートで受験資格を得ることも可能です。

2. 公認心理師とは?

公認心理師とは、多様化する国民の心の問題を解決すべく、2017年に公認心理師法に基づき施行された、日本初となる心理職の国家資格です。

(出典:一般財団法人 日本心理研修センター「公認心理師とは」
/ https://www.jccpp.or.jp/guide.cgi

ここでは、公認心理師がどのような仕事をするのかをはじめ、資格の取得方法や活躍できる分野について解説します。心理学の専門的な知識や技術を身に付け、仕事にしたい方は必見です。

2-1. 仕事内容

公認心理師の主な業務内容は、下記の4つです。

(1)心理に関する支援を要する者の心理状態の観察、その結果の分析
(2)心理に関する支援を要する者に対する、その心理に関する相談及び助言、指導その他の援助
(3)心理に関する支援を要する者の関係者に対する相談及び助言、指導その他の援助
(4)心の健康に関する知識の普及を図るための教育及び情報の提供

(引用:厚生労働省「公認心理師」
/ https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000116049.html

公認心理師は、心に問題を抱えるクライエントに対し、ヒアリングや心理検査などを実施し、思考や行動を観察して、心理的評価を行います。

また、評価や分析結果に基づいて、クライエントが自身の心理状態を受け止め、悩みの解決や軽減につながるようサポートすることが仕事です。加えて、感情のコントロール方法やストレスとのうまい付き合い方など、心の健康を取り戻すために情報提供も行っています。

さらに、公認心理師の業務には、クライエントとかかわりのある職場や保護者、周囲の人間に対して、心理的学的見解から問題への対応のアドバイスも含まれます。このように、クライエントが抱える心理的問題のカウンセリングや分析、サポートまで総合的に支援するのが、公認心理師の仕事です。

2-2. 資格の取得方法

公認心理師の受験資格は最短6年で取得でき、3つのメインルートの他に、特例措置が設けられています。詳しい受験資格の内容は、以下を参考にしてください。

受験資格

●心理系大学4年+大学院2年で指定科目を履修
●心理系大学4年+指定のプログラム3年を完了
●上記の受験資格と同等の知識や技術を有すると認定された場合

また、特例措置については、2017年9月15日の公認心理師の施行日がキーポイントになります。

特例措置

●施行前に大学院で科目を履修(履修中)
●施行前に4年生大学で科目を履修(履修中)+施行後に大学院で科目を履修
●施行前に4年生大学で科目を履修(履修中)+その後指定のプログラム3年を完了

受験資格を満たした後は、「受験の手引」を請求して申し込めば、公認心理師の受験準備が整います。試験に関しては、全問マークシートで出題され、合格基準は60%程度以上の正答率です。

(出典:厚生労働省「公認心理師」
/ https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000116049.html

(出典:一般財団法人 日本心理研修センター「公認心理師試験について」
/ https://www.jccpp.or.jp/shiken.cgi

2-3. 活躍できる分野

公認心理師の国家資格を生かして活躍できる分野は以下の通りです。

・保健医療分野
公認心理師の勤務先として多いのが精神病院や一般病院、精神科診療所で、保険医療分野の中では医療機関が約85%を占めています。また、保健所や保健センター、精神保健福祉センターなどの保健領域が約15%です。

・福祉分野
福祉分野では、児童相談所や児童発達支援センター、障害児通所支援事業所などが公認心理師の主な勤務先で、児童や障害者を対象とする福祉施設が多い傾向にあります。

・教育分野
公認心理師が求められる教育分野の勤務先は、幼小中高等学校スクールカウンセラーをはじめ、公立教育相談機関等や大学等の学生相談室などです。教育分野がすべての活動分野の45%を占めており、もっとも公認心理師が活躍している場と言えます。

・司法・犯罪分野
司法・犯罪分野に関しては、少年鑑別所や少年院などの法務省矯正局関係や警察関係、家庭裁判所などが公認心理師の主な勤務先となりますが、他の分野に比べると割合はそう多くはありません。

・産業・労働分野
全分野の6%の公認心理師が活動している産業・労働分野では、組織内外の健康管理や相談、障害者を含む就労支援などが主な労働領域です。

(出典:一般財団法人 日本公認心理師協会「公認心理師の活動状況等に関する調査」
/ https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/000798636.pdf

3. 精神保健福祉士とは?

精神科ソーシャルワーカーとも呼ばれる精神保健福祉士とは、精神保健福祉法に基づく国家資格で、精神的な障害を持つ方と社会の橋渡し役的な存在です。

(出典:厚生労働省「精神保健福祉士について」
/ https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/seisinhoken/index.html

ここでは、精神保健福祉士の仕事内容や資格の取得方法、活躍できる分野について、分かりやすく解説します。精神保健福祉士は、ストレスの多い現代社会において、需要が高まりつつある心理系資格なので、ぜひ参考にしてください。

3-1. 仕事内容

精神保健福祉士の仕事は、精神疾患を持つ方が社会にスムーズに復帰できるようサポートすることです。その他、地域の施設を利用するための助言や適応訓練なども含まれます。精神保健福祉士は精神障害者の方と面談をした上で、要望をヒアリングしたり適正を把握したりして、1人1人に寄り添った支援を行います。

主な支援内容は以下の通りです。

●医療
●就学
●就労
●居住
●人権擁護
●家族のサポート

地域のコミュニティや企業、医療、家庭などをうまく連携させるのも、精神保健福祉士の重要な役割です。クライエントの心理的支援をはじめ、受診や入院・退院、居住先の確保、家族への説明や相談業務、就労支援サービスの利用サポートなど、業務内容は多岐にわたります。

(出典:厚生労働省「精神保健福祉士について」
/ https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/seisinhoken/index.html

精神保健福祉士の仕事内容|向いている人や1日のスケジュールも紹介

3-2. 資格の取得方法

精神保健福祉士になるには、受験資格を満たして国家試験に合格するまで、最短で4年かかります。3つのメインルートをはじめ、短気養成施設や一般養成施設に通うルートなど、幅広い受験資格・ルートで目指せることが特徴です。

【メインルート】

●4年制保健福祉系大学で指定科目の履修
●3年制保健福祉系短大等で指定科目履修後に1年の相談援助実務経験
●2年制保健福祉系短大等で指定科目履修後に2年の相談援助実務経験

【短期養成施設ルート】
以下の履修や実務経験後に、6か月以上短期養成施設に通う必要があります。

●4年生の福祉大学で基礎科目の履修
●3年制福祉系短大等で基礎科目履修後に1年の相談援助実務経験
●2年制福祉系短大等で基礎科目履修後に2年の相談援助実務経験
●社会福祉士登録者

【一般養成施設】
以下の大学や短大を卒業後、1年以上一般養成施設に通う必要があります。

●4年制一般大学を卒業
●3年制一般短大等を卒業し1年の相談援助実務経験
●2年生一般短大等を卒業し2年の相談援助実務経験
●4年の相談援助実務経験

(出典:公益財団法人 社会福祉振興・試験センター「精神保健福祉士国家試験」
/ https://www.sssc.or.jp/seishin/index.html

3-3. 活躍できる分野

精神保健福祉士が、専門知識や技術を生かして活躍できる機関や施設は次の通りです。

・医療機関
精神保健福祉士の勤務先は、精神科病院や総合病院の精神科をはじめ、精神科診療所などがあり、医師や看護師と連携してチーム医療に取り組みます。

・生活支援サービス
障害福祉サービス等事業所での精神保健福祉士の役割は、日常生活や職業訓練のサポートなどです。また、相談支援事業所や地域活動支援センターでは、面談や情報提供などのさまざまな支援に対応します。

・福祉行政機関
行政機関も精神保健福祉士が活躍する場であり、各機関とのネットワークの構築やコーディネートなどが主な仕事です。

・司法施設
司法施設では、精神保健福祉士の資格を生かして、社会復帰調整官や精神保健参与員として就労可能で、法律に基づき精神障害者の社会復帰支援を行います。

・その他
主要分野の他にも精神保健福祉士の活動は多岐にわたり、精神障害者家族のサポート業務をはじめ、教育機関や企業などの支援員として組織で仕事をすることも可能です。

(出典:公益社団法人 日本精神保健福祉士協会「精神保健福祉士について」
/ https://www.jamhsw.or.jp/mhsw/index.html

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まとめ

公認心理師や精神保健福祉士は、心の問題が深刻化している現代、クライエントをサポートする大切な役割を担います。受験資格を得るには長期的プランが必要なため、2つの国家資格の違いを理解することが大切です。違いを踏まえどちらが自分にふさわしいか、またはダブルライセンスを目指すかなど、自分が目指すべき道を明確にしましょう。

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※当記事は2022年8月時点の情報をもとに作成しています

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