資格がなくても老人ホームに就職できる?目指す際のポイントも紹介

老人ホームの求人には「無資格・未経験OK」の施設も多く見られます。実際に、無資格でも働くことは可能で、多くのスタッフが活躍しています。ただし、実際の採用選考では、即戦力となる有資格者が有利となることも少なくありません。
この記事では、老人ホームで働く際に生かせる資格や、入職後に取得を目指すとよい資格について、老人ホームについての基本情報を交えながら解説します。就職を目指すためのポイントにも触れるため、ぜひご一読ください。
目次
1. 老人ホームで働く際に資格は必要??
無資格でも老人ホームで働くことは可能です。施設によって応募要件は異なるものの、「無資格・未経験OK」の求人も多く見られます。介護資格がない方は、食事の配膳や入浴準備、掃除、洗濯、アクティビティなど介護知識・技術が少なくてもできる業務や、介護士の方のサポートを中心に行います。
ただし、資格なしで就職できるとしても、入職後に介護に関する専門的な知識やスキルを身につけていくことが必要です。働きながら資格取得を目指す方も多く、応募先によっては無資格者よりも、即戦力となる有資格者のほうが有利になるケースも少なくありません。
就職に必須ではないとはいえ、介護の仕事を続けていくなら資格取得を念頭に置くことをおすすめします。
1-1. 老人ホームで生かせる介護系資格
老人ホームへの就職・勤務を考えている方におすすめの資格は「介護職員初任者研修」です。入職前に取得すると、就職に有利となる可能性があるでしょう。介護職員初任者研修とは護職に必要な知識・技術を学ぶための研修で、2週間〜3か月ほどの研修期間で取得可能です。
介護職員初任者研修は、以下の研修内容を学習します。
研修科目及び研修時間数
研修科目 | 研修時間 |
---|---|
1. 職務の理解 | 6時間 |
2. 介護における尊厳の保持・自立支援 | 9時間 |
3. 介護の基本 | 6時間 |
4. 介護・福祉サービスの理解と医療との連携 | 9時間 |
5. 介護におけるコミュニケーション技術 | 6時間 |
6. 老化の理解 | 6時間 |
7. 認知症の理解 | 6時間 |
8. 障害の理解 | 3時間 |
9. こころとからだのしくみと生活支援技術 | 75時間 |
10. 振り返り | 4時間 |
(引用:厚生労働省「介護員養成研修の取扱細則について」
/
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000331389.pdf)
合計130時間のカリキュラムで基本的な介護知識に加え、利用者さんとの接し方やコミュニケーション技術、老化・認知症・障害への理解など、介護業界で働く心得を学べます。有料老人ホームで就職する際の必須資格ではありませんが、介護現場にスムーズに入る助けとなるでしょう。
1-2. 入職後に取得を目指すとよい資格
老人ホーム入職後に取得するとよい資格は、下記の2つです。
・実務者研修(介護福祉士実務者研修)
より実践的な介護の知識・技術を学ぶ研修です。介護福祉士の受験資格要件でもあるため、新たな資格取得を目指す際にも役立ちます。
・介護福祉士
社会福祉及び介護福祉法に基づく国家資格です。取得後は介護の専門知識が身につき、高い技術が求められる介護や指導を行えます。介護職でのキャリアアップに欠かせない資格です。
介護福祉士は受験資格として養成施設の修了、もしくは福祉系高校や必要研修の修了と実務経験が求められます。サービス提供責任者や管理職など、介護スタッフとしてステップアップする際に必要な資格です。資格がない状態から働く方は、これらの資格取得を目標に据えることをおすすめします。
(出典:社会福祉振興・試験センター「介護福祉士国家試験受験資格」
/
https://www.sssc.or.jp/kaigo/shikaku/route.html)
2. そもそも老人ホームとは?
老人ホームで働きたいと思っている方の中には、一体どのような施設かイメージがついていない方もいるでしょう。老人ホームと一口に言っても施設の種類は多岐にわたり、それぞれの施設サービスによって働き方や求められるスキルが異なります。
以下では公的施設と民間施設にわけて、老人ホームの種類と求められる働きを解説します。
2-1. 公的な入居型施設
公的施設の中から、ここでは3種類の施設形態を紹介します。
特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設) |
---|
原則要介護度3以上、もしくは在宅介護が困難なやむを得ない事情がある要介護1〜2の方を対象とした介護施設です。 仕事内容は食事・入浴・排泄の介助や認知症介護、健康管理など介護サービスが中心のため、介護に関する知識と技術が求められます。心身ともにハードな面もありますが、実務経験を積み、介護スキルの向上を図れるでしょう。 |
介護老人保健施設 |
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要介護の方の自立を支援し、在宅での生活に戻れるようサポートする施設です。生活援助と健康管理に加え、機能訓練を施します。入浴・食事介助や身体介護、リハビリテーションへの付き添いを行い、医師や理学療法士など複数の職種の方と連携して働きます。在宅復帰を目指す施設のため、看取り・終身介護はありません。 |
介護医療院 |
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長期的に療養が必要な要介護高齢者の方に、医療ケアと介護サポートを行います。2018年に新設され、2024年3月末に廃止予定の介護療養型医療施設に代わるものとなることが期待されています。 特別養護老人ホームよりも医療的ケアに重きがおかれ、長期にわたる医療サービスと生活に必要な介護サービスを提供する施設です。介護士の方は介護サポートと日常生活のケアを行い、長期療養の入居者さんの生活環境を整えます。 |
公的施設は民間に比べて待遇が整っており、安定性が高い傾向にあります。また、役職が多く、キャリアアップを目指しやすいでしょう。
2-2. 民間の入居型施設
民間の入居型施設の種類には、下記が挙げられます。
介護付有料老人ホーム |
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24時間365日体制で介護サービスを行います。要支援から要介護認定の方まで求められるケアは幅広く、利用者さんに合わせた介護・生活支援サービスを提供します。 |
住宅型有料老人ホーム |
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食事や洗濯、買い物など生活支援を中心とした施設で、自立している方や軽度の要介護の方が対象です。介護サービスは行えないため、訪問介護の事業所が併設されていて、兼務する場合もあります。 |
健康型有料老人ホーム |
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自立している方に日常生活のサポートを提供します。ジムなどの設備やアクティビティを充実させて、元気に動ける状態を保つためのサポートを行います。仕事内容は食事サービスや運動指導、レクリエーションのサポートが中心です。 |
施設の種類によっては、未経験者や資格がない方でもできる業務を中心とする施設もあります。無資格のうちは介護サービスが少ない施設で経験を積み、徐々にステップアップするなど、自身のキャリアプランに合わせて職場を選ぶことをおすすめします。
3. 老人ホームへの就職を目指す際のポイント
介護職に興味があっても施設の種類が多く、どのように選べばいいのか迷う方も多いでしょう。介護施設での仕事にやりがいを感じるには、自身に合った施設を選ぶことが重要です。施設によって求められるスキルが異なるため、施設の特徴や資格の有無に合わせて、施設を選びましょう。
ここでは有料老人ホームでの就職・転職時に抑えておくべきポイントを紹介します。
3-1. 施設の違いを理解しておく
有料老人ホームは、施設の種類によって介護業務の有無や中心となるサービス内容が決まっています。施設ごとの違いを把握し、自身の働き方に合った施設を選ぶと、ミスマッチを避けられます。
介護技術を磨きたい方は、特別養護老人ホームや介護付老人ホームのような介護サービスを提供する施設が向いています。一方で、体力に自信がなく、肉体的負担を減らしたい方は、生活支援中心の施設に絞ったほうがよいでしょう。
3-2. 応募先の方針や理念をよく確認する
求人をチェックする際は、施設の経営方針や理念が、自身の目指す介護と合っているか確認しましょう。施設の方針と合わないとモチベーションが維持できず、長く続けることが難しくなることが少なくありません。入職してからミスマッチが判明することのないよう、応募前には施設の入念なリサーチが必要です。職場見学やホームページ、人材派遣会社の情報を参考にしましょう。
3-3. キャリアプランを考慮する
キャリアアップを考えているなら、施設で研修制度や資格取得の支援があるかどうかも重要なポイントです。介護士としてどのようなキャリアを積みたいのかを明確にし、福利厚生や待遇がキャリアプランの実現を推し進めてくれるか考えましょう。
無資格からのスタートでも、人材育成制度や資格取得支援が整っている施設であれば介護スキルの向上やキャリアアップを図れます。今後キャリアを積んでいきたいなら、介護経験が少ない職員への教育に力を入れている施設での就職が望ましいでしょう。
まとめ
老人ホームには特別養護老人ホームや介護老人保健施設などの公的な入居型施設と、有料老人ホームなどの民間の入居型施設があります。老人ホームの中には、無資格・未経験の方も積極的に採用する施設があるため、無資格から介護職を目指したい方は探すとよいでしょう。
入職後は、介護関連の資格を取得することで、昇給やキャリアアップを目指せます。応募先を決める際は、自分のキャリアプランをしっかり考えた上で、教育制度の整った施設を選ぶことがおすすめです。
これから介護職を目指したいものの、無資格・未経験の場合は面接でどのようなことをアピールすればよいか悩む方もいるでしょう。「マイナビ介護職」では、業界に精通したキャリアアドバイザーが、介護業界への転職をサポートいたしますので、ぜひお気軽にご利用ください。
※当記事は2022年11月時点の情報をもとに作成しています
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