特養(特別養護老人ホーム)で働くメリットは?仕事内容や適性も

特養(特別養護老人ホーム)とは、常時介護が必要となった高齢者に対し、日常生活全般の介護・生活支援を提供する介護保険施設です。特養で働く介護職員は、利用者さんへの身体介助や療養上のお世話を提供することが主な役割となっています。
特養で働くことには多くのメリットがあり、就職先・転職先の第一候補として特養を選ぶ方も少なくありません。
そこで今回は、特養の仕事内容から、特養で働くメリット、特養で働くことに向いている方の特徴まで詳しく解説します。介護業界での就職・転職を検討している方は、今回の内容を踏まえて自分に合った職場を選びましょう。
目次
1. そもそも特養(特別養護老人ホーム)とは?
特養とは、主に要介護3以上の認定を受けた65歳以上の高齢者が入所できる介護保険施設のことです。老人福祉法に基づく名称の「特別養護老人ホーム」の略称であり、「介護老人福祉施設」とも呼ばれます。
介護保険施設には、ほかにも介護老人保健施設・介護医療院がありますが、特養はそのなかでも「常時介護が必要となった高齢者のための生活施設」という位置づけとなっています。
また、特養は「ユニット型特養」と「従来型特養」の2つに大別されることも特徴です。近年では利用者さんの居室が個室タイプとなったユニット型が主流となっており、ユニット型では少人数の現場スタッフが利用者さんの日常的な生活介助やサポートを提供します。
(出典:厚生労働省「介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)」
/
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000663498.pdf)
1-1. 特養の仕事内容
特養で働く介護職員の仕事内容は、下記の通りです。
●利用者さんの健康管理
●利用者さんの身体機能の維持を目的とした各種ケア
●食事介助・排せつ介助・入浴介助・離床介助など
●居室の掃除・衣類の洗濯・買い物など
●イベントやレクリエーション活動の企画・実施
●利用者さんの家族への情報共有
●看取り
主な役割は、利用者さんへの身体介助・療養上のお世話です。健康管理や各種介護ケアは日々行う重要な業務となっています。施設によって頻度は異なるものの、利用者さん向けのイベント・レクリエーション活動は週に2~3回行うことが一般的です。
また、利用者さんの家族に対し、施設で過ごす利用者さんの状況や健康状態を伝えたり、積極的にコミュニケーションを図ったりしながら、利用者さん本人だけでなく利用者さんの家族との信頼関係も築き上げる必要があります。
なお、特養で働く介護職員は日勤だけでなく夜勤もこなします。夜勤では、日勤と比較して身体介助・生活援助業務は少なくなるものの、ケアプランの作成や記録記入といった業務がメインとなります。
2. 特養で働くメリット4選
特養で働くことには多くのメリットがあることから、多くの介護職に選ばれる職場となっています。では、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。
特養で働くメリット4選 |
---|
●給料相場が比較的高い ●福利厚生が充実している ●幅広い経験を積める ●利用者さんとじっくり関係を築ける |
ここからは、それぞれのメリットを詳しく紹介します。
2-1. 給料相場が比較的高い
特養で働く介護職員の給料相場は、ほかの介護施設と比較して高い傾向にあります。厚生労働省が公表した介護職員の平均給与額データによると、特養で働く常勤職員・非常勤職員の平均月給は下記の通りとなっていました。
常勤職員 | 345,590円 |
---|---|
非常勤職員 | 202,950円 |
(出典:厚生労働省「令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果」
/
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kaigo/jyujisya/21/dl/r03kekka.pdf)
下記の表を見ると、特養で働く介護職員の平均月給は、介護保険施設(特養・介護老人保健施設・介護医療院)のなかでも最も高いことが分かります。
介護保険施設の平均月給一覧(常勤職員) | |
---|---|
特養 | 345,590円 |
介護老人保健施設 | 338,390円 |
介護医療院 | 234,410円 |
(出典:厚生労働省「令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果」
/
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kaigo/jyujisya/21/dl/r03kekka.pdf)
また、特養は介護福祉士といった介護資格を取得していなくても働くことが可能です。資格取得によってスキルアップを図り、業務の幅が広がればさらなる給与アップが期待できます。このように、数ある介護施設のなかでもトップクラスに高い収入が期待できるという点は、特養の最大のメリットといえるでしょう。
2-2. 福利厚生が充実している
特養は、社会福祉法人や地方自治体といった公的機関が運営母体であり、国からの補助金を受けやすくなっています。加えて、介護保険が適用される施設であることから入居を望む高齢者が多く、経営自体が安定している傾向にあります。したがって、働く職員の福利厚生も充実しているといえるでしょう。
また、希望者の入居待ちが各施設で発生しているような地域では、その分介護職の需要も高まっており、介護人材を確保するため独自の福利厚生を打ち出す施設もあります。
福利厚生の充実度は、働きやすさに大きくつながるといっても過言ではありません。整った勤務環境で、一人ひとりの利用者さんとじっくり関わっていけるという点は、特養ならではの魅力です。
2-3. 幅広い経験を積める
要介護3以上の認定を受けた利用者さんがいる特養では、高度な介護技術が必要となる場面も多々あることから、経験豊富な介護スタッフが多く在籍している傾向です。
そのため、高度な介護技術をもった先輩介護スタッフの取り組み方を間近で見て学ぶことができ、経験の少ない方でも幅広い経験を効率よく積めるというメリットがあります。
また、特養にはあらゆるニーズをもった利用者さんがいて、一人ひとりのニーズに適した臨機応変な対応が重要視されます。個々のニーズに応じた介護ケアは、今後の介護業界において注目されている技術です。「特養で働いていた」という現場経験は、今後のスキルアップや転職にもよい影響を与えるでしょう。
2-4. 利用者さんとじっくり関係を築ける
特養に入所する利用者さんは、基本的に長期間の利用が前提となっており、一度入所すれば高度な医療が必要とならない限り、その特養で生活を送り続けることとなります。
そのため、特養で働く介護職員は、一人ひとりの利用者さんとじっくり関係性を構築でき、個々のニーズに応じた接し方やケア方法を把握しやすい点がメリットです。一人ひとりの利用者さんに応じた介護ケア・サービスを試行錯誤できる環境は、大きなやりがいにもつながるでしょう。
3. 特養で働くのがおすすめな方の特徴
特養で働くことにはさまざまなメリットがありますが、「自分自身が特養で働くことにまず向いているかどうか」に不安を抱える方も多くいるでしょう。
そこで最後に、特養で働くことがおすすめな方の特徴を3つ説明します。なお、これらの特徴に現時点で当てはまらなくても、特養での勤務を目指す過程や実際に特養で働くうえで適性が身につくケースもあるため、前向きに考えることがおすすめです。
3-1. 介護職としてのキャリアアップを目指している
介護職としての着実なキャリアアップを目指している方は、特養で働くことに向いているといえます。
特養には、要介護度の高い利用者さんが多く入所します。それぞれの利用者さんが求める介護ケアは異なるため、特養で働く介護職員はそれだけさまざまなニーズに応じたサービスを提供・経験することとなります。したがって、幅広い領域の介護技術を習得できるでしょう。
介護技術の習得は、キャリアアップにも大きくつながります。比較的大きな規模の特養の場合、着実に介護技術を向上させながらキャリアアップを図れば、将来的に主任など責任のある役職に抜擢される可能性もあるでしょう。
3-2. 心身ともにタフである
心身ともにタフな方は、特養で働くことに向いているといえます。
特養は利用者が生活する暮らしの場であるため、24時間365日体制でケアを提供します。介護職員は日勤だけでなく夜勤をこなす必要があり、不規則な生活による身体的な負担を感じる可能性もあるでしょう。
加えて、特養は利用者さんの看取りに対応する場面もあります。長く関わってきた利用者さんとのお別れは大きな精神的負担を感じるものの、即座に気持ちを切り替えて通常業務をこなす精神力が求められます。
3-3. 土日祝勤務・夜勤に抵抗がない
前述の通り、特養は24時間365日体制で介護ケアを提供するため、働く介護職員は日勤のほか、夜勤をこなす必要もあります。加えて、土日祝日にも勤務をするケースがほとんどです。そのため、土日祝勤務や夜勤に抵抗がないという方は、特養で働くことに向いているといえるでしょう。
とはいえ、特養で働くなら必ず土日祝勤務や夜勤をしなければならないというわけではありません。休日を土日祝日に固定することは難しいものの、土日祝休みを希望することはどの施設においても当然可能です。加えて、特養求人のなかには「日勤のみ」の求人もあるため、夜勤が難しいという場合はこのような求人に応募するとよいでしょう。
まとめ
特養とは、要介護3以上の認定を受けた高齢者が入所する介護保険施設です。常時介護が必要となった高齢者のための生活施設であり、利用者さんは高度な医療が必要とならない限り、施設で暮らし続けられます。
特養で働くことには、給与の高さ・福利厚生の充実度・介護技術の向上のしやすさ・利用者さんとの信頼関係の構築しやすさにおいてあらゆるメリットがあります。
ここまでの内容を参考に、特養で働くことを目指して介護職求人を探す場合は、ぜひ介護職の就職・転職サイト「マイナビ介護職」をご利用ください。マイナビ介護職では、全国各地の特養求人情報を掲載しています。業界に精通したキャリアアドバイザーによる転職支援も行っているため、就職・転職に対して少しでも不安のある方はお気軽にご相談ください。
※当記事は2022年11月時点の情報をもとに作成しています
介護・福祉業界の転職事情|仕事の種類・平均給与・おすすめの資格
関連記事

働き方
| 公開日:2024.12.17 更新日:2024.12.17 |
訪問介護のメリットとデメリットとは?仕事内容や転職のポイント
訪問介護は、高齢者や障害者の方が自宅で安心して自立した生活を続けられる...(続きを読む)

働き方
| 公開日:2024.08.04 更新日:2024.08.04 |
訪問介護の現場では正社員として働ける?正社員になるメリットも解説
訪問介護では、利用者さんの自宅などに赴き、主に「身体介護」「生活援助」...(続きを読む)

働き方
| 公開日:2024.08.04 更新日:2024.08.04 |
訪問介護の仕事内容は?訪問介護員ができること・できないことを解説
介護業界で働いている方や転職を考えている方の中には、訪問介護がどのよう...(続きを読む)

働き方
| 公開日:2024.07.08 更新日:2024.07.08 |
介護事務は未経験では難しい仕事?仕事内容や向いている人の特徴も
介護分野では、介護士や介護助手の他に、介護事務として働く方も活躍してい...(続きを読む)