サービス管理責任者のみなし配置とは?要件や配置の注意点も

サービス管理責任者は、障害福祉サービスの事業所において、利用者さんの人数に応じた配置が義務づけられています。しかし、2019年にサービス管理責任者の要件が変更され、新体系の要件を満たす人材が不足したため、みなし配置が適用されることとなりました。
この記事では、サービス管理責任者の配置基準を踏まえ、みなし配置やみなし配置に関する注意点を詳しく解説します。旧体系で目指していた方、サービス管理責任者として働きたい方は、ぜひ参考にしてください。
目次
1. サービス管理責任者の配置基準
サービス管理責任者は障害者総合支援法により、障害福祉サービス事業所ごとに施設利用者さんの人数に応じた人員配置が義務づけられています。サービス管理責任者の配置基準は、下記の通りです。
サービス管理責任者の配置基準
○ サービス管理責任者については、障害者福祉サービス事業所ごとに、
・ 療養介護、生活介護、自立訓練、就労移行支援、就労継続支援 ・・・ 利用者60人:1人
・ グループホーム ・・・ 利用者30人:1人
(引用:厚生労働省「障害福祉サービスにおけるサービス管理責任者について」
/
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12301000-Roukenkyoku-Soumuka/0000106771_1.pdf/引用日:2023/02/28)
事業所への配置義務ができたことにより、サービス管理責任者の需要が増大しました。しかし同時に研修制度も見直されたため、サービス管理責任者の資格要件を満たせる人員が不足する状況になります。そこで人員の不足する事業所と、資格要件を満たすまでに時間が必要な方の救済措置として「サービス管理責任者のみなし配置」が設けられました。
2. サービス管理責任者のみなし配置とは?
サービス管理責任者のみなし配置とは、サービス管理責任者研修制度が新体系へ移行終了するまでの期間に取られる一時的な経過措置です。
2019年4月の制度改正によって、サービス管理責任者になるために必要とする実務経験や修了すべき研修の内容が変更された上、配置基準が定められました。しかし現在は旧体系から新体系への移行期間中であり、資格要件を満たすサービス管理責任者の数が足りていません。
また、新体系で必須となる研修内容が変更されたことにより、旧体系を修了しただけでは資格要件が不足する事態が発生しています。そのため、旧体系によりサービス管理責任者となった方や目指していた方への措置として、期間限定のみなし制度が作られました。
(出典:東京都福祉保健局「サービス管理責任者・児童発達支援管理責任者研修の見直しについて」
/
https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/shougai/shogai/sakan.files/sbijihatuminaoshinituite.pdf)
ここでは、サービス管理責任者をみなし配置する要件と遂行可能な職務、配置できる期間について解説します。
2-1. みなし配置の要件
サービス管理責任者とみなして配置するためには、一定の条件を満たす必要があります。みなし配置が可能となる時期については、下記の通りです。
みなし配置が可能となる時期
次の①~③を全て満たした日から勤務可能
① 基礎研修受講に必要な実務年数+2年の実務を行う
② 相談支援従事者初任者研修(2日間)を修了する
③ サビ児管基礎研修を修了する
※①~③はどの順番で満たしてもかまいません
※みなし配置可否の審査は人員変更届等の提出時に指定権者が行います
(引用:広島県「研修制度の改定について」
/
https://www.pref.hiroshima.lg.jp/uploaded/attachment/377393.pdf/引用日:2023/02/28)
みなし配置対象者となるには、2019~2021年の間に基礎研修を修了しており、かつ下記の実務年数+2年の実務年数を完全に満たしていなければなりません。
基礎研修受講に必要な実務年数
●相談支援業務:5年以上(※有資格者の場合は3年以上)
●直接支援業務:8年以上
相談支援業務を7年務めてから基礎研修を修了したケースや、5年務めてから基礎研修を修了し、その後2年間実務を重ねたケースなどは要件を満たせます。
(出典:東京都福祉保健局「サービス管理責任者・児童発達支援管理責任者研修の見直しについて」
/
https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/shougai/shogai/sakan.files/sbijihatuminaoshinituite.pdf)
2-2. みなし配置のサービス管理責任者ができること
みなし配置されたサービス管理責任者ができることは、下記の通りです。
みなし配置のサービス管理責任者が可能な仕事内容
●現任者がいる施設で2人目のサービス管理責任者・児童発達支援管理責任者への着任
●個別支援計画の原案作成
2人目の責任者としての配置には、事業所から管轄の自治体への届け出が必要です。基礎研修修了後、3年以内に2年以上実務に従事した後実践研修を受講すれば、正式なサービス管理責任者となれます。
(出典:広島県「研修制度の改定について」
/
https://www.pref.hiroshima.lg.jp/uploaded/attachment/377393.pdf)
2-3. みなし配置の期間
サービス管理責任者をみなし配置可能な期間は、「基礎研修を修了して配置される場合」と、「旧体系研修を修了している場合」で分かれます。
基礎研修受講時点で実務要件を満たしている場合
基礎研修の受講時点でサービス管理責任者等としての実務要件を満たしている場合は、実践研修修了前であっても、基礎研修の修了後3年間に限りサービス管理責任者等の要件を満たしているものとみなされます。
基礎研修を修了後に実務経験を積んで実務要件を満たすことになった場合も、同様に経過措置の対象になります(基礎研修修了から3年間経過するまでの間)。
(引用:兵庫県「サービス管理責任者等研修の見直しについて」
/
https://www.city.himeji.lg.jp/sangyo/cmsfiles/contents/0000003/3111/kensyuminaosi.pdf/引用日:2023/02/28)
基礎研修修了者のみなし配置が可能な期間は、受講から3年経過するまでの間です。 相談支援業務を7年務めてから基礎研修を修了した場合は、3年間みなし配置できます。ただし5年務めてから基礎研修を修了し、その後2年間実務を重ねた場合の残り期間は1年となるため注意しましょう。
旧体系研修を修了している場合
・H31.4~(新体系移行)
施行後5年間(R5 年度末まで)は、更新研修受講前でも引き続きサービス管理責任者等として業務可能
・~R6.3.31(経過措置修了)
サービス管理責任者等更新研修 R5年度末までに受講
・R6.4.31~
サービス管理責任者等更新研修 ※5年毎に受講
(引用:新潟県「サービス管理責任者等の研修見直しに伴う経過措置及びサービス管理責任者等更新研修について」
/
https://www.pref.niigata.lg.jp/uploaded/attachment/320172.pdf/引用日:2023/02/28)
旧体系研修を修了してサービス管理責任者となっている場合、2023年度末まではそのまま働き続けられます。ただし、経過措置終了後は新体系の要件に従って更新研修を受講しなければなりません。
(出典:広島県「研修制度の改定について」
/
https://www.pref.hiroshima.lg.jp/uploaded/attachment/377393.pdf)
(出典:東京都福祉保健局「サービス管理責任者・児童発達支援管理責任者研修の見直しについて」
/
https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/shougai/shogai/sakan.files/sbijihatuminaoshinituite.pdf)
3. 【サービス管理責任者】みなし配置に関する注意点
みなし配置は永続的な制度ではなく、あくまでもサービス管理責任者の配置・研修見直しに伴った一時的な措置となります。そのため措置を活用する際は、ルールや期限を正しく把握・理解した上の配置が必要です。
ここでは、サービス管理責任者のみなし配置に関する注意点を3つ解説します。
3-1. 届出が必要となる
サービス管理責任者をみなし配置するには、事業所から指定権者にサービス管理責任者の人員変更届を提出しなければなりません。この場合の指定権者とは、事業所を管轄する自治体が該当します。
変更届は、みなし配置を行ってから10日以内の提出が必須です。人員変更届の提出後にみなし配置可否の審査が行われ、自治体より許可が下りれば配置できます。
3-2. 期限内に実践研修を受ける必要がある
サービス管理責任者のみなし配置には、配置可能な期間の制限があります。期限を過ぎると、実践研修を修了して正式なサービス管理責任者となるまで配置することはできません。
みなし配置可能な期間は、「基礎研修修了証明書に記載の日付から数えて3年以内」とするのが一般的です。基礎研修の修了年度や、みなし配置が開始された日からではない点に留意しましょう。
なお、基礎研修・実践研修の開催日程は、都道府県によって異なります。3年後を目安に考えると受講時にはみなしが失効する可能性があるため、注意が必要です。実施される研修日程やみなし配置期間の詳細は都道府県ごとに提示されているため、ホームページなどで最新情報を確認するとよいでしょう。
(出典:兵庫県「サービス管理責任者等研修の見直しについて」
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https://www.city.himeji.lg.jp/sangyo/cmsfiles/contents/0000003/3111/kensyuminaosi.pdf)
(出典:新潟県「サービス管理責任者等の研修見直しに伴う経過措置及びサービス管理責任者等更新研修について」
/
https://www.pref.niigata.lg.jp/uploaded/attachment/320172.pdf)
3-3. 産休・育休で経過措置の延長がない
サービス管理責任者のみなし配置中に産休・育休を取った場合でも、期限は基礎研修修了日から3年です。みなし配置は、研修体系の移行に際して新たなサービス管理責任者養成の猶予期間として設けられた特例措置のため、個人的な事情は考慮されません。
みなし配置期間と産休・育休が重なる場合は、期限内に実践研修が受けられるよう実務期間と休暇期間を調整しましょう。事務所の運営にも大きく影響するため、早めに予定を相談することが大切です。
ただし、新型コロナウイルスへの罹患などやむを得ない事情があった場合、特例措置が取られる可能性もあります。気になる方は、都道府県の担当窓口に確認するとよいでしょう。
まとめ
サービス管理責任者は配置義務が設けられており、一定の需要がある一方で、研修制度の見直しにより、新制度の要件を満たす人材が不足する事態が懸念されました。みなし配置は、人材不足の防止や新制度へのスムーズな移行のために設けられた特例措置です。
みなし配置には一定の条件が設けられており、配置可能な期間も決められています。さらに、届出が必要で、一定期間内に研修を受けなければならないなど、細かなルールも多いため、しっかりと情報収集をしましょう。
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※当記事は2023年3月時点の情報をもとに作成しています
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