グループホームで働く場合の手取りは低い?手取り額を上げる5つの方法
グループホームで働く介護職員は、他のタイプの施設で働く方に比べて、手取り収入が低いと言われています。収入の低さは、仕事内容や無資格で働ける仕事であることに起因しているとされます。しかし、適切な対処法を実践することで、介護の仕事でも収入を増やすことは可能です。
そこで当記事では、グループホームで働く介護職員の手取りについて現状を解説します。さらに、介護の仕事で収入を増やす方法についても取り上げるので、現状の手取り額に不満を覚えている方は、ぜひご覧ください。
目次
1. グループホームで働く介護職員の手取りは低い?
厚生労働省が公表した「令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果」によると、グループホーム(認知症対応型共同生活介護)で働く介護職員の平均給料は287,670円です。この金額が高いか低いかは、他の施設の給料額と比較すれば相場が掴めます。
全体 | 293,800円 |
介護老人福祉施設 | 328,120円 |
介護老人保健施設 | 323,770円 |
介護医療院 | 290,140円 |
訪問介護 | 286,920円 |
通所介護 | 275,670円 |
通所リハビリテーション | 326,940円 |
特定施設入居者生活介護 | 313,160円 |
小規模多機能型居宅介護 | 267,470円 |
認知症対応型共同生活介護 | 287,670円 |
(引用:厚生労働省「令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要」
/
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kaigo/jyujisya/21/dl/r03gaiyou.pdf引用日2022/09/23)
グループホームの給料は、介護老人福祉施設の328,120円や通所リハビリテーションの326,940円と比較すると低い数字だと言えるでしょう。小規模多機能型居宅介護の267,470円や通所介護の275,670円よりは高めですが、全体の平均を下回る金額です。
また、前年の277,660円からは約10,000円ほど増えていますが、他の施設に比べても上がり幅は少ない傾向にあります。グループホームで働く介護職員の給料は、介護職全体で見てもあまり多いとは言えない状況です。
(出典:厚生労働省「令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要」
/
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kaigo/jyujisya/21/dl/r03gaiyou.pdf)
1-1. グループホームで働く介護職員の給料額が低い理由
グループホームで働く介護職員の給料額が低くなりがちな理由として、主に下記の2点が考えられます。
●仕事内容の負担が軽い傾向にあるため
介護老人福祉施設などと比較して、グループホームの利用者さんは全体的に介護度が低めな点が特徴です。
基本的な仕事は利用者さんの日常生活を支援することであり、身体介助が必要な場面はあまりありません。体力的な負担が軽く、また専門的な知識や高度な介護技術を求められるケースも少ないため、給料額も控えめとなる傾向にあります。
●無資格でも働けるため
専門的な知識や高度な介護技術を必要としないグループホームでは、無資格・未経験の方でも歓迎されます。初めて介護の仕事に携わる方へのハードルが低い反面、資格手当や役職手当による給料額の上乗せが発生しません。そのため、全体的に見たときの平均給料は低めとなります。
2. グループホームで働く介護職員が手取り額を上げる方法5つ
全体的に見ればグループホームの平均給料は少なめなものの、給料額を上げる方法がないわけではありません。仕事自体を変えてしまう方法もありますが、グループホームでの仕事にやりがいや魅力を感じており、できれば続けていきたいと考える方も多いでしょう。グループホームで働きつつ、収入アップを狙いたい場合は下記5つの方法が有効です。
●勤続年数を増やす
●夜勤で働く
●資格を取得する
●役職に就く
●転職する
ここでは、グループホームで働く介護職員が手取り額を上げる方法を解説します。
2-1. 勤続年数を増やす
介護施設の多くは、職員の勤続年数に比例して給料額も上昇する傾向にあります。 介護職員全体の平均ではありますが、勤続1年目は給料約277,350円に対して勤続年数が10年を超える方の給料は約342,490円との調査結果が出ています。
グループホームでの勤務が浅い方は、勤続年数を増やすことによる昇給を狙いつつ、資格の取得や役職者への登用による給料アップを目指しましょう。
(出典:厚生労働省「令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要」
/
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kaigo/jyujisya/21/dl/r03gaiyou.pdf)
2-2. 夜勤で働く
勤続年数を増やすことは基本的な給料額のアップにつながりますが、「できるだけ早く手取り額を増やしたい」と考える方も多いでしょう。すぐにできる手取りアップの方法としては、「夜勤で働く」「夜勤の回数を増やす」ことが有効です。
夜勤に入れば、通常の給料に夜勤手当が加算されます。夜勤手当の金額は施設によって多少の差がありますが、基本的には1度の夜勤につき約9,000~10,000円が相場です。夜勤に多く入ればその分手取り額も多くなるため、試してみてはいかがでしょうか。また、夜勤をデメリットと感じない方の場合は、夜勤専従という雇用形態もあります。
(参考:マイナビ介護職「敬愛病院の求人・転職・募集情報」
/
https://kaigoshoku.mynavi.jp/d/9025358)
(参考:マイナビ介護職「社会福祉法人さつき会 特別養護老人ホーム袖ケ浦菜の花苑の求人・転職・募集情報」
/
https://kaigoshoku.mynavi.jp/d/9036356)
2-3. 資格を取得する
介護の資格を取得すれば、資格手当による給料アップが狙えるでしょう。また、取得した資格によって担当できる仕事の幅も広がるため、職場からの評価にも反映される可能性があります。
下記は、取得することで給料アップが期待できる資格の例です。
介護職員初任者研修 | |
---|---|
介護の経験が浅い方向けに作られた、介護職の基礎から応用までを学ぶ初歩的な資格です。介護職員初任者研修を修了することで、介護に必要な最低限の知識と技術があると見なされます。 | |
受講資格 | 特になし |
取得方法 | 通学もしくは一部通信で講座を受講し、修了証を得る |
受講科目・時間 | 9科目130時間 |
備考 | 介護福祉士実務者研修を受講する際、一部の科目が免除される |
(出典:厚生労働省「介護員養成研修の取扱細則について」
/
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000331389.pdf)
(出典:厚生労働省「実務者研修の受講のための負担軽減策」
/
https://www.mhlw.go.jp/content/12201000/000484841.pdf)
介護福祉士 | |
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介護福祉士は、介護職員初任者研修・介護福祉士実務者研修の上位資格です。介護専門職の中で唯一の国家資格に当たるため社会的な信用も高い資格であり、管理職や指導者の立場を得やすくなります。 | |
受験資格 | ●3年以上の実務経験+介護福祉士実務者研修を修了する ●介護福祉士養成施設を修了する ●福祉系高校や福祉系特例高学などを卒業する |
取得方法 | 国家試験を受験し合格する |
試験科目 | 13科目 |
備考 | 介護福祉士としての実務を積むことで、介護支援専門員(ケアマネジャー)を目指せる |
(出典:厚生労働省「ページ4:介護福祉士の概要について」
/
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/shakai-kaigo-fukushi1/shakai-kaigo-fukushi4.html)
介護支援専門員(ケアマネジャー) | |
---|---|
介護支援専門員は、要介護者・要支援者への援助に関する専門的な知識・技術があると証明する資格です。利用者さんの相談に対応し、状況に応じて適切なケアプランを作成したり、関係各所との連絡調整を行ったりします。 | |
受験資格 | 保健医療福祉分野での実務経験を5年以上積む |
取得方法 | 介護支援専門員実務研修受講試験に合格し、介護支援専門員実務研修の全講座を修了する |
備考 | 資格取得後も5年ごとに更新が必要となる |
(出典:厚生労働省「介護支援専門員(ケアマネジャー)」
/
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/0000114687.pdf)
(出典:福祉医療機構「1.実務研修受講試験からの流れ」
/
https://www.wam.go.jp/content/wamnet/pcpub/kaigo/caremanager/caremanagerworkguide/caremanagerworkguide_02.html)
2-4. 役職に就く
役職に就くことで、一般職員のままでいるよりも高い給料が望めます。 グループホームで高給が期待できる役職としては、施設の管理者などが代表的です。ただし、グループホームで管理職に就くためには、下記の要件を満たさなければなりません。
●3年以上認知症の介護従事経験
●厚生労働大臣が定める研修の修了
(出典:厚生労働省「認知症対応型共同生活介護(認知症グループホーム)」
/
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000647295.pdf)
役職持ちになればその分自分が負うべき責任も増えますが、役職手当による大幅な給料アップが期待できるでしょう。また施設の規模や運営母体などによっては、積極的に仕事へ取り組み続けることでさらなる出世も視野に入る可能性があります。
2-5. 転職する
一口にグループホームと言っても、施設によって給料の基準は異なります。まずは、現在の給料とグループホームの平均給料を比較してみましょう。また、上司や同僚の給料額を把握できれば、今後資格の取得や役職者への登用によりどの程度の給料アップが望めるか推察できます。
もし期待するほどの手取り額に届きそうにないのであれば、基本の給料額が高めの施設に転職することもおすすめです。
3. 手取り額アップの転職には介護職専門のエージェントがおすすめ
手取り額アップを狙って転職を考えている場合は、介護職専門のエージェントを利用してみてはいかがでしょうか。 介護業界の求人情報には、非公開の求人が少なくありません。公開されている求人と合わせれば非常に豊富な件数となるため、その中から給料や待遇がよく条件が合致する職場をピンポイントで探すのは大変です。
転職エージェントなら、キャリアアドバイザーが求人の内容と希望する条件を詳細に精査した上で紹介してくれます。また、転職に必要な書類作成のアドバイスや面接対策、退職時のトラブル回避のポイントなど徹底したサポートが受けられる点も魅力です。
まとめ
グループホームで働く介護職員の手取り給料は、他の施設に比べて低い傾向にあります。グループホームの給料が低い原因としては、仕事内容が比較的軽めであることや、無資格でも働けることが挙げられます。しかし、資格を取得したり、役職者を目指したりすることで、手取りを増やすことができるでしょう。
グループホームへの転職を希望する場合は、「マイナビ介護職」をぜひご利用ください。グループホームをはじめとした介護の世界に詳しいキャリアアドバイザーが、仕事探しから入職まで幅広く転職をサポートいたします。
※当記事は2022年9月時点の情報をもとに作成しています
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