介護職員初任者研修は通信で受講できる?安い通信講座の留意点も説明

介護職員初任者研修は、一部の研修内容について、通信講座により自宅で学習することが可能です。ただし、あくまでも通信での学習の対象は一部の研修内容であり、全課程を通信で学ぶことはできません。しかし、通信講座を利用することで、一部ではあっても好きな時間に好きな場所で、介護職員初任者研修の学習ができます。
この記事では、介護職員初任者研修の通信講座について、受講する場合の留意点を中心に解説します。安い費用で受講できる通信講座を探している方は、ぜひご覧ください。
目次
- 3. 費用の安い通信・介護職員初任者研修を受講する場合の留意点
- 3-1. 講師の指導力・経験は十分か?
- 3-2. 振替講義は対応しているか?
- 3-3. 教室は通いやすい立地か?
- 3-4. 受講費用は費用の総額か?
1. 介護職員初任者研修とは?
介護職員初任者研修とは、介護の現場で必要とされる基本的な知識・技術・倫理観・コミュニケーション能力などを習得するための研修制度です。以前は「ホームヘルパー2級」と呼ばれていたもので、現在でも介護の仕事をする上での入門資格として位置づけられています。介護福祉士実務者研修と比べると資格取得までの難易度は低く、介護資格の中では取得しやすい部類に入るでしょう。
介護職員初任者研修は、基本的には都道府県が実施しており、訪問介護事業に従事する方もしくは在宅・施設を問わず介護業務に従事しようとしている方が主な対象者です。10の研修科目と130時間の研修時間が定められており、カリキュラムを終えたのちに修了試験を受けます。
介護職員初任者研修の研修科目および研修時間数は下記の通りです。
【研修科目及び研修時間数】
1.職務の理解 | 6時間 |
2.介護における尊厳の保持・自立支援 | 9時間 |
3.介護の基本 | 6時間 |
4.介護・福祉サービスの理解と医療との連携 | 9時間 |
5.介護におけるコミュニケーション技術 | 6時間 |
6.老化の理解 | 6時間 |
7.認知症の理解 | 6時間 |
8.障害の理解 | 3時間 |
9.こころとからだのしくみと生活支援技術 | 75時間 |
10.振り返り | 4時間 |
合計 | 130時間 |
(引用:厚生労働省「介護員養成研修の取扱細則について」
/
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000331389.pdf 引用日2023/03/10)
研修は職務の理解からはじまり、介護の基本・医療との連携・コミュニケーション技術・老化や障害への理解など、徐々に実践的な内容を学んでいきます。介護の現場で求められていることや、具体的な仕事内容まで体系的に学べるため、介護業務未経験の方でも安心して学習を進めることができるでしょう。
(出典:厚生労働省「介護員養成研修の取扱細則について」
/
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000331389.pdf)
2. 介護職員初任者研修は通信で受講できる?
介護職員初任者研修は、一部の研修内容について通信でも受講することができます。移動時間を節約したり、スケジュールに合わせて日程調整したりできる点が、通信講座の魅力です。すべての研修を通信にすることは不可能ですが、時と場合によっては通信形式のほうが便利なケースもあるため、受講する際は参考にしてみてください。
通信形式の研修では、科目ごとに実施できる上限時間が定められています。通信形式で実施できる科目ごとの上限時間と各科目の総時間は、下記の通りです。
【通信形式で実施できる科目ごとの上限時間と各科目の総時間】
科目 | 通信形式で実施できる上限時間 | 合計時間 |
1.職務の理解 | 0時間 | 6時間 |
2.介護における尊厳の保持・自立支援 | 7.5時間 | 9時間 |
3.介護の基本 | 3時間 | 6時間 |
4.介護・福祉サービスの理解と医療との連携 | 7.5時間 | 9時間 |
5.介護におけるコミュニケーション技術 | 3時間 | 6時間 |
6.老化の理解 | 3時間 | 6時間 |
7.認知症の理解 | 3時間 | 6時間 |
8.障害の理解 | 1.5時間 | 3時間 |
9.こころとからだのしくみと生活支援技術 | 12時間 | 75時間 |
10.振り返り | 0時間 | 4時間 |
合計 | 40.5時間 | 130時間 |
(引用:厚生労働省「介護員養成研修の取扱細則について」
/
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000331389.pdf 引用日2023/03/10)
職務の理解と振り返りの科目は通信形式で受講することはできませんが、その他の科目については通信形式での受講が認められています。「介護における尊厳の保持・自立支援」「介護・福祉サービスの理解と医療との連携」などの科目は、必要な研修時間の半分以上を通信形式で実施することが可能です。
研修スクールごとに、通信コースの有無が異なる点には注意が必要です。スクール選びの際には、公式サイトをチェックすることを忘れてはなりません。仕事や子育てをしながら資格取得を目指す方など、まとまった学習時間の確保が難しい場合には、通信形式での受講も検討してみるとよいでしょう。
(出典:厚生労働省「介護員養成研修の取扱細則について」
/
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000331389.pdf)
2-1. 通信でスクーリングがあるメリット
通信でもスクーリングがあることを不便だと感じる方もいるでしょう。しかし、スクーリングにはいくつかメリットがあります。
未経験の分野に関する学習を進めていくと、自力では解決するのが難しい問題に直面する場合もあります。しっかりと理解せずに学習を進めた結果、知識が定着しなかったり途中で行き詰まってしまったりして、挫折してしまう可能性もゼロではありません。
スクーリングがあることで、学習時に発生する疑問を講師に質問して解消できるというのは大きなメリットと言えるでしょう。一つひとつきちんと理解しながら学習を進められるため、モヤモヤとしたストレスを抱え込む心配もありません。
介護職員初任者研修に限らず、通信学習でよくあるのが、モチベーションの維持が難しいという問題です。自宅にいながら1人で決まった時間の学習を継続することは、強い自制心を持つ方でなければ難しいことです。同じ目標に向かって頑張る同志が近くにいるとモチベーションを維持しやすいというのも、スクーリングのメリットの1つです。
3. 費用の安い通信・介護職員初任者研修を受講する場合の留意点
通信形式の介護職員初任者研修の中には、完全通学形式のものより安い講座があります。しかし、受講料金だけで講座を選ぶと、講座が始まってから後悔してしまうことがあるため、注意が必要です。費用の安い介護職員初任者研修講座を受講する場合の留意点について、具体的に解説します。
3-1. 講師の指導力・経験は十分か?
講師の指導力や経験は、講座を選ぶ上で最初に確認するべきポイントです。開講して日が浅い講座や実務経験が少ない講師が担当している場合には、研修費用が安く設定されている場合があります。研修を受講する前に講師の指導力や経験を見極めるのは簡単なことではありませんが、講座の開講歴や受講生の口コミなどが参考になります。
経験豊富な講師であれば、テキストに書いてある内容をそのまま読み上げるのではなく、現場で使えるレベルまで落とし込んで説明してくれるでしょう。実際の介護現場の様子をイメージしながら学習を進めると、知識が定着しやすくなるというメリットもあります。
3-2. 振替講義は対応しているか?
通信形式の介護職員初任者研修であっても、スクーリングは必要です。予定が合わなくてスクーリングの日程を変えたいときに、柔軟な対応をしてくれるかどうかは講座によって異なります。費用の安い介護職員初任者研修の中には、一時的に会場を借りて不定期開講することにより費用を抑えているといったケースも見られます。
すべてのカリキュラムを受講しないと修了試験を受けられないため、忙しい方にとっては振替講義の対応をしているかどうかは重要なポイントです。研修を申し込む前に、振替講義のシステムに関して必ず確認しておきましょう。
3-3. 教室は通いやすい立地か?
教室は通いやすい立地かどうかも事前に調べておきましょう。通信形式の介護職員初任者研修であっても、半分以上の時間はスクーリングにより受講しなければならないためです。
一般的に、駅前の建物は賃料が高い傾向にあります。教室が通いやすい場所にあるほど、研修費用が高くなるのは仕方のないことでしょう。
教室が通いにくい場所にあると、スクーリングのために車が必要となる場合もあります。ガソリン代や駐車場代も考慮すると、通いやすい立地の教室よりも最終的には支出が高くなる可能性もあるため、事前に計算してみることをおすすめします。
3-4. 受講費用は費用の総額か?
受講費用の内訳についても事前に確認しておく必要があります。費用の安い介護職員初任者研修の講座の中には、テキスト代を別途必要としているところも少なくありません。他にも入学費用が必要とされる場合もあるため、講座を修了するまでに必要な総額を計算してから比較しなければなりません。「入学金」「テキスト代」「受講費用」「交通費」「その他の費用」と、5つに分けて計算してみると、講座ごとの総額比較が簡単にできます。
スクールの中には、現場経験豊富な講師陣のスクール・体験重視のスクールなど、それぞれに特色があります。無料で資料請求できるスクールも多いため、気になるところがあれば積極的に問い合わせてみるとよいでしょう。
まとめ
介護職員初任者研修は、総研修時間である130時間のうち、最大40.5時間について自宅学習で実施することが可能です。総研修時間の約3割については自宅で学習できる計算となります。
通信を利用する講座は、完全な対面形式の講座に比べて、受講費用が安い傾向にあります。そのため、費用を抑えて介護職員初任者研修を受講したい方は、通信を併用する講座がおすすめです。
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※当記事は2023年4月時点の情報をもとに作成しています
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