介護福祉士の取得費用|実務者研修・初任者研修の費用相場も紹介

介護の現場で活躍している方や、介護業界に興味のある方の中には、介護福祉士をはじめとする介護関連の資格に興味がある方も多いでしょう。介護福祉士や介護職員初任者研修・実務者研修といった介護の資格を取得するためには、どのくらいの費用が必要なのでしょうか。
当記事では、介護福祉士などの介護関連資格の取得にかかる費用や、介護福祉士の試験対策で予備校に通う場合の費用について解説します。おおまかな費用相場とともに、スクール(業者)や予備校によって受講費用が異なる理由を理解し、なるべく費用がかからない方法を検討しましょう。
目次
1.介護福祉士など介護の資格を取得するための費用
介護業界にはさまざまな資格がありますが、中でも特に知名度が高く、就職・転職や昇進で有利になる場合が多いものとして次の3つの資格が挙げられます。
■介護分野における代表的な資格
・介護福祉士
・介護職員初任者研修
・介護福祉士実務者研修
これらの介護資格は、通常であれば「初任者研修→実務者研修→介護福祉士」の流れで取得することが一般的です。ただし、「初任者研修を省略して実務者研修から取得を進める」など、実務経験や学歴によっては取得の順番に例外があることに注意しましょう。
ここでは、上記の3つの介護関連資格について、取得にかかる費用の目安を紹介します。費用のことも考慮しながら、資格取得について考えてみましょう。
介護福祉士
「介護福祉士」は、介護系資格で唯一の国家資格(名称独占資格)であり、介護に関する高い専門性をもつ職種です。
介護福祉士は、一般的な介護業務に加え、介護施設内の介護スタッフへの指導・教育や利用者さん・家族からの相談業務を任されることも少なくありません。業務負担も責任も大きな職種ですが、やりがいも大きく、資格手当・役職手当の支給による給料アップや待遇アップを見込めるメリットもあります。
介護福祉士の資格取得に必要な費用は、取得ルートによって異なります。しかし、どのルートでも、公定の「介護福祉士国家試験の受験料」「試験合格後の登録費用」は必要となることに留意しましょう。
■介護福祉士の資格取得に必須の費用
・介護福祉士国家試験受験費用...18,380円(2021年度)
・介護福祉士登録費用...登録免許税:9,000円、登録手数料:3,320円
(出典:社会福祉振興・試験センター「介護福祉士国家試験」)
(出典:社会福祉振興・試験センター「資格登録(社会福祉士・介護福祉士・精神保健福祉士)」)
介護福祉士になる方法には「実務経験ルート」「養成施設ルート」「福祉系高校ルート」「経済連携協定(EPA)ルート」の4つのルートが存在します。福祉系高校ルートとEPAルートは選択できる人が限定されているため、ここでは「実務経験ルート」「養成施設ルート」について必要となる費用の相場を紹介します。
●実務経験ルート
実務経験ルートで介護福祉士を目指すには、「3年以上の実務経験を得る」「介護福祉士実務者研修を受講し修了試験に合格する」という2つの条件を満たす必要があります。予備校に通わず独学で勉強する場合でも、テキストや問題集の購入費用(見込み)として10万円程度を用意しておくと安心です。
●養成施設ルート
介護福祉士養成施設における課程を修了することで、介護福祉士国家試験の受験資格を得るルートです。養成施設に在学する年数にもよりますが、100万~150万円前後の学費(入学金・授業料など)が必要となります。
(出典:福祉医療機構「介護福祉士」)
(出典:厚生労働省「介護福祉士資格の取得方法について」)
初任者研修
「介護職員初任者研修(初任者研修)」とは、介護に関する基礎知識や基本的な技術、介護実践における考え方などを身につけることができる資格です。一般的に介護従事者のキャリアにおける入門資格として位置付けられる資格であり、初任者研修修了者でなければ身体介護は行えません。
初任者研修の資格を取得するためには、厚生労働省が定めたカリキュラムに沿った研修(講義・実習)を規定の時間数受講する必要があります。独学では取得を目指せないため、民間のスクールに通いましょう。
初任者研修の受講費用の相場は7万~10万円ほどです。スクールによって研修費用が異なるため、事前に調べておきましょう。
実務者研修
「介護福祉士実務者研修(実務者研修)」は、初任者研修の次のステップとして取得を目指す方が多い資格です。実務者研修を取得することにより基本的な介護提供スキルを習得でき、より質の高い介護サービスを安定的に提供できるようになります。なお、実務者研修は、実務経験ルートで介護福祉士を目指す場合に取得必須となる資格でもあります。
実務者研修の取得にかかる費用はスクールによっても異なるほか、保有資格によっても異なります。初任者研修取得済みの場合は8万~13万円ほど、初任者研修を省略して実務者研修の取得を目指す場合は10万~15万円ほどの料金が必要となることに留意しましょう。
2.介護福祉士の試験対策で予備校に通う場合の費用
実務経験ルートで介護福祉士の資格取得を目指す場合、実務者研修以外は通学せず独学でも試験対策を行うことができます。
しかし、介護福祉士国家試験の試験内容は難易度が高く、十分な対策なしでは合格が困難であるため、予備校や通信講座を利用して試験対策を進める方も珍しくありません。ここでは、介護福祉士国家試験対策で利用する予備校(通学講座)や通信講座について、費用相場や講座の概要・学習期間の目安を紹介します。
●予備校を利用する場合
予備校が開催する介護福祉士国家試験対策講座の場合、3万~6万円程度が受講料(教材代込み)の相場となっています。カリキュラムやコースも予備校によって違いがありますが、「講義(2回程度)と2~3回の模試」「5時間授業を6日間実施」など効率よく勉強できる構成となっています。
●通信講座を利用する場合
介護福祉士の国家試験対策ができる通信講座も多数存在しており、費用やカリキュラム、勉強にかかる期間も講座によって異なります。費用相場は3万~5万円程度となっていますが、教材費などが別途必要であり、総額が変更となる場合もあることに注意しましょう。
受講期間の目安は、短期集中型の講座であれば2か月程度、コツコツと勉強するタイプの講座であれば半年程度となっています。「動画講義を繰り返し視聴できる」「何度も質問できる」「すきま時間に勉強しやすい」などの各講座の特徴をふまえた上で、自分に合った講座を選びましょう。
3.業者・予備校によって受講費用が異なる理由とは?
初任者研修や実務者研修を実施する業者や、介護福祉士試験対策を実施する予備校・通信講座などで受講料に差があることには、以下のような理由が考えられます。
■業者や予備校で受講費用が異なる理由
●スクールの立地が影響している
スクールが都市部や利便性の高い地域・エリアにある場合、校舎の固定資産税や賃料といった固定費が大きくなります。このように、スクールの環境が受講費用に影響する場合も少なくありません。
●スケジュールの融通がきく
「社会人が通学しやすい時間帯の開講クラスがある」「振替授業を何度でも取れる」など、スケジュールの融通がきくスクールは、受講費用も高めになる場合があります。
●初任者研修・実務者研修や介護福祉士国家試験対策が本業ではない
介護事業所・介護事業者が開催するスクールなどの場合、資格取得者を自社で採用し勤務してもらうことを前提として、研修や試験対策を開講しているケースもあります。このようなスクールでは、採用コストを節約できる分、受講費用が安く設定されている可能性があります。
このように、「受講費用が高めであるか低めであるか」といったポイントは、研修や講座の内容の良し悪しを決定付けるポイントではありません。受講内容や特徴、利便性などを考慮した上で、自分に合った研修・講座を受講しましょう。
まとめ
介護福祉士の資格取得にかかる費用は、取得ルートや試験対策で利用する予備校・通信講座によって異なります。なお、受講費用の多寡は、初任者研修・実務者研修や試験対策講座の内容にはほとんど影響しません。講座の特徴や利便性、スケジュールの柔軟性、費用面などをチェックし、自分に合った研修・講座を受けられるスクールを選びましょう。
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※当記事は2022年6月時点の情報をもとに作成しています
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