精神保健福祉士の志望動機はどう書く?転職に役立つ面接対策も
精神保健福祉士は、精神的な障害を抱える方を支える国家資格を持つ専門職です。精神病院などの医療機関から、市役所や福祉センターなどの行政機関、精神障害者の生活支援施設まで、精神保健福祉士はさまざまな場所で活躍しています。仕事内容も入退院の相談、就労支援、市民向けの啓発活動など、多岐にわたっています。
精神保健福祉士として希望の職場で働くために大切な志望動機のまとめ方と、面接での伝え方についてご紹介します。
目次
1.【精神保健福祉士】志望動機のまとめ方
志望動機は、書類選考において採用担当者が重視し、面接試験に進んだ際にも聞かれることが多い質問項目であるため、しっかりとした準備が大切です。
志望動機をまとめる際は、下記のような点に注意し、具体的なエピソードを交えてまとめましょう。なぜ精神保健福祉士になりたいのか、なぜこの施設を選んだのかを話した上で、これからどのように働きたいのかというビジョンにふれるのもおすすめです。
1-1.なぜ精神保健福祉士として働きたいのかを考える
数多くの福祉系の職種がある中で、なぜ精神保健福祉士として働きたいのかという点は、志望動機の核となる部分のため、しっかり掘り下げたいところです。
たとえば、「心に障害のある患者さんを一人ひとり丁寧に支えていきたい」が理由だとしても、教科書的で採用担当者の印象には残りにくいでしょう。 どのようなきっかけや経験があって、そう思うに至ったのかというところまで掘り下げることで、説得力のある志望動機になります。
1-2.なぜこの病院・施設なのかを考える
精神保健福祉士の業務は多岐にわたり、職場によっても仕事の内容は異なります。クリニックのデイケアはプログラムの運営や利用メンバーの相談にのることが中心である一方、生活支援施設は就労移行支援事業への従事や生活訓練が中心です。
そのため、職場を選ぶ際には、業務内容と自分のやりたいことが合っているかをしっかり確認しましょう。また、志望動機と実際の業務内容のあいだに矛盾がないこともポイントになります。
1-3.自身の強みやキャリアの整理を行う
志望動機を作るときは、これまでのキャリアや生活を整理して、アピールすべき点を探します。 以前に病院の精神科や精神系クリニックで働いた経験がある場合、大きな強みになります。
また、精神科のある病院での勤務経験はなくても、患者さんや利用者さんに寄り添う姿勢で、看護・介護の仕事やボランティアに取り組んできたなどの経験があれば、精神保健福祉士に求められる資質があることをアピールできます。
2.【精神保健福祉士】志望動機のNG例
志望動機は具体的に書くことが大切ですが、一方で書かない方がよい内容や、好感を持たれにくい書き方など、気を付けたいポイントもいくつかあります。精神保健福祉士としての採用を目指す場合は、以下に挙げるNG例をできるだけ避けて、志望動機を考えましょう。
2-1.ネガティブな内容を書く
転職をする際の志望動機として、転職理由を書くとついネガティブな内容になってしまう方も多いのではないでしょうか。前職を辞して転職活動をしている場合、退職にそれなりの理由があることも多いため、転職理由がネガティブな内容になってしまうのも無理はありません。
しかし、転職活動で前職の不満を漏らすと、採用担当者に「仕事に不満を抱きやすいタイプなのでは?」とマイナスイメージを与える恐れがあります。自分自身の印象を下げないためにも、志望動機にネガティブな内容を書くことは控えましょう。
2-2.志望動機が漠然としている
「人の役に立ちたいから」や「理念に共感した」といった志望動機は、事実であっても漠然とした印象を与えます。志望動機には「精神福祉士として働きたい理由」や、「志望先を志望した理由」を、具体的に盛り込むのが基本です。 転職先の採用担当者は、転職先の候補に選ばれた理由や、志望度の高さを知りたいと考えているため、必ず志望動機に組み込むようにしましょう。
具体的な志望動機を書くためには、自己分析などを通して、自分が精神保健福祉士として働きたい理由を深掘りします。さらに、志望先の施設や企業についての研究も必要です。このような作業の中で「なぜ自分は精神保健福祉士として、この職場で働きたいのか」が自然と見えてくるでしょう。
2-3.待遇のことばかり書く
生活をする上で、収入はなくてはならないものです。また、給与以外にも福利厚生や自宅と職場の距離感などは、就職先を選ぶ上で欠かせない条件となるでしょう。しかし、志望先の採用担当者からすると、待遇で選んだと伝えられても、「それならば当社でなくてもよいのではないか」と思われるかもしれません。
志望動機では待遇についてだけではなく、なぜその施設や企業を志望したのか、志望先ならではの志望理由を考えることが大切です。その職場の方針や理念への共感、業務内容に感じた魅力、そこでどのように働きたいかなどを考えて伝えましょう。
2-4.勉強意欲をアピールしすぎる
仕事をする上で、向上心は大切です。しかし志望動機で「学びたい」、「勉強したい」という姿勢ばかりを強調すると、「職場にとって戦力にならないのではないか」と、採用担当者を不安にさせてしまいます。経験が浅い方ほど「学びたい」という向上心をアピールしてしまいやすいものの、雇われる以上はどのように職場に貢献できるかを考え、努力する必要があります。
未経験の場合には「自分の知識やスキル、人柄を生かして、どのように働けるのか」や、「職場にどのような形で貢献できるか」を考えましょう。経験が少なくても、これまでの人生で何かしら生かせることがあるものです。
3.精神保健福祉士として求められる人材は?
精神保健福祉士の仕事は、精神にハンディキャップのある方がスムーズに生活できるよう支援することです。その特性から、次のような人物が求められる傾向があります。
なお、採用には、これらの資質があるかに加えて、長く働いてくれるかどうかという点も評価のポイントとなります。
・聞き上手である
精神保健福祉士の仕事は、うつ病やパニック障害、PTSDなどの心の病を抱えた方やその家族の話を聞くことから始まります。心の病を抱えた方は、自分の気持ちがうまく表現できず、他者と円滑なコミュニケーションができない場合が少なくありません。精神保健福祉士は、援助対象者に寄り添って、その思いに耳を傾け、理解しようと努める姿勢が何より求められます。
・思いやりがあり、人の心に寄り添える
援助対象者に心を開いてもらうためには、相手を思いやり、心に寄り添うことが不可欠です。ただし、安易に同調するのではありません。客観的な視点でアドバイスができる距離は保ちながらも、その心をしっかり理解していくことがポイントです。
・人権を尊重し、自己決定を支援できる
援助対象者は、病のために判断力が低下している場合もあり、自分の望みや考え、気持ちをうまく表現できない方が少なくありません。
援助対象者の方たちに絶対にやってはいけないのが、支援する側からの一方的な押し付けです。相手の人権と自己決定権を尊重し、「本当は何を望んでいるのか」を丁寧に聞き出した上で、どのようにサポートしていけばいいかを考え、行動できる人物が求められます。
・忍耐強さ、タフな精神力がある
心の病を抱えた方の回復には時間がかかる場合が多く、回復しても社会復帰が難しい場合もあります。そのため、たとえ
長丁場になっても最後まで投げ出さずに、支援を続ける忍耐強さ、精神的なタフさも必要となります。
・協調性(チームワーク)がある
精神保健福祉士は、医療機関や行政機関、福祉施設など、さまざまさまざまな施設・業種の人と協力して支援にあたり、ときにはあいだに入って仲介役、調整役を担うこともあります。違った価値観、ルールで動く人たちをつなぐには、調整力や協調性も大切です。
・専門知識、学び続ける姿勢を持っている
精神保健福祉士として活躍するには、精神医学や心理学から社会福祉制度に至るまで、広範な専門知識が必要です。時代の変化とともに、心に病を抱える人への支援の在り方が変化する昨今、常に学び続ける姿勢が求められます。
4.精神保健福祉士が履歴書を書くときの注意点
就職活動はほとんどの場合、書類選考から始まります。もし書類選考が設けられていなくても、多くの施設や企業では、履歴書の提出が必須です。履歴書は、応募者の身元や経歴を示し、証明するための重要な書類です。自分の代わりに自己紹介をしてくれる書類と考えて、気を引き締めて作成しましょう。ここでは精神保健福祉士が履歴書を作る際の注意点を、2つ紹介します。
・丁寧な字で書く
これは精神保健福祉士に限った話ではありませんが、手書きの履歴書は丁寧に、読みやすい字で書くようにしましょう。
丁寧に書かれた文字からは、誠実さやひたむきさ、相手への思いやりが伝わります。
採用担当者に仕事への思いや熱意を伝えるために、精一杯きれいに書くように気を付けましょう。
・資格名や資格登録年月日は正確に記載する
精神保健福祉士として働くには、国家資格を取得する必要があります。資格の保有を証明するために、履歴書には正式な資格名を記載しましょう。また、
精神保健福祉士の資格は資格試験に合格するだけでは効力を発揮せず、資格登録が必要
となるため、登録日の記載も不可欠です。
(出典:公益社団法人 社会福祉振興・試験センター「資格登録(社会福祉士・介護福祉士・精神保健福祉士)」/ https://www.sssc.or.jp/touroku/shinki.html)
5.精神保健福祉士の面接対策
履歴書での書類選考や筆記試験に通過すれば、いよいよ面接試験に進みます。高評価を受けるために、精神保健福祉士として期待される人物像を想定して、事前に十分な準備や練習をしてから、面接に臨みましょう。ここでは、面接で注意したいポイントを紹介します。
5-1.高評価を得られる話し方は?
精神保健福祉士の採用試験において、面接で最も重視されるのは、人間性や人となりです。話しやすい気さくな人柄や、患者さんに寄り添う思いやりのある人物かどうかを確認されます。
しかし、精神保健福祉士の仕事は、気さくで優しい性格だけで務まるものではありません。あらゆる状況で客観的に物事を判断する冷静さや、臨機応変な対応力、課題解決力、協調性や忍耐力も必要です。それらの気質を、面接時の表情や態度で表現しましょう。穏やかで自然な表情と喋り方で、どのような質疑にもしっかり誠実な受け答えができれば、高評価が期待できます。
5-2.志望動機の伝え方は?
志望動機は面接で確実に聞かれる質問です。履歴書の内容をただなぞるのではなく、より具体的に話すようにしましょう。例えば精神保健福祉士を志望するきっかけとなったエピソードや、志望先のどこに魅力を感じているのかなどを話すのがおすすめです。履歴書に書いた志望動機と矛盾しないように、話を組み立てましょう。
志望動機では基本的に「精神保健福祉士として働く職場として、志望先を選んだ理由」を述べます。同時に自分の気持ちや考えを盛り込めば、自己PRも可能です。志望理由と合わせて、どのような仕事をしたいかや、将来のビジョンなども伝えると、その職場で働きたい意欲や熱意が伝わるでしょう。
5-3.面接の際の注意点は?
面接では、以下のことに気をつけて自らをアピールしましょう。
・自分のことばかり話さない
精神保健福祉士のメインとなる仕事は、精神障害がある方やその家族の相談支援や生活援助です。精神疾患を抱えた方は心理状態が複雑で、誰もがスムーズに悩みや困りごとを話せるとは限りません。
精神保健福祉士として働くためには、相手の話を聞く「傾聴」のスキルが大切です。面接では自分の話をするばかりではなく、面接官の問いかけを聞こうとする姿勢や、コミュニケーション能力も見られていることを意識しましょう。
・逆質問用の質問を用意しておく
面接官が面接の最後に「何か質問はありますか?」と尋ねる逆質問は、もはや定番です。もしここで
「ない」と答えると、志望先にあまり興味がないか、志望度が低いと思われる
恐れがあります。一方で調べれば簡単に分かるようなことを質問すると、かえって印象が悪くなってしまうため、質問内容は前もって考えておきましょう。
まとめ
精神保健福祉士として就職活動をする際、志望動機には、精神保健福祉士として働きたい理由や志望先を選んだ理由、経験者の場合は自身のキャリアや強みも盛り込みます。また、精神保健福祉士は、精神障害者を支援する仕事です。聞き上手で相手に寄り添う思いやりがあると同時に、忍耐強く仕事に取り組む熱心さを求められるため、このような人物像を描いて面接に臨むと、高評価が得られるでしょう。
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※当記事は2022年8月時点の情報をもとに作成しています
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