【介護福祉士向け】キャリアアップ・スキルアップに役立つ資格を紹介

公開日:2023.12.11 更新日:2025.12.22
【介護福祉士向け】キャリアアップ・スキルアップに役立つ資格を紹介

介護福祉士として働いている方の中には、「新しい資格を取得したい」「さらに介護の専門的な知識をつけたい」「収入を増やしたい」など、さらなるキャリアアップを望む方もいるでしょう。介護福祉士には、キャリアアップの方向性が多く存在します。今後自分が介護業界でどのように活躍していきたいかによって、方向性が変わります。

当記事では、介護福祉士のキャリアアップ・モデルと、キャリアアップに役立つ資格を紹介します。ぜひ参考にして、今後のキャリアプランに生かしてください。

目次










1. 介護福祉士のキャリアアップ・モデルの種類

介護福祉士は、キャリアアップの方法が多岐にわたります。ここでは、介護福祉士のキャリアアップ・モデルについて代表的な4つを紹介します。

1-1. 現場でのエキスパートを目指す

介護のキャリアを突き詰めるのであれば、「認定介護福祉士」や「認知症ケア専門士」として現場でのプロフェッショナルになる方法があります。

認定介護福祉士は、介護福祉士資格の上位資格であり、リーダーの素質が求められます。また、認知症ケア専門士は、認知症ケアの知識や技能を修得しているとされ、介護の現場で重宝されるでしょう。

(出典:認定介護福祉士認証・認定機構「認定介護福祉士の役割と実践力」
/ https://www.jaccw.or.jp/nintei/certification/role

(出典:認知症ケア専門士 公式サイト「認知症ケア専門士」
/ https://ninchisyoucare.com/senmonsi/Ssenmonsi.htm

1-2. ケアマネジャーを目指す

高齢者の方やその家族に寄り添い、介護サービスの不安を取り除いてあげたいという方は、「ケアマネジャー」を目指すとよいでしょう。ケアマネジャーは介護支援専門員ともいい、介護を必要とする方のケアプランを作成し、介護サービスや事業所との調整をする職業です。

(出典:福祉医療機構「介護支援専門員(ケアマネジャー)」
/ https://www.wam.go.jp/content/wamnet/pcpub/top/fukushiworkguide/jobguidejobtype/jobguide_job07.html

1-3. サービス提供責任者を目指す

人の成長をサポートしたり、人とコミュニケーションを取ったりするのが好きという方は、訪問介護事業所のリーダーとして「サービス提供責任者」になるのもおすすめです。サービス提供責任者は、ケアマネジャーが作成したケアプランをもとに「訪問計画書」を作成し、計画通りサービスが行われるようホームヘルパーに指示を出す職業です。また、利用者さんの家族と面談したり、ホームヘルパーの教育をしたりなど、業務内容は多岐にわたります。

(出典:厚生労働省「訪問介護におけるサービス提供責任者について」
/ https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12301000-Roukenkyoku-Soumuka/0000106770.pdf

1-4. 介護以外の職種を目指す

介護業界以外へ転職することでも、キャリアアップが可能です。これまでの介護経験を生かせる看護師・作業療法士など、介護とつながりのある業界へのキャリアチェンジを目指す方も多くいます。

介護と医療の知識を持っていれば、よりさまざまな状況に対応でき、利用者さんに寄り添ったサービスが提供できます。

2. 介護福祉士がスキルアップに資格を取得するメリット

介護福祉士がスキルアップを目的に資格を取得することは、自身の専門性を高めるだけでなく、業務の幅を広げたり将来のキャリア形成に大きく貢献したりする点で意義があります。新たな資格を持つことで昇給や昇格につながる可能性もあり、職場内での活躍の場が広がります。以下では、資格取得によって得られる主なメリットを詳しく解説します。

2-1. 昇給につながる

介護福祉士の資格を取得すると、資格手当が支給されるケースが多く、結果として昇給につながります。厚生労働省の調査では、介護福祉士の平均月収は350,050円とされており、無資格の平均月収である290,620円と比較して約6万円の差があります。

(出典:厚生労働省「令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要」
/ https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kaigo/jyujisya/24/dl/r06gaiyou.pdf#page=18

年収に換算すると約70万円の差になり、資格取得による経済的なメリットは明らかです。ただし、資格手当の金額や支給の有無は事業所によって異なるため、求人情報や就業規則を事前に確認することが大切です。

2-2. 業務の幅を広げられる

資格を取得すると、これまで補助的な立場だった業務にも主体的に関われるようになります。たとえば、喀痰吸引や経管栄養といった医療的ケアの実施、利用者さんの健康状態の観察と記録、チームケアにおける意見出しやアセスメントへの参加など、より専門性の高い業務を担えるようになります。

特に介護福祉士などの国家資格を持っていれば、業務範囲や責任の明確化が図られ、スタッフ間での役割分担もより効果的になります。資格を持つことで、他職種との連携や後輩指導など中核的な業務も任されるようになり、現場での信頼や評価も高まるでしょう。

資格を通じて学んだ知識や技術は、日々の実務に直結するものが多く、業務の質を高める上で大いに役立ちます。

2-3. 利用者さんへの対応力が高まる

介護福祉士の資格を取得することで、専門知識と実務経験を踏まえた対応力が高まり、利用者さん一人ひとりの状態に応じた的確な支援が行えるようになります。医療的ケアや認知症への対応、コミュニケーション技術の向上などにより、サービスの質が全体的に底上げされます。

質の高いケアを提供できれば、利用者さんとの信頼関係が築きやすくなり、満足度も向上します。また、対応できる範囲が広がることで現場の負担軽減にもつながり、働く本人にとってもやりがいや充実感が得られるでしょう。

2-4. キャリアアップに生かせる

介護福祉士は、介護職で唯一の国家資格として、現場での信頼性が高く、転職や再就職の際にも有利に働きます。実務経験と知識の証明となるため、ブランクがある場合でも即戦力として評価されやすいのが特長です。

また、介護福祉士の資格を持つことで、サービス提供責任者やフロアリーダーなど責任ある役職へのステップアップが現実的になります。将来的にケアマネジャーや認定介護福祉士、社会福祉士といった上位資格を目指す上でも、有効な土台となります。キャリアの幅が広がることで、職場選びの選択肢が増え、待遇や収入面での向上も期待できるでしょう。

2-5. 利用者さんやそのご家族からの信頼を得やすくなる

介護福祉士の資格を取得することで、専門的な知識と技術を備えた介護のプロとして、利用者さんやその家族からの信頼を得やすくなります。資格を持っていることは、安心して介護を任せられる証と捉えられ、日々の関わりにおいても信頼関係を築きやすくなります。

的確な対応や丁寧な説明ができるようになることで、家族とのコミュニケーションも円滑になり、不安や疑問を軽減することにもつながります。信頼を得ることで、より良い介護環境をつくる一助となるでしょう。

3. 介護福祉士からキャリアアップするために求められる資格7選

介護福祉士の方の多くは、ほかの資格取得に挑戦することでキャリアアップにつなげています。介護に関連する資格は専門的な知識を必要とするものが多く、さまざまな現場で重宝されるでしょう。ここでは、介護福祉士からキャリアアップするために役立つ資格を4つ紹介します。

3-1. 【上位資格】認定介護福祉士

認定介護福祉士は、介護福祉士の上位資格として2015年12月に開始された民間資格です。居住・施設系サービスを問わず多様な利用者さんに対応可能な、幅広い知識と高度な介護実践力を習得できます。

また、認定介護福祉士は、介護サービスによる地域支援や、医療などの多職種との連携において、組織の中核を担う存在です。介護士からのキャリアアップを目指したい方には、最適な介護資格と言えるでしょう。

行える仕事内容 ・5~10名の介護職チームへの教育指導
・生活支援など別の支援を行う職種との連携
・介助者へのアドバイス
受講資格 I類・II類でそれぞれ異なる
費用 研修を実施している団体によって費用が異なる

認定介護福祉士になるためには、全600時間の認定介護福祉士養成研修を修了しなければなりません。研修にはI類とII類があり、それぞれ以下の受講要件を満たすことが必要です。

認定介護福祉士養成研修I類
・介護福祉士としての実務経験が5年以上ある
・介護職員を対象とした現任研修を100時間以上受講している
・研修実施団体の課すレポート課題または試験で一定水準の成績を修めている

認定介護福祉士養成研修II類
・認定介護福祉士養成研修I類を修了している
・介護職の小チームのリーダーとしての実務経験がある

(出典:認定介護福祉士認定・認証機構「認定介護福祉士の役割と実践力」
/ https://www.jaccw.or.jp/nintei/certification/role

3-2. ケアマネジャー(介護支援専門員)

ケアマネジャー(介護支援専門員)は、介護保険サービスの中から利用者さんに合うサービスを選び、作成したケアプランを利用者さんやご家族に提案できる資格です。ケアマネジャーになるには、年に1回行われる試験に合格した後、介護支援専門員実務研修の受講と修了が必須です。

勤務地や自宅のある都道府県で受講・受験が可能です。ケアマネジャーの資格の有効期間は5年に設定されているため、更新時は満了日までに再度研修を受ける必要があります。

ケアマネジャーは介護制度においてキーになる職種と期待されていることから、介護福祉士が次に目指すのにおすすめの資格です。

行える仕事内容 ・介護サービス計画(ケアプラン)の作成
・市町村・居宅サービス事業所・介護施設との連携
・介助者へのアドバイス
受講資格 介護福祉士資格取得者で介護実務経験5年・900日以上の方
費用 自治体によって研修・受験費用が異なる

(出典:福祉医療機構「介護支援専門員(ケアマネジャー)」
/ https://www.wam.go.jp/content/wamnet/pcpub/top/fukushiworkguide/jobguidejobtype/jobguide_job07.html

(出典:公益財団法人 東京都福祉保健財団「東京都介護支援専門員(ケアマネジャー)令和5年度受験要項」
/ https://www.fukushizaidan.jp/101caremanager/shiken_youkou/

3-3. 社会福祉士

社会福祉士は、社会支援を必要とする方に支援や福祉サービスの提案が行える国家資格です。社会福祉士の国家試験を受験するには、相談援助に関する実務や、養成施設での研修を終える必要があります。

また、社会福祉士の試験は年に1回しかないため、試験に向けて入念に準備する必要があります。社会福祉士の業務は介護が必要な方に限らず、身体的・精神的・経済的に支援が必要な方を助ける仕事です。2021年度の社会福祉士の合格率は31.3%と高くありませんが、「より広い分野で人の助けになりたい」という介護福祉士の方には、キャリアアップになるでしょう。

行える仕事内容 ・身体的、精神的、経済的な支援を必要とする方の相談に応じ、アドバイスや指導を行う
・医療関係者・福祉サービス事業者との連携
受講資格 ・福祉系大学、短大等卒業者(指定科目履修)
・社会福祉士指定養成施設卒業者(入学要件あり)
費用 ・受験費用 19,370円(一般受験者の場合)
・社会福祉士の登録手数料 4,050円

(出典:厚生労働省「社会福祉士・介護福祉士等」
/ https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/shakai-kaigo-fukushi1/index.html

(出典:福祉医療機構「社会福祉士」
/ https://www.wam.go.jp/content/wamnet/pcpub/top/fukushiworkguide/jobguidejobtype/jobguide_job01.html

3-4. 福祉用具専門相談員

福祉用具専門相談員は、介護保険制度において、福祉用具の貸与・販売を行う事業所に2名以上の配置が義務付けられている専門職です。利用者さんの身体状況や住環境に応じた用具を提案し、安心・安全に使えるよう支援します。

相談対応やサービス計画の作成、用具の適合調整、取扱説明、定期的な訪問による使用状況の確認など、業務内容は多岐にわたります。介護福祉士の知識や経験を生かしやすく、現場に近い形で利用者さんの支援ができる点が魅力です。

行える仕事内容 ・利用者さんの身体状況や住環境に合った福祉用具の選定
・福祉用具の取り扱い説明や適合調整
・使用状況のモニタリングとサービスの見直し
受講資格 ・どなたでも受講可能(※ただし、介護福祉士・看護師等の有資格者は受講免除の場合あり)
費用 研修を実施している団体によって費用が異なる

(出典:一般社団法人 全国福祉用具専門相談員協会 ふくせん「Q&A」
/ https://www.zfssk.com/qa/#question01

3-5. 相談支援従事者

相談支援従事者は、障害のある方やその家族が地域で安心して生活できるよう、福祉サービスや医療・就労支援などを総合的にコーディネートする専門職です。特に、サービス等利用計画の作成を担う「相談支援専門員」は、利用者さんの希望を尊重しながら支援内容を調整する重要な役割を担います。

相談支援従事者には、専門的な知識と倫理観に基づく支援が求められるため、制度に沿った研修を段階的に受ける必要があります。

行える仕事内容 ・サービス等利用計画の作成およびモニタリング
・福祉・医療・就労など各機関との連携調整
・本人や家族の意思を尊重した支援方針の提案
受講資格 ・福祉や介護分野での実務経験(※研修区分により異なる)
費用 ・研修を実施している自治体によって費用が異なる

(出典:大阪府「相談支援従事者研修について」
/ https://www.pref.osaka.lg.jp/o090070/chiikiseikatsu/shogai-chiki/soudanshienkensyu.html

3-6. サービス提供責任者

サービス提供責任者は、訪問介護事業所で介護計画の作成やヘルパーへの指導、関係機関との連絡調整などを担う役職です。訪問介護計画書の作成やモニタリング、利用者さんの状態確認、介護職員の管理・指導など、多岐にわたる業務を通じて介護の質の向上に貢献します。

行える仕事内容 ・訪問介護計画書の作成
・利用者さんの状態確認
・介護職員の指導・管理
・関係機関との連携
受講資格 ・介護福祉士の資格を有する方
・実務者研修を修了し、3年以上訪問介護の実務経験がある方
・2013年以前にホームヘルパー1級または介護職員基礎研修を修了した方(経過措置あり)
費用 研修を実施しているスクールによって費用が異なる

3-7. 介護事務管理士

介護事務管理士®は、介護施設や在宅系サービス事業所において、介護報酬請求や利用者さんの対応、記録業務などを担う事務職に必要な知識とスキルを証明する民間資格です。介護保険制度や加算要件、レセプト作成の流れなど、実務に直結した内容が出題されます。介護業界での経験がない方や、医療事務からの転職を目指す方でも受験できるため、幅広い方に門戸が開かれています。

試験は年6回実施され、公式テキストや通信講座も充実しているため、独学でも取り組みやすい点が特徴です。資格取得後は、特養やデイサービス、訪問介護事業所のほか、ケアマネジャーを支える居宅介護支援事業所、国保連合会、損保会社など多様な職場での活躍が期待されています。

行える仕事内容 ・介護報酬請求(レセプト作成)
・利用者さん対応、記録書類の作成・整理
・介護保険制度や加算要件に基づいた事務処理
受講資格 年齢・経験不問(誰でも受験可能)
費用 5,500円

(出典:技能認定振興協会「介護事務管理士®を初めてご検討されている方へ」
/ https://www.ginou.co.jp/qualifications/kaigo-jimu-consider.html

4. 介護福祉士の日々の業務に生かせるスキルアップ資格7選

介護福祉士としてのスキルを高めたい方は、福祉関連の資格取得を目指すとよいでしょう。専門資格を取得すると、介護現場でスキルが生かせるだけでなく、活躍の場が増えることにもつながります。ここでは、介護福祉士のスキルアップに役立つ資格3つを紹介します。

4-1. 喀痰吸引等研修

「喀痰吸引等研修」は、口腔・鼻腔内・気管カニューレ内部における喀痰の吸引や、胃ろう・腸ろう・経鼻経管栄養などの経管栄養を安全に実施するための知識が得られる研修です。喀痰吸引等研修には、第1号研修、第2号研修、第3号研修の3種類があり、選択した研修によって対応できる仕事や人が異なります。

喀痰吸引等研修では、基本研修と呼ばれる講義やシミュレーター演習と実地研修を受けた上で、習得審査に合格することで研修が修了できます。

喀痰吸引等研修を修了すると、介護職員として提供できるサービスの幅が広がります。また、合格率も高いことからおすすめの資格と言えるでしょう。

行える仕事内容 喀痰の吸引や経管栄養の対応
受講資格 介護施設や事業所で働いている介護職員
費用 研修を実施している団体によって費用が異なる

(出典:厚生労働省「喀痰吸引等研修」
/ https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/tannokyuuin/04_kensyuu_01.html

4-2. 認知症ケア専門士

認知症ケア専門士は、認知症ケアに対する学識と技能を学べる、2005年に制定された民間資格です。資格には「認知症ケア専門士」と「認知症ケア上級専門士」があり、上級専門士は、認知症介護の専門知識に加えてマネジメント能力も必要です。

認知症ケア専門士になるためには、認定試験を受ける必要があります。資格試験の受験要件は、試験実施年の3月31日から過去10年の間に、認知症ケアの実務経験が3年以上あることです。また、認知症ケア専門士の資格は、5年ごとに更新が必要です。

(出典:認知症ケア専門士認定試験「試験概要:受験資格」
/ https://www.dcq-ex.net/shiken.htm

4-3. 終末期ケア専門士

終末期ケア専門士は、終末期にある患者さんや利用者さんに対して、エビデンスに基づいたケアを実践する力を養う資格です。対象者の意思や尊厳を尊重しながら、身体的・精神的・社会的な側面に対応する力が求められます。医療職に限らず、介護職や福祉職など幅広い職種が受験可能であり、専門的な視点を養えます。

受験には公式テキストによる学習が推奨されており、カリキュラムには終末期の倫理、症状マネジメント、家族との関わり方などが含まれています。WEB講習会やセミナーを通じて、より実践的な知識やスキルを身につけることも可能です。合格後は認定証が発行され、履歴書や名刺への記載もでき、継続学習を通じて上級専門士を目指す道も用意されています。終末期ケアに携わる専門職として活動の幅を広げられます。

行える仕事内容
  • 終末期にある方への身体的・精神的サポート
  • ご家族への心理的支援、看取りケアの提供
  • 倫理的配慮に基づく意思決定支援や多職種連携
受講資格 医療・福祉・介護・心理・教育分野で2年以上の実務経験者
費用 12,100円

(出典:日本終末期ケア協会「終末期ケア専門士とは」
/ https://jtca2020.or.jp/specialist/

4-4. 福祉住環境コーディネーター

福祉住環境コーディネーターは、高齢者や障害者が安全かつ快適に暮らせるよう、住環境の整備を提案する専門資格です。医療・福祉・建築の幅広い知識をもとに、利用者さんの心身の状況や生活スタイルを考慮し、バリアフリー住宅の提案や福祉用具の選定、関係機関との連携などを行います。介護福祉士にとっては、在宅支援の質を高める上で非常に有益なスキルと言えるでしょう。

検定試験は東京商工会議所が主催しており、2級・3級は誰でも受験可能です。公式テキストや過去問題を活用した独学でも合格を目指しやすく、実務経験がある介護職の方には特に理解しやすい内容となっています。住宅リフォームや福祉用具の導入を提案する際に説得力を持たせたい方や、利用者さんとの信頼関係を築きたい方に適した資格です。

行える仕事内容
  • 住宅のバリアフリー化の提案
  • 福祉用具の選定と活用アドバイス
  • ケアマネジャーや建築業者との連携支援
受講資格 年齢・経験不問(誰でも受験可能)
費用
  • 3級:5,500円
  • 2級:7,700円

(出典:東京商工会議所「福祉住環境コーディネーター検定試験®とは」
/ https://kentei.tokyo-cci.or.jp/fukushi/about/

4-5. 介護予防運動指導員

介護予防運動指導員は、高齢者が自立した生活を維持できるよう、ストレッチや筋力トレーニングなどの運動を通じて健康寿命を延ばす支援を行う専門資格です。要介護状態になる前に、日常生活に必要な運動機能の維持や改善を図ることが目的で、地域の介護予防事業や施設での機能訓練などに役立ちます。介護福祉士のスキルアップとしても注目されており、より多角的な支援が可能になります。

受講対象は、介護福祉士や看護師、理学療法士などの福祉・医療系資格を有する方や、一定の実務経験を持つ初任者研修修了者などです。指定機関が行う全24講座・33時間のカリキュラムを受講し、修了試験に合格することで資格が取得できます。一部はeラーニングでも受講可能なため、働きながらでも学びやすい制度となっています。

行える仕事内容
  • 高齢者の機能維持を目的とした運動の実施・指導
  • 転倒予防、筋力強化などを目的としたプログラム設計
  • 地域の介護予防教室や通所施設での実践活動
受講資格
  • 介護福祉士、理学療法士、看護師などの国家資格保有者で実務経験が2年以上の方
  • 介護職員初任者研修修了者で一定の実務経験がある方
費用 講習を実施している事業所によって費用が異なる

(出典:地方独立行政法人 東京都健康長寿医療センター研究所「介護予防運動指導員®養成事業について」
/ https://www.tmghig.jp/research/shidoin/cat1/yobo1-3/

(出典:特定非営利活動法人 日本介護予防協会「介護予防運動指導員の資格取得にかかる費用や時間」
/ https://www.kaigoyobou.org/useful_blog/2054/

4-6. レクリエーション介護士

レクリエーション介護士は、高齢者向けのレクリエーションを専門的に企画・実施するスキルを証明する民間資格です。介護施設では、入居者の心身の活性化を目的にさまざまなレクリエーションが行われていますが、従来は職員の経験やセンスに頼ることが多く、活動の質に差があるという課題がありました。こうした現場の声を受け、2014年に創設されたのがレクリエーション介護士資格です。

2級から取得を始め、介護施設で実践的に生かすなら1級の取得も可能です。また、講師を目指す方向けのマスター資格も用意されています。2級は誰でも受講可能で、テキストとDVDを用いた通信講座により自宅で学べます。学習期間の目安は約3か月で、添削課題と筆記試験に合格すれば資格取得となります。

行える仕事内容
  • 高齢者の状態や嗜好に応じたレクリエーションの企画・実施
  • 介護予防や認知症予防を意識した活動の提供
  • 施設内でのレクリエーション担当としての運営・企画
受講資格
  • 2級:年齢・学歴・経験不問(誰でも受講可)
  • 1級:2級取得後、所定の実務経験・講座受講が必要
費用
  • 2級:39,000円(分割払いの場合は39,600円)
  • 1級:91,300円

(出典:日本アクティブコミュニティ協会「資格取得の流れ」
/ https://japan-ac.jp/flow/

(出典:日本アクティブコミュニティ協会「レクリエーション介護士1級」
/ https://japan-ac.jp/first-class/

4-7. 精神保健福祉士

精神保健福祉士は、精神的な疾患や障害を抱える方の生活支援や社会復帰をサポートする国家資格です。医療機関や福祉施設、行政機関などで、相談援助や地域支援、就労支援などを行いながら、利用者さんが自立した生活を送れるよう支援します。資格は1997年に制定された「精神保健福祉法」に基づき誕生しましたが、そのルーツは1950年代の精神科ソーシャルワーカーにさかのぼります。

資格を取得するには、「精神保健福祉士国家試験」の受験・合格が必要です。受験資格は、福祉系大学の所定課程修了や養成校の修了など複数のルートで得られます。通学制の1年課程や、実務経験者向けの通信課程も整備されており、働きながらの取得も可能です。

行える仕事内容
  • 精神障害のある方の相談支援、生活支援、就労支援
  • 医療機関や地域との連携支援
  • 障害福祉サービスの調整・利用支援
受講資格
  • 福祉系大学・短大卒業者(指定科目履修)
  • 大学卒業+養成施設修了者
  • 実務経験者向け通信課程修了者 など
費用 24,140円

(出典:日本福祉教育専門学校「精神保健福祉士とは?」
/ https://www.nippku.ac.jp/license/psw/

(出典:公益財団法人 社会福祉振興・試験センター「精神保健福祉士国家試験」
/ https://www.sssc.or.jp/seishin/

5. 介護福祉士の専門的な支援に対応できる資格9選

介護福祉士として働く中で、認知症の方や重度の障害を抱える方など、支援が難しいケースに直面することもあります。適切なケアを行いながら、自分の負担を減らすには、専門的な知識と技術を身につけられる資格の取得が有効です。以下では、介護現場で役立つ専門資格を9つご紹介します。

5-1. ガイドヘルパー(移動介護従事者)

ガイドヘルパー(移動介護従事者)は、屋外に外出するのが困難な方に対して、必要な介助を行う職業です。介助の対象者は、全身性障害や視覚障害、知的・精神障害などを持つ方で、必ずしも高齢者介護とは限りません。

(出典:福祉医療機構「ガイドヘルパー」
/ https://www.wam.go.jp/content/wamnet/pcpub/top/fukushiworkguide/jobguidejobtype/jobguide_job20.html

ガイドヘルパーになるには、研修を受講し資格を取得することが必要です。以前は移動支援従業者養成研修の受講が要件でしたが、2006年10月以降は、以下のような対象者別の研修に移行しています。

・同行援護従業者養成研修
視覚障害者に対しての移動介助を学びます。一般課程と応用課程に分かれています。

・全身性障害者ガイドヘルパー養成研修
主に、車いすが必要な方への移動介助を習得する研修です。介護系資格保持者は、一部のカリキュラムが免除されます。

・行動援護従業者養成研修
知的障害、精神障害、発達障害を持つ方に対する、移動や衣類の着脱、排泄などのサポートについて学びます。

5-2. 同行援護従事者養成研修

同行援護従事者養成研修は、視覚障害のある方の外出を支援するために必要な専門的知識と技術を学ぶ研修です。主な内容は、歩行時の介助に加え、代読・代筆などの情報支援、食事や排泄の際の介助方法など多岐にわたります。

研修は無資格の方でも受講でき、講義と実技の両面から学べる構成です。屋外演習では、バスや駅の階段、エレベーターなど実際の環境を利用して支援方法を習得します。視覚情報が制限される中で、周囲の状況を適切に言葉で伝える力も養われ、利用者さんの安心につながります。修了後は、ガイドヘルパー事業所や障害者支援施設などでの支援業務に携わることが可能です。視覚障害者の「外出の自由」を支える大切な役割として、現場での活躍が期待されます。

5-3. 行動援護従事者

行動援護従事者養成研修は、知的障害や精神障害、発達障害のある方の外出支援や介助に必要な知識と技術を学ぶための研修です。突発的な行動や自傷・他害のリスクを予防し、安全に外出できるよう寄り添いながら支援する役割が求められます。

研修は無資格・未経験からでも受講可能で、介護福祉士などの有資格者も改めて受講が必要です。また、一定の支援実務経験(1年以上かつ180日以上)が求められる場合があるため、要件は自治体ごとに確認が必要です。

修了後は、行動援護事業所や訪問介護事業所、グループホーム、放課後等デイサービスなど幅広い現場で活躍できます。障害のある方の社会参加を支える重要な役割として、現場での需要も高い資格です。

5-4. 重度訪問介護従事者

重度訪問介護従事者は、重度の肢体不自由や知的・精神障害を持つ方に対して、生活全般にわたる介護を提供する専門職です。訪問介護を通じて、排泄・食事介助や外出時の支援など、利用者さんの自立した生活を支えます。

資格を取得するには、各都道府県知事が指定する「重度訪問介護従業者養成研修」の修了が必要です。研修には「基礎課程」「追加課程」「統合課程」があり、支援対象者の障害区分に応じて履修する課程が異なります。受講資格に年齢・学歴・経験の制限はなく、未経験者でも受講可能です。研修は地域のNPO法人や福祉法人、介護事業所などが実施しており、受講先の詳細は都道府県の公式サイトなどで確認できます。

5-5. 難病患者等ホームヘルパー

難病患者等ホームヘルパーは、ALSやパーキンソン病などの指定難病を抱える方に対し、訪問介護を行う専門職です。身体介助や生活援助に加え、精神面のケアも担い、QOL向上と社会参加を支援します。

資格取得には、難病に関する専門知識を学べる「難病患者等ホームヘルパー養成講座」の受講が必要です。研修は「入門課程」「基礎課程I」「基礎課程II」があり、所持する介護資格に応じて受講課程が決まります。基礎課程Iは介護職員初任者研修修了者、基礎課程IIは実務者研修修了者以上が対象です。いずれも1日(5~8時間)で修了できる短期講座です。

講座を受講することで在宅医療や難病支援に関わる機会が広がり、介護福祉士としての専門性やキャリアアップにもつながります。

5-6. 全身性障害者移動支援従事者

全身性障害者移動支援従事者、いわゆるガイドヘルパーは、全身性障害を抱える方の外出を支援する職種です。通院や買い物といった日常生活上の移動だけでなく、映画鑑賞や旅行などの余暇活動も対象となります。移動の自由をサポートすることで、利用者さんの社会参加やQOL向上に貢献します。

従事するには、都道府県または指定研修機関による「移動支援従事者養成研修(全身性障害者課程)」の修了が必要です。講義(2日間)と実習(1日)の3日間で構成され、短期間で修了できます。費用は1万~2万円前後ですが、学生には学割が適用されることもあります。移動支援に特化した知識とスキルを得ることで、より多様なニーズに応えられる介護福祉士としての活躍が期待されます。

5-7. 強度行動障害支援者

強度行動障害支援者とは、自傷や他害、突発的な行動を繰り返すなど、日常生活に大きな支障をきたす強度行動障害のある方に対し、専門的な支援を行う役割を担う存在です。本人の尊厳を守りながら、生活の質(QOL)向上を支える重要な職種と言えます。

支援に必要な知識や技術は、「強度行動障害支援者養成研修」を通じて学べます。研修には「基礎研修」と「実践研修」があり、どちらも講義と演習を12時間ずつ行います。基礎研修では行動特性の理解や記録の共有、支援計画の立案などを学び、実践研修ではチーム支援や環境調整、危機対応など、より実践的な対応力を養います。

5-8. 在宅介護インストラクター

在宅介護インストラクターとは、在宅介護に必要な知識と実践スキルを持ち、家族介護を支援・指導する民間資格です。合格者には「JADP認定在宅介護インストラクター®」の称号が与えられ、家族介護に役立つだけでなく、地域や職場での啓発活動にも生かせます。

学習内容は、高齢者の身体・精神的特徴や疾患、介護者のストレスケア、介護と仕事の両立方法など多岐にわたります。介護する側・される側の両方に寄り添う総合的な理解を深め、実践力を高めるカリキュラムが特徴です。

指定の通信講座(約4か月)を修了後、自宅での在宅受験による資格試験に合格すれば、認定証と認定カードが交付されます。試験はテキストを見ながら解答でき、70%以上の正答率で合格となるため、初学者でも挑戦しやすい内容です。在宅介護を学びたい方、知識を周囲に伝えたい方にも適した資格と言えるでしょう。

(出典:一般財団法人 日本能力開発推進協会「JADP認定在宅介護インストラクター®」
/ https://www.jadp-society.or.jp/course/home-care-instructor/

5-9. サービス介助士/ケアフィッター

サービス介助士は、高齢者や障害者など、多様な人々が安心して社会参加できる環境をつくるための支援スキルを身につけた資格です。加齢や障害の有無に関わらず、一人ひとりに合った方法でサポートできる人材の育成を目的としています。

講義や演習に加え、障害当事者との対話を通して、多様性理解や現場での対応力を養うのが特徴です。国土交通省の接遇ガイドラインに基づいた実践的なカリキュラムで、接客や福祉分野だけでなく、障害者スポーツや商品設計など幅広い現場での活用が期待されています。

取得には自宅学習と課題提出、対面やオンラインでの実技教習、検定試験を経て、認定証が付与されます。試験後は電子認定証の発行や資格更新制度も整っており、継続的に専門性を高めることも可能です。

(出典:日本ケアフィット共育機構「サービス介助士 資格とは?」
/ https://www.carefit.org/carefit/system/

(出典:日本ケアフィット共育機構「資格の特徴」
/ https://www.carefit.org/carefit/features/

6. 介護福祉士からのキャリアチェンジに向いた資格

介護業界では、リハビリテーションや栄養管理、利用者さんへの援助など、さまざまな介護スキルが求められます。上記のような能力を証明できる資格を持っておくと、介護福祉士からキャリアチェンジする際に有利に働くでしょう。ここでは、介護福祉士からのキャリアチェンジに役立つ6つの資格を解説します。

6-1. 作業療法士

作業療法士は、食事や着替え、家事や仕事といった日常生活における作業のリハビリテーションを行う専門職です。作業療法士は国家資格であり、就職先は病院や福祉施設、介護施設、特別支援学校など多岐にわたります。

作業療法士になるには、1年に1度実施される国家試験に合格しなければなりません。国家試験の受験資格は、3年もしくは4年制の養成施設を修了することで得られます。

(出典:日本作業療法士協会「作業療法士になるには」
/ https://www.jaot.or.jp/ot_work/

作業療法士の資格を取得することは、キャリアチェンジの選択肢が増えるだけでなく、介護業界で機能訓練指導員として活躍できるメリットもあります。

6-2. 管理栄養士

管理栄養士は、主に病院で療養している方や高齢で食事が摂りにくい方などに対して、身体の状態に合わせた栄養指導を行う、厚生労働大臣の免許を受けた国家資格です。管理栄養士が働く職場は、病院や介護福祉施設、児童福祉施設などです。

管理栄養士になる方法は、管理栄養士養成施設で学び、管理栄養士国家試験に合格することです。また、栄養士養成施設で学び、卒業後に栄養士として一定期間働いた後管理栄養士国家試験に合格するルートでも、管理栄養士になれます。

(出典:日本栄養士会「管理栄養士・栄養士とは」
/ https://www.dietitian.or.jp/students/dietitian/

介護保険施設では、2021年度より、栄養ケア・マネジメントの強化を目的に、現行の栄養士に加え、管理栄養士の配置が位置づけられました。管理栄養士の資格保有者は、介護分野において今後さらにニーズや評価が高まることが予想されます。

6-3. 看護師

看護師は、傷病者などに対する療養のサポートや、診療の補助などをする国家資格です。病院、介護施設、一般企業などさまざまな場所で活躍できる資格であり、高いニーズを持ちます。

看護師になるには、大学または3年以上の専門教育期間を卒業した上で、看護師国家試験に合格する必要があります。

(出典:日本看護協会「看護職になるには」
/ https://www.nurse.or.jp/aim/become/

看護師資格を取得する大きなメリットは、医療・介護の両面から利用者さんをサポートできることです。

6-4. 理学療法士

理学療法士(PT:Physical Therapist)は、けがや病気、高齢などで身体に障害を持つ方に対して、運動療法や物理療法を用いて身体機能の回復を支援する専門職です。歩行や起き上がり、寝返りといった日常動作の改善を図り、利用者さんができる限り自立した生活を送れるようサポートします。

治療や回復支援だけでなく、介護予防やアスリートのけが予防など、活躍の場が広いのも特徴です。介護領域では、要介護高齢者の身体機能維持や、在宅生活を継続するための支援など、質の高いケアの提供に貢献しています。

理学療法士になるには、養成校(大学・短大・専門学校など)で3年以上学び、国家資格に合格することが必要です。資格取得後は医療・福祉施設を中心に、地域や学校、スポーツ分野など多様な現場で活躍できます。

(出典:公益社団法人 日本理学療法士協会「理学療法士とは」
/ https://www.japanpt.or.jp/about_pt/therapist/

(出典:公益社団法人 日本理学療法士協会「理学療法士になるには」
/ https://www.japanpt.or.jp/about_pt/aim/

6-5. 公認心理師

公認心理師は、心理学の専門知識と技術をもとに、人々の心の健康を支援する国家資格です。保健医療・福祉・教育などの幅広い分野で、心理的課題を抱える本人やその家族・関係者への相談・助言、心理状態の観察と分析、心の健康に関する情報提供などを行います。

取得には国家試験への合格が必要で、指定された大学・大学院のカリキュラムを修了することや、一定の実務経験が要件となります。経過措置を含めると複数の取得ルートがあり、海外での履修や認定施設での実務も対象に含まれる場合があります。

心理支援の担い手として、医療現場や学校、福祉施設などでの活躍が期待されている職種です。介護や福祉の現場においても、利用者さんやその家族の心のケアを行う重要な存在として注目されています。

(出典:厚生労働省「公認心理師」
/ https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000116049.html

(出典:厚生労働省「公認心理師の資格取得方法について」
/ https://www.mhlw.go.jp/content/001004937.pdf

(出典:厚生労働省「公認心理師法第7条第3号(区分C)に基づく受験資格認定(外国大学等のご出身の方、過去に大学で履修科目が一部不足していた方)」
/ https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_02912.html

6-6. 保育士

保育士は、児童の保育および保護者に対する支援を行う専門職です。児童福祉法に基づき、専門的な知識と技術をもって養護と教育を一体的に担うことが求められています。単に子どもを預かるだけでなく、成長や発達を支える役割も担っており、保護者への助言や支援も保育士の重要な業務の1つです。

保育士資格は、こうした専門性を証明する国家資格です。資格取得には、厚生労働大臣が指定する保育士養成施設(大学・短大・専門学校など)を卒業、または年2回実施される保育士試験に合格する必要があります。学歴や実務経験など所定の受験資格を満たせば、社会人でも取得が可能です。

近年は保育現場に限らず、福祉施設や医療機関などでも保育士の専門性が求められる場面が増えています。

(出典:厚生労働省「保育士になるには?」
/ https://www.mhlw.go.jp/hoiku-hellomirai/shikaku/

7. そのほかのキャリアアップ・スキルアップ方法

介護福祉士としてキャリアアップ・スキルアップする方法は、資格取得だけではありません。介護福祉士を対象とした研修を受けることは、専門性やスキルを高めたい方にとって効果的な方法です。公益社団法人の日本介護福祉士会では、介護福祉士がさらにキャリアアップするための研修を実施しています。

介護福祉士ファーストステップ研修は、介護福祉士を取得してから2年ほど実務経験を積んだ人を対象とした研修です。小規模なチームのリーダー育成を目的としており、研修内容は「ケア」「連携」「運営管理基礎」の3領域です。講習は全部で200時間以上に及びますが、研修に参加することで、キャリアアップに必要な介護関連知識やスキルを身につけられるでしょう。

8. 介護福祉士がスキルアップに資格を取る際のポイント

介護福祉士としてさらに専門性を高めたいと考えたとき、資格の取得は有効な手段の1つです。ただし、介護や福祉に関する資格は数多く存在しており、自身の目指すキャリアやライフスタイルに合ったものを選ぶ必要があります。

以下では、介護福祉士がスキルアップを目的に資格を取る際に押さえておきたいポイントを解説します。

8-1. キャリアビジョンと資格の相性

資格取得は介護福祉士としての成長や専門性の向上につながる重要なステップですが、どの資格を選ぶかは将来のキャリアビジョンに大きく関係します。資格を取得しただけで満足してしまうのではなく、「何のために資格を取るのか」「どのように生かすのか」を明確にすることが大切です。

たとえば、現場でさらに専門的な支援を行いたい方は認定介護福祉士を、相談業務やケアプラン作成に携わりたい方は介護支援専門員(ケアマネジャー)がおすすめです。管理職やマネジメントに進みたい場合は、社会福祉士などの資格も選択肢になります。

資格取得によって収入アップや役職の昇進が見込める一方で、職場によっては資格手当がつかない場合もあるため、事前に確認しましょう。将来の目標に合った資格を選ぶことで、より実りあるスキルアップにつながります。

8-2. 資格の難易度

介護福祉士がスキルアップとして新たな資格を目指す際には、資格ごとの難易度を事前に確認することも大切です。たとえば、ケアマネジャーになるために必要な「介護支援専門員実務研修受講試験」は、合格率が20%前後と低く、十分な勉強時間の確保が欠かせません。仕事と両立しながら合格を目指すには、半年以上前から学習スケジュールを立てて取り組むことが現実的です。

一方、修了試験があるタイプの研修では、講義内容を振り返る形式の試験が多く、そこまで高いハードルではない場合もあります。働きながら学ぶことを想定し、無理なく続けられる難易度かどうかを見極めましょう。

8-3. 資格取得までの期間・費用

資格取得を目指す際は、期間と費用を事前に確認しておきましょう。まずは受験資格の有無を確認し、必要な実務経験などがある場合は、自身が該当しているかを確かめることが大切です。また、受講料や教材費、受験料などの費用面も確認し、職場に資格取得支援制度がある場合は、活用できるかどうかを事前に確認しておくと安心です。

資格によって必要な期間は異なります。社会福祉士や看護師のように長期的な学習が必要な資格もあれば、喀痰吸引等研修や福祉用具専門相談員のように短期間で取得できるものもあります。自分の生活状況や目標に合わせて、無理のない計画を立てましょう。

9. 転職も介護福祉士のキャリアアップに有効

介護福祉士は、資格取得だけでなく、転職でもキャリアアップを目指せます。職場が変わると、今以上に働きやすい職場に出会えたり、身につけたいスキルアップの可能性も広がったりします。

また、介護福祉士の資格を取得していると、介護知識や技術を持っている証明になり、即戦力として転職で有利に働きやすいです。未経験者に比べて、良い条件で転職できる可能性も高まるでしょう。

給与アップが見込めるだけでなく、キャリアの幅も広がるため、今の職場に不満がある場合は、転職をおすすめします。マイナビ介護職では、キャリアアドバイザーと希望の勤務条件などを擦り合わせながら、これまでの経験が生かせる転職先を探せます。

まとめ

介護福祉士には、認定介護福祉士や認知症ケア専門士として現場のエキスパートになったり、ケアマネジャーやサービス提供責任者を目指したり、介護以外の職種で働いたりなど、多種多様なキャリアアップ・モデルがあります。介護に関連する認定介護福祉士・ケアマネジャー・社会福祉士など、新たな資格の取得もよいでしょう。

また、今の職場に不満がある際は、転職で給与アップやスキルアップをするのもおすすめです。マイナビ介護職では、キャリアアドバイザーによる転職相談や、インターネットに出ていない非公開求人のご紹介もしています。介護業界でより良い職場環境を探している方は、ぜひ「マイナビ介護職」をご利用ください。

※当記事は2025年7月時点の情報をもとに作成しています

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