【介護福祉士向け】キャリアアップ・スキルアップに役立つ資格を紹介
介護福祉士として働いている方の中には、「新しい資格を取得したい」「さらに介護の専門的な知識をつけたい」「収入を増やしたい」など、さらなるキャリアアップを望む方もいるでしょう。介護福祉士には、キャリアアップの方向性が多く存在します。今後自分が介護業界でどのように活躍していきたいかによって、方向性が変わります。
当記事では、介護福祉士のキャリアアップ・モデルと、キャリアアップに役立つ資格を紹介します。ぜひ参考にして、今後のキャリアプランに生かしてください。
目次
1. 介護福祉士のキャリアアップ・モデルの種類
介護福祉士には、キャリアアップの方法が多岐にわたります。ここでは、介護福祉士のキャリアアップ・モデルについて代表的な4つを紹介します。
●現場でのエキスパートを目指す
介護のキャリアを突き詰めるのであれば、「認定介護福祉士」や「認知症ケア専門士」として現場でのプロフェッショナルになる方法があります。
認定介護福祉士は、介護福祉士資格の上位資格であり、リーダーの素質が求められます。また、認知症ケア専門士は、認知症ケアの知識や技能を修得しているとされ、介護の現場で重宝されるでしょう。
(出典:認定介護福祉士認証・認定機構「認定介護福祉士の役割と実践力」
/
https://www.jaccw.or.jp/nintei/certification/role)
(出典:認知症ケア専門士 公式サイト「認知症ケア専門士」
/
https://ninchisyoucare.com/senmonsi/Ssenmonsi.htm)
●ケアマネジャーを目指す
高齢者の方やその家族に寄り添い、介護サービスの不安を取り除いてあげたいという方は、「ケアマネジャー」を目指すとよいでしょう。ケアマネジャーは介護支援専門員ともいい、介護を必要とする方のケアプランを作成し、介護サービスや事業所との調整をする職業です。
(出典:福祉医療機構「介護支援専門員(ケアマネジャー)」
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https://www.wam.go.jp/content/wamnet/pcpub/top/fukushiworkguide/jobguidejobtype/jobguide_job07.html)
●サービス提供責任者を目指す
人の成長をサポートしたり、人とコミュニケーションを取ったりするのが好きという方は、訪問介護事務所のリーダーとして「サービス提供責任者」になるのもおすすめです。サービス提供責任者は、ケアマネジャーが作成したケアプランをもとに「訪問計画書」を作成し、計画通りサービスが行われるようホームヘルパーに指示を出したりする職業です。また利用者さんの家族と面談したり、ホームヘルパーの教育をしたりなど、業務内容は多岐にわたります。
(出典:厚生労働省「訪問介護におけるサービス提供責任者について」
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https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12301000-Roukenkyoku-Soumuka/0000106770.pdf)
●介護以外の職種を目指す
介護業界以外へ転職することでも、キャリアアップが可能です。これまでの介護経験を生かせる看護師・作業療法士など、介護とつながりのある業界へのキャリアチェンジを目指す方も多くいます。
介護と医療の知識を持っていれば、よりさまざまな状況に対応でき、利用者さんに寄り添ったサービスが提供できます。
2. 介護福祉士からキャリアアップするために求められる資格4選
介護福祉士の方の多くは、ほかの資格取得に挑戦することでキャリアアップにつなげています。介護に関連する資格は専門的な知識を必要とするものが多く、さまざまな現場で重宝されるでしょう。ここでは、介護福祉士からキャリアアップするために役立つ資格を4つ紹介します。
2-1. 【上位資格】認定介護福祉士
認定介護福祉士は、介護福祉士の上位資格として2015年12月に開始された民間資格です。居住・施設系サービスを問わず多様な利用者に対応可能な、幅広い知識と高度な介護実践力を習得できます。
また、認定介護福祉士は、介護サービスによる地域支援や、医療などの多職種との連携において、組織の中核を担う存在です。介護士からのキャリアアップをめざしたい方には、最適な介護資格と言えるでしょう。
行える仕事内容 | ・5~10名の介護職チームへの教育指導 ・生活支援など別の支援を行う職種との連携 ・介助者へのアドバイス |
---|---|
受講資格 | I類・II類でそれぞれ異なる |
費用 | 研修を実施している団体によって費用が異なる |
認定介護福祉士になるためには、全600時間の認定介護福祉士養成研修を修了しなければなりません。研修にはI類とII類があり、それぞれ以下の受講要件を満たすことが必要です。
認定介護福祉士養成研修I類 |
---|
・介護福祉士としての実務経験が5年以上ある ・介護職員を対象とした現任研修を100時間以上受講している ・研修実施団体の課すレポート課題または試験で一定水準の成績を修めている |
認定介護福祉士養成研修II類 |
---|
・認定介護福祉士養成研修I類を修了している ・介護職の小チームのリーダーとしての実務経験がある |
(出典:認定介護福祉士認定・認証機構「認定介護福祉士の役割と実践力」
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https://www.jaccw.or.jp/nintei/certification/role)
2-2. 喀痰吸引等研修
「喀痰吸引等研修」は、口腔・鼻腔内・気管カニューレ内部における喀痰の吸引や、胃ろう・腸ろう・経鼻経管栄養などの経管栄養を安全に実施するための知識が得られる研修です。 喀痰吸引等研修には、第1号研修、第2号研修、第3号研修の3種類があり、選択した研修によって対応できる仕事や人が異なります。
喀痰吸引等研修では、基本研修と呼ばれる講義やシミュレーター演習と実地研修を受けた上で、習得審査に合格することで研修が修了できます。
喀痰吸引等研修を修了すると、介護職員として提供できるサービスの幅が広がります。また、合格率も高いことからおすすめの資格と言えるでしょう。
行える仕事内容 | 喀痰の吸引や経管栄養の対応 |
---|---|
受講資格 | 介護士施設や事情所で働いている介護職員 |
費用 | 研修を実施している団体によって費用が異なる |
(出典:厚生労働省「喀痰吸引等研修」
/
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/tannokyuuin/04_kensyuu_01.html)
2-3. ケアマネジャー(介護支援専門員)
ケアマネジャー(介護支援専門員)は、介護保険サービスの中から利用者さんに合うサービスを選び、作成したケアプランを利用者さんやご家族に提案できる資格です。 ケアマネジャーになるには、年に1回行われる試験に合格した後、介護支援専門員実務研修の受講と修了が必須です。
勤務地や自宅のある都道府県で受講・受験が可能です。ケアマネジャーの資格の有効期間は5年に設定されているため、更新時は満了日までに再度研修を受ける必要があります。
ケアマネジャーは介護制度においてキーになる職種と期待されていることから、介護福祉士が次に目指すのにおすすめの資格です。
行える仕事内容 | ・介護サービス計画(ケアプラン)の作成 ・市町村・居宅サービス事業所・介護施設との連携 ・介助者へのアドバイス |
---|---|
受講資格 | 介護福祉士資格取得者で介護実務経験5年・900日以上の方 |
費用 | 自治体によって研修・受験費用が異なる |
(出典:福祉医療機構「介護支援専門員(ケアマネジャー)」
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https://www.wam.go.jp/content/wamnet/pcpub/top/fukushiworkguide/jobguidejobtype/jobguide_job07.html)
(出典:公益財団法人 東京都福祉保健財団「東京都介護支援専門員(ケアマネジャー)令和5年度受験要項」
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https://www.fukushizaidan.jp/101caremanager/shiken_youkou/)
2-4. 社会福祉士
社会福祉士は、社会支援を必要とする方に支援や福祉サービスの提案が行える国家資格です。 社会福祉士の国家試験を受験するには、相談援助に関する実務や、養成施設での研修を終える必要があります。
また、社会福祉士の試験は年に1回しかないため、試験に向けて入念に準備する必要があります。社会福祉士の業務は介護が必要な方に限らず、身体的・精神的・経済的に支援が必要な方を助ける仕事です。2021年度の社会福祉士の合格率は31.3%と高くありませんが、「より広い分野で人の助けになりたい」という介護福祉士の方には、キャリアアップになるでしょう。
行える仕事内容 | ・身体的、精神的、経済的な支援を必要とする方の相談に応じ、アドバイスや指導を行う ・医療関係者・福祉サービス事業者との連携 |
---|---|
受講資格 | ・福祉系大学、短大等卒業者(指定科目履修) ・社会福祉士指定養成施設卒業者(入学要件あり) |
費用 | ・受験費用 19,370円(一般受験者の場合) ・社会福祉士の登録手数料 4,050円 |
(出典:厚生労働省「社会福祉士・介護福祉士等」
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https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/shakai-kaigo-fukushi1/index.html)
(出典:福祉医療機構「社会福祉士」
/
https://www.wam.go.jp/content/wamnet/pcpub/top/fukushiworkguide/jobguidejobtype/jobguide_job01.html)
3. 介護福祉士のスキルアップに役立つ資格
介護福祉士としてのスキルを高めたい方は、福祉関連の資格取得をめざすとよいでしょう。専門資格を取得すると、介護現場でスキルが活かせるだけでなく、活躍の場が増えることにもつながります。ここでは、介護福祉士のスキルアップに役立つ資格3つを紹介します。
3-1. ガイドヘルパー(移動介護従事者)
ガイドヘルパー(移動介護従事者)は、屋外に外出するのが困難な方に対して、必要な介助を行う職業です。介助の対象者は、全身性障害や視覚障害、知的・精神障害などを持つ方で、必ずしも高齢者介護とは限りません。
(出典:福祉医療機構「ガイドヘルパー」
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https://www.wam.go.jp/content/wamnet/pcpub/top/fukushiworkguide/jobguidejobtype/jobguide_job20.html)
ガイドヘルパーになるには、研修を受講し資格を取得することが必要です。以前は移動支援従業者養成研修の受講が要件でしたが、2006年10月以降は、以下のような対象者別の研修に移行しています。
・同行援護従業者養成研修
視覚障害者に対しての移動介助を学びます。一般課程と応用課程に分かれています。
・全身性障害者ガイドヘルパー養成研修
主に、車いすが必要な方への移動介助を習得する研修です。介護系資格保持者は、一部のカリキュラムが免除されます。
・行動援護従業者養成研修
知的障害、精神障害、発達障害を持つ方に対する、移動や衣類の着脱、排泄などのサポートについて学びます。
3-2. 認知症ケア専門士
認知症ケア専門士は、認知症ケアに対する学識と技能を学べる、2005年に制定された民間資格です。資格には「認知症ケア専門士」と「認知症ケア上級専門士」があり、上級専門士は、認知症介護の専門知識に加えてマネジメント能力も必要です。
認知症ケア専門士になるためには、認定試験を受ける必要があります。資格試験の受験要件は、試験実施年の3月31日から過去10年の間に、認知症ケアの実務経験が3年以上あることです。また、認知症ケア専門士の資格は、5年ごとに更新が必要です。
(出典:認知症ケア専門士認定試験「試験概要:受験資格」
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https://www.dcq-ex.net/shiken.htm)
3-3. 精神保健福祉士
精神保健福祉士は、精神的な障害を持つ方をサポートする国家資格です。医療機関や社会復帰施設、保健所、デイケア施設などの現場で、日常生活や社会参加に関する相談業務や援助を行います。
精神保健福祉士の資格取得方法は、精神保健福祉士国家試験に合格することです。試験形式は筆記のみで、年1回で2月初旬に行われます。ただし、受験するためには以下の条件のいずれかを満たしていなければなりません。
・4年制大学で指定科目を修めて卒業した者
・2年制(又は3年制)短期大学などで指定科目を修めて卒業し
指定施設で2年以上(又は1年以上)相談援助の業務に従事した者
・社会福祉士の登録者もしくは福祉系大学・短期大学等を卒業した者で
精神保健福祉士短期養成施設(6月以上)を卒業(修了)した者
・精神保健福祉士一般養成施設(1年以上)を卒業(修了)した者
(引用:全国社会福祉協議会「精神保健福祉士」
/
https://www.shakyo.or.jp/guide/shikaku/setsumei/03.html 引用日2023/11/8)
4. 介護福祉士からのキャリアチェンジに向いた資格
介護業界では、リハビリテーションや栄養管理、利用者さんへの援助など、さまざまな介護スキルが求められます。上記のような能力を証明できる資格を持っておくと、介護福祉士からキャリアチェンジする際に有利に働くでしょう。ここでは、介護福祉士からのキャリアチェンジに役立つ3つの資格を解説します。
4-1. 作業療法士
作業療法士は、食事や着替え、家事や仕事といった日常生活における作業のリハビリテーションを行う専門職です。作業療法士は国家資格であり、就職先は病院や福祉施設、介護施設、特別支援学校など多岐にわたります。
作業療法士になるには、1年に1度実施される国家試験に合格しなければなりません。国家試験の受験資格は、3年もしくは4年制の養成施設を修了することで得られます。
(出典:日本作業療法士協会「作業療法士になるには」
/
https://www.jaot.or.jp/ot_work/)
作業療法士の資格を取得することは、キャリアチェンジの選択肢が増えるだけでなく、介護業界で機能訓練指導員として活躍できるメリットもあります。
4-2. 管理栄養士
管理栄養士は、主に病院で療養している方や高齢で食事が摂りにくい方などに対して、身体の状態に合わせた栄養指導を行う、厚生労働大臣の免許を受けた国家資格です。管理栄養士が働く職場は、病院や介護福祉施設、児童福祉施設などです。
管理栄養士になる方法は、管理栄養士養成施設で学び、管理栄養士国家試験に合格することです。 また、栄養士養成施設で学び、卒業後に栄養士として一定期間働いた後管理栄養士国家試験に合格するルートでも、管理栄養士になれます。
(出典:日本栄養士会「管理栄養士・栄養士とは」
/
https://www.dietitian.or.jp/students/dietitian/)
介護保険施設では、2021年度より、栄養ケア・マネジメントの強化を目的に、現行の栄養士に加え、管理栄養士の配置が位置づけられました。管理栄養士の資格保有者は、介護分野において今後さらにニーズや評価が高まることが予想されます。
4-3. 看護師
看護師は、傷病者などに対する療養のサポートや、診療の補助などをする国家資格です。病院、介護施設、一般企業などさまざまな場所で活躍できる資格であり、高いニーズを持ちます。
看護師になるには、大学または3年以上の専門教育期間を卒業した上で、看護師国家試験に合格する必要があります。
(出典:日本看護協会「看護職になるには」
/
https://www.nurse.or.jp/aim/become/)
看護師資格を取得する大きなメリットは、医療・介護の両面から利用者さんをサポートできることです。
5. そのほかのキャリアアップ・スキルアップ方法
介護福祉士としてキャリアアップ・スキルアップする方法は、資格取得だけではありません。介護福祉士を対象とした研修を受けることは、専門性やスキルを高めたい方にとって効果的な方法です。公益社団法人の日本介護福祉士会では、介護福祉士がさらにキャリアアップするための研修を実施しています。
介護福祉士ファーストステップ研修は、介護福祉士を取得してから2年ほど実務経験を積んだ人を対象とした研修です。小規模なチームのリーダー育成を目的としており、研修内容は「ケア」「連携」「運営管理基礎」の3領域です。講習は全部で200時間以上に及びますが、研修に参加することで、キャリアアップに必要な介護関連知識やスキルを身につけられるでしょう。
6. 転職も介護福祉士のキャリアアップに有効
介護福祉士は、資格取得だけでなく、転職でもキャリアアップを目指せます。職場が変わると、今以上に働きやすい職場に出会えたり、身につけたいスキルアップの可能性も広がったりします。
また、介護福祉士の資格を取得していると、介護知識や技術を持っている証明になり、即戦力として転職で有利に働きやすいです。未経験者に比べて、良い条件で転職できる可能性も高まるでしょう。
給与アップが見込めるだけでなく、キャリアの幅も広がるため、今の職場に不満がある場合は、転職をおすすめします。マイナビ介護職では、キャリアアドバイザーと希望の勤務条件などを擦り合わせながら、これまでの経験が生かせる転職先を探せます。
まとめ
介護福祉士には、認定介護福祉士や認知症ケア専門士として現場のエキスパートになったり、ケアマネジャーやサービス提供責任者を目指したり、介護以外の職種で働いたりなど、多種多様なキャリアアップ・モデルがあります。介護に関連する認定介護福祉士・ケアマネジャー・社会福祉士など、新たな資格の取得もよいでしょう。
また、今の職場に不満がある際は、転職で給与アップやスキルアップをするのもおすすめです。マイナビ介護職では、キャリアアドバイザーによる転職相談や、インターネットに出ていない非公開求人のご紹介もしています。介護業界でより良い職場環境を探している方は、ぜひ「マイナビ介護職」をご利用ください。
※当記事は2023年11月時点の情報をもとに作成しています
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