サービス管理責任者の「合格率」って?要件や難易度を解説

サービス管理責任者になるためには、資格要件が設けられているものの、試験はないため「合格率」は存在しません。サービス管理責任者を目指す方は、どのような資格要件があるかを把握し、キャリアプランを考える必要があります。
この記事では、サービス管理責任者の資格要件に加え、仕事内容や難易度を詳しく解説します。介護・福祉領域で活躍したい方に向けて、取っておくと役立てられる関連資格も紹介するので、ぜひご覧ください。
目次
1. サービス管理責任者に「合格率」は存在しない
サービス管理責任者の資格要件には資格試験がないため、「合格率」は存在しません。
サービス管理責任者の資格は、実務経験や研修修了などの要件を満たすことで取得できます。資格取得の過程で資格試験は行われず、合格・不合格の判定もありません。
サービス管理責任者の資格を取得する際は、試験勉強を行う必要はないものの、要件を満たさなければならない点には注意しましょう。
2. サービス管理責任者の資格を取るための要件
サービス管理責任者になるための要件は、一定以上の実務経験と指定された研修修了の2点です。
また、2019年度には児童発達支援管理責任者資格とともに、サービス管理責任者資格の要件について見直しが行われました。見直し後は実務経験の要件が細分化され、修了すべき研修も増えています。
ここでは、サービス管理責任者の要件である「実務経験」と「研修」について、具体的な内容や見直しされた部分を解説します。
2-1. 実務経験
1点目の要件である実務経験では、下記に挙げる①~③のいずれかにおける、一定年数以上の実務経験が求められます。
実務経験
障害者の保健、医療福祉、就労、教育の分野における支援業務 | |
①相談支援業務 | 5年以上 |
②直接支援業務 | 8年以上 |
➂有資格者等 | 5年以上または3年以上 |
(引用:兵庫県「実務経験一覧表(サービス管理責任者)」
/
https://web.pref.hyogo.lg.jp/kf08/documents/sabikan_ichiran.pdf/引用日:2023/3/2)
2019年度に行われた要件の見直しでは、「直接支援業務」の必要年数が10年以上から8年以上へと引き下げられました。
相談支援業務は、障害者の日常生活にかかわる相談に対応したり、サポートをしたりする業務です。主に相談員・支援相談員・ソーシャルワーカーなどの業務が該当します。
直接支援業務は、障害者の入浴・排泄・食事などの身体介護や、本人や介護者への介護指導などを行う業務です。主に介護職や生活支援員、看護助手などの業務が該当します。
また、有資格者等の具体的な資格や必要年数は、下記の通りとなっています。
次のいずれかに該当する者が実施する、上記②の直接支援業務(資格取得以前も含む) (1)社会福祉主事任用資格を有する者 (2)相談支援の業務に関する基礎的な研修を修了する等により相談支援の業務を行うために必要な知識及び技術を修得したものと認められるもの(訪問介護員2級以上に相当する研修を修了した者) (3)児童指導員任用資格者 (4)保育士(直接支援業務に該当しない保育所へ勤務した期間は、実務経験に換算できない) (5)精神障害者社会復帰施設指導員任用資格者 |
5年以上 |
下記の国家資格等による業務に3年以上従事している者が実施する、上記①の相談支援業務及び上記②の直接支援業務 医師、歯科医師、薬剤師、保健師、助産師、看護師、准看護師、理学療法士、作業療法士、社会福祉士、介護福祉士、視能訓練士、義肢装具士、歯科衛生士、言語聴覚士、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師、栄養士(管理栄養士を含む)、精神保健福祉士 |
3年以上 |
(引用:兵庫県「実務経験一覧表(サービス管理責任者)」
/
https://web.pref.hyogo.lg.jp/kf08/documents/sabikan_ichiran.pdf/引用日:2023/3/2)
2-2. 研修
2点目の要件である研修では、下記に示す流れに沿って研修を受講し、サービス管理責任者等実践研修を修了することが求められます。
研修修了
・相談支援従事者初任者研修 講義部分の一部を受講(11h)
・基礎研修 サービス管理責任者研修(統一)研修講義・演習を受講(17.5h)
・OJT 一部業務可能
・サービス管理責任者等実践研修(16.5h)
※実践研修の要件:過去5年間に2年以上の相談支援又は直接支援業務の実務経験がある
・サービス管理責任者等更新研修(6h程度)※5年毎に受講
※更新研修の要件:①過去5年間に2年以上のサービス管理責任者等の実務経験がある又は②現にサービス管理責任者等として従事している
(引用:厚生労働省「相談支援専門員及びサービス管理責任者等の研修制度の見直しについて」
/
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000195407.pdf/引用日:2023/3/2)
2019年度に行われた要件の見直しでは、従来の相談支援従事者初任者研修に加えてサービス管理責任者研修(統一)研修の修了が必要となりました。
基礎研修の修了後はOJTを行い、2年以上の実務経験を積んだ上でサービス管理責任者等実践研修を受講する流れとなっています。
また、従来は存在しなかった更新研修が新たに設けられたことも、要件の見直しによる大きな変更点です。サービス管理責任者の資格を取得後は、サービス管理責任者等更新研修を5年ごとに受講する必要があります。
3. サービス管理責任者の仕事内容
サービス管理責任者を目指す方は、実際になった後の働き方をイメージしておきましょう。
サービス管理責任者の主な仕事内容を3つ紹介します。
個別支援計画書作成 |
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個別支援計画とは、障害福祉サービス事業所の利用者さん一人ひとりに合わせて組み立てた支援計画のことです。 サービス管理責任者は、利用者さんと行った面接から必要なサービスやニーズ・課題を洗い出し、個別支援計画書にまとめます。提供サービスで問題が発生したり、新しいニーズ・課題が生じたりした場合は、必要に応じて個別支援計画の修正を行います。 |
関連機関・職種との連携 |
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個別支援計画を実施する際は、行政や医療機関などの関連機関や、医療職・介護職などの職種の協力が必要です。 サービス管理責任者は質の高いサービスを提供するため、利用者さんに必要な支援が行える関連機関・職種との連携を検討します。連携先との連絡や、サービス提供状況の把握・管理が主な役割です。 |
スタッフの指導 |
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サービス管理責任者はより良いサービスの提供を目指すために、スタッフの指導などの人材育成も行います。 支援現場におけるスタッフへの技術的な指導・助言や、サービス向上を目的とした研修の企画・実施などが主な役割です。職員がスキルアップできるよう資格取得の支援も行います。 |
4. サービス管理責任者の難易度は?
サービス管理責任者の資格は、実務経験の必要年数を満たし、指定された研修を修了すると取得できます。資格試験による合否の判定がなく、現場の人手不足によって資格要件が見直されるなど目指しやすくなったことにより、難易度は高くありません。
ただし、サービス管理責任者になるには少なくとも3年以上の実務経験が必要となります。未経験から目指す資格としては簡単とは言えないでしょう。
サービス管理責任者の資格は、専門性を生かしてキャリアアップしたい実務経験者や、福祉関係の業界で長期的なキャリア形成を図りたい方におすすめです。サービス管理責任者の資格取得者は需要が高く、働くフィールドを広げられて、給与アップも目指せます。
5. サービス管理責任者以外の介護・福祉系資格
福祉業界・介護業界でキャリアアップを目指すには、福祉・介護系資格を取得することがおすすめです。介護士や生活支援員は無資格でも働けるものの、資格を取得していると業務の幅が広がり、昇給にもつながりやすくなります。
特に未経験・無資格の場合は、下記に挙げるいずれかの資格取得を目指しましょう。
社会福祉士 | 福祉サービスを必要とする方への情報提供や相談援助を行う専門職 |
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精神保健福祉士 | 精神に障害がある方の社会復帰サポートや自立支援を行う専門職 |
介護福祉士 | 専門知識・技術を用いて質の高い介護を提供する専門職 |
社会福祉士や精神保健福祉士の養成施設は夜間コースや通信課程を用意していることがあります。
介護福祉士は実務経験が3年以上あれば受験資格を得られるため、いずれの資格も働きながら取得を目指せます。
また、サービス管理責任者の研修要件に含まれる「相談支援従事者初任者研修」の修了もおすすめです。
相談支援従事者初任者研修は、相談支援業務に関する知識や技術が学べる研修です。現在は生活相談員として働いている方も、キャリアを積めばサービス管理責任者を目指せます。
まとめ
サービス管理責任者になるためには試験はなく、実務経験と研修修了などの要件を満たす必要があります。2019年の要件見直しにより間口が広がったため、比較的取得を目指しやすい資格と言えるでしょう。目指す方は、要件に加え、仕事内容などを確認した上で挑戦しましょう。介護・福祉領域で活躍したい場合は、サービス管理責任者以外の資格に目を向けることもおすすめです。
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※当記事は2023年3月時点の情報をもとに作成しています
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