サビ管の更新研修とは?対象者と受講要件・注意点や研修内容を解説

2019年にサービス管理責任者制度は改定され、取得要件となる研修が基礎研修・実践研修に分けられるといった変更がありました。
取得要件だけでなく、すでに資格取得済みの方にとっても重要な変更が、新たに追加されたサービス管理責任者更新研修です。すでにサービス管理責任者として働いている方のうち特定の条件を満たしている方は、2023年度末までに更新研修を受講できなければ資格を失効します。
この記事では更新研修の対象者と受講要件、研修内容、受講時の注意点を解説します。
目次
1. サビ管(サービス管理責任者)の更新研修とは
サビ管(サービス管理責任者)の研修制度は、2019年度から改定されました。サービス管理責任者の資格を取得するのに必要な基礎研修と実践研修に加え、現任者向けの更新研修が新設されています。サービス管理責任者としての資格を保有し続けるには、5年ごとに更新研修を受講することが必要です。
改定前の制度では研修を1回受講すれば、サービス管理責任者になれました。しかし、振り返りや更新の機会となる研修がなかったため、研修受講者の質の担保や受講後の業務遂行能力の担保に課題がありました。
サービス管理責任者となった後も、定期的に知識・技術の更新やスキルアップの機会を設ける目的で新設された、新しい研修が更新研修です。
一定期間毎の知識や技術の更新を図るとともに、実践の積み重ねを行いながら段階的なスキルアップを図ることができるよう、研修を基礎研修、実践研修、更新研修と分け、実践研修・更新研修の受講に当たっては、一定の実務経験の要件(注)を設定。
(引用:厚生労働省「相談支援専門員及びサービス管理責任者等の研修制度の見直しについて」
/
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000195407.pdf引用日2023/3/1)
1-1. サービス管理責任者等更新研修の対象者と受講要件
サービス管理責任者等更新研修の受講対象者は、以下の通りです。
① 研修対象者
ア サービス管理責任者実践研修を修了後、指定障害福祉サービス事業所等においてサービス管理責任者若しくは管理者として従事している者又は指定一般相談支援事業所若しくは指定特定相談支援事業所において相談支援専門員として従事している者で、指定障害福祉サービス事業所においてサービス管理責任者として従事しているもの又は従事しようとするもの
イ サービス管理責任者実践研修を修了後、本研修の受講開始日前5年間においてアの業務に通算して2年以上従事していた者で、指定障害福祉サービス事業所においてサービス管理責任者として従事しているもの又は従事しようとするもの
(引用:東京都福祉保健局「サービス管理責任者研修事業の実施について」
/
https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/shougai/shogai/sakan.files/jissiyouko.pdf/引用日2023/3/1)
※ 平成31年度から新体系による研修開始。旧体系研修受講者は令和5年度末までに更新研修の受講が必要。
(引用:東京都福祉保健局「サービス管理責任者・児童発達支援管理責任者研修の見直しについて」
/
https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/shougai/shogai/sakan.files/sbijihatuminaoshinituite.pdf引用日2023/3/1)
すなわち、以下の3つに当てはまる方は、サービス管理責任者の更新研修の対象となります。
2018年度までの旧体系研修を受講済みの方 |
---|
2018年度までに旧体系のサービス管理責任者等研修を修了された方は、サービス管理責任者としての実務経験の有無にかかわらず更新研修の受講対象者となります。 2023年度末までに更新研修を受講しなければ、サービス管理責任者としての資格が失効してしまうため注意が必要です。令和5年度末までは、新体系移行の経過措置として、更新研修受講前であってもサービス管理責任者として働くことができます。 |
2019~2021年度に基礎研修を受講し、実務要件を満たしている方 |
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2019~2021年度に基礎研修の受講を受講しており、サービス管理責任者としての配置に必要な実務要件を満たしている方も、更新研修の受講対象者です。 期間中に基礎研修を受講した方は、体系移行に伴う経過措置として3年間は実践研修を受講していなくてもサービス管理責任者とみなされます。 みなし配置の期間中に実践研修を受けた上で、以後5年毎に更新研修を受ければサービス管理責任者として働けます。 |
2019年度以降に「サービス管理責任者等実践研修」を修了した方 |
---|
2019年度以降の新体系で実践研修を修了した方は、実践研修終了の翌年度から5年間に1度ずつ更新研修を受講する必要があります。 |
ただし、更新研修を受講するには、研修受講日からさかのぼって5年以内に通算2年以上の実務経験があるか、サービス管理責任者として現在働いている必要があります。
更新研修:①過去5年間に2年以上のサービス管理責任者等の実務経験がある
又は②現にサービス管理責任者等として従事している
(引用:東京都福祉保健局「サービス管理責任者・児童発達支援管理責任者研修の見直しについて」
/
https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/shougai/shogai/sakan.files/sbijihatuminaoshinituite.pdf引用日2023/3/1)
1-2. サービス管理責任者等更新研修の研修内容
サービス管理責任者等更新研修では、計13時間にわたる講義・演習を受講します。 講義内容は以下の表の通りです。
科目 | 時間数 |
1, 障害福祉の動向に関する講義(1時間) | |
障害者福祉施策の最新の動向(講義) | 60分 |
2, サービス提供の自己検証に関する演習(5時間) | |
事業所としての自己検証(演習) | 90分 |
サービス管理責任者としての自己検証(演習) | 120分 |
関係機関との連携(演習) | 90分 |
3, サービスの質の向上と人材育成のためのスーパービジョンに関する講義及び演習(7時間) | |
サービス管理責任者としてのスーパービジョン(講義) | 180分 |
事例検討のスーパービジョン(演習) | 60分 |
サービス提供職員等へのスーパービジョン(演習) | 120分 |
研修のまとめ(演習) | 60分 |
合計 | 13時間 |
※ 平成 35 年度までの間は、サービスの質の向上と人材育成のためのスーパービジョンに関する講義及び演習を省略することができる。 |
(引用:東京都福祉保健局「サービス管理責任者研修事業の実施について」
/
https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/shougai/shogai/sakan.files/jissiyouko.pdf/引用日2023/3/1)
研修では、施設を利用する方の置かれている制度的環境の変化や、サービス管理責任者として現在提供するサービスの振り返りといった内容を受講します。ただし、それぞれの自治体が地域性、受講者の希望等を考慮して時間数や科目の追加を行う場合があります。
また、2023年度末までは、「サービスの質の向上と人材育成のためのスーパービジョンに関する講義および演習」(7時間)のカリキュラムを省略することが可能です。
更新研修の詳細については、実施要項をよく読んだ上で、研修の実施主体である各自治体や、自治体から指定を受けた事業者に問い合わせましょう。
2. サービス管理責任者等更新研修を受けるときの注意点
サービス管理責任者等更新研修は、制度が2019年度に変更されたため、初めて受講する方が多く存在します。特に現在は研修制度の見直しに伴う経過措置により更新研修の対象者が増えており、更新研修の定員をオーバーする恐れがあります。
受講の期限目前になって慌てることがないよう、2つの点に注意して更新研修を受講しましょう。
2-1. 優先で受講できる年度がある
2018年度末までにサービス管理責任者等研修を修了した方は、研修制度の見直しに伴う経過措置として、2023年度末までに更新研修を修了する必要があります。 期間内に更新研修を受けない場合は資格が失効するため、受講の最終期限である令和5年度に更新研修の受講希望者が集中する可能性があります。
定員超過による資格喪失者が出るのを防ぐよう、自治体によってはサービス管理責任者等研修の修了年度に応じて、更新研修を優先的に受講できる年度を定めています。優先受講の対象者は各自治体によって異なるので、まずは自治体に問い合わせて自分がいつ優先受講者となっているかを確認しましょう。
自治体による優先決定年度の例として、下記に愛知県のケースを紹介するので参考にしてください。すべての自治体に当てはまるものではないため、各自治体における最新情報を必ず確認しましょう。
更新研修実施年度 | 優先決定対象者 |
---|---|
令和元年度【終了】 | 平成18~20年度にサービス管理責任者等研修を修了した方 |
令和2年度【終了】 | 平成21~22年度にサービス管理責任者等研修を修了した方 |
令和3年度【終了】 | 平成23~26年度にサービス管理責任者等研修を修了した方 ※ 感染症の影響による特例として、平成18~22年度の修了者も含む。 |
令和4年度【終了】 | 平成27~29年度にサービス管理責任者等研修を修了した方 |
令和5年度 | 平成30年度にサービス管理責任者等研修を修了した方 |
(引用:愛知県障害福祉課地域生活支援グループ「サービス管理責任者等研修について」
/
https://www.pref.aichi.jp/soshiki/shogai/kenshu-sabikan.html引用日2023/3/1)
2-2. 期間内に受講しなければ資格が失効する
一度サービス管理責任者の資格を取得しても、期間内に更新研修を受講しなければ資格が失効し、翌日からはサービス管理責任者として勤務できなくなります。 サービス管理責任者として働き続けるには、資格取得後も5年ごとに更新研修を繰り返し受講することが必須です。
例えば、2022年度に1回目の更新研修を受講した場合、研修終了の翌年度(2023年度)を初年度と計算し、2027年度までに2度目の更新研修を受講しなくてはなりません。
更新研修を受講しなかったことにより失った資格を再び取得するには、実践研修から受け直す必要があるため、注意しましょう。 ただし、基礎研修を再度受講する必要はありません。また、実践研修受講の実務要件(研修受講日から5年以内に2年以上の実務経験)は適用されません。
※実践研修から受講しなおす場合(次の①~③のいずれかに該当する者)
①R6.3末までに更新研修を受講しなかった旧研修修了者
②実践研修修了後5年以内に更新研修を受講しなかった者
③旧研修修了者の方で1回目の更新研修を修了した翌年度から5年以内に更新研修を受講しなかった者
(以降は1回目の更新研修を起算として、更新研修受講を繰り返す必要があります)
(引用:福井県総合福祉相談所 障がい者支援課「サービス管理責任者・児童発達支援管理責任者研修制度の改正について」
/
https://www.pref.fukui.lg.jp/doc/soudansyo/chikousou/sabikan_zissen_d/fil/seidonokaisei.pdf引用日2023/3/1)
研修修了証明書に書かれた受講日をもとに更新研修の受講スケジュールを計算し、事前に準備しましょう。
まとめ
サビ管の研修制度は2019年度から改定され、スキルアップの機会を設ける目的で、5年に1度更新研修の受講が必要になりました。
旧体系で研修を受け、現在サービス管理責任者として働いている方や、サービス管理責任者のみなし配置の対象者は2023年末までに更新研修を受ける必要があります。新体系で実践研修を修了した方は、5年に1回更新研修を受ける必要があります。受講の優先年度や受講期間に注意し、資格が失効しないように受験しましょう。
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※当記事は2023年3月時点の情報をもとに作成しています
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