【徳島県】介護職員処遇改善加算の取得状況は?介護施策の状況も解説
少子高齢化にともなう介護人材の需要増加を背景に、介護職の処遇を改善しようとする動きが各自治体で進んでいます。実際に、徳島県では令和2年7月時点で全人口722,653人のうち、242,299人が65歳以上であり、介護職の需要が大きい状況です。
(出典:徳島県「徳島県年齢別推計人口」 /https://www.pref.tokushima.lg.jp/statistics/year/nenrei/)
介護職の労働環境を改善するために導入されている制度の1つが、「介護職員処遇改善加算」です。当記事では、介護職員処遇改善加算の概要や、徳島県における介護職員処遇改善加算の取得状況を解説します。
※本文では、介護職員処遇改善加算(Ⅳ・Ⅴ)のデータにも触れておりますが、介護職員処遇改善加算(Ⅳ・Ⅴ)は令和3年3月31日で廃止されており、令和3年3月31日時点で算定している事業所については、令和4年3月31日までの算定です。
そのため、介護職員処遇改善加算(Ⅳ・Ⅴ)のデータは参考値としてご参照ください。
目次
1. 介護職員処遇改善加算とは?
介護職員処遇改善加算は、介護現場の労働条件を改善する目的で運用されています。大きく分けると「介護職員処遇改善加算」と「介護職員等特定処遇改善加算」の2つがあり、それぞれの制度内容は下記の通りです。
・介護職員処遇改善加算
介護職員処遇改善加算には、加算(Ⅰ)〜加算(Ⅲ)の3区分があり、各区分に応じて介護職1人あたり15,000円~37,000円が支給されます。加算(Ⅰ)の金額が最も高く、どの区分に該当するかは、「キャリアパス要件」と「職場環境等要件」をもとに決定されます。
・介護職員等特定処遇改善加算
介護職員等特定処遇改善加算は、介護職員処遇改善加算より後の令和元年10月に新設された制度です。10年以上の実務経験を持つ介護福祉士を対象としており、転職していても通算の経験年数が10年を超えていれば対象となる場合があります。
介護職員等特定処遇改善加算には、経験・スキルを持つ介護職の処遇を向上させることで、若い職員のモチベーションを上げる目的もあります。
介護職員処遇改善加算・介護職員等特定処遇改善加算ともに、新規申請する場合には指定の様式を用いて賃金改善などについての計画書を届出する必要があります。また、実際に介護職員処遇改善加算・介護職員等特定処遇改善加算を算定した場合には、実績報告書の提出も必要です。
1-1. 介護職員処遇改善加算における平均給与の推移
介護職員処遇改善加算が運用開始されてから、介護職の給与は上昇傾向にあります。厚生労働省の資料によると、介護職員処遇改善加算を取得している事業所における介護職の平均給与額は、平成31年2月から令和2年2月にかけて15,730円増加しています。
時給で勤務している非常勤職員も、平成31年2月から令和2年2月にかけて5,750円の上昇です。また、看護職員や介護支援専門員など他の職種も増額しており、介護職の処遇改善は着々と進んでいることが分かります。
(出典:厚生労働省「令和2年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要(案)」 /https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000689849.pdf)
2. 徳島県における介護職員処遇改善加算の取得状況
徳島県における介護職員処遇改善加算の対応状況を明らかにするためには、全国平均や中国・四国地方との比較が有効です。特に介護職員等特定処遇改善加算は令和元年と近年導入された制度であるため、自治体によって対応に差があります。
ここからは、厚生労働省や公益財団法人介護労働安定センターなどの公的な調査をもとに、徳島県における介護職員処遇改善加算の取得状況を紹介します。
2-1. 【厚生労働省】介護給付費等実態統計をもとにした取得状況
東京都福祉保健局が公開している資料を参考に、徳島県における介護職員処遇改善加算の取得状況を全国平均と比べながら紹介します。なお、表中の加算割合は、厚生労働省の「介護給付費実態統計」をもとにしたデータです。
下表では、全国と中国・四国地方における、介護職員処遇改善加算の取得状況をまとめています。
【中国・四国地方】介護職員処遇改善加算の取得状況 (令和3年1月サービス提供分) 単位(%) | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|
加算(Ⅰ) | 加算(Ⅱ) | 加算(Ⅲ) | 加算(Ⅳ) | 加算(Ⅴ) | 合計 | |
全国平均 | 80.0 | 7.1 | 5.3 | 0.2 | 0.3 | 92.9 |
鳥取県 | 78.2 | 5.1 | 6.9 | 0.5 | 2.0 | 92.6 |
島根県 | 81.6 | 7.6 | 6.6 | 0.1 | 0.1 | 96.0 |
岡山県 | 76.8 | 9.3 | 6.4 | 0.2 | 0.2 | 92.9 |
広島県 | 75.2 | 10.5 | 6.8 | 0.0 | 0.6 | 93.2 |
山口県 | 72.4 | 6.8 | 6.5 | 0.8 | 1.6 | 88.2 |
徳島県 | 78.8 | 4.7 | 5.5 | 0.0 | 0.5 | 89.6 |
香川県 | 77.0 | 7.7 | 6.6 | 0.1 | 0.1 | 91.4 |
愛媛県 | 80.3 | 6.8 | 5.7 | 0.1 | 0.4 | 93.2 |
高知県 | 65.8 | 11.7 | 9.5 | 0.5 | 0.9 | 88.5 |
(引用:東京都福祉保健局「介護職員処遇改善加算等取得促進支援事業に係る取組事例集」/https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/kourei/hoken/shogu/R3_shoguu.files/jirei_torikumi.pdf/引用日2022/3/2)
※加算(Ⅳ・Ⅴ)については、令和3年3月末時点で同加算を算定している事業者について、1年の経過措置を設けた上で、令和2年度で廃止されています。
徳島県における介護職員処遇改善加算の取得率は89.6%であり、全国平均の92.9%よりも低い水準です。ただし、中国・四国地方の9県のうち5県は平均未満となっており、徳島県が際立って低いわけではありません。
下記は、介護職員等特定処遇改善加算の取得状況について、全国平均と中国・四国地方の数値をまとめた表です。
【中国・四国地方】介護職員等特定処遇改善加算の取得状況(令和3年1月サービス提供分) 単位(%) | |||
---|---|---|---|
加算(Ⅰ) | 加算(Ⅱ) | 合計 | |
全国平均 | 32.0 | 34.3 | 66.4 |
鳥取県 | 46.9 | 17.9 | 64.8 |
島根県 | 38.3 | 25.6 | 63.9 |
岡山県 | 36.4 | 28.2 | 64.6 |
広島県 | 34.8 | 36.4 | 71.2 |
山口県 | 27.7 | 27.8 | 55.5 |
徳島県 | 36.3 | 25.6 | 61.9 |
香川県 | 30.3 | 33.8 | 64.1 |
愛媛県 | 31.1 | 37.3 | 68.5 |
高知県 | 29.0 | 20.3 | 49.3 |
(引用:東京都福祉保健局「介護職員処遇改善加算等取得促進支援事業に係る取組事例集」/https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/kourei/hoken/shogu/R3_shoguu.files/jirei_torikumi.pdf/引用日2022/3/2)
徳島県における介護職員等特定処遇改善加算の取得率は、介護職員処遇改善加算と同様に全国平均と比べて低い水準です。ただし、より加算率が高い加算(Ⅰ)の取得率が、加算(Ⅱ)の取得率を大きく上回っていることから、処遇改善の動き自体は活発だと言えます。今後、介護職員等特定処遇改善加算の取得率が増加する可能性は高いでしょう。
2-2. 【公益財団法人介護労働安定センター】介護労働実態調査結果をもとにした対応状況
公益財団法人介護労働安定センターとは、介護分野全般に関する支援事業を行っている機関です。公益財団法人介護労働安定センターが実施した「介護労働実態調査」では、介護職に関するさまざまなデータがまとめられています。
【中国・四国地方】介護職員処遇改善加算の算定及び対応状況(令和2年度) 単位(%) | |||
---|---|---|---|
諸手当の導入・引き上げ | 一時金支給 | 基本給引き上げ | |
全国平均 | 61.6 | 57.6 | 35.3 |
鳥取県 | 39.3 | 64.3 | 35.7 |
島根県 | 62.7 | 69.3 | 38.7 |
岡山県 | 66.7 | 53.1 | 36.5 |
広島県 | 62.3 | 63.2 | 34.9 |
山口県 | 60.8 | 50.0 | 32.4 |
徳島県 | 55.6 | 61.1 | 27.8 |
香川県 | 64.4 | 62.7 | 30.5 |
愛媛県 | 46.8 | 65.9 | 27.0 |
高知県 | 69.5 | 49.2 | 32.2 |
(出典:公益財団法人介護労働安定センター「―令和2年度 介護労働実態調査結果について―」/http://www.kaigo-center.or.jp/report/2021r01_chousa_01.html)
徳島県における介護職員処遇改善加算の対応状況は、一時金支給額が全国よりも高くなっています。諸手当の導入・引き上げ率や基本給の引き上げ率は全国平均よりも低いものの、対応には積極的であることから、今後数値が向上する可能性は十分にあります。
下表は、全国と中国・四国地方における介護職員等特定処遇改善加算の対応状況です。
【中国・四国地方】介護職員等特定処遇改善加算の算定及び対応状況(令和2年度) 単位(%) | |||
---|---|---|---|
職員全体の処遇改善 | 経験・技能のある介護職員の処遇改善 | 介護職員全体の処遇改善 | |
全国平均 | 38.5 | 31.4 | 29.2 |
鳥取県 | 35.7 | 7.1 | 57.1 |
島根県 | 28.9 | 33.3 | 37.8 |
岡山県 | 46.6 | 32.8 | 20.7 |
広島県 | 32.8 | 39.7 | 25.9 |
山口県 | 54.9 | 19.6 | 23.5 |
徳島県 | 31.0 | 34.5 | 34.5 |
香川県 | 40.5 | 21.6 | 32.4 |
愛媛県 | 43.8 | 36.3 | 20.0 |
高知県 | 21.4 | 35.7 | 42.9 |
(出典:公益財団法人介護労働安定センター「―令和2年度 介護労働実態調査結果について―」/http://www.kaigo-center.or.jp/report/2021r01_chousa_01.html)
徳島県における介護職員等特定処遇改善加算は、介護職員全体の処遇改善を実施している事業所が多く、中国・四国地方全体で見ても4番目に高い数値です。県全体で介護職員の処遇改善に努めていることが、数値にも表れていると言えます。
また、経験・技能のある介護職員の処遇改善も全国平均より高い割合となっており、「介護職員全体の処遇改善加算」と同様に中国・四国地方で4番目です。経験のある介護職員に対する待遇を手厚くすることで、若手の成長や全体のモチベーションアップを促進していると考えられます。
3. 徳島県が実施する介護施策の状況
徳島県では、「とくしま高齢者いきいきプラン2021〜2023」のもと、介護分野における積極的な取り組みを行っています。計画の中には、介護職員処遇改善加算・介護職員等特定処遇改善加算を事業所が取得できるように支援する旨も盛り込まれており、実際にセミナーなどの開催も計画中です。
(出典:徳島県「とくしま高齢者いきいきプラン2021~2023(第8期徳島県高齢者保健福祉計画・介護保険事業支援計画)の策定について」/
https://www.pref.tokushima.lg.jp/ippannokata/kenko/koreishafukushi/5014918/)
徳島県では、県全体が介護職員処遇改善加算の取得を後押ししていることから、今後は取得率のさらなる向上が見込まれます。
3-1. 【徳島県】介護職員処遇改善加算を取得している傾向にある施設は?
では、実際にどのような施設が介護職員処遇改善加算を取得しているのでしょうか。厚生労働省の「介護給費等実態統計」をもとに、介護職員処遇改善加算の取得率が高い施設を紹介します。
介護老人保健施設 |
---|
介護老人保健施設は、要介護1〜5の人が利用できる施設であり、入所者が自立して自宅で生活できることを目的に支援を行います。入所者の症状に応じた医療や介護、リハビリテーションなどの提供が主な業務内容です。 |
通所介護 |
---|
通所介護は、運動機能や健康の維持、家族の介護負担軽減などを目的に、通所する利用者を支援する施設です。食事や入浴、排泄の介助など、日常生活におけるさまざまな動作をサポートします。通所介護の場合、利用者の送迎も施設側が行います。 |
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まとめ
少子高齢化などを背景に介護職の需要が大きくなっている中、さまざまな施設が処遇改善のために介護職員処遇改善加算や介護職員等特定処遇改善加算を取得しています。徳島県においても、介護老人保健施設や通所介護を中心に、介護職員処遇改善加算や介護職員等特定処遇改善加算の取得を進めている状況です。
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※当記事は2021年11月現在の情報をもとに作成しています
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