介護業界の離職率と退職の理由|職場の選び方や転職のコツも紹介

公開日:2020.12.11 更新日:2022.10.25
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介護業界の離職率と退職の理由|職場の選び方や転職のコツも紹介

介護業界は事業所による差が大きい

介護業界は、人手不足や薄給激務のイメージを持たれがちです。しかし、平成30年の全職業の離職率14.6%に対し、介護業界の離職率は15.4%と、飛びぬけて高いというわけではありません。離職理由も待遇への不満だけでなく、結婚や出産、人間関係など人それぞれです。 この記事では、介護業界の現状をはじめ、実際の離職率や離職理由について解説します。離職率が高い職場を見分けるポイントも解説するので、転職を目指す人はぜひ参考にしてください。

介護業界の現状

介護業界は全国的に人手不足といえます。厚生労働省によると、職員割合は非正規雇用に大きく依存しており、中途採用が約8割で新卒採用が少ない状況です。年齢構成をみると、男性は40歳未満、女性は40歳以上の割合が多くなっています。

この状況が続くと、2025年には約38万人の人材が不足するという問題もあります。介護業界は「労力に対して給料が安い」というイメージがありますが、実際の待遇は改善されつつあります。特に2019年の介護職「特定処遇改善加算」導入後は改善が顕著です。

介護業界の離職率は?

介護労働安定センターによる「平成30年度介護労働実態調査」では、介護業界の離職率は15.4%でした。これに対し、厚生労働省による「平成30年度雇用動向調査結果」では、業種全体の離職率が14.6%となっています。

業種別で見ると、もっとも離職率が高いのは「宿泊業、飲食サービス業」の26.9%、次いで「生活関連サービス業、娯楽業」の23.9%です。介護業界の離職率は全体からも特別に高いとはいえず、さらに離職率の高い業種もあることがわかります。

※参考: 平成30年雇用動向調査結果の概要|厚生労働省

※参考: 平成30年度 介護労働実態調査結果について|介護労働安定センター

介護業界が人手不足である原因

離職率がそれほど高くないにもかかわらず、介護業界は慢性的な人手不足です。ここでは、人手不足の原因について解説します。

薄給激務というマイナスイメージがある

ライフスタイルと仕事を両立できる仕事であると周知されていないことも原因です。これには、介護職の魅力を知らず、介護業界の薄給激務という印象から、マイナスイメージを抱いている求職者が多いことも影響しています。介護の仕事は多岐にわたりますが、国の対策などで労働環境は改善傾向にあります。

休みが取りづらい

休みを取りにくい職場があることも原因の1つです。休みが取れなければ職員のやる気や職場の雰囲気に影響し、それが原因で人手不足になる悪循環もあるかもしれません。しかし、これは業界というより職場の問題です。介護施設の中には、さまざまな休暇制度を取り入れることで従業員の満足度を向上させ、定着率を高めている職場もあります。

職場の人間関係の問題

人間関係の問題で定着率が上がらないケースもあります。介護業界の仕事は、ほかの職員との連携が多い仕事です。そのため、相性のよくない人ともある程度かかわる場合もあります。また、仕事では利用者だけでなくその家族とも接するため、広範囲の人間関係にストレスを感じる人もいるようです。これは業界の問題というより、職場の問題といえるでしょう。

介護業界を退職する主な理由

転職に役立つよう、介護業界に多い退職理由を知っておきましょう。主に挙げられる4つの理由について解説します。

職場の人間関係やトラブル

介護の仕事はコミュニケーションやチームワークが必要なため、人間関係の摩擦が生まれるケースもあります。しかし、人間関係がよければぐっと働きやすくなり、モチベーションも上がります。介護の仕事ではお互いが働きやすくなるよう、サポートし合って前向きに取り組むことが大切です。

気になることや不安な点は、職場の先輩や上司に積極的に相談しましょう。不安が払拭できるだけでなく、人間関係もスムーズになります。転職の際は、雰囲気や人間関係のよい職場を見分けることもポイントです。個人で動く方が性に合っている場合は、訪問介護という選択肢もあります。

結婚や出産などのライフスタイルの変化

結婚による引っ越しのため仕事を辞める、出産・子育てで仕事ができなくなるなど、ライフステージの変化による退職もあります。自分の家族の介護で辞める人もいるでしょう。男性も子育てを担う現代では、男女共に退職の理由になります。

転職の際はライフスタイルと両立できるよう、産休・育休制度がしっかりした職場を探しましょう。デイケアなど、夜勤がなく子育てや家族の介護と両立しやすい仕事につく方法もあります。

施設の経営方針や理念に合わなかった

介護施設の経営者が利益を追求しすぎるなど、経営理念や考え方と合わずに退職となることもあります。介護という仕事に真摯に取り組み、自分なりの理念を持っている職員に多いケースです。

しかし、利益よりサービスを重視する経営者も多くいます。自分の理念と経営方針が合うかは施設選びがポイントとなります。転職の際には、その介護施設の実績や理念をよく調べたり、面接時に質問してみたりすると良いでしょう。

給与や待遇に不満があった

介護職への待遇は改善されつつありますが、他の職種と比較すると好待遇とはいえない部分もあります。仕事が多岐にわたるからこそ、待遇が良くなければモチベーションが下がるかもしれません。給与設定が高くない理由の1つは、未経験で介護業界に入る人、パートで入る人が多いことが挙げられます。

この場合は、マネジメントを経験する、資格を取るといったキャリアアップで待遇の向上を狙えます。転職の際は、経験や資格に対する手当がある職場を探すと良いでしょう。

離職率が高い介護施設・職場の見分け方

職員が定着しない職場の特徴を解説します。離職率が高い職場を見分けられれば、安定して働ける良い職場選びにつながります。

常に求人募集が出ている

常に求人広告が出ている職場は、職員の定着率が低い可能性があります。離職理由を改善しないまま運営しているため、常時募集を出す必要があるのかもしれません。事業拡大などのポジティブな理由で募集している場合もありますが、調べてもそういった情報がない場合は職場環境が離職率に影響しているとも考えられます。

他の同業施設より極端に給与が高い

求人の給与設定が極端に高い場合も、職場環境が悪いことが考えられます。人材が定着しないためいつも人手不足で、給与を高くすることで人員を補充する必要に迫られているのかもしれません。あらかじめ職場環境の悪さで一定数がすぐ退職すると想定し、高い給与で必要以上の人数を集めようとしている可能性もあります。

面接が簡単ですぐ内定が出る、採用が決まる

おざなりのような面接ですぐ採用されるのは、極端に人手不足である可能性があります。人手が不足しすぎのため現場に補充できれば良く、職員の質を見定める余裕がないのかもしれません。そういった方針の職場ではほかの職員の質も低く、人間関係のトラブルが起こりやすい恐れもあります。

施設の清掃が不十分、不衛生

施設が衛生的でない場合、人手不足で掃除に手が回らないか、衛生に対する意識が低いのかもしれません。不衛生で乱雑な環境は、仕事がスムーズにできず事故につながりやすいため、職員にもストレスがかかりがちです。このような職場ではストレスにより離職率が高くなり、ますます人手不足になる悪循環に陥ることもあります。

職員たちの態度が悪い、笑顔がない

職員の態度や表情に問題がある場合、職場環境や待遇が悪くストレスを感じている可能性があります。目が合っても急いでそらす人が多かったり、ご利用者に赤ちゃん言葉や丁寧でない言葉(いわゆるため口)で話していたら要注意。人間関係が良くないために、職場の雰囲気がピリピリしていることも考えられます。コミュニケーションやチームワークが重要な介護の仕事だからこそ、職員同士の雰囲気はしっかりチェックする必要があります。

年間の休日数など労働条件が提示されない

労働基準法により、雇い主は職員に対し、年間休日や残業に関する労働条件を、原則書面で提示しなければなりません。労働条件が提示されない場合、求人票や面接時の説明にあった条件が変更されているおそれもあります。面接のときに労働条件の詳細に触れないようにする職場も注意が必要です。

介護業界の人手不足への国の対策

介護業界の待遇を改善して人手不足を解消するため、国が行っている対策について解説します。

再就職準備金貸付事業

介護業界で働いていたものの離職し、再就職を希望する人向けに準備金を貸与する制度です。厚生労働省の案内のもと、都道府県ごとに実施されています。再就職後、介護職員として2年間働けば返済義務が免除されます。貸付金は再就職準備に使うためのもので、上限は40万円です。

対象となるのは、実務経験が1年以上ある人、介護福祉士の資格を持つ人、実務者研修を終了した人、介護職員初任者研修を修了している人です。ほかにも介護職員として再就職した届出と、再就職準備金利用計画書提出などの条件があります。

介護職員処遇改善加算

介護職員の給与をアップするために厚生労働省が実施している制度です。要件を満たした事業所へ「職員の賃金改善」名目で所定の金額が介護報酬に加算されます。なお、事業所は加算相当の賃金改善を行う義務があります。

加算額は5区分あり、事業所が満たす要件によって介護職員1人あたり月額12,000~37,000円相当が加算されます。ただし、12,000円相当区分と13,500円相当区分は、今後は経過措置期間をおいて廃止される予定です。現時点では月額15,000円区分からとなることが決定しています。

介護福祉士等修学資金貸付制度

介護福祉士や社会福祉士の養成校などに在学している人へ修学資金を貸与する制度で、各都道府県が実施しています。

例えば東京都では、学費分月額5万円以内、入学準備金20万円以内、就職準備金20万円以内、介護福祉士国家試験受験対策費4万円以内の貸与が可能です。卒業後に5年間東京都内で介護職員として働くと返還は免除されます。対象者は、都内に住所があり、5年以上介護職に就く意思があるなど5つの条件を満たす在学者です。

介護職でよりよい職場へ転職するには

長く働ける職場に転職するためには、制度や転職エージェントを活用することをおすすめします。ここでは2つの方法について解説します。

国や都道府県の支援制度を活用する

介護業界は人材不足で薄給激務のイメージがありますが、それゆえに改善を進める国の動きがあり、すでに施行されている制度もさまざまなものがあります。転職の際は、各資金の貸与制度などを調べて自分に合ったものを活用しましょう。制度を利用して効率良く転職すれば、経済的にも余裕が持てます。職場を吟味するゆとりも生まれるでしょう。

介護職に強い転職サイトやエージェントを活用する

転職サイトやエージェントには、介護業界専門のサービスもあります。これらのサービスは専門業界へ転職するためのノウハウや、業界の最新情報を持っています。サービスを利用する際は、充実した転職サポートと、キャリアアップのための相談があるところを選びましょう。

また、登録料や相談料が無料で気軽に活用できるか、求人数が多く対応地域が広いかどうかもポイントとなります。

まとめ

介護業界は激務というイメージがありますが、離職率は極端に高いわけではありません。人手不足については、改善のためのさまざまな制度が施行されています。安定して長く働くには、各制度を活用しつつ、転職先の質を見極めていくことが重要です。

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