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【40代・50代】介護職への転職で年齢を武器にする方法とは?

公開日:2019.06.19 更新日:2024.12.17
【40代・50代】介護職への転職で年齢を武器にする方法とは?

介護職は、年齢にかかわらず広く転職者を歓迎している業種です。ただし、10代、20代の転職希望者と、年齢も人生経験も重ねた40代、50代の転職希望者では、当然期待されるポイントは異なります。

40代、50代で初めて介護職に転職する場合、何が強みになり、また何に気を付けなければいけないのか、不安に思う方もいるでしょう。

この記事では、施設ごとの40代以上の働き手の割合や、必要な資格、40代以上の転職者の強みおよび注意点について解説します。

1. 介護職として活躍できるのは何歳まで?

介護職として活躍できる年齢に上限はありません。少子高齢化が進む現代ではどの業界も人材不足が課題となっていますが、特に介護業界では深刻な問題となっています。年齢不問の介護職求人を出している施設も多いため、体力面や健康面における問題・不安がなければ、40歳以上の方も活躍できるでしょう。

介護労働安定センターによると、令和4年度に介護職として就業している方の年齢と全体に占める割合は次の通りです。

【働いている介護職の年齢(2022年)】

年齢 割合(%)
40歳~45歳未満 13.0
45歳~50歳未満 15.1
50歳~55歳未満 14.2
55歳~60歳未満 12.2
60歳~65歳未満 8.8
65歳~70歳未満 5.0
70歳以上 2.7
40歳以上の合計割合 71.0

(出典:介護労働安定センター「介護労働者の就業実態と就業意識調査 結果報告書」
/ https://www.kaigo-center.or.jp/content/files/report/2023r01_chousa_cw_kekka.pdf

介護労働安定センターの報告書によると、介護職として働く方のうち、40歳以上の方は71%を占めています。特に40代~50代は介護職全体の54.5%を占めているため、日本の介護業界を支えている年代とも言えるでしょう。これらのことから、40代~50代は介護職として十分に活躍できる年代であると考えられます。

1-1. 【施設別】40代以上の働き手の割合

介護保険サービスにはさまざまな種類があり、介護施設の形態も多岐にわたります。施設形態や提供する介護保険サービスによって、働き手の年代構成がやや異なることに留意しましょう。

【施設別・働いている介護職の年齢(2022年)】

施設名 40代以上労働者の割合(%)
訪問系 72.4
施設系(入所型) 62.3
施設系(通所型) 68.0
居住系 70.1
居宅介護支援 86.0

(出典:介護労働安定センター「令和4年度 介護労働者の就業実態と就業意識調査 結果報告書」
/ https://www.kaigo-center.or.jp/content/files/report/2023r01_chousa_cw_kekka.pdf

上記のデータから、40代以上の働き手の割合が最も高い施設形態は居宅介護支援、最も低い施設形態は施設系(入居型)であることが分かります。それぞれ86.0%、62.3%と大きな差があるため、実際に勤務先を選ぶ際には参考にするとよいでしょう。

一方で、40代以上の働き手の割合はすべての施設で60%を超えていることから、40代~50代の介護職はいずれの施設形態でも歓迎されると考えられます。自身の得意とする業務や興味のある介護サービスを考慮した上で、自分に合った求人を選ぶとよいでしょう。

1-2. 雇用に年齢制限を定めていない施設の割合

一般的な職種の場合、60~65歳で定年を迎えることが多いため、40代~50代の転職では、定年(雇用の年齢制限)を気にする方も少なくありません。1つの職場で長く働きたい方にとっては「定年制度があるか」「何歳まで働けるか」が大きなポイントとなるでしょう。

介護業界では40代~50代といった年齢層を中心として、60代以上の方も多く活躍しています。ただし、正規雇用の場合は定年制度を設けている施設も多く、約4割の施設は60~64歳を雇用年齢の上限としていることを押さえておきましょう。

【介護施設の定年制度の有無(2022年)】

定年制度 割合(%)
定年なし 18.0
60歳の定年を定めている 35.3
61歳以上64歳以下の定年を定めている 3.8
65歳以上の定年を定めている 34.3
無回答 8.6

(出典:介護労働安定センター「令和4年度 事業所における介護労働実態調査 結果報告書」
/ https://www.kaigo-center.or.jp/content/files/report/2023r01_chousa_jigyousho_kekka.pdf

なお、定年制度のない施設や、定年制度があっても定年を迎える年齢が一般的な職種より高い施設も少なくありません。他の業界と比べると、介護業界は正規職員(正社員)として活躍できる期間が長い業界と言えます。

また、定年制度がある施設において、定年を迎えた職員をパート職員やアルバイト、契約社員など、雇用形態を「非正規職員」に変更して再雇用するケースも珍しくありません。ここでは、再雇用を行う施設における雇用上限年齢について確認してみましょう。

【介護施設の雇用上限年齢(2022年)】

定年後の雇用上限の年齢 割合(%)
65歳以下 22.4
66~70歳 20.4
71歳以上 6.3
特に定めていない 47.8
無回答 3.1

(出典:介護労働安定センター「令和4年度 事業所における介護労働実態調査 結果報告書」
/ https://www.kaigo-center.or.jp/content/files/report/2023r01_chousa_jigyousho_kekka.pdf

上記のように、定年後の再雇用については、雇用上限年齢を特別に定めていない施設が5割近くを占めています。施設によって制度や労働環境などが異なるため事前の確認が必要ですが、70歳を超えたシニア世代でも介護職として就職・活躍できるケースが多いと考えてよいでしょう。

1-3. 未経験からの転職者の割合

異業界・異業種から介護職への転職を検討している方の中には、介護業務の実務経験がない方も多いでしょう。

しかし、介護業界は高齢化によって介護需要が高まっている一方で、少子化による人材不足も深刻化しており、ニーズに対して介護人材の供給が追いついていない状態にあります。そのため、介護に関する知識・スキルのある方はもちろん、未経験からの転職者も多く採用されていることを押さえておきましょう。

【前職が「介護・福祉・医療関係」以外だった転職者の割合(2022年)】

性別 割合(%)
男性 68.4
女性 62.4
全体 63.7

(出典:介護労働安定センター「令和4年度 事業所における介護労働実態調査 結果報告書」
/ https://www.kaigo-center.or.jp/content/files/report/2023r01_chousa_cw_kekka.pdf

上記のように、介護・福祉・医療関係以外の業種への従事経験がある方は、男女ともに60%を超えています。直前職が介護・福祉・医療関係以外の仕事であった方も転職者の約3割を占めているため、未経験でも介護職として働ける可能性が高いでしょう。「未経験歓迎」とする求人も多数あり、転職活動が比較的スムーズに進むことにも期待できます。

2. 無資格でも介護職は働ける

介護職は基本的に無資格・未経験でも働くことが可能であり、介護施設での生活援助や身体介護、事務作業を主に担います。ただし、仕事内容によっては介護資格を保有する介護職員の監督が必要になる場合もあるため、従事可能な業務の幅が有資格者よりも小さい点に留意してください。

なお、2024年4月に「認知症介護基礎研修」の受講が義務化されたため、これから介護職への転職を目指す方はこの研修を受講・修了する必要があります。新入職員には1年間の受講猶予期間があるため、介護職へ無資格で転職した場合は、勤務開始から1年以内に認知症介護基礎研修を受講・修了するようにしましょう。

認知症介護基礎研修はそれほど難しい資格ではなく、150分程度のe-ラーニングを利用した研修を受ければ修了できます。確認テストや自己ワークも基礎的な内容であるため、1日で資格取得を目指せるでしょう。働きながら「介護職員初任者研修」「介護職員実務者研修」などキャリアアップを目指すこともおすすめです。

2-1. 介護職は仕事を探しやすい職種

転職活動を進める上で、転職のしやすさや求人の豊富さは大きなポイントとなります。介護業界は慢性的な人手不足に悩まされており、さまざまな形態の施設から多くの求人が出されています。「介護職として働きたいが、求人がない」といった状況にはなりにくいでしょう。

実際に、2022年度時点の介護職の有効求人倍率は施設介護職で3.79倍、訪問介護職で15.53倍と、労働者全体の平均である1.28倍と比べて圧倒的に高くなっています。

(出典:厚生労働省「訪問介護」
/ https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001123917.pdf

(出典:厚生労働省「一般職業紹介状況(令和4年12月分及び令和4年分)について」
/ https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_30448.html

3. 40代~50代の転職者に期待されているものとは?

介護施設を運営する法人が40~50代の転職者に期待しているのは、「介護職に重要となる対人スキルを若手に教育する」ことです。まだ人生経験の浅い若手に対して、コミュニケーションのとり方や人間関係の築き方、臨機応変な対応、礼儀など、「人対人」の仕事において重要なスキルを教育する人材として期待されています。

介護業界の高齢化が進む中で、20~30代のスタッフは、将来的には介護の中核的人材となる存在です。若手スタッフを早いうちから役職に就けて、管理職のような役割を担わせようという法人はたくさんあります。

そのため、福祉系の大学を出て介護福祉士として3年間働き、20~30代でリーダー職に就く方もたくさんいます。しかし、彼らはまだ社会人経験が少ない分、コミュニケーションや人間関係の構築がうまくいかなかったり、臨機応変さに欠けたりする部分があるでしょう。

一方、40~50代で初めて介護職に転職される方は、介護の仕事については未経験でも、社会人としての豊富な経験があります。したがって、若手にないキャリアや豊かな人間性、コミュニケーション能力、つまり伝える力や教育する力を期待されています。

4. 40代~50代以上の転職者の強み

介護職への転職で、40代、50代の強みをまとめると、次のような能力が挙げられます。各スキルが身についている方は、未経験から介護業界へ転職したとしても、重宝されるでしょう。面接にあたっては、こうした強みをアピールするのがおすすめです。

4-1. 人間性

人間性は、40代、50代の転職者に最も求められているものであり、求職者としてはアピールすべき部分です。介護はチームプレーなので、周りの人と協力し合えるか、円滑にコミュニケーションをとっていけるかが非常に重要なポイントです。

これまでの経験の中で、周囲の人と協力し合って1つの仕事を成し遂げたエピソードや、同僚や周りの方とのコミュニケーションのとり方、心掛けなどを具体的に話せると、受け入れられやすくなります。

4-2. 管理職や指導者としての経験

40代、50代まで、介護職以外の業種で働いてきた方には、マネジメント経験や管理職の経験がある方もいます。

面接では、「自分の指導で実際に若手が育った」という結果や、実績などの具体的な事例を示せるとよいでしょう。そういった指導や教育のスキルは、大きな強みになります。

例えば、前職でマネジメントを経験している方なら、部下を何人持っていて、どういった年齢層の人とどのような仕事をしてきたのかを伝えましょう。「実際に若手のリーダーと一緒に仕事をしていた」など、介護職の現場にもつながる話があれば、大きなアピールポイントになります。

4-3. 特技や趣味

介護職は日常生活の介助だけでなく、利用者を楽しませるためのレクリエーションも仕事の1つです。レクリエーションに役立つ能力や趣味を持っていれば、とても歓迎されます。いくつか例を挙げてみましょう。

・ピアノや和楽器を趣味で弾いてきた
・手芸が好き
・カラオケがうまい
・歴史に詳しい

「人間的な幅が広く、個人の趣味や特技を活かして現場で働ける人に来てほしい」という法人は増えています。

4-4. 明確な志望動機

介護業界に入る理由が明確な方は、「軸がしっかりしている」ととらえられるため、どの法人でも歓迎されます。例えば、下記のような志望動機です。

<志望動機>

自分の親族が介護施設に入った際に、ケアマネージャーにすごくお世話になった。家族を含めて救われたので、自分もそういった立場でほかの家族の助けになりたいと思い、介護の仕事を志した。将来はケアマネージャーを目指したい。

ビジョンのしっかりした方なら、本気で介護の仕事に取り組みたいことも伝わります。反対に、「まず現場を知って、その先に何かあればいいな」という姿勢だと、採用する側も「いつまで続けてくれるのか」といった不安が残ります。

関連記事: 「介護職への転職は40代・未経験でもできる!キャリアアップの方法や成功の秘訣」

5. 40代~50代以上の転職者が気を付けるべき点

一方で、40代~50代以上の転職者は、以下のような欠点がないか転職活動の際にチェックされる傾向があります。思い当たる点がある方は、どうすれば自分の欠点を改善し、補えるか考えておきましょう。

5-1. 健康状態

介護はかなり体力を使う仕事なので、40代後半から50代、60代の転職希望者に対しては、健康状態を気にする法人が非常に多いです。

腰痛を持っている介護従事者は多く、日頃のメンテナンスを含めて体調管理をしながら働いているので、体の使い方やメンテナンスの方法をしっかり学ぶことが重要となります。

逆説的に言えば、年齢よりも健康状態が良好であるというアピールは強みになります。普段からスポーツやトレーニングをして、体力づくりを欠かさないようにすれば、転職活動でも有利になるでしょう。

5-2. こだわりの強さや柔軟性の欠如

40代、50代になると「自分はこうしてきた」というこだわりやプライドがあり、柔軟性が鈍化していく傾向があります。法人の採用担当者もそういった点がないか注目しているので、チームプレーができると伝えていくことはとても大切です。

こだわりが強いと自認している方は、欠点を改善するためにどのように行動したか、ポジティブな変化があったか、といった点をPRしましょう。

5-3. 年下の上司に対する態度

20代、30代でリーダー職に就く方が増えていることから、若い人とコミュニケーションがとれるか、人間関係が築けるかは面接官が特に気にする点です。

「若手のリーダーから指示があったときに、それに納得できるか」「自分より人生経験の少ない人から指示出しされて、抵抗なく従えるか」は、面接の場で確認されることが多いでしょう。

5-4. 過剰な自己肯定

30代以上の方は、自分の考えがしっかりまとまっている方が多く、「面接時に自分を肯定しすぎる」という傾向があります。「私はこうやってきたが、現場がこうだったから活躍できなかった」など、前の職場への不満が多くなりがちです。

しかし、介護職は医師・看護師・地域包括支援センターの担当者などと協働し、利用者さんにサービスを提供する職業です。過剰な自己肯定は、協調性の欠如を疑われる恐れがあります。

面接で熱く語るうちに、前職や他職種、上司について不満めいた発言をしてしまうと、決して好印象とはなりません。事前に、話す内容をまとめておくことをおすすめします。また、自己分析をしたり、友人に相談したりするほかに、転職エージェントのキャリアアドバイザーにアドバイスをもらっておくのもいいでしょう。

6. 実際に働き始めてから起こりがちな失敗と対策

介護職として実際に働き始めてからつまずくポイントとして、職場の人間関係が挙げられます。介護労働安定センターが2022年に行った「介護労働実態調査」によると、前職の介護職を辞めた理由の1位は「職場の人間関係に問題があったため」(27.5%)でした。

(出典:介護労働安定センター「令和4年度介護労働実態調査 介護労働者の就業実態と就業意識調査 結果報告書」
/ https://www.kaigo-center.or.jp/content/files/report/2023r01_chousa_cw_kekka.pdf#page=91

また、離職理由の2位には、法人や施設の理念・運営のあり方と自身の介護観との不一致や、施設の方針・業務内容と自分が実践したい介護とのギャップが挙げられています。介護職への転職を考える際には、応募先の施設について事前によく調べ、自分に合っている職場かどうかを十分に考えることが大切です。

一方で、どのような仕事が自分に向いているかは、実際に入職してみないと分からない点も多く、未経験の方が自分に合う施設を自力で選ぶのは難しいと言えます。

マイナビ介護職のキャリアアドバイザーは、相談に来た転職者の希望を取り入れながら一人ひとりに合った求人選びを行います。転職後のミスマッチを防いで転職成功を果たすためにも、転職エージェントをうまく活用しましょう。

7. 40代~50代の未経験からの介護職への転職実例

40代、50代の未経験からの介護職への転職は、「事務職やSEの仕事をしてきたので、直接人と関わり、『ありがとう』と言ってもらえる仕事がしたかった」「身内の介護の際、ケアマネージャーさんにたいへんお世話になった」といったことをきっかけに、第二の人生として歩まれる方が多いのが特徴です。

あるケースでは、「祖母が介護施設にお世話になることになった。祖母には昔迷惑をかけたので、何かしてあげたくて、介護を学びたい」と転職を決められた、49歳・自営業でコンピューター関係の仕事をされていた方がいらっしゃいました。

まず介護福祉士の資格を取り、将来はソーシャルワーカー(施設や病院に勤務し、利用者の生活相談や入居相談、患者の入院相談などにのる介護職)になって、家族の支援をしていきたいとのご希望でした。

この方が選ばれたのは有料老人ホームで、面接ではまず介護職への強い思いと転職理由、今後のビジョンをしっかり伝えるところを軸としました。また、49歳という年齢と、1人でパソコンと向き合う仕事が長かったため、協調性やコミュニケーション能力をアピールすることが面接でのポイントでした。

コンピューターのプログラム作成では、1つのミスが命取りとなります。そういった仕事をこなしてきた丁寧さ、納品期日に合わせるための緻密さ、取引先と良いコミュニケーションを通して仕事付き合いをしてきたことなどを話された結果、採用決定に至りました。

関連記事: 「40代女性でも介護職に転職できる!未経験から転職する方法」

8. 40代~50代の介護職への転職では人間性が最大の武器

40代~50代以上の方も介護業界で活躍しており、中核的な人材として多くの施設が歓迎しています。

介護は人対人の仕事であり、チームワークが求められます。介護職として必要とされるのは、協調性やコミュニケーション能力、そしてホスピタリティ(サービス精神)です。

これらを備えている40代、50代は、未経験からの転職者でも大きな強みとして評価されます。ぜひ、具体的なエピソードを交えて話せるよう、準備してください。

※当記事は2024年7月時点の情報をもとに作成しています

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