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介護業界は無資格でも転職可能?できる仕事や面接でのポイントも

公開日:2021.09.09 更新日:2024.04.02
介護業界は無資格でも転職可能?できる仕事や面接でのポイントも

高齢化が進んでいる日本で注目されている職業の1つが「介護職」です。介護職は、やる気と前向きな気持ちがあれば未経験者でも転職がしやすく、正社員で就職した場合は安定した雇用と失業保険や厚生年金などの福利厚生を受けられます。

とはいえ、介護業界に不安を持っている人もいるでしょう。

そこで今回は、介護職の種類や無資格でできる介護の仕事・できない仕事、無資格から介護業界で働くことのメリット・デメリットを解説します。また、介護業界で働く上で取得したい資格や、転職する際のポイントも紹介するため、介護業界への転職を検討している人は、ぜひ参考にしてください。

1. 大きく分けて2種類ある介護の仕事

介護の仕事には、自宅で介護サービスを受けられる、いわゆる「居宅(在宅)サービス」と、施設に入居することで介護サービスが受けられる「施設サービス」があります。

ここでは、それぞれの特徴を解説します。

●在宅サービス

在宅サービスは、利用者の自宅などを訪問して介護を行います。一般的にヘルパーと呼ばれる仕事です。

食事や排泄、入浴といった直接利用者の体に触れる「身体介護」と、調理や掃除、洗濯、買い物といった直接利用者の体に触れない「生活援助」に分かれます。

●施設サービス

施設サービスは、介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)や介護老人保健施設(老健)などに入所している人への介護を行います。

食事・排泄・入浴の他、ベッドからの離床や車椅子や歩行器での移動介助、歯磨きや更衣など、生活する上で必要なことを行います。

そのほかにも、介護の仕事には資格がなくてもできるものもあります。デイサービスや特別養護老人ホームなどでは、無資格でも介護職員として働けます。ただし、介護対象者の生活や家事の手伝いを行う生活援助業務や身体介護などを、訪問介護員として無資格で行うことはできません。

2. 介護業界が無資格でも働ける理由

「介護業界に就職・転職したい」と考えつつも無資格であることを懸念し、思い悩む人もいます。しかし、介護業界は、求人サイトの広告に「未経験可(未経験OK)」を掲げる事業者が多く、無資格者も歓迎される業界です。

以下では、介護業界が無資格でも働ける理由について解説します。

2-1. 高齢者の増加により人材不足が予測される

介護業界は高齢者の増加により、将来的に人材不足が予測されています。

総務省によると、2023年2月時点での65歳以上の人口は3,618万人です。また、その内訳は65歳以上の方の総人口に占める割合は29.0%、75歳以上は15.7%、85歳以上は5.3%となっています。日本の総人口は減少している一方で、高齢者の割合は過去最多という結果になりました。

(出典:総務省統計局「人口推計の結果の概要」
/ https://www.stat.go.jp/data/jinsui/2.html

2022年時点で日本の高齢化率は世界で最も高く、29.1%です。次いで、イタリアが24.1%、フィンランド23.3%、プエルトリコ22.9%という結果になっています。

(出典:総務省統計局「1.高齢者の人口」
/ https://www.stat.go.jp/data/topics/topi1321.html

昨今課題として挙げられているのが、「2025年問題」です。2025年には日本人口の多くを占める「団塊の世代」が75歳を超え後期高齢者になります。それに伴い認知症を含む要介護の高齢者がさらに増えるなど、医療・介護の負担が極めて大きくなる問題を「2025年問題」と呼んでいます。予測されている課題は、若い世代の社会保険費の負担が増えたり、働き手不足になったりすることです。

介護業界においても人手不足が予測され、働き手を増やす必要があるため、介護業界は無資格でも働けます。

2-2. 資格よりも人柄の良さが重視される傾向にある

介護業界で活躍するための条件が資格のみではないことも、無資格で働ける理由です。介護の仕事は「人」と関わる場面が非常に多く、向き・不向きが明確に分かれる業界に該当します。

利用者や職員と円滑な人間関係を構築できるコミュニケーションスキルを持つ人は、たとえ無資格者であっても、採用されるケースがあります。

そのほか、下記のような性格・人間性を持つ人は、介護業界で重宝される人材です。

・高齢者に対し、きめ細やかな気配りができる人
・高齢者を敬い、1人の人間として接することができる人
・報告、連絡、相談を徹底し、ほかの職員と上手に連携できる人
・体力に自信がある人

資格取得によって介護技術や基礎スキルを身につけるのも大切ですが、上記の内容を念頭に人間性を磨く努力もまた介護業界で活躍するための重要事項に該当します。

3. いつまで無資格でも介護業界で働ける?

2021年の介護報酬改定にて、「認知症介護基礎研修」の受講が義務付けされました。ただし、現時点で認知症介護基礎研修を受講していない方がすぐに働けなくなるわけではありません。2021年4月から2024年3月の期間は経過措置期間とされています。

認知症介護基礎研修の受講が完全義務化される2024年4月以降の介護業界では、無資格の場合は研修を受けなければ働けません。2024年4月以降に無資格で採用された場合は1年以内に認知症介護基礎研修を受ける必要があります。

2020年度度の時点では、認知症介護基礎研修は6時間の講義および演習が必要でした。しかし、受講が義務付けられたことによって、現在はe-ラーニングを受けるだけで研修が完了する形に簡便化され、受講しやすくなっています。

認知症介護基礎研修が2024年に義務化!対象者や研修内容・免除の条件は?

3-1. 認知症介護基礎研修の内容

認知症介護基礎研修の受講は、すべてe-ラーニング研修で動画視聴によって行えます。認知症介護基礎研修のカリキュラムは以下の通りです。

【認知症介護基礎研修のカリキュラム】

カリキュラム名 学習単位
序章.認知症の人を取り巻く現状 1. 認知症施策推進大綱の概要
I.認知症ケアにおいて基礎となる理念や考え方 1. 本人の生活、パーソンセンタードケア
2. 偏見、誤解とその解消
3. 介護者の視点
4. 日常生活・社会生活における意思決定支援とは
II.認知症の定義と原因疾患 1. 認知症の定義と現状
2. アルツハイマー型認知症の原因と主要な症状
3. 血管性認知症の原因と主要な症状
4. レビー小体型認知症の原因と主要な症状
5. 前頭側頭型認知症の原因と主要な症状
III.認知症の中核症状と行動・心理症状の理解 1. 中核症状と行動・心理症状とは
2. 中核症状の生活への影響
3. 中核症状が心理面に与える影響
4. 行動・心理症状のとらえ方と出現原因
5. 認知症の人にとっての環境
6. 健康管理
IV.認知症ケアの基礎技術 1. 認知症の治療
2. 「お菓子買いに行かなくちゃ」事例と問への回答
 解説)基本的なコミュニケーションの方法
 解説)不適切な態度、不適切な関わり方
3. 「帰りたい」事例と問への回答
 解説)中核症状に対する対応
 解説)行動・心理症状(BPSD)への対応
4. 意思を尊重する支援方法とは
5. チームケアの基本
6. 家族介護者の理解
  家族介護者への支援方法

(出典:認知症介護研究・研修仙台センター「認知症介護基礎研修eラーニング ご利用の案内」
/ https://dcnet.gr.jp/pdf/download/support/research/center3/372/s_r2_kisokensyu_gaiyo_jisshisyutai_A4.pdf

カリキュラムによって所要時間は違いますが、合計で約150分となっています。

1つのカリキュラムを受講する度にマルバツ式の確認テストに回答し、全問正解すると次のカリキュラムに進めるシステムです。難易度は高くありません。すべての動画視聴を行い、確認テストに合格すると受講終了となり、修了証明書が発行されます。

認知症介護基礎研修には受講料がかかります。受講料は自治体によって変わりますが、以下の自治体では3,000円の受講料が必要です。

【3,000円の対象自治体】

北海道・札幌市・青森県・秋田県・宮城県・仙台市・山形県・福島県・栃木県・茨城県・群馬県・千葉県・千葉市・東京都(八王子市を除く)・神奈川県・横浜市・川崎市・相模原市・長野県・岐阜県・静岡県・愛知県(名古屋市を除く)・山梨県・新潟県・新潟市・石川県・福井県・三重県・京都府・京都市・大阪府・大阪市・堺市・兵庫県・神戸市・奈良県・鳥取県・島根県・岡山県・岡山市・徳島県・香川県・高知県・福岡県・佐賀県・熊本県・熊本市・宮崎県・鹿児島県・沖縄県

(引用:認知症介護研究・研修仙台センター「認知症介護基礎研修 e-ラーニングシステム」
/ https://dcnet.marutto.biz/e-learning/ 引用日2023/1/17)

受講料の支払い方法はクレジットカード決済、コンビニ決済、口座振り込みから選択することが可能です。事業者が複数名の受講料をまとめて支払う場合は事業所で別途手続きを行い、ライセンスキーの購入が必要となっています。

3-2. 認知症介護基礎研修の対象者

介護および福祉にかかわる特定の資格を持っている場合、認知症介護基礎研修受講の対象外となり、受講は不要です。

認知症介護基礎研修の受講対象者と対象外となる資格は以下の通りです。

【受講対象者】

介護に直接携わる職員のうち、医療・福祉関係の資格を有さない者(無資格者がいない訪問系サービス、福祉用具貸与、居宅介護支援を除く)

(出典:山口県「認知症介護基礎研修の受講義務免除資格等について」
/ https://www.kaigo.pref.yamaguchi.lg.jp/cms/file/2109/002589_f1.pdf

【義務化の対象外となる資格】

医療 ・医師
・歯科医師
・薬剤師
・看護師
・准看護師
福祉 ・介護福祉士
・社会福祉士
・精神保健福祉士
・理学療法士
・作業療法士
・言語聴覚士
・介護支援専門員
・実務者研修修了者
・介護職員初任者研修修了者
・生活援助従事者研修修了者
・介護職員基礎研修課程修了者
・訪問介護員養成研修(一級課程、二級課程)修了者
・認知症介護実践者研修(実践者研修、リーダー研修、指導者研修)修了者
・管理栄養士
・栄養士
・あん摩マッサージ師
・はり師
・きゅう師

(出典:山口県「認知症介護基礎研修の受講義務免除資格等について」
/ https://www.kaigo.pref.yamaguchi.lg.jp/cms/file/2109/002589_f1.pdf

【義務化の対象外となるケース】

・養成施設において認知症にかかわる科目を受講した者(卒業証明書および履修科目証明書により認知症にかかわる科目を受講していることが確認できることが条件)
・福祉系高校の卒業生
・人員配置基準上、従業者の員数として算定される従業者以外の者や、直接介護に携わる可能性がない者

(出典:山口県「認知症介護基礎研修の受講義務免除資格等について」
/ https://www.kaigo.pref.yamaguchi.lg.jp/cms/file/2109/002589_f1.pdf

基本的に認知症介護基礎研修の受講対象者となるのは無資格の介護従事者です。

しかし、医療分野の国家資格を持っている方は受講対象外となります。さらに、認知症に関わる科目を受講したことがある方、福祉系高校の卒業生の方も認知症介護基礎研修の受講対象外です。

認知症サポーター養成講座や認知症ケア指導管理士などの民間資格を持っていても対象外とはならず、認知症介護基礎研修の受講が必要です。

4. 無資格でもできる介護の仕事内容

無資格で介護業界に就職・転職する場合の有効な選択肢の1つは、介護助手(介護補助職・介護補助員)として働くことです。

以下では、介護助手が担当する主な仕事を4種類取り上げ、それぞれの概要を解説します。

4-1. 生活補助

介護老人保健施設や有料老人ホーム、グループホームなどのスタッフとして勤務し、高齢者の話し相手や食事の配膳・下膳、食事量のチェックなどを担当する仕事です。

入浴介助や食事介助といった直接的なサービスは介護職(資格保持者)が担当するため、利用者の身体に触れない業務全般を担当します。

4-2. 掃除・洗濯

介護助手は、居室や洗面所、浴室やトイレなどの環境整備も担当します。具体的には、介護老人保健施設などの共有スペースを掃除したり、整理整頓したりする仕事です。そのほか、洗濯物の回収や配布、洗濯、物品補充やゴミ捨て、ベッドメイクなどを担当することもあります。

入居者の介護度が低い場合は掃除・洗濯などを本人が担当するケースもあるため、担当業務の範囲は、就業先によって異なることが一般的です。介護助手は、介護職の指示に従い、任された仕事を確実にこなします。

4-3. 送迎業務

通所介護(デイサービス)や通所リハビリ、ショートステイ(短期入所生活介護)などでは、送迎業務が発生します。指定の時間に利用者の自宅などに出向き施設まで送ったり、帰宅手段を提供したりする仕事です。

介護職が送迎車に同乗する場合は運転手として、送迎業務をこなします。送迎業務のみを担当する場合、朝や夕方といった限定的な時間帯のみ出勤し、ワークライフバランスに考慮して働くことが可能です。

4-4. 事務系業務

介護老人福祉施設や医療法人、リハビリテーションセンターなどに勤務し、経理業務や医療事務、給料計算などを担当します。施設によっては備品の発注・郵送物の発送などを担当するケースもあり、事務系業務の詳細はさまざまです。

無資格で挑戦できる事務系業務の求人は「事務職募集」「経理事務職員募集」といった名称で掲載されるケースもあります。ワードやエクセルといったオフィスソフトの操作が得意な人、パソコン作業に抵抗を持たない人が活躍できる職種です。

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5. 無資格ではできない介護の仕事内容

介護老人福祉施設や介護老人ホーム、特別養護老人ホーム(特養)などにおける身体介助や生活援助は、無資格者も担当できます。ただし、身体介助や生活援助を適切に実施するためには一定の介護技術・知識を要するケースが多く、資格保持者や実務経験者のサポート業務を行うことが一般的です。

訪問介護における身体介護は、原則として介護職のみが担当できる仕事に該当します。ただし、2020年4月に新型コロナ感染拡大に伴う特例措置が出され、状況によっては無資格者による身体介護の提供も可能となりました。

訪問介護員の資格のない者であっても、他の事業所等で高齢者へのサービス提供に従事した事がある者であり、利用者へのサービス提供に支障がないと認められる者であれば、訪問介護員として従事することとして差し支えない。

(引用:厚生労働省「新型コロナウイルス感染症に係る介護サービス事業所の人員基準等の臨時的な取扱いについて」のまとめ」
/ https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000045312/matome.html

上記は一時的な措置であるため、原則的には「無資格者による訪問介護の提供は不可能」となります。

6. 無資格から介護業界で働くメリット

無資格から介護業界に就職・転職し、実務経験を積むキャリアには、さまざまなメリットが存在します。

以下では、無資格から介護業界で働くメリットをより詳しく解説します。

6-1. 資格取得の時間・費用がかからない

無資格から介護業界で働くメリットとして、資格取得の時間や費用がかからないという点が挙げられます。

認知症介護基礎研修はすべてeラーニングです。動画視聴のため手間もかからず、5つに分かれたカリキュラムの時間は合計約150分と短く、比較的すぐに受講が完了します。受講費用は3,000円なので、金銭的負担が少ない点も特徴です。

認知症介護基礎研修は動画を視聴し、確認テストを受ければ修了証を受け取れます。研修を受ければすぐに介護の現場で働けることは、大きな魅力です。

一方で、介護業界の入門資格である「介護職員初任者研修」を取得するためには、一般的に最短で1か月から1か月半程度の学習時間を要します。

「資格取得後に就職」といった選択肢を選ぶ場合、介護の現場に入るタイミングが遅れ、成長のチャンスを逃す原因になります。無資格から働くキャリアを選択することにより、資格取得に要する時間や、学習に伴う費用を節約し、いち早く現場経験を積めるでしょう。

6-2. 資格を取得しやすくなる

介護業界の実務経験を積むことで、資格取得の難易度も低下します。実務を通じて習得した知識やスキルは、資格取得を目指す際に流用できる可能性が高く、学習時間を短縮できます。

また、現在の職場が資格取得の支援制度を採用している場合、学習を進める際の金銭的負担を軽くできるのもメリットです。介護に関する資格を取得した場合、所定の手当が支給される求人も存在するため、就職・転職直後と比較して、年収アップの実現も見込めます。

6-3. 退職しやすい

無資格者でもなれる介護助手は、比較的代替人材を探しやすい職種であり、強引な引き留めを受けるリスクが低い と言えます。契約社員や派遣社員、アルバイト・パートといった雇用形態の求人も多く、短期間限定で働くことも可能です。

介護業界は慢性的な人手不足の状態にあるため、資格保持者の場合は「昇給を約束する」などの方法で、引き留めを受けるケースが見られます。断るのが苦手な人ほど退職の先延ばしを受けやすく、転職しづらくなる点はデメリットです。

「短期間で本当に辞めることはできるのか」と不安を感じる場合は、採用面接の場や雇用契約を結ぶ際に確認しましょう。面接担当者が返事を濁すようであれば、ほかの求人を検索する方法も一案です。

7. 無資格から介護業界で働くデメリット

無資格から介護業界で働くキャリアは多くのメリットがある一方、いくつかのデメリットも存在します。デメリットを理解せず見切り発車することは、後悔を招く結果となりかねません。

以下では、無資格から介護業界で働く際のデメリットを3つ紹介します。

7-1. 仕事を覚えるまでに時間がかかる

無資格で介護業界に就職する場合、仕事を覚えるまでに時間がかかり、不安を感じる状況が懸念されます。介護の現場は多忙であるため、十分な新人教育を受けられない就業先も存在します。

十分な新人教育を受けられないことは、スキルアップの機会を逃し、仕事を覚えるまでに時間がかかる原因です。無資格から就職・転職する際には就業先の教育制度をよく調べ、無資格者に対するサポート体制の存在を確認した上で、応募先の絞り込みを進めましょう。

7-2. 資格保持者よりも給料が低くなる

無資格で働く場合、介護系の有資格者よりも給料が低くなるというデメリットがあります。

【有資格者と無資格者の給料の差(2022年12月時点)】

資格名 給料
介護福祉士 331,690円
社会福祉士 352,560円
介護支援専門員 376,240円
実務者研修 302,500円
介護職員初任者研修 302,910円
保有資格あり 321,120円
保有資格なし 270,530円

(出典:厚生労働省「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要」
/ https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kaigo/jyujisya/22/dl/r04gaiyou.pdf

有資格者全体と無資格者の平均的な月給を比べると、およそ5万円の差があります。 資格ごとに手当の金額が異なるため給料は違うものの、無資格の状態が最も給料が低いのは言うまでもありません。

中でも介護支援専門員の資格を持っている場合が最も給料が高く、給料の平均は約37.6万円です。また、有資格者の中で約30.3万円と最も給料が低い介護職員実務者研修の資格保持者も、無資格者の給料平均である約27万円と比べると3万円も高いことが分かります。

働いていく中で資格を取れば収入アップも見込めますが、最初は周囲と比べると低い給料で働くことになる点を理解しておく必要があります。

7-3. キャリアアップが難しくなる

介護業界でキャリアアップを図るための常套手段は、介護福祉士などの専門資格を取得し、役職に就く方法です。

専門資格の受験資格を得るには、多くの場合、介護職初任者研修や実務者研修といった基礎資格を取得しなければなりません。無資格のままキャリアアップを目指すことは非効率で、能力や技能に応じた昇給・昇進が難しいケースもあります。

介護業界でキャリアアップを目指す場合、勤勉さや人間性、一定の業務スキルと専門資格取得など、多くの要件が必要です。任された仕事を確実にこなす傍らで資格取得を進め、管理者や施設長を目指すことがおすすめです。

8. 介護業界で働く上で取得したい資格

介護業界は未経験でも働ける業界ですが、スキルアップや業務範囲を広げるためにも資格取得は視野に入れておきたいところです。

今回は、初めに取得したい「介護職員初任者研修」と、実務を3年以上経験することで受験できる「介護福祉士」について紹介します。

8-1. キャリアアップしたい人におすすめの資格

介護業界でキャリアアップを目指す人には、介護支援専門員(ケアマネージャー)の取得がおすすめです。国や地方自治体の社会福祉サービスに関わり、安定的なキャリアの形成を希望する人は、社会福祉主事任用資格の取得を検討しましょう。

①介護支援専門員(ケアマネージャー)
介護支援専門員は、地方自治体・介護施設・利用者の連絡を調整したり、さまざまな人と連携して利用者とその家族に解決策を提案したりする専門家 です。 介護支援専門員の資格を取得することで、要支援・介護認定の申請書類・ケアプランの作成業務を担当できます。

ケアプランとは、高齢者や家族の話を聞き、一人ひとりに応じた介護計画書です。要介護認定を受けた人に対する計画は「ケアプラン」、要支援認定を受けた人に対する計画は「介護予防ケアプラン」といった名称で呼ぶケースもあります。

②社会福祉主事任用資格
社会福祉主事任用資格は、地方自治体において社会福祉主事として働くための必須資格 に該当します。社会福祉主事の主な仕事内容は、高齢者の自宅を訪問したり面談したりして心身の状況を把握し、必要な公的支援の内容や介護サービスを判断することです。

社会福祉主事任用資格の保持者は、介護施設への就職・転職に有利となるケースもあります。社会福祉施設の管理者募集の応募資格に明記されるときもあり、幅広い分野において重宝される資格です。

9. 無資格で就職面接を受けるときのアピールポイントは?

介護人材が不足しているとはいっても、有資格者のほうが就職に有利であることは間違いありません。

以下では、無資格で就職面接を受けるときに覚えておきたいアピールポイントを紹介します。無資格の状態で応募することを検討している方や、面接を受ける予定のある方は、ぜひチェックしてください。

9-1. 今までの経験をアピールする

介護職や介護ボランティアの実働経験がある人は、それらの経験をアピールしましょう。経験がない人はこれまでの職歴やアルバイト歴から、介護職に生かせることを探してみるとよい でしょう。

たとえば、高校時代にアルバイトで接客業をしていた人は、接客スキルを施設利用者への対応に生かせるとアピールできます。

また、販売業であればお客様にお礼を言われて嬉しかった経験、エステティシャンであればお客様に直接触れた経験があるなど、介護に関係しそうな内容であればアピールポイントとなります。

面接をする前に、これまでの経験を振り返ってみましょう。

経験が浅い?介護業界に転職する20代の職場選びのポイント

9-2. コミュニケーションスキルをアピールする

コミュニケーションスキルは、介護サービスを利用している人との会話だけでなく、同僚とのコミュニケーションにも役立ちます。

介護業界では、スタッフ間の人間関係が嫌になり辞めてしまう人も多く、人間関係による離職が多いことで困っている施設も少なくありません。

同僚となるスタッフと良い関係を作れる自信がある人は、経験を交えて面接官にアピールしましょう。

9-3. 仕事に対する向上心をアピールする

無資格で実務経験無しの場合、仕事に真摯に取り組む姿勢が大切です。無資格者や未経験者の場合、面接で見られる点は人間性ややる気、ポテンシャル です。

現在無資格でも、働きながら学習をして資格を取得し、専門知識を学んでスキルアップして活躍したいということを採用担当者に伝えましょう。また、仕事で接する介護施設の利用者さんは、各人が希望する対応方法がそれぞれ異なります。どうすればより快適に過ごせるか、喜ばれるかを常に探し続けられる人は、向上心があると評価されます。

介護関連の仕事は数字を追っていく職種ではありません。しかし、理念に共感し目標を掲げ、よりスキルアップしたいと向上心を見せながら働ける人は介護業界においてどの職場からでも歓迎されます。

10. 無資格の人が応募するときの履歴書の書き方

履歴書の志望動機は、書類選考の合否を左右する重要な項目です。介護業界で重宝される人の特徴や、介護施設の求める人物像と自分自身の性格を照らし合わせ、マッチング度合いの高い内容をアピールしましょう。

また、志望動機を書く際には、下記のような内容を含めることも大切です。

・ほかの介護施設ではなく応募先を選択するに到った理由
・求人情報や介護施設のホームページを読み、魅力に感じたポイント
・介護業界を志した理由や関心を持った経緯
・介護職として働き始めた後、理想に掲げる将来像やキャリアプラン

応募先を選択するに到った理由や介護業界に関心を持った経緯、理想に掲げる将来像が明確であるほど採用担当者の心に響きやすく、書類選考で有利に働く可能性が高い と言えます。

「両親の介護を経験した」「祖父が介護施設のお世話になり、介護職の重要性を実感した」など具体的なエピソードを交えつつ、魅力的な志望動機を作成しましょう。

書類選考で落とされにくい履歴書の書き方をご紹介!

11. 無資格から介護業界に転職する際のポイント

無資格・未経験から就職・転職する際のポイントは、以下の通りです。

・自分自身の希望する働き方を実現できる事業形態を選ぶ
入居系の介護施設は24時間体制でサービスを提供するため、夜勤を伴う職場と言えます。訪問系の介護サービスや通所系の介護施設は、主に日中に営業するケースが多く、夜勤を避けたい人でも働きやすい形態です。

・自分自身の思い描くキャリアプランに応じたサービス内容の求人を選択する
「訪問介護分野で活躍したい人は居宅サービス・通所介護分野で活躍したい人は施設サービス」など、長期的なキャリアプランに沿った応募先を検討しましょう。

・介護施設や事業所独自の研修体制が存在するかどうか確認する
OJT研修以外の研修制度・教育システムを持つ介護施設や事業所は無資格・未経験からでも挑戦しやすく、長期安定キャリアを形成しやすい環境と判断できます。

まとめ

介護業界は、高齢者の増加により介護人材の不足が予測されており、また資格よりも人柄のほうが重視される傾向にあるため、無資格の人でも転職できます。

無資格で働くことで、資格取得にかかる時間や費用を減らせる他、退職しやすいといったメリットがあります。ただし、仕事を覚えるまでに時間がかかったり、資格保持者よりも給与が低かったりするなど、デメリットも存在するため、転職する際にはよく検討しましょう。

無資格で就職面接を受ける際は、今までの経験をアピールしたり、コミュニケーションスキルをアピールしたりすれば、採用してもらいやすくなります。また、当記事で紹介した転職する際のポイントを押さえれば、採用率を上げることが可能です。

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※当記事は2024年1月時点の情報をもとに作成しています

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