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ケアマネジャーの年収|他職種との違いや年収1,000万を狙う方法も

公開日:2023.09.11 更新日:2024.10.01
ケアマネジャーの年収|他職種との違いや年収1,000万を狙う方法も

ケアマネジャーとは、介護サービスが必要な高齢者からの相談に応じて一人ひとりに合わせたケアプラン作成を行い、介護事業者との連絡調整を行う職種です。本人の希望や身体状況を考慮しながら、利用者の生活支援をするために最適なサービスを提案します。

(出典:厚生労働省「介護支援専門員(ケアマネジャー)」
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/0000114687.pdf)
(出典:福祉医療機構「介護支援専門員(ケアマネジャー)」/
https://www.wam.go.jp/content/wamnet/pcpub/top/fukushiworkguide/jobguidejobtype/jobguide_job07.html
)


当記事では、ケアマネジャーの年収相場について、介護業界の他職種との比較や勤務施設別での比較に加え、働き方の違いという観点からも詳しく解説します。ケアマネジャーが年収アップを目指す方法についても紹介するので、介護職として働いている方はぜひご一読ください。

1. ケアマネジャー(介護支援専門員)の年収・月収・賞与

厚生労働省が公表した「令和5年賃金構造基本統計調査」によると、ケアマネジャーの平均年収は約422万円、月収は約29万7,000円、賞与は約65万1,000円です。 ケアマネジャーは、比較的安定した給与をもらえる職業と言えます。

ケアマネジャーの給与を年収・月収・賞与にわけてまとめた表は、以下の通りです。

【ケアマネジャーの年収・月収・賞与】

男女平均 男性 女性
年収 約422万円 約463万円 約408万円
月収 約29.7万円 約32.4万円 約28.8万円
賞与 約65.1万円 約74.2万円 約62.1万円

(出典:厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査」
/ https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&stat_infid=000040163746

また、男女別で年収を比較すると、男性のほうが50万円ほど年収が高いことも分かります。勤続年数や就業場所によっても給与に違いが現れるでしょう。

1-1. 他の介護職種との比較

以下は、厚生労働省の「令和5年賃金構造基本統計調査」を参考に、ケアマネジャーの年収と、他の介護系職種の年収を比較した表です。

【ケアマネジャーとその他の介護職との比較】

職種 年収
ケアマネジャー 約422万円
介護職員 約371万円
訪問介護従事者 約390万円
栄養士 約390万円
准看護師 約407万円
理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・視能訓練士 約433万円
看護師 約508万円

(出典:厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査」
/ https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&stat_infid=000040163746

給与水準が低いと言われている介護業界の中で、ケアマネジャーの年収は他の介護職よりも、比較的高い水準を維持しています。しかし、看護師や理学療法士などと比較すると、やや年収は低めです。

また、勤務時間以外に対応が必要な職場では、オンコール手当がつく場合もあります。施設ケアマネの場合は、介護職と兼任している場合が多いでしょう。兼任の場合は、介護職と同等の基本給に資格手当や夜勤手当が加算されることで、総支給額が高くなる傾向にあります。

1-2. 勤務施設別での比較

ケアマネジャーの年収は、勤務する施設によって異なります。介護施設ごとのケアマネジャーの年収は下表の通りです。

【ケアマネジャーの勤務施設別の年収比較】

勤務施設名 平均年収
(平均月収×12か月分)
介護老人福祉施設 約498万円
介護老人保健施設 約477万円
介護医療院 約426万円
訪問介護事業所 約438万円
通所介護事業所 約376万円
通常リハビリテーション事業所 約428万円
特定施設入居者生活介護事業所 約437万円
小規模多機能型居宅介護事業所 約433万円
認知症対応型共同生活介護事業所 約432万円

(出典:厚生労働省「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果」
/ https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kaigo/jyujisya/22/dl/r04kekka.pdf

厚生労働省が公表する「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果」によると、ケアマネジャーの年収は、介護老人福祉施設が約498万円と最も高額です。その後、介護老人保健施設の約477万円、訪問介護事業所の約438万円と続きます。

最も年収の低い施設は通所介護事業所の約376万円で、介護老人福祉施設と比較すると、年収の差は約122万円です。通所介護事業所は日中のみの勤務のため、夜勤手当が付かないことが原因と考えられます。

2. ケアマネジャーが昇給する可能性はあるの?

ケアマネジャーは、基本的に経験を重ねるごとに基本給が上がっていきます。ケアマネジャーの経験年数による昇給については、以下の通りです。

【経験年数別・ケアマネジャーの平均基本給と賞与の比較】

経験年数 所定内給与額 賞与・その他の手当
0年 約27.5万円 約23.7万円
1~4年 約26.7万円 約50.4万円
5~9年 約27.8万円 約62.5万円
10~14年 約28.4万円 約65.4万円
15年~ 約29.8万円 約75.0万円

(出典:厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査」
/ https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&stat_infid=000040163754

厚生労働省の「令和5年賃金構造基本統計調査」によると、ケアマネジャーの平均給与額や賞与は、経験年数を重ねるごとに増加しています。初年度と経験年数15年以上の給与を比較すると、所定内給与額は約2万3,000円、賞与・その他手当は約51万3,000円上昇しており、経験により昇給に期待できる職業と言えるでしょう。

また、処遇改善加算によってケアマネジャーの年収は、毎年上昇傾向にあります。処遇改善加算とは、介護職員の賃金改善のために、要件を満たした介護事業所に加算される制度です。処遇改善加算は、約9割の介護事業所に支給されており、一時金や手当としてケアマネジャーの給料に反映されています。

(出典:厚生労働省「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要」
/ https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kaigo/jyujisya/22/dl/r04gaiyou.pdf#page=14

2-1. ケアマネは年収1,000万円になれる?

年収1,000万円以上を目指すには、月収70万円以上稼ぐ必要があります。ケアマネジャーとして働くだけでは、年収1,000万円に到達することは難しいでしょう。しかし、以下の2つの方法であれば、ケアマネジャーでも年収1,000万円を達成できる可能性があります。

・独立開業する
・管理者になる

介護支援事業所を独立開業すると、事業所に雇われて仕事をしているときよりも収入アップの可能性があります。開業した事業所の業績によって、年収1,000万円は夢ではないでしょう。

また、事業所の管理者としてキャリアアップすると、年収が上がります。介護労働安定センターが公表した「令和4年度介護労働実態調査」によると、介護老人保健施設や介護医療院の管理者の年収中央値は、1,000万円を超えています。資格手当のほかに、管理職の役職手当ももらえるようになり、年収1,000万円に到達できる可能性があるでしょう。

(出典:公益社団法人 介護労働安定センター「令和4年度介護労働実態調査」
/ https://www.kaigo-center.or.jp/content/files/report/2023r01_chousa_jigyousho_kekka.pdf#page=276

3. ケアマネジャーはライフスタイルに合わせて働き方を変えられる

居宅介護支援事業所に在籍するケアマネジャーの場合、日曜日や祝日が休みのことが多く、子育て世代が働きやすい環境と言えます。パートから正社員登用制度のある会社もあるため、子供が小さいうちはパート、子育てが落ち着いてきたところで正社員という働き方もできるでしょう。

また、あえて介護職と兼任する働き方もあります。「居宅介護支援事業所及び介護支援専門員の業務等の実態に関する考察」によると、他職種兼務の割合は約21%と割合は少ないものの、兼任している人もいます。

(出典:厚生労働省「(5)居宅介護支援事業所及び介護支援専門員の業務等の実態に関する調査研究事業」
/ https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000116471.pdf

現場感覚を活かしながらケアマネジャーとして働きたい人にとっては、兼任も選択肢の1つと言えるでしょう。

3-1. パート・アルバイトで働くケアマネの平均時給

以下では、パート・アルバイトで働く介護職の平均時給を紹介します。ケアマネの平均時給と比較できる表になっていますので、ぜひ参考にしてみてください。

【パート・アルバイトで働く介護職の平均時給】

職種 平均時給
介護支援専門員(ケアマネジャー) 1,340円
介護職員 1,140円
看護職員 1,450円
生活相談員・支援相談員 1,110円
理学療法士、作業療法士、言語聴覚士または機能訓練指導員 1,660円
事務職員 1,030円
調理員 980円
管理栄養士・栄養士 1,150円

(出典:厚生労働省「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果」
/ https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kaigo/jyujisya/22/dl/r04gaiyou.pdf

厚生労働省の「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果」によると、ケアマネの平均時給は1,340円です。 ほかの介護職員の時給と比較すると、理学療法士や看護職員に次いで高い水準であると分かります。

また、昨年のケアマネの平均時給は1,330円だったことから、時給は徐々に上昇しています。他の介護職の時給も上がっており、介護職の給料の低さが徐々に見直されていると言えるでしょう。

4. ケアマネジャーの働き方の違い

ケアマネジャーの働き方は、大きく分けて「居宅ケアマネ」と「施設ケアマネ」の2種類です。どちらもケアマネジャーとしての業務内容は同じですが、勤務先や収入の傾向などが異なる点として挙げられます。

ここでは、それぞれの働き方や収入の違いについて詳しく解説します。

4-1. 居宅ケアマネ

自宅で暮らす高齢者を対象として、利用者の自宅に訪問してアセスメントなどを行う働き方です。居宅ケアマネとして働くには、居宅介護支援事業所の従業員として勤める方法と、自身で独立開業する方法の2通りがあります。

居宅ケアマネとして働くメリットは、プライベートを充実させやすいことです。利用者の自宅で面談を行うため夜勤がなく、多くの場合は休日も固定されています。仕事とプライベートのどちらも充実させたい方には、居宅ケアマネが向いているでしょう。

ただし、居宅ケアマネは残業や夜勤がないため手当が少なく、施設ケアマネと比較すると給与が低くなる傾向にあります。

4-2. 施設ケアマネ

老人ホームなどの施設利用者を対象に、施設従業員として勤務する働き方です。

施設ケアマネとして働くケアマネジャーの多くは、ケアマネジャーとしての業務に加え、介護スタッフとしての業務も担うことになります。夜勤手当や残業手当がもらえることも多く、居宅ケアマネよりも給与が高くなるケースがあります。

また、施設ケアマネは居宅ケアマネよりも業務範囲が広いため、そもそもの基本給が高く設定されているケースも少なくありません。施設ケアマネとして働くデメリットには、夜勤や残業がある分プライベートとの両立が難しいこと、希望する日に休みが取りにくいことなどが挙げられます。

5. ケアマネジャーが年収をアップする方法

ケアマネジャーの年収をアップさせるには、さまざまな方法があります。具体的な内容は、以下の通りです。

●同じ職場で長く働き続ける
一般的に、ケアマネジャーは経験年数を重ねることで徐々に年収が高くなる傾向があります。基本給自体はあまり変化しないケースが多いものの、勤続年数が長くなると賞与が大幅にアップする施設も見られます。同じ職場で働き続けることで、年収を増やすことができるでしょう。

また、勤続年数が長くなればリーダーや責任者などの管理職として働くことも可能です。役職手当がもらえることで、さらなる年収アップが見込めます。

●介護福祉士資格を取得する
介護福祉士資格を取得していれば、ケアマネジメント業務と介護業務を兼任可能です。介護業務にも従事することで資格手当や夜勤手当が上乗せされるため、ケアマネジメント業務のみを行うよりも年収がアップします。

ケアマネジャーの受験資格には実務経験が必要であり、介護福祉士としての経験年数も条件を満たす対象となります。効率よくキャリアアップを目指すのであれば、介護福祉士として働いてからケアマネジャーの資格取得を目指すのが賢明です。

●主任介護支援専門員を取得する
ケアマネジャーとしての実務経験が5年以上あれば、研修の修了によってケアマネジャーの上位資格である主任介護支援専門員(主任ケアマネジャー)を取得できます。主任介護支援専門員はケアマネ業務に関するより専門性の高い知識を身につけており、人材育成や地域包括ケアにも携わる職種です。業務の責任は重い一方で、その分給与水準はアップします。

●施設ケアマネとして働く
施設ケアマネは、ケアマネジメント業務以外に介護業務にも従事します。基本給に加えて夜勤手当や残業手当がもらえるため、居宅ケアマネよりも給与水準が高くなるのが一般的です。現在居宅ケアマネとして働いている方は、介護施設などに就職して施設ケアマネになることで、年収アップを狙えるでしょう。

6. ケアマネジャーの今後の需要や将来性

年収1,000万円を狙える管理者の役職に就くためには、2027年4月以降主任ケアマネジャーの資格が必須です。そのため、主任ケアマネジャーの前提資格であるケアマネジャー資格の重要性は、今後も増加すると考えられます。

(出典:厚生労働省「居宅介護支援の管理者要件に係る経過措置及び地域区分について」
/ https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000576106.pdf#page=3

ケアマネジャーの資格試験の受験者は、年々増加傾向にあり受験者数が4万1,049人だった2019年と比較すると、2023年には5万6,494人と1万人以上増加しています。

(出典:厚生労働省「第26回介護支援専門員実務研修受講試験の実施状況について」
/ https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000187425_00010.html

また、少子高齢化が進む現在では、高齢者介護の専門的な知識を有しているケアマネジャーは、専門職としての活躍を期待される職業です。そのため、ケアマネジャーの将来性は、安定していると言えます。

7. ケアマネジャー資格を取る方法

「介護支援専門員実務研修受講試験」に合格し、「介護支援専門員実務研修」を修了すると、介護支援専門員の資格を取得可能です。

介護支援専門員実務研修受講試験の受験資格を得るためには、通算5年以上かつ900日以上介護福祉士や看護師、リハビリ職など特定の業務の実務経験が必要です。

現在介護職未経験の方は、まずは介護福祉士の資格取得がおすすめです。介護福祉士の資格取得にも、現場での介護業務の実務経験が3年必要になるため、 未経験者がケアマネジャーになるには最短で8年かかると考えておきましょう。

介護支援専門員実務研修受講試験の合格者は、合計87時間以上のカリキュラムがある実務研修を受けてケアマネジャーに必要な知識やスキルを身につけます。

修了後、登録申請をすると介護支援専門員証が都道府県から交付され、ケアマネジャーとして働けます。

(出典:福祉医療機構「1.実務研修受講試験からの流れ」
/ https://www.wam.go.jp/content/wamnet/pcpub/kaigo/caremanager/caremanagerworkguide/caremanagerworkguide_n002.html

介護支援専門員(ケアマネジャー)の受験資格とは?要件や流れを解説

まとめ

ケアマネジャーは、介護職の中でも給与水準が高い職種です。ケアマネジャーの働き方は、利用者の自宅に訪問する居宅ケアマネと、施設従業員として勤務する施設ケアマネの2種類です。施設ケアマネは夜勤・残業の手当があり、居宅ケアマネより収入が多くなる傾向にあります。

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