介護が大変な理由|肉体的負担・精神的負担の観点から解説
介護の仕事は大変だと言われることがあります。どのような仕事でも大変な面があるのは当然ですが、介護の仕事はどのような面が大変なのでしょうか。介護の仕事に興味があるものの、大変だという噂から、介護の仕事に不安を抱いている方もいるでしょう。
この記事では、介護の仕事の大変さについて、肉体的負担・精神的負担に分けて、詳しく解説します。また、介護の仕事のやりがいや、介護の仕事が大変だと感じた場合の対処法についても取り上げるので、ぜひご覧ください。
目次
1. 介護する方が感じる負担・大変さの種類
介護をする方が感じる負担には、主に肉体的な負担と精神的な負担の2種類があります。介護が必要な方の心身の状況によりその程度は異なりますが、非常に多くの方が悩みを抱えながら介護を続けています。介護する方が感じる負担・大変さの種類を見てみましょう。
1-1. 肉体的負担
介護が必要な方には思うように体が動かせず、身体介護が必要な方が多くいます。移動や着替え・入浴・排泄・食事など、その方の心身の状況に応じて必要な介護の範囲は異なります。要介護度が高くなるほどその負担は増大し、膝や腰の痛みなどの体の不調を訴える介護者の方も少なくありません。自分より体の大きい方の介助を行わなければならない場合も介護者の負担は大きいでしょう。
また、夜間に介助が必要な方や認知症で目が離せない方を介護している場合など、長時間気が休まらない状況も大変です。十分な睡眠が取れず、生活のリズムが崩れると疲れがなかなか軽減できません。介護はその日で終わるものではないため、これらの状況が長く続くことで疲労が蓄積してしまいます。
1-2. 精神的負担
介護による精神的な負担は、少なからず誰しもが抱えるものでしょう。肉体的な負担は精神的な負担にもつながります。慣れない介護へのプレッシャーやいつまで続くか分からない不安は計り知れません。
特に、介護を受ける方とのコミュニケーションが難しい場合や、認知症のある方の介護では、介護者の方のフラストレーションもたまってしまいます。強い口調になってしまったり、イライラしてしまったり、自己嫌悪に陥ってしまったりする方もいます。1人で抱え込み相談できない方も少なくありません。
2. 介護の仕事が大変だと言われる理由
高齢化が進み介護を必要とする高齢者が増え、介護職の需要は高まる一方です。しかし、介護の仕事はさまざまな要因や背景から大変だと感じる方が多く、慢性的な人手不足が続いている状態です。
介護労働安定センターの「令和4年度 介護労働実態調査結果」によると、労働条件等の悩み・不安・不満等に関して、全体の半数以上の方が「人手が足りない」と回答しています。
悩み | 比率(%) |
---|---|
人手が足りない | 52.1 |
仕事内容のわりに賃金が低い | 41.4 |
身体的負担が大きい(腰痛や体力に不安がある) | 29.8 |
健康面(新型コロナウイルス等の感染症、怪我)の不安がある | 29.0 |
業務に対する社会的評価が低い | 27.7 |
精神的にきつい | 26.8 |
有給休暇が取りにくい | 26.2 |
休憩が取りにくい | 22.6 |
夜間や深夜時間帯に何か起きるのではないかと不安がある | 16.1 |
(出典:介護労働安定センター「令和4年度 介護労働実態調査結果」
/
https://www.kaigo-center.or.jp/report/pdf/2023r01_chousa_gaiyou_0821.pdf)
表からは、肉体的負担や精神的負担が大きいと感じている方も多いのが分かります。その大変な仕事内容の割には社会的評価が低く、給料も見合っていないと感じる方も少なくありません。人手が足りないことで休憩や有給休暇が取りにくいのも、勤務をする上で不満につながります。
ここでは「介護の仕事が大変だと言われる理由」の代表的な4つの要因・背景について紹介します。
2-1. 人手が足りていない
介護労働安定センターの調査によると、労働条件等の悩み・不安・不満等の1位は「人手が足りない」ことです。介護職は仕事が大変というイメージが強いため採用が困難で、人材が確保できていません。
人手が足りていない状況は、さまざまな不満の原因です。1人にかかる業務負担が大きく、疲労は蓄積します。休憩も取りにくく、慢性的な残業が増えている職場も少なくありません。常に忙しく業務に追われ、利用者さんに対して思うようなサービスが提供できない状況はストレスの要因になるでしょう。
2-2. 有給・休みが取りにくい
慢性的な人材不足は、有給や休みが取りにくい状況を生み出します。ギリギリの人数でシフトを回している職場であれば、公休を組み入れるだけで精一杯な場合もあるでしょう。自分が有給を取ると、周囲の負担が増大するため気をつかってしまう方もいます。
他のスタッフと休みの希望が重ならないように、気を配らなければいけないのも大変な点です。土日祝日や年末年始、ゴールデンウィーク、お盆も誰かが出勤しなくてはなりません。家族や友人と休みを合わせたくても他のスタッフと希望が重なった場合には、誰かが犠牲になる場合もあります。
普段の仕事が大変な介護職こそ、休みをしっかり取ってリフレッシュしたいところですが、それが難しい場合もあります。
2-3. 人の死に立ち会う場面がある
介護現場では人の死に立ち会う場面があるため、不安や恐怖の感情から大変だと感じる方も少なくないでしょう。
看取りに対応していない介護施設もありますが、入居施設の介護職であれば看取りに関わることは避けられません。これまで元気に過ごされていた利用者さんが自然な最期を迎えられるケースもあります。特に夜間など人手が少ない時間帯に看取りの対応が必要になれば、不安は大きいでしょう。
「死」は避けられないものであり、利用者さんが穏やかな最期を迎えるための精神的なサポートは介護職にとって重要な仕事です。看取りケアに関わることを、やりがいと感じられればよいのですが、ショックが大きくなかなか気持ちが切り替えられない方もいるかもしれません。
2-4. 人間関係で悩むことがある
介護現場は、人とのコミュニケーションが重要な職場です。スタッフ同士や利用者さん、ご家族とのコミュニケーションがうまくいかなければストレスを抱えてしまいます。
忙しい職場で心にゆとりがなくなると、イライラして職員同士の摩擦が起きることもあります。幅広い年代の方が勤務しているので、コミュニケーションが取りにくい相手もいるでしょう。
介護職は1人で黙々とできる仕事ではなく、チームワークが悪ければ円滑に仕事が進められません。周囲とのコミュニケーションは避けて通れないため、人間関係の悩みも介護の仕事を大変だと感じる要因です。
3. 介護の仕事は大変だけど「やりがい」も大きい
介護の仕事は大変ですが、やりがいを感じながら働いている方も多くいます。介護職の方が感じられるやりがいには以下のようなものがあります。
(1)人の役に立てる
介護職は、介護が必要な方の役に立っているという実感が常に感じられる仕事です。高齢化が急速に進み深刻な人材不足に悩まされる介護業界において、介護職を選択したこと自体も社会の役に立っていると感じられる でしょう。
(2)利用者さんから感謝の言葉を聞ける
人の役に立っているという実感は、利用者さんからの感謝の言葉からも直接感じることができます。自分の行ったサービスにより利用者さんの心身の変化が生じ、笑顔が生まれると喜びもひとしおです。 「ありがとう」の感謝の言葉は、働く上でのモチベーションにもつながります。
(3)自分自身が成長できる
介護の仕事で、さまざまな方と関わることは自分自身の成長につながります。利用者さんは、自分たちの知らない時代をたくましく生き抜いてきた人生の大先輩です。会話や関わりの中から、多くのことを学ばせてもらえることがたくさんあります。介護でうまくいかなかったことや、人生の最期に立ち会う看取りケアなども貴重な経験になります。人との関わりや人生観など、深い学びが得られるでしょう。
(4)仕事自体に楽しさを感じられる
介護の仕事が大変だと感じる方がいる一方で、仕事自体が楽しいと感じている方も多くいます。介護職は、資格を取得したり役職がついたりして、キャリアアップもしやすい仕事です。 人との関わりや自分自身の成長に価値が見出せれば、介護の仕事自体に楽しさが感じられます。
4. 介護の仕事が大変だと感じた場合の対処法
介護の仕事が大変だと感じた場合は、まず信頼できる家族・友人・同僚などに話を聞いてもらいましょう。話を聞いてもらうだけでも気持ちが軽くなることもあります。
しかし、職場環境を改善するためには直属の上司に相談するのが1番です。自分の行動や考え方を振り返り改善に努めることも大切ですが、職場環境は自分の努力だけではどうにもならない問題もあります。上司に話すことにより、処遇の見直しや配置換えなどを検討してもらえるかもしれません。
それでも悩みが解消されない場合は、転職を検討してみるのも1つの方法です。介護の仕事と一口に言っても、事業形態や規模、運営母体などによりさまざまな職場が存在し、求人もたくさんあります。
また、自分の生活スタイルに合わせた職場選びも可能です。夜勤や不規則なシフトがない職場や、介護度が比較的軽い方が多い職場なども選択できます。仕事の大変さは職場によって異なり、大変に感じる職場もあれば、介護士にとって働きやすい職場環境もあり、さまざまです。
無理のない働き方で仕事が続けられるよう、早めに検討しましょう。
まとめ
介護の仕事は、肉体的な負担と精神的な負担の面で大変だと言われています。しかし、介護は人の役に立てる仕事であり、自分自身の成長にもつながる仕事です。そのため、介護の仕事は、大きなやりがいがあります。
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※当記事は2024年1月時点の情報をもとに作成しています
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