精神保健福祉士の平均年収はいくら?年収アップの方法も解説
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精神保健福祉士とは、精神的な障害を抱えた方のケアを多方面から行う専門職であり、主に精神保健福祉分野で活躍できる国家資格です。精神面で何らかの問題を抱えた方を対象に、専門的な知識をもって相談対応をしたり、日常生活や社会復帰を支援したりすることが仕事で、ストレス社会と言われる近年の日本社会においては需要の高まる職業となっています。
精神保健福祉士は医療機関のほか、介護施設・事業所や行政機関でも活躍でき、年齢・職場によって年収の相場が異なることも特徴です。そこで今回は、精神保健福祉士の年収事情を徹底的に解説します。加えて、精神保健福祉士の年収アップ方法も説明しているため、よりよい給料を得ながら活躍したいと考えている精神保健福祉士の方は、ぜひご覧ください。
目次
1. 精神保健福祉士の年収は?
精神保健福祉士とは、心に何らかの問題を抱えた精神障害者の自立した日常生活・社会復帰を支援する専門職です。問題解決に向けた相談業務・公的支援制度の紹介・自立した日常生活支援(自立訓練)などが主な仕事内容となっており、多方面から精神障害者をサポートします。なお、資格を取得するためには精神保健福祉士国家試験に合格しなければなりません。
(出典:厚生労働省「精神保健福祉士について」/ https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/seisinhoken/index.html)
精神保健福祉士は医療機関や介護事業所などさまざまなフィールドで活躍でき、勤務先によっては国家資格である精神保健福祉士を取得していることによって手当が支給されることもあります。実際に資格手当が支給されている施設の割合は34.8%であり、前回調査と比較して約7%上昇していることも分かりました。資格手当を支給する施設は、今後も増加することが見込まれるでしょう。
(出典:公益財団法人 社会福祉振興・試験センター「精神保健福祉士就労状況調査実施結果報告書(令和2年度)」/ https://www.sssc.or.jp/touroku/results/pdf/r2/results_04.pdf)
また、精神保健福祉士として働く方の雇用形態は、全体のうち80%が正規雇用となっている点も特徴です。また、平均年収は全体で約404万円ですが、性・年齢によっても水準が異なります。
男性 | 女性 | |
---|---|---|
全体 | 約4,630,000円 | 約3,770,000円 | 20代 | 約3,250,000円 | 約3,110,000円 | 30代 | 約4,200,000円 | 約3,510,000円 | 40代 | 約4,920,000円 | 約3,990,000円 | 50代 | 約5,410,000円 | 約4,510,000円 | 60代以上 | 約4,070,000円 | 約3,210,000円 |
(出典:公益財団法人 社会福祉振興・試験センター「精神保健福祉士就労状況調査実施結果報告書(令和2年度)」/ https://www.sssc.or.jp/touroku/results/pdf/r2/results_04.pdf)
精神保健福祉士の年収は、性・年齢だけでなく職場によっても差が生じることが特徴です。ここからは、精神保健福祉士の「年齢による年収の差」と「職場による年収の差」を詳しく紹介します。
1-1. 年齢による年収の差
精神保健福祉士の年齢による年収差は、下記の通りです。
平均年収(男女計) | |
---|---|
20代 | 約3,180,000円 | 30代 | 約3,855,000円 | 40代 | 約4,455,000円 | 50代 | 約4,960,000円 | 60代以上 | 約3,640,000円 |
(参考:公益財団法人 社会福祉振興・試験センター「精神保健福祉士就労状況調査実施結果報告書(令和2年度)」/ https://www.sssc.or.jp/touroku/results/pdf/r2/results_04.pdf)
精神保健福祉士の年収は、年齢が上がるにつれて増加傾向にあります。年齢が高いことは、すなわち1つの施設での勤続年数が長いとも読み取れるため、当然の結果でもあるでしょう。しかし、60代を超えると雇用形態が正規雇用から非正規雇用に変わるケースが増えるため、平均年収も大きく下がる傾向にあります。
1‐2. 職場による年収の差
精神保健福祉士の職場は多岐にわたり、給与や福利厚生の充実度も就職先によって異なります。ここでは、精神保健福祉士が働く代表的な施設ごとの年収を紹介します。
●医療施設
医療施設で働く精神保健福祉士の平均年収は、約396万円です。精神保健福祉士は医療施設において精神科クリニックや心療内科のある病院で勤務することが基本であり、病院の規模によって年収に幅があることも特徴と言えます。
精神科診療所 | 約3,610,000円 |
---|---|
精神科病院 | 約3,840,000円 |
精神科以外の医療機関 | 約4,270,000円 |
障害者福祉施設
障害者福祉施設で働く精神保健福祉士の平均年収は、約386万円です。精神保健福祉士は障害者福祉施設において障害者支援施設や相談支援事業所、基幹相談支援センターなどに勤務することが多く、精神疾患を抱えた利用者さまと直接的に関わる業務を行うことが特徴です。
障害者支援施設 | 約3,910,000円 |
---|---|
相談支援事業所 | 約3,860,000円 |
基幹相談支援センター | 約4,080,000円 |
障害者福祉サービス事業所 | 約4,000,000円 |
●行政施設
行政施設で働く精神保健福祉士の平均年収は、約485万円です。精神保健福祉士は行政施設において保健所や精神保健福祉センターなどに勤務することが多く、地方公務員としての給料規定にもとづいて給与が支払われます。勤続年数に伴って昇給しやすいことも特徴です。
保健所 | 約5,590,000円 |
---|---|
精神保健福祉センター | 約4,430,000円 |
都道府県庁 | 約5,380,000円 |
2. 精神保健福祉士の年収アップ方法は?
精神保健福祉士は、年齢が上がったりキャリア・経験を積んだりするにつれて、徐々に年収も上がっていくことが特徴です。しかし、さらなる高給を目指すためには、当然何らかの形で努力を継続することも重要となります。
そこで最後に、精神保健福祉士が年収アップを目指すためにできる方法を3つ紹介します。
2-1. ダブルライセンスを取る
ダブルライセンスの取得は、精神保健福祉士にとって最も効率的な年収アップ方法です。精神保健福祉士と相性のよい資格には、「社会福祉士」が挙げられます。社会福祉士とは、「ソーシャルワーカー」とも呼ばれる社会福祉に関する相談援助の専門職であり、精神障害者を対象とする精神保健福祉士に対して、社会福祉士はすべての人が支援対象になります。
資格を取得することで、基本給とは別に資格手当が支給されたり、精神保健福祉士としてだけでなく社会福祉士として働けたりするなど、キャリアが大幅に広がる点がポイントです。
精神保健福祉士が社会福祉士の資格を取得するためには、国家試験に合格する必要があります。国家試験を受験するためには、受験資格として「1~4年の実務経験と一般養成施設での勉強」が必須となることも覚えておきましょう。なお、精神保健福祉士の資格保有者は、試験の一部科目が免除されます。
(出典:公益財団法人 社会福祉振興・試験センター「社会福祉士国家試験」/ https://www.sssc.or.jp/shakai/shikaku/route.html)
2-2. 実務経験を積む
精神保健福祉士として着実に収入アップを目指すなら、実務経験を積み上げることが最も大切です。さまざまな功績を残した経験者は役職に就きやすく、役職手当を得られる可能性もあります。
しかし、役職に就くためには日々努力を継続しながら、周囲から認められるような働きをしなければなりません。加えて、上位の役職に就くことができればさらなる収入アップ・スキルアップも実現できる一方で、その分仕事量が増えることも留意しておきましょう。責任の重い業務内容も増える反面、やりがいも増大すると言っても過言ではありません。
2-3. 待遇のいい職場に転職する
現在の職場では理想とする給料を得られない・勤務環境に何らかの不満を抱えているという場合は、思い切って待遇のいい職場に転職することも1つの手段です。中でも、公務員として働ける行政機関は給料や福利厚生が特に充実しているため、転職先として視野に入れてみてもよいでしょう。しかし、行政機関に転職するためには、公務員試験を受ける必要があることも覚えておきましょう。
また、病院は規模が大きいほど好条件で給与額が高くなる傾向にあります。これまでの経験を活かして、待遇面の魅力的な職場に転職してみてはいかがでしょうか。転職に不安のある場合は、転職サイトが提供している「転職支援サービス」の利用もおすすめです。
まとめ
精神保健福祉士とは、心に何らかの問題を抱えた精神障害者の自立した日常生活・社会復帰を支援する専門職です。医療機関や介護事業所などさまざまなフィールドで活躍でき、全体のうち8割が正規雇用で働いていることも特徴と言えるでしょう。
精神保健福祉士全体の平均年収は約404万円ですが、性・年齢・職場によっても大きく異なることが特徴です。規模の大きい施設や行政機関で働く精神保健福祉士、さらに勤続年数の長い精神保健福祉士は、高い給料を得ている傾向にあります。
精神保健福祉士が年収アップを目指すなら、ダブルライセンスを取る・実務経験を積む・条件のいい職場に転職するの3つがおすすめです。転職を検討しているのであれば、ぜひ「マイナビ介護職」をご利用ください。マイナビ介護職の「無料転職サポート」では、業界に精通したキャリアアドバイザーがあなたにぴったりの精神保健福祉士求人をご紹介いたします。
※当記事は2022年8月時点の情報をもとに作成しています。
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