医療ソーシャルワーカー(MSW)の平均年収はいくら?給料アップを目指す方法を解説

公開日:2026.09.28 更新日:2026.09.28

医療ソーシャルワーカー(MSW)は社会貢献度が高く、やりがいも大きな仕事ですが、長く働くためには年収の目安や将来性についてきちんと把握し、自分に合った職場を見つける必要があるでしょう。

そこでこの記事では、医療ソーシャルワーカーの平均年収や、他職種との比較データを紹介します。あわせて、給料を上げるための方法についても解説するので、将来のキャリア設計にぜひ役立ててください。

1. 医療ソーシャルワーカーとは?

医療ソーシャルワーカー(MSW)とは、医療機関などで患者さんや家族の相談に乗り、経済的・心理的・社会的な課題の解決・調整、社会復帰の支援などを行う専門職です。

医師、看護師などの医療職は「病気の治療や健康の維持・回復」を目的にしていますが、医療ソーシャルワーカーは「病気に伴う生活の不安」に対応するため、さまざまな支援を行います。

厚生労働省が制定した「医療ソーシャルワーカー業務指針」により、医療ソーシャルワーカーの主な仕事内容は以下の8つに分類されています。

支援内容 具体例
意思決定支援 ● 所属する組織内および地域の多職種との連携
● 医療・ケアチームの一員としての課題解決に向けた調整・支援
心理的・社会的課題解決への支援 ● 生活と傷病の状況から生じる心理的・社会的課題の予測と発生予防
● 安心して療養生活を送ることで、ウェルビーイングを高められるような支援
入退院支援・療養支援 ● 療養環境の変化や、療養生活に伴い生じる心理的・社会的・経済的課題の予測と発生予防および早期対応
● 療養生活における個々のニーズに応じた調整や、課題解決に必要な支援
社会生活と治療の両立支援 ● 患者が治療を継続しながら社会に参加し、仕事・学業・育児・介護などとの両立を図るための支援
受診・受療援助 ● 患者や家族の意思に基づき治療を選択・実施していくための、受診・受療に関する支援
経済的課題の把握と解決に向けた支援 ● 患者や家族が活用できる行政サービスなどについての紹介・案内
組織内活動 ● 個別支援を通して得られた共通課題を組織的に解決するための体制整備
● 医療ソーシャルワーカー間および医療・ケアチーム内での業務の標準化
地域・社会活動 ● 関係機関、関係職種などとの連携・協働
● 地域共生社会の実現に向けた活動

参考:厚生労働省「医療ソーシャルワーカー業務指針の全部改正について」

医療機関内では、医療相談室や地域医療連携室などに所属し、社会福祉士・精神保健福祉士などの国家資格を持つ福祉の専門家として、患者さんや家族をサポートします。

2. 医療ソーシャルワーカーの平均年収

厚生労働省が運営する「職業情報提供サイト(job tag)」によると、「令和7年賃金構造基本統計調査」の結果に基づく医療ソーシャルワーカーの平均年収は441.7万円とされています。年齢別の年収推移は以下のとおりです。

年齢 平均年収
10代まで 247.3万円
20代前半 317.7万円
20代後半 361.3万円
30代前半 415.3万円
30代後半 433.9万円
40代前半 462.4万円
40代後半 470万円
30代前半 471.5万円
50代後半 481万円
60代前半 430.1万円
60代後半 401万円
70代から 397.1万円

参考:厚生労働省職業情報提供サイト(job tag)「医療ソーシャルワーカー - 職業詳細」

20代のうちは平均年収が300万円台となっていますが、30代・40代と経験を積むにつれて金額が上がり、50代後半にピークを迎えています。

ただし、医療ソーシャルワーカーの年収水準は、勤務する地域や医療機関の規模、経営母体などによって異なります。住宅手当、資格手当といった待遇が充実している職場を選ぶことで、生活のゆとりも大きく変わるでしょう。

3. 医療ソーシャルワーカーの年収は高い?低い?

医療ソーシャルワーカーの年収は他の福祉職と比べて、どれくらいの水準にあるのでしょうか。同じく、「職業情報提供サイト(job tag)」に掲載されているデータを基に、医療ソーシャルワーカーと他の介護・福祉関連職種の平均年収を比較してみました。

職種 平均年収
医療ソーシャルワーカー 441.7万円
ケアマネジャー 441.3万円
施設介護員 388万円
ホームヘルパー 381.9万円

参考:厚生労働省職業情報提供サイト(job tag)「医療ソーシャルワーカー - 職業詳細」「介護支援専門員/ケアマネジャー - 職業詳細」「施設介護員 - 職業詳細」「訪問介護員/ホームヘルパー - 職業詳細」

施設介護員やホームヘルパーなどと比較すると、医療ソーシャルワーカーの平均年収は高いことが分かります。ケアマネジャーと比較しても、同等かそれ以上の水準です。

医療ソーシャルワーカーの年収が他の福祉職より高い理由としては、「正社員の割合が高いこと」や「資格が必須の求人が多く、高い専門性が求められること」などが挙げられます。夜勤のある医療職と比較すると低くなるケースもありますが、介護・福祉業界のなかでは比較的安定した給与を得られる職種と言えるでしょう。

4. 医療ソーシャルワーカーの年収を左右するポイント

医療機関に勤務する医療ソーシャルワーカーの年収を左右するポイントとしては、以下のようなものが挙げられます。

● 運営母体
● 経験年数
● 勤務地
● 手当

それぞれについて、詳しく解説します。

4-1. 運営母体

医療ソーシャルワーカーの収入に大きな影響を与えるのが、勤務する医療機関の種類や経営規模です。一般的に、規模が大きく安定した経営を行っている母体が運営する施設では、給与水準も高くなりやすい傾向があります。

また、公立病院では、地方公務員として勤務するケースもあります。公務員の場合、経験(勤続年数)に応じて段階的に年収が上昇していくほか、ボーナスや各種手当も手厚いため、景気に左右されにくく安定した働き方ができるでしょう。

4-2. 経験年数

公務員でなくとも、勤続年数に応じて少しずつ年収が上昇していく職場は多く見られます。実際に元医療ソーシャルワーカーの筆者も、8年間で年収が約60万円アップしました。

最初のうちは収入に不安を感じることもあるかもしれませんが、焦らず実務経験を積み、相談援助の技術を高めていけば、昇給につながっていくはずです。

4-3. 勤務地

医療ソーシャルワーカーの年収相場は、勤務する都道府県やエリアによっても異なり、物価や賃金水準の高い都市部では、給与も高く設定されやすい傾向にあります。実際に、「職業情報提供サイト(job tag)」に掲載されているデータでは、東京都の平均年収が486万円であるのに対し、沖縄県は320.1万円となっており、160万円以上の差がありました。

ただし、都市部は家賃などの生活コストも高いため、額面の年収だけで判断するのではなく、生活のしやすさまで加味して検討することが大切です。また、地方であっても、地域医療の中核を担う大規模病院など、給与水準の高い職場であれば、安定した待遇が期待できます。

4-4. 手当

多くの医療機関では、社会福祉士や精神保健福祉士の資格があることを医療ソーシャルワーカーの採用条件としています。資格を持っている場合、基本給とは別に資格手当が支給されることが多いでしょう。

資格手当の金額は医療機関によって異なりますが、月額1万円前後が相場です。求人票を確認する際は基本給だけでなく手当の内訳も確認しておきましょう。

5. 医療ソーシャルワーカーが給料アップを目指す方法

医療ソーシャルワーカーが給料アップを目指すには、以下のような方法が考えられます。

● ダブルライセンスを取得する
● 管理職への昇進を目指す
● 年収の高い職場に転職する

それぞれについて見ていきましょう。

5-1. ダブルライセンスを取得する

すでに社会福祉士を取得している人でも、精神保健福祉士などの関連資格を取得することで、収入アップにつながる場合があります。一部の病院では、資格ごとに手当が設定されており、2つの資格にそれぞれ手当が加算されるケースがあるからです。まずは職場の給与規定を確認し、複数の資格に対して手当が支給されるかどうかをチェックしてみてください。

また、資格手当そのものが増額されなかったとしても、精神保健福祉士の資格を取得すれば業務の幅が広がり、職場での評価が高まる可能性があります。

5-2. 管理職への昇進を目指す

現場で実務経験を積み、相談室のリーダーや主任、課長などの管理職に就くことも、給料アップを目指す現実的な方法です。

勤続年数に応じて基本給が上がっていくケースが多いことに加え、昇進によって数万円単位の役職手当が加算される場合もあります。

5-3. 年収の高い職場に転職する

今の職場でこれ以上の昇給が見込めないと感じたときは、給与水準の高い職場へ転職するという選択肢もあります。

前述のとおり、職場やエリアによって給与水準は異なるため、同じ業務内容でも、職場を変えるだけで年収が大きくアップする事例も珍しくありません。ただし、好条件の求人は数が多くないため、日頃からこまめに求人情報をチェックしたり、転職エージェントを活用したりして、情報収集を続けることが大切です。

6. 医療ソーシャルワーカーについてのよくある質問

最後に、医療ソーシャルワーカーについてのよくある質問に回答していきます。

6-1. 医療ソーシャルワーカーになるにはどうすればいい?

厚生労働省の「職業情報提供サイト(job tag)」によると、医療ソーシャルワーカーになるには、「社会福祉士」か「精神保健福祉士」の資格を取得することが一般的とされています。そのため、まずは国家試験への合格を目指すことが、医療ソーシャルワーカーになるための第一歩と言えます。

参考:厚生労働省職業情報提供サイト(job tag)「医療ソーシャルワーカー - 職業詳細」

資格を取った後は、病院などの採用試験を受けますが、医療ソーシャルワーカーは1施設当たりの配置人数が少ないため、募集が出たら早めにチェックすることが重要です。

6-2. 医療ソーシャルワーカーに向いている人は?

医療ソーシャルワーカーに向いているのは、相手の話をじっくり聴き、困りごとの解決方法を一緒に考えられる人です。相談を受けるにあたっては、不安を抱える患者さんや家族の気持ちに寄り添いながら、焦らずに適切な解決策を見出す判断力・対応力が必要です。

また、病院では医師や看護師など、多くの専門家とチームで動きます。そのため、さまざまな立場の人と明るくコミュニケーションが取れる人も、現場で頼りにされるでしょう。

筆者の経験では、一度にたくさんのことを頼まれても、「まずはこれからやろう」と冷静に優先順位を付けられる人が、医療ソーシャルワーカーとして長く活躍できると感じます。華やかな役割ではないかもしれませんが、目立たなくとも誰かの人生を支えることにやりがいを感じる人にはぴったりの仕事です。

6-3. 医療ソーシャルワーカーに将来性はある?

医療ソーシャルワーカーは将来性が高いとされる職種の一つです。厚生労働省の「職業情報提供サイト(job tag)」でも、「社会が大きく変化する中で、治療との両立や社会復帰等を支援する医療ソーシャルワーカーの仕事はますます重要になってきている」と紹介されています。

参考:厚生労働省職業情報提供サイト(job tag)「医療ソーシャルワーカー - 職業詳細」

現在、日本では高齢化が進み、病院を退院した後の生活に不安や悩みを持つ方が増え続けています。そうした方にとって、病院と地域の橋渡し役になる医療ソーシャルワーカーは、なくてはならない存在と言えるでしょう。今後の需要の変化を見極めながら、専門的なスキルを身に付けておけば、長期的にキャリアを築けるはずです。

まとめ:医療ソーシャルワーカーの年収相場を知って自分らしく働ける職場を見つけよう

医療ソーシャルワーカーの年収相場は、働く場所や経験年数によって大きく変わります。数字だけを見ると低いように感じるかもしれませんが、資格を生かしてキャリアを積んでいけば、納得できる収入を得ることは十分に可能です。

医療ソーシャルワーカーは社会的に需要が高く、やりがいのある仕事です。紹介した年収相場を踏まえつつ、自分らしく働ける職場を見つけましょう。

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プロフィール

倉元せんり(Senri Kuramoto)

社会福祉士

大学卒業と同時に社会福祉士の資格を取得。約8年、医療ソーシャルワーカーとして勤務。出産・育児と同時に退職し、現在は福祉・金融系webライターとして、福祉やお金にまつわるさまざまな記事を執筆している。

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