看護師がケアマネジャーを目指せる?受験資格や転職のメリットを解説

看護師として働き続けていると体力的な不安などを感じ、転職を考える方も少なくありません。ケアマネジャーは看護師のキャリアアップとしておすすめの仕事ですが、自分にケアマネジャー受験資格があるのか分からず不安に感じる方もいるでしょう。
当記事では、看護師がケアマネジャーを目指すための方法を解説しています。看護師の経験を活かしたケアマネジャーになるメリットも紹介しているため、ぜひ参考にして今後のキャリアプランを考えましょう。
目次
1. 【看護師向け】ケアマネジャーの受験資格
ケアマネジャーの受験資格を得るには、2つのルートがあります。1つは保健医療や福祉に関する国家資格を取得し5年以上勤務すること、もう1つは生活相談員などの職に就き相談支援業務に5年以上従事することです。
保健医療や福祉に関する国家資格とは、医師・薬剤師・保健師・看護師・准看護師・社会福祉士・介護福祉士・精神保健福祉士などを言います。看護師資格はケアマネジャーの受験資格に該当するため、経験を積んだ看護師はケアマネジャーを目指すことが可能です。
なお、5年以上の実務経験とは、保有している国家資格の職務における実績で換算します。例えば看護師資格を保有していても、従事している仕事が事務職であれば実務経験になりません。
国家資格の職務に従事している場合は、非常勤やパート勤務も実績として換算できます。複数の職場で経験年数を通算できるため、転職経験がある方は現在の職場での勤務期間が短くてもケアマネジャーの受験資格があります。
(出典:福祉医療機構「介護支援専門員(ケアマネジャー)」/ https://www.wam.go.jp/content/wamnet/pcpub/top/fukushiworkguide/jobguidejobtype/jobguide_job07.html)
2. 看護師からケアマネジャーになるまでの流れ
ここで説明するのは、看護師からケアマネジャーになるまでの具体的な流れです。
■看護師からケアマネジャーになるまでの流れ
(1)保健医療福祉分野での5年以上の実務経験
(2)介護支援専門員実務研修受講試験
(3)介護支援専門員実務研修
(4)介護支援専門員証の交付
ケアマネジャーになるには、看護師経験を5年かつ900日以上積む必要があります。規定の業務経験を積んだ看護師は、ケアマネジャー試験の受験資格が得られ、都道府県ごとに行われる試験に申し込みが可能です。
ケアマネジャー試験の正式名称は「介護支援専門員実務研修受講試験」と言い、毎年10月頃に実施されます。試験場所は、現在働いている職場のある都道府県で受験するのが基本です。試験日や申し込み期間、必要書類は都道府県によって若干異なるため、期日に間に合うよう早めに受験要項を確認し、書類を準備しましょう。特に「実務経験証明書」は、勤務先から発行してもらう必要があり、時間がかかる場合があります。
試験はマークシート式ですが、介護支援や保健医療福祉サービスについて幅広い問題が出題されます。テキストや過去問題集を用いて計画的に試験勉強を進めましょう。
ケアマネジャー試験の合格者は、「介護支援専門員実務研修」を受講できます。試験に合格しただけではケアマネジャーになれないので、注意が必要です。研修内容は、「ケアプラン作成に関する専門知識」や「要介護認定に関する専門知識」です。講義・実習を合わせて87時間以上で構成され、ケアマネジャーとして働くための知識と技術を学びます。
研修修了後は、3か月以内に都道府県へ「介護支援専門員資格登録簿」の登録申請を行いましょう。登録申請と同時に「介護支援専門員証」の交付申請を行い、専門員証が交付されると、ケアマネジャーとして業務をスタートできます。なお、取得後も5年ごとの更新や実務者研修があるのは、専門性の高いケアマネジメントを継続するためです。
(出典:厚生労働省「介護支援専門員(ケアマネジャー)」/ https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/0000114687.pdf)
(出典:福祉医療機構「1.実務研修受講試験からの流れ」/ https://www.wam.go.jp/content/wamnet/pcpub/kaigo/caremanager/caremanagerworkguide/caremanagerworkguide_02.html)
3. ケアマネジャーの仕事内容
ここでは、厚生労働省の資料に基づくケアマネジャーの仕事内容について、居宅ケアマネ・施設ケアマネに分けて解説します。
●居宅ケアマネ
主に居宅介護支援事業所や地域包括支援センターで働いているのが居宅ケアマネジャーです。居宅ケアマネは、要支援・要介護認定を受けた利用者のためにケアプランを作成し、在宅生活を支援します。
利用者の希望に沿った介護サービスを提供するためには、利用者や家族のニーズを把握し、居宅サービス事業者などとの連絡調整が不可欠です。居宅ケアマネは、地域の社会資源を活用し、利用者が自分らしく生活するためのサポート役であり、高齢化が進む社会でいっそうの活躍が期待されています。
●施設ケアマネ
施設ケアマネジャーは、「施設サービス計画書」を作成し、施設利用者の日常生活を支援します。施設サービス計画書とは、入居者が自立した生活を営むために解決すべき課題・ニーズ・目標・必要なサービスなどを盛り込んだ支援プランです。施設では、施設サービス計画書を基にさまざまなサービスを提供します。
なお、施設ケアマネが活躍する場は、介護老人福祉施設・介護老人保健施設・介護療養型医療施設といった介護保険制度に基づく施設が多い傾向です。近年増加傾向にあるサービス付き高齢者向け住宅などでは、独自にケアマネジャーを配置している住宅もあり、ケアマネジャーの活躍の場は広がっています。
(出典:厚生労働省「介護支援専門員(ケアマネジャー)」/ https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/0000114687.pdf)
4. 看護師がケアマネジャーを目指すメリット3つ
看護師として働いている方がケアマネジャーを目指すメリットはさまざまです。ケアマネジャーを目指すべきか考えている方は、どのようなメリットがあるのか把握しておくと、キャリアを築きやすくなります。ここでは、看護師からケアマネジャーを目指す主なメリットを3つ紹介します。
4-1. 体力的な負担が少なくなる
ケアマネジャーの業務は、デスクワークや相談業務など、事務仕事の割合が多い傾向です。看護業務は肉体労働の割合が大きく、体力勝負とも言われています。ケアマネジャーになると、連絡調整などのために介護サービス事業者や利用者宅を行き来する機会はありますが、看護師の頃と比べ肉体的な負担が減るでしょう。
また、ケアマネジャーの仕事は日勤が中心です。夜勤や残業はほとんどない職場が多く、家庭やプライベートとの両立がしやすい環境と言えます。体力的な負担が減り、ワークライフバランスが取りやすいことがケアマネジャーになるメリットです。
4-2. 医療と介護の連携に看護師の経験を活かせる
看護師としての勤務経験は、医療的ケアが必要な利用者のケアプランを作成する際に役立ちます。ケアプランの対象となる利用者は、要支援・要介護の高齢者が中心です。利用者の中には、経管栄養や吸引といった医療サービスを必要とする方が少なくありません。医療的ケアの実態を知る看護師なら、医療サービスと介護保険サービスを組み合わせたケアプランを立案できます。
地域資源である病院などの医療機関と連携を取る際にも、看護師としての実績や専門知識が役立ちます。例えば、疾病による後遺症があり要支援・要介護状態になった利用者について、退院後の生活を支援するためには、医療の専門知識が必要です。看護師の経験は、高齢者の支援に欠かせない医療と介護の連携において、存分に活かせる実績です。
4-3. 地域包括支援センターへの転職が有利になる
看護師の専門性は、地域包括支援センターの業務で有利なため、センターへの転職がしやすくなります。地域包括支援センターは、地域で生活する高齢者の暮らしを支える機関です。高齢者や関係機関からの相談を受け、必要に応じて介護や保健医療サービスとつなげる業務を担います。
地域包括支援センターを利用する高齢者は、医療的ケアを必要としている方も多く、看護師経験のあるケアマネジャーなら、相談者も安心できるでしょう。看護師からケアマネジャーになれば、地域包括支援センターの転職においても有利です。
まとめ
5年以上現場で働いていた看護師にはケアマネジャーの受験資格があります。ケアマネジャーになると、看護師の頃と比べて体力的な負担が減るでしょう。また、地域包括支援センターなどへの転職にもメリットがあるため、キャリアアップが図りやすくなります。
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※当記事は2022年8月時点の情報をもとに作成しています
介護・福祉業界の転職事情|仕事の種類・平均給与・おすすめの資格
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