実務者研修の正式名称とは?履歴書の書き方やポイントを記載例とともに解説
【文/福田浩史(介護福祉士)】
介護福祉士を目指す方にとって、必要不可欠なのが「実務者研修」です。普段は「実務者研修」と呼ばれていますが、履歴書を書こうとするときに、「そういえば、実務者研修の正式名称って何だろう?」と疑問に思う方もいるかもしれませんね。
本記事では、実務者研修の正式名称や履歴書での書き方、押さえておきたいポイントについて、記載例を添えてわかりやすく解説します。これから就職・転職活動で履歴書を書く機会がある方や、試験を控えている方は、ぜひご一読ください。
目次
1. 実務者研修とは?履歴書に書くメリット
実務者研修とは、介護福祉士国家試験の受験資格を得るために必須の研修で、下の表のように合計450時間以上のカリキュラムが用意されています。具体的には通信学習とスクーリング(通学)、実習が組み合わされ、介護の基本から認知症・障害者支援、経管栄養や喀痰吸引などの医療的ケアまで、介護の専門的な知識が学べます。
旧ホームヘルパーなど特定の資格を保持している方は、一部の科目が免除されるため、最短約1か月、最長約6か月で取得可能です。
<資格ごとの修了認定科目>
| 教育内容 | 時間数 |
訪問介護職員研修 1級 |
訪問介護職員研修 2級 |
訪問介護職員研修 3級 |
介護職員基礎研修 | その他全国研修 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 人間の尊厳と自立 | 5 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | |
| 社会の理解Ⅰ | 5 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | |
| 社会の理解Ⅱ | 30 | 〇 | 〇 | |||
| 介護の基本Ⅰ | 10 | 〇 | 〇 | 〇 | ||
| 介護の基本Ⅱ | 20 | 〇 | 〇 | 〇 | ||
| コミュニケーション技術 | 20 | 〇 | 〇 | |||
| 生活支援技術Ⅰ | 20 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | |
| 生活支援技術Ⅱ | 30 | 〇 | 〇 | 〇 | ||
| 介護課程Ⅰ | 20 | 〇 | 〇 | 〇 | ||
| 介護課程Ⅱ | 25 | 〇 | 〇 | |||
| 介護課程Ⅲ(スクーリング) | 45 | 〇 | ||||
| 発達と老化の理解Ⅰ | 10 | 〇 | 〇 | |||
| 発達と老化の理解Ⅱ | 20 | 〇 | 〇 | |||
| 認知症の理解Ⅰ | 10 | 〇 | 〇 | 認知症実践者研修 | ||
| 認知症の理解Ⅱ | 20 | 〇 | 〇 | 認知症実践者研修 | ||
| 障害の理解Ⅰ | 10 | 〇 | 〇 | |||
| 障害の理解Ⅱ | 20 | 〇 | 〇 | |||
| こころとからだのしくみⅠ | 20 | 〇 | 〇 | 〇 | ||
| こころとからだのしくみⅡ | 60 | 〇 | 〇 | |||
| 医療的ケア | 50(※) | 喀痰吸引等研修 | ||||
| 実務者研修受講時間数 | 450 | 95 | 320 | 420 | 50 |
(出典:厚生労働省 実務者研修の指定基準について)
※〇の付いた欄が免除される科目です。
※「医療的ケア」には50時間とは別に演習を修了する必要があります。
ちなみに、実務者研修の正式名称は「介護福祉士実務者研修」といいます。介護福祉士の資格取得がまだでも、実務者研修を修了していれば履歴書に記載可能なので、その際は必ず正式名称である「介護福祉士実務者研修」と記載しましょう。
ところで、なぜ資格でもない実務者研修を履歴書に記載したほうがいいのでしょうか。メリットを次に説明していきます。
1-1. 初任者研修との差別化が図れる
実務者研修を修了していると、初任者研修と比べてできる業務の幅が広がり、差別化が図れます。特に、医療的ケアやサービス提供責任者の役割にも対応できる点は大きな強みです。また、学習時間が初任者研修の約3倍もあるため、より幅広い介護の知識が学習でき、喀痰吸引や経管栄養のスキル習得もできます。
たとえば、募集定員1名の求人に初任者研修修了者と実務者研修修了者が応募してきた場合、採用側は医療的ケアもできて即戦力となる、実務者研修修了者のほうに注目するでしょう。なかには、ユニットリーダーや夜間帯のリーダーを任せられるケースもあるため、施設側は実務者研修修了者を「配置基準を満たす即戦力」として評価しやすい傾向にあります。
1-2. 医療的ケアの基礎的な知識をアピールできる
実務者研修修了者は、カリキュラムで50時間の医療的ケアの基礎を学び、さらに別で用意されている実技演習で実施手順や物品準備、実施前後の報告・記録などを学習するため、医療的ケアの基本的な流れを習得できます。
転職の面接の際に、その点をきちんとアピールすれば、「介護現場で医療職と連携が図れる人材」と見なされるでしょう。
1-3. キャリアアップの見込みがある
実務者研修を修了すると、介護福祉士国家資格の受験資格が得られるだけでなく、ユニットリーダーやケアマネジャー、サービス提供責任者などへの道も開かれます。
厚生労働省の「訪問介護・訪問入浴介護(改定の方向性)」を見ると、サービス提供責任者の条件に「実務者研修修了者」と記載されています。つまり、介護福祉士を取得していない段階でも、サービス提供責任者として従事できるわけです。
なお、役職に就けば、手当が付いて収入アップにつながる可能性もあります。
2. 実務者研修の履歴書への書き方
履歴書に実務者研修について記入する場合は、「免許・資格欄」に書きましょう。手書きの場合は、にじみにくい黒のボールペンか万年筆で記入してください。鉛筆やシャープペンシルは、消えたり書き換えられたりする恐れがあるので使用しないほうが無難です。消せるボールペンも、熱で消えてしまう仕組みなので避けたほうがよいでしょう。
記入の際に間違えてしまった場合は、二重線で訂正するのではなく、新たに書き直すようにしてください。修正テープを使用するのも厳禁です。採用担当者に「丁寧さがない」と判断されたり、「志望意欲が低い」という印象を持たれたりする可能性があります。
2-1. 修了・修了見込みの記載例
履歴書の免許・資格欄へ実務者研修を記載する際は、以下のように書きましょう。
| 年 | 月 | 免許・資格 |
|---|---|---|
| 平成28 | 3 | 普通自動車第一種免許 取得 |
| 平成30 | 4 | 介護職員初任者研修過程 修了 |
| 令和元 | 8 | 介護福祉士実務者研修 修了 |
| 令和2 | 5 | 介護福祉士 取得 |
年号の表記に関しては、施設側からの指定がない限り、西暦と和暦のどちらでも問題はありません。ただし、どちらかに統一して記入するのが基本です。
3. 介護職の履歴書作成におけるポイント
介護職が履歴書を書くうえで気を付けたいポイントは、以下の3つになります。
・正式名称で記載する
・「修了」か「修了見込み」かを忘れずに記載する
・資格や研修の書き漏れがないかを確認する
順番に見ていきましょう。
3-1. 正式名称で記載する
実務者研修に限った話ではありませんが、履歴書の資格欄や経歴欄は、必ず正式名称で書きましょう。略称でも問題がない書類もありますが、履歴書は公的文書として扱われるので、正式名称が求められます。
次のようにきちんと正しい名称で表記しましょう。
| 初任者研修 | → | 介護職員初任者研修 |
| 実務者研修 | → | 介護福祉士実務者研修 |
| ケアマネ | → | 介護支援専門員 |
| ホームヘルパー2級 | → | 訪問介護員2級養成研修過程 |
学校名の場合は「〇〇県立○○高等学校」と記載し、会社名は(株)と略さずに「株式会社」と表記します。
3-2. 「修了」か「修了見込み」かを忘れずに記載する
介護福祉士実務者研修と記載した後には、1文字分のスペースを空けて「修了」と記載しましょう。研修中の場合は「修了見込み」と記載すれば、介護の専門的な知識を学んでいることがアピールできます。「まだ研修中だから書けない」などと思わずに、自信を持って書いてください。
実務者研修のような研修は「修了」と表記しますが、免許が与えられる介護福祉士などは「取得」と記載します。資格のなかでも、漢検や簿記など「合格証書」が発行されるものは、「合格」と記載しましょう。
3-3. 資格や研修の書き漏れがないか確認する
免許・資格欄を書く際は、資格や研修の書き漏れがないかを必ず確認しましょう。自身の取得した資格・研修をすぐに確認できるように、「修了証明書」などは1か所にまとめて保管するのがおすすめです。同じファイルに入れて、定期的に整理しておきましょう。
まとめ:実務者研修は積極的に履歴書に書こう
実務者研修は、免除科目がないと修了するまでに450時間以上もかかりますが、通信学習やスクーリングなどを活用すれば、働きながらでも問題なく修了できます。
実務者研修を取得しているかどうかで、専門的な知識に大きな差が生じます。また、実務者研修では、医療的分野の技術も習得できるため、転職活動時にアピールすれば「即戦力」と判断されやすいでしょう。従事できる業務の幅が広がり、収入が上がることも期待できます。
たとえ研修中であっても、介護の専門的な知識をアピールできるので、履歴書には忘れずに記載し、就職・転職活動に生かしましょう。
●関連記事:
・実務者研修は最短どのくらいの期間がかかる?受講のメリットも解説
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プロフィール
福田浩史(Hiroshi Fukuda)
介護福祉士
工業高校卒業後、ホテルと警備会社の勤務経験を経て、2014年から介護老人保健施設で働き始める。2018年に介護福祉士を取得。その後は、特別養護老人ホームに転職し介護の知見を広げる。難病が発覚したことをきっかけに現場を離れ、介護福祉士ライターに転身。「現場で働く介護士にエールを」をテーマに掲げ活動している。
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