【福島県】介護職員処遇改善加算の所得状況は?介護施策の状況も解説
福島県は平成23年の東日本大震災で甚大な被害を受け、地域の復興が進んでいる今でも介護施設で働く人材が不足しています。令和3年6月時点で福島県の人口の32.6%が65歳以上の高齢者であることから、介護職員処遇改善加算や介護職員等特定処遇改善加算を導入し、人材確保に努めている状況です。
(出典:福島県「過去の結果(年齢(5歳階級)別推計人口)」/https://www.pref.fukushima.lg.jp/sec/11045b/15859.html)
この記事では、介護職員処遇改善加算による平均給与の推移や、福島県における介護職処遇改善の取得状況を紹介します。福島県が実施している介護施策の状況も解説するため、福島県の介護職に転職を考えている人は、ぜひ参考にしてください。
※本文では、介護職員処遇改善加算(Ⅳ・Ⅴ)のデータにも触れておりますが、介護職員処遇改善加算(Ⅳ・Ⅴ)は令和3年3月31日で廃止されており、令和3年3月31日時点で算定している事業所については、令和4年3月31日までの算定です。
そのため、介護職員処遇改善加算(Ⅳ・Ⅴ)のデータは参考値としてご参照ください。
目次
1. 介護職員処遇改善加算とは?
介護職員処遇改善加算は、介護業界の人材不足を解消するために創設され、介護職の給与水準向上を目的としています。
以下では、「介護職員処遇改善加算」と「介護職員等特定処遇改善加算」の特徴を解説します。
・介護職員処遇改善加算
介護職員処遇改善加算は、すべての介護職員を対象とした制度です。加算は(Ⅰ)〜(Ⅲ)に分類され、キャリアパス要件と職場環境要件を満たす数によって変動します。加算率は、加算(Ⅰ)が最も高く、サービス内容によって若干異なります。
・介護職員等特定処遇改善加算
介護職員等特定処遇改善加算は、勤続10年以上の介護福祉士を対象にした制度で、月8万円もしくは年収440万円を超える処遇改善を行います。算定要件は介護職員処遇改善加算の加算(Ⅰ)~(Ⅲ)を満たしており、職場環境要件において「資質の向上」「労働環境・処遇の改善」「その他」のいずれかに取り組んでいることです。
施設が介護職員処遇改善加算・介護職員等特定処遇改善加算を取得するためには、必要な届出を自治体にする必要があります。
1-1. 介護職員処遇改善加算における平均給与の推移
介護職員処遇改善加算制度の導入によって、介護職員の平均給与は上昇しています。厚生労働省の「令和2年度介護従事者処遇状況など調査結果の概要(案)」で明らかになっている、保有資格別の給与の推移は下記の通りです。
※介護職員処遇改善加算(Ⅰ)~(Ⅴ)を取得している事業所のデータ
令和2年2月 | 平成31年2月 | 差 | |
---|---|---|---|
介護職員 | 315,850円 | 300,120円 | 15,730円 |
看護職員 | 379,610円 | 372,940円 | 6,670円 |
生活相談員 支援相談員 |
343,310円 | 332,980円 | 10,330円 |
理学療法士 作業療法士 言語聴覚士 機能訓練指導員 |
358,560円 | 349,190円 | 9,370円 |
介護支援専門員 | 357,850円 | 347,460円 | 10,390円 |
事務職員 | 311,120円 | 303,710円 | 7,410円 |
調理員 | 267,930円 | 261,180円 | 6,750円 |
管理栄養士 栄養士 |
319,680円 | 310,720円 | 8,960円 |
(引用:厚生労働省「令和2年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要」/https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000689849.pdf/引用日2022/3/1)
令和2年2月と平成31年2月の平均給与を比較すると、介護職員の給与は15,730円増加しています。生活相談員・介護支援専門員の給与も約10,000円上昇しています。
下記は、介護職員における勤続年数別の平均給与額の推移をまとめた表です。
勤続年数 | 令和2年2月 | 平成31年2月 | 差 |
---|---|---|---|
全体(8.1年) | 315,850円 | 300,120円 | 15,730円 |
1年 | 283,480円 | 258,260円 | 25,220円 |
2年 | 287,940円 | 271,770円 | 16,170円 |
3年 | 291,010円 | 277,120円 | 13,890円 |
4年 | 296,700円 | 282,210円 | 14,490円 |
5〜9年 | 307,980円 | 294,020円 | 13,960円 |
10年以上 | 350,820円 | 333,980円 | 16,840円 |
(引用:厚生労働省「令和2年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要」/https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000689849.pdf/引用日2022/3/1)
勤続年数にかかわらず、すべての介護職員の平均年収が上がっています。勤続年数が5年以上になると、月給30万円以上を得られる施設も少なくありません。
2. 福島県における介護職員処遇改善加算の取得状況
介護職員処遇改善加算の取得率は、9割以上の都道府県がほとんどです。しかし、介護職員等特定処遇改善加算は介護職員処遇改善加算よりも導入が遅かったため、全国的に見ても約6割〜7割の取得率になっています。
ここからは、福島県における介護職員処遇改善加算・介護職員等特定処遇改善加算の取得状況を紹介します。
2-1. 【厚生労働省】介護給付費等実態統計をもとにした取得状況
下記は、東京都福祉保健局「介護職員処遇改善加算等取得促進支援事業に係る取組事例集」をもとに、北海道・東北地方の介護職員処遇改善加算の取得状況をまとめた表です。
【北海道・東北地方】介護職員処遇改善加算の取得状況(令和3年1月サービス提供分) 単位(%) | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|
加算(Ⅰ) | 加算(Ⅱ) | 加算(Ⅲ) | 加算(Ⅳ) | 加算(Ⅴ) | 合計 | |
全国平均 | 80.0 | 7.1 | 5.3 | 0.2 | 0.3 | 92.9 |
北海道 | 79.7 | 7.5 | 5.1 | 0.2 | 0.1 | 92.7 |
青森県 | 83.4 | 7.6 | 3.6 | 0.1 | 0.3 | 95.0 |
岩手県 | 78.9 | 9.4 | 5.6 | 0.2 | 0.0 | 94.1 |
宮城県 | 80.6 | 9.1 | 4.3 | 0.1 | 0.3 | 94.4 |
秋田県 | 87.5 | 6.4 | 2.6 | 0.1 | 0.2 | 96.8 |
山形県 | 88.9 | 4.2 | 2.9 | 0.1 | 0.3 | 96.4 |
福島県 | 79.6 | 8.7 | 5.5 | 0.1 | 0.1 | 94.0 |
(引用:東京都福祉保健局「介護職員処遇改善加算等取得促進支援事業に係る取組事例集」/https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/kourei/hoken/shogu/R3_shoguu.files/jirei_torikumi.pdf/引用日2022/3/1)
※加算(Ⅳ・Ⅴ)については、令和3年3月末時点で同加算を算定している事業者について、1年の経過措置を設けた上で、令和2年度で廃止されています。
福島県の介護職員処遇改善加算を取得している施設の割合は、全国平均より上回っています。近隣県に比べて加算(Ⅰ)を取得している施設の割合が低いため、加算(Ⅱ)(Ⅲ)を取得している施設が職場環境などの改善を図れば、給与額が上昇する施設も増えるでしょう。
下記は、北海道・東北地方における介護職員等特定処遇改善加算の取得状況をまとめた表です。
【北海道・東北地方】介護職員等特定処遇改善加算の取得状況(令和3年1月サービス提供分) 単位(%) | |||
---|---|---|---|
加算(Ⅰ) | 加算(Ⅱ) | 合計 | |
全国平均 | 32.0 | 34.3 | 66.4 |
北海道 | 37.6 | 28.3 | 66.0 |
青森県 | 45.4 | 18.6 | 64.0 |
岩手県 | 44.8 | 22.3 | 67.1 |
宮城県 | 36.8 | 35.6 | 72.4 |
秋田県 | 46.5 | 25.2 | 71.7 |
山形県 | 50.5 | 20.0 | 70.5 |
福島県 | 36.4 | 27.9 | 64.2 |
(引用:東京都福祉保健局「介護職員処遇改善加算等取得促進支援事業に係る取組事例集」/https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/kourei/hoken/shogu/R3_shoguu.files/jirei_torikumi.pdf/引用日2022/3/1)
福島県における介護職員等特定処遇改善加算の取得率は、全国平均と同水準であるものの、山形県の70.5%や宮城県の72.4%より低くなっています。ただし、福島県で介護職員等特定処遇改善加算を取得する施設はこれから増加すると考えられるため、将来的には近隣県と同等の取得率になるでしょう。
2-2. 【公益財団法人介護労働安定センター】介護労働実態調査結果をもとにした対応状況
公益財団法人介護労働安定センターは、介護職の需要増加に対処するために設立された機関で、介護労働者雇用管理の改善・能力向上・福祉の向上を図っています。
下記は、公益財団法人介護労働安定センターが実施した「介護労働実態調査結果」をもとに、北海道・東北地方の介護職員処遇改善の状況をまとめた表です。
【北海道・東北地方】介護職員処遇改善加算の算定及び対応状況(令和2年度) 単位(%) | |||
---|---|---|---|
諸手当の導入・引き上げ | 一時金支給 | 基本給引き上げ | |
全国平均 | 61.6 | 57.6 | 35.3 |
北海道 | 62.7 | 55.0 | 32.6 |
青森県 | 64.2 | 59.1 | 34.3 |
岩手県 | 59.1 | 56.8 | 30.7 |
宮城県 | 58.5 | 55.9 | 34.7 |
秋田県 | 64.9 | 46.8 | 34.0 |
山形県 | 68.0 | 48.0 | 41.3 |
福島県 | 68.2 | 48.2 | 24.5 |
(出典:公益財団法人介護労働安定センター「―令和2年度 介護労働実態調査結果について―」/http://www.kaigo-center.or.jp/report/2021r01_chousa_01.html)
福島県は北海道・東北地方の中で、諸手当は同等の引き上げ率であったものの、基本給の引き上げ率は低い傾向です。今後、基本給の引き上げが行われると、福島県における介護職の給与水準はさらに上昇するでしょう。
下表は、介護職員等特定処遇改善加算の対応状況を示しています。
【北海道・東北地方】介護職員等特定処遇改善加算の算定及び対応状況(令和2年度) 単位(%) | |||
---|---|---|---|
職員全体の処遇改善 | 経験・技能のある介護職員の処遇改善 | 介護職員全体の処遇改善 | |
全国平均 | 38.5 | 31.4 | 29.2 |
北海道 | 38.1 | 32.0 | 29.4 |
青森県 | 35.7 | 31.0 | 33.3 |
岩手県 | 41.9 | 33.9 | 22.6 |
宮城県 | 29.3 | 28.0 | 42.7 |
秋田県 | 50.0 | 22.1 | 26.5 |
山形県 | 31.9 | 44.7 | 23.4 |
福島県 | 43.5 | 23.2 | 33.3 |
(出典:公益財団法人介護労働安定センター「―令和2年度 介護労働実態調査結果について―」/http://www.kaigo-center.or.jp/report/2021r01_chousa_01.html)
福島県は近隣県に比べて、介護職全体の給与ベースアップに力を入れている状況です。経験者・未経験者を問わず、介護職に携わる人材の定着が進められています。
3. 福島県が実施する介護施策の状況
福島県では、「ふくしま高齢者いきいきプラン2021」を策定し、職員が働きやすい介護施設を確保する取り組みを進めています。同制度では、処遇改善に取り組む施設に対して専門家を派遣し、介護職処遇改善加算・介護職員等特定処遇改善加算の取得を支援しています。
(出典:福島県「福島県高齢者福祉計画・福島県介護保険事業支援計画」/https://www.pref.fukushima.lg.jp/sec/21025c/fukushikeikaku8.html)
福島県では将来的に介護職処遇改善加算・介護職員等特定処遇改善加算を取得した施設が増えると予測されるため、介護職の給与水準は上昇するでしょう。
3-1. 【福島県】介護職員処遇改善加算を取得している傾向にある施設は?
ここでは、厚生労働省の「介護給付費等実態統計」をもとに、福島県で介護職員処遇改善加算の取得率が80%以上の施設・サービスを2つ紹介します。
介護老人福祉施設 |
---|
介護老人福祉施設は、介護を必要とする高齢者が入所する公的な福祉施設で、入浴や食事など日常生活全般を支援します。また、生活訓練を実施して利用者の在宅復帰をサポートします。 |
定期巡回・随時対応型訪問介護看護 |
---|
定期巡回・随時対応型訪問介護看護は、定期的に要介護者の自宅を巡回し、利用者に必要な介助を行います。利用者は、日中だけでなく夜間も介護サービスを受けることが可能です。 |
介護職員処遇改善加算の取得状況は、各職場の公式サイトを調べる必要があります。「マイナビ介護職」は、年収400万円以上の求人も多数取り扱っておりますので、給料アップを目的に転職する際にもご利用いただけます。
まとめ
介護職の処遇改善は、「介護職員処遇改善加算」と「介護職員等特定処遇改善加算」に分類されます。処遇改善が進められたことで、全国的に介護職の給与水準は上昇しています。徳島県における処遇改善の取得状況は、介護職員処遇改善加算が94%、介護職員等特定処遇改善加算が64.2%で、いずれも全国平均と同水準です。
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※当記事は2021年11月現在の情報をもとに作成しています
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