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【奈良県】介護職員処遇改善加算の取得状況は?介護施策の状況も解説

公開日:2023.02.05 更新日:2023.02.06

奈良県は高齢化が早い段階から顕著であり、10年以上も高齢化率が全国平均を上回っています。また、過疎化が進んでいる地域では高齢化率が60%前後になるなど、市町村ごとの高齢化率の格差が大きいことも課題となっています。

(出典:奈良県「奈良県高齢者福祉計画及び第8期奈良県介護保険事業支援計画」 /https://www.pref.nara.jp/dd.aspx?menuid=14366

高齢化に伴い介護人材のニーズは高まってますが、介護業界の人手不足は一向に解消されていません。そこで、国は介護職員の処遇改善を図っています。当記事では、介護職員処遇改善加算の仕組みや、奈良県における介護職員処遇改善加算の取得状況などを解説します。

※本文では、介護職員処遇改善加算(Ⅳ・Ⅴ)のデータにも触れておりますが、介護職員処遇改善加算(Ⅳ・Ⅴ)は令和3年3月31日で廃止されており、令和3年3月31日時点で算定している事業所については、令和4年3月31日までの算定です。

そのため、介護職員処遇改善加算(Ⅳ・Ⅴ)のデータは参考値としてご参照ください。

1. 介護職員処遇改善加算とは?

介護職員処遇改善加算は、「介護職員処遇改善加算」と「介護職員等特定処遇改善加算」の2つに分かれます。どちらも介護職員の賃金改善を目的として厚生労働省が制定した制度です。
事業者が加算届や計画書など定められた書類を各自治体に提出して申請します。

介護職員処遇改善加算は「キャリアパス要件」と「職場環境等要件」の2つの要件で5つに区分 されています。要件は加算(Ⅰ)~(Ⅲ)の3つの区分ごとに細かく設定されており、要件を満たす区分の加算を受けることが可能です。

介護職員等特定処遇改善加算は、技能や経験のある介護職員の処遇改善を目的 とする、介護職員処遇改善に加えて制定された制度です。勤続年数が10年以上の介護福祉士を対象に、月額8万円相当または年収440万円以上の処遇改善を行います。ただし、処遇改善加算の配分方法は事業所ごとに決めることができるため、必ずしも勤続年数10年や介護福祉士の資格が必須条件ではありません。

1-1. 介護職員処遇改善加算における平均給与の推移

厚生労働省の「令和2年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要(案)」によると、介護職員処遇改善加算が適用されている事業所では、2019年から2020年の1年間で月給・常勤の介護職員の平均給与が15,730円上昇しています。

また、勤続年数の長さに関わらずすべての年数で平均給与は上昇しています。特に上昇金額が高かったのは勤続年数1年の25,220円、次に勤続年数10年以上の16,840円です。介護職員処遇改善加算は、介護職の経験が浅い人の賃金水準向上にもつながっています。

(出典:厚生労働省「令和2年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要(案)」 /https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000689849.pdf

2. 奈良県における介護職員処遇改善加算の取得状況

奈良県の介護職員処遇改善加算と介護職員等特定処遇改善加算の取得率は、全国平均と同等の値です。特に、介護職員等特定処遇改善加算は運用期間が短く、全国的にまだまだ取得率の改善が見込まれます。介護職員等特定処遇改善加算の取得が進むことで、スキルアップや資格取得を目指す人の後押しになるでしょう。

以下では、奈良県と全国平均・関西地方の介護職員処遇改善加算の取得状況について比較します。

2-1. 【厚生労働省】介護給付費等実態統計をもとにした取得状況

下記は、厚生労働省の「介護給付費等実態統計」をもとに、2021年1月時点の関西地方の介護職員処遇改善加算の取得状況をまとめた表です。

【関西地方】介護職員処遇改善加算の取得状況 (令和3年1月サービス提供分) 単位(%)
加算(Ⅰ) 加算(Ⅱ) 加算(Ⅲ) 加算(Ⅳ) 加算(Ⅴ) 合計
全国平均 80.0 7.1 5.3 0.2 0.3 92.9
滋賀県 85.4 4.8 4.4 0.3 0.3 95.2
京都府 86.6 5.5 3.0 0.0 0.0 95.0
大阪府 78.8 7.8 5.1 0.2 0.2 92.0
兵庫県 80.3 7.6 4.5 0.3 0.1 92.8
奈良県 80.1 7.2 5.3 0.0 0.0 92.7
和歌山県 77.1 6.4 8.4 0.0 0.2 92.1

(引用:東京都福祉保健局「介護職員処遇改善加算等取得促進支援事業に係る取組事例集」/https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/kourei/hoken/shogu/R3_shoguu.files/jirei_torikumi.pdf/引用日2022/3/2)
※加算(Ⅳ・Ⅴ)については、令和3年3月末時点で同加算を算定している事業者について、1年の経過措置を設けた上で、令和2年度で廃止されています。

奈良県の介護職員処遇改善加算の取得状況は、全国平均と同等です。加算区分の加算(Ⅳ)と加算(Ⅴ)の取得状況が0%になっているのは、一定の経過措置期間後、廃止が決定していることが影響しています。

下記は、2021年1月時点の関西地方の介護職員等特定処遇改善加算の取得状況です。

【関西地方】介護職員等特定処遇改善加算の取得状況(令和3年1月サービス提供分) 単位(%)
加算(Ⅰ) 加算(Ⅱ) 合計
全国平均 32.0 34.3 66.4
滋賀県 37.1 33.0 70.2
京都府 46.8 27.6 74.4
大阪府 25.1 39.2 64.3
兵庫県 34.6 32.9 67.5
奈良県 28.6 37.7 66.3
和歌山県 28.1 28.5 56.5

(引用:東京都福祉保健局「介護職員処遇改善加算等取得促進支援事業に係る取組事例集」/https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/kourei/hoken/shogu/R3_shoguu.files/jirei_torikumi.pdf/引用日2022/3/2)

介護職員処遇改善加算と同様に、 奈良県の合計値は全国平均とほとんど変わりません。しかし、約4割の事業所が介護職員等特定処遇改善加算を取得していないため、まだまだ改善の余地があると言えます。介護職員等特定処遇改善加算の取得が進めば、特にリーダークラスの介護従事者の労働環境改善が見込まれるでしょう。

2-2. 【公益財団法人介護労働安定センター】介護労働実態調査結果をもとにした対応状況

「公益財団法人介護労働安定センター」は、厚生労働省が管轄する公益法人です。介護労働に関する総合的な支援を行う機関として制定されており、職場の環境改善や介護サービスの向上を目的に、事業所と労働者を対象にした「介護労働実態調査」を行っています。

下記は、公益財団法人介護労働安定センターの「介護労働実態調査」をもとに、2020年度の全国平均と関西地方の介護職員処遇改善加算の対応状況をまとめた表です。

【関西地方】介護職員処遇改善加算の算定及び対応状況(令和2年度) 単位(%)
諸手当の導入・引き上げ 一時金支給 基本給引き上げ
全国平均 61.6 57.6 35.3
滋賀県 54.7 61.6 26.7
京都府 61.7 55.6 42.0
大阪府 57.6 63.0 33.6
兵庫県 61.4 51.7 39.3
奈良県 58.6 60.0 28.6
和歌山県 57.9 70.2 31.6

(出典:公益財団法人介護労働安定センター「―令和2年度 介護労働実態調査結果について―」/http://www.kaigo-center.or.jp/report/2021r01_chousa_01.html

奈良県は一時金支給の割合は全国平均より若干高いですが、基本給の引き上げは全国平均を下回る状況です。また、諸手当の導入・引き上げも全国平均より低くなっており、一時金として介護職員処遇改善加算を支給する事業所が多数となっています。

下記は、介護職員等特定処遇改善加算の対応状況をまとめた表です。

【関西地方】介護職員等特定処遇改善加算の算定及び対応状況(令和2年度) 単位(%)
職員全体の処遇改善 経験・技能のある介護職員の処遇改善 介護職員全体の処遇改善
全国平均 38.5 31.4 29.2
滋賀県 42.9 25.0 30.4
京都府 42.9 25.0 32.1
大阪府 30.9 30.9 37.0
兵庫県 29.8 38.1 31.0
奈良県 50.0 32.6 17.4
和歌山県 22.2 48.1 25.9

(出典:公益財団法人介護労働安定センター「―令和2年度 介護労働実態調査結果について―」/http://www.kaigo-center.or.jp/report/2021r01_chousa_01.html

奈良県では、職員全体の処遇改善は全国平均より11.5%も進み、経験・技能のある介護職員の処遇改善も全国平均を上回っていることが分かります。しかし、介護職員等特定処遇改善加算の配分には一定のルールが設けられている影響からか、介護職員全体の処遇改善は全国平均を下回っている状況です。

3. 奈良県が実施する介護施策の状況

奈良県では、高齢化が進んでも住み慣れた地域で安全に暮らすことを目指す地域包括ケアシステムづくりに注力しています。地域包括ケアシステムにより、高齢者が各地域に増えることで、地域ごとに介護サービスや事業所のニーズが高まっていくと予想されています。

また、介護人材の職場定着と新規育成のため、魅力ある介護職場づくりを推進しています。その中でも、介護職員の収入アップを目的に介護職員処遇改善加算の取得を推奨しています。介護職員処遇改善加算の取得率がさらに向上することで、今後介護職の賃金や職場環境の改善が期待できるでしょう。

(出典:奈良県「奈良県高齢者福祉計画及び第8期奈良県介護保険事業支援計画」/
https://www.pref.nara.jp/dd.aspx?menuid=14366

3-1. 【奈良県】介護職員処遇改善加算を取得している傾向にある施設は?

奈良県において介護職員処遇改善加算の取得率が80%以上と高い水準の介護サービスは以下の2つです。

短期入所療養介護
短期入所療養介護は、普段は自宅介護を受けている人を短期的に受け入れる、医療機関や介護老人保健施設などが提供するサービスです。日常生活の介助から医療・看護ケア、リハビリまでを行います。通常の介護サービスとは異なり、治療が必要な人の介護となるため、一定の医療知識や高度な介助技術が求められます。

小規模多機能型居宅介護
小規模多機能型居宅介護は、「通い」「宿泊」「訪問」の3つのサービスを組み合わせた地域密着型の介護サービスです。サービスによって仕事内容は異なり、食事や入浴などの日常生活の介助からレクリエーションまで幅広くあります。利用者一人ひとりに向き合った介護を提供したい人に向いています。

実際に、短期入所療養介護や小規模多機能型居宅介護で介護職員処遇改善加算を取得しているかは事業所によって違います。処遇改善が進められているのか気になる場合は、事業所のホームページを確認し、問い合わせてみましょう。

給与や福利厚生を重視して転職したい場合は「マイナビ介護職」にご相談ください。マイナビ介護職では、専任のキャリアアドバイザーが豊富な求人数の中からご希望に合う求人を提案いたします。さまざまな勤務地、勤務条件からお仕事を探せますので、お気軽にご利用ください。

まとめ

奈良県は県全体で高齢化率が高く、介護人材の需要は年々高まっています。奈良県の介護職員処遇改善加算と介護職員等特定処遇改善加算の取得率は、全国平均とほぼ変わりません。特に短期入所療養介護や小規模多機能型居宅介護が、多くの加算を得ている傾向にあります。

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※当記事は2021年11月現在の情報をもとに作成しています

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