【和歌山県】介護職員処遇改善加算の取得状況は?介護施策の状況も解説
令和3年1月時点における和歌山県の高齢化率は、32.8%となっており、総人口の約3人に1人が65歳以上です。
(出典:和歌山県「和歌山県における高齢化の状況」 /https://www.pref.wakayama.lg.jp/prefg/040300/siryo/index.html)
和歌山県では、介護サービスを提供し続けるために、介護職員処遇改善加算などを活用し、人材の確保を進める計画を実施しています。
(出典:和歌山県「わかやま長寿プラン」 /https://www.pref.wakayama.lg.jp/prefg/040300/plan/index.html)
この記事では、介護職員処遇改善加算について・介護職における平均給与の推移を紹介します。和歌山県における介護職員処遇改善加算の取得状況・対応状況や、和歌山県で実施している介護施策の状況も解説するため、転職を検討している人は、ぜひ参考にしてください。
※本文では、介護職員処遇改善加算(Ⅳ・Ⅴ)のデータにも触れておりますが、介護職員処遇改善加算(Ⅳ・Ⅴ)は令和3年3月31日で廃止されており、令和3年3月31日時点で算定している事業所については、令和4年3月31日までの算定です。
そのため、介護職員処遇改善加算(Ⅳ・Ⅴ)のデータは参考値としてご参照ください。
目次
1. 介護職員処遇改善加算とは?
介護職における処遇改善加算は、「介護職員処遇改善加算」と「介護職員等特定処遇改善加算」に分類できます。下記では、それぞれの特徴を紹介します。
・介護職員処遇改善加算
介護職員処遇改善加算は、2011年まで行われていた「介護職員処遇改善交付金」が廃止になった後に、2012年から運用されています。職場環境等要件・キャリアパス要件を満たす数によって、加算(Ⅰ)~加算(V)の5段階に分かれます。加算率が最も高いのは、加算(Ⅰ)であり、同じ加算数であってもサービス内容によって加算率は変動します。介護職員処遇改善加算で施設に支給された手当金は、職員にすべて支払い切ることが原則です。ただし、配分方法は、施設によって若干異なる点に注意してください。
・介護職員等特定処遇改善加算
介護職員等特定処遇改善加算は、勤続年数が10年以上の介護福祉士を対象にした制度です。職場で最低1人以上、月8万円相当の処遇改善を行う、もしくは年収440万円以上にするというルールが設けられています。介護職員等特定処遇改善加算の取得は、介護職員処遇改善加算の(Ⅰ)~(Ⅲ)を満たしている施設、職場環境等要件の「労働環境・処遇の改善」「資質の向上」「その他」の区分で、1つ以上の取り組みを実施している施設であることが条件です。
介護職員処遇改善加算と介護職員等特定処遇改善加算は、どちらも要件を満たした施設のみが取得できます。処遇改善を取得する際は、施設単位で提出書類を用意し、自治体などで手続きする必要があります。
それぞれを取得している施設・取得していない施設では、給与額に差が見られるため、転職をする際は、介護職員処遇改善加算と介護職員等特定処遇改善加算の取得状況を確認しましょう。
1-1. 介護職員処遇改善加算における平均給与の推移
介護職員処遇改善加算が推し進められていることに伴い、介護職の給与水準は上昇しています。下記は、厚生労働省の「令和2年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要(案)」をもとに、平成31年2月と令和2年2月の平均給与を比較した表です。
平成31年2月 | 令和2年2月 | 差額 | |
---|---|---|---|
平均給与 | 300,120円 | 315,850円 | 15,730円 |
基本給 | 179,100円 | 182,260円 | 3,160円 |
手当 | 70,350円 | 78,440円 | 8,090円 |
一時金(賞与など) | 50,660円 | 55,150円 | 4,490円 |
(引用:厚生労働省「令和2年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要」 /https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000689849.pdf/引用日2022/3/2)
令和2年2月と平成31年2月の金額を比較すると、すべての項目で令和2年2月が上回っています。手当の上昇額が最も高く、約8,000円にも及びます。また、基本給が上昇したことに伴い、賞与などを含める一時金も上昇している状況です。
また、保有資格別に平均給与額の状況を見ると、下記のようになっています。
平均勤続年数 | 平成31年2月 | 令和2年2月 | 差額 | |
---|---|---|---|---|
介護福祉士 | 8.9年 | 313,590円 | 329,250円 | 15,660円 |
実務者研修 | 6.7年 | 288,890円 | 303,230円 | 14,340円 |
介護職員 初任者研修 |
7.3年 | 285,800円 | 301,210円 | 15,410円 |
保有資格なし | 5.5年 | 264,800円 | 275,920円 | 11,120円 |
(引用:厚生労働省「令和2年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要」 /https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000689849.pdf/引用日2022/3/2)
介護職の平均給与額は、保有資格の有無にかかわらず上昇しています。基本的に資格保有者は約15,000円、無資格者は約11,000円増加している傾向です。保有資格の種類に加えて平均勤続年数が長いと、給与額の上昇幅が大きいこともうかがえます。
2. 和歌山県における介護職員処遇改善加算の取得状況
介護職員処遇改善加算の取得率を全国的に見ると、ほぼすべての都道府県で90%以上を達成しています。一方で、介護職員等特定処遇改善加算は、介護職員処遇改善加算と比べて策定された年数が遅いため、取得率は全国的に60%台となっています。
ここからは、和歌山県における「介護職員処遇改善加算」「介護職員等特定処遇改善加算」の取得率・対応状況を紹介します。
2-1. 【厚生労働省】介護給付費等実態統計をもとにした取得状況
下記は、東京都福祉保健局「介護職員処遇改善加算等取得促進支援事業に係る取組事例集」をもとに、関西地方の介護職員処遇改善加算の取得状況をまとめた表です。なお、表中の数値は厚生労働省における「介護給付費等実態統計」のデータとなっています。
【関西地方】介護職員処遇改善加算の取得状況 (令和3年1月サービス提供分) 単位(%) | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|
加算(Ⅰ) | 加算(Ⅱ) | 加算(Ⅲ) | 加算(Ⅳ) | 加算(Ⅴ) | 合計 | |
全国平均 | 80.0 | 7.1 | 5.3 | 0.2 | 0.3 | 92.9 |
滋賀県 | 85.4 | 4.8 | 4.4 | 0.3 | 0.3 | 95.2 |
京都府 | 86.6 | 5.5 | 3.0 | 0.0 | 0.0 | 95.0 |
大阪府 | 78.8 | 7.8 | 5.1 | 0.2 | 0.2 | 92.0 |
兵庫県 | 80.3 | 7.6 | 4.5 | 0.3 | 0.1 | 92.8 |
奈良県 | 80.1 | 7.2 | 5.3 | 0.0 | 0.0 | 92.7 |
和歌山県 | 77.1 | 6.4 | 8.4 | 0.0 | 0.2 | 92.1 |
(引用:東京都福祉保健局「介護職員処遇改善加算等取得促進支援事業に係る取組事例集」/https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/kourei/hoken/shogu/R3_shoguu.files/jirei_torikumi.pdf/引用日2022/3/2)
※加算(Ⅳ・Ⅴ)については、令和3年3月末時点で同加算を算定している事業者について、1年の経過措置を設けた上で、令和2年度で廃止されています。
和歌山県における介護職員処遇改善加算の取得率は、大阪府の92.0%や奈良県の92.7%と近くなっています。和歌山県の加算(Ⅰ)の取得率は関西地方で最も低く、加算(Ⅲ)の取得率は最も高い状況です。
和歌山県では、介護職員処遇改善が進められる余地があると言えるため、今後も介護職の給与額は上昇するでしょう。
下記は、令和3年1月時点における、関西地方の介護職員等特定処遇改善加算の取得状況をまとめた表です。
【関西地方】介護職員等特定処遇改善加算の取得状況(令和3年1月サービス提供分) 単位(%) | |||
---|---|---|---|
加算(Ⅰ) | 加算(Ⅱ) | 合計 | |
全国平均 | 32.0 | 34.3 | 66.4 |
滋賀県 | 37.1 | 33.0 | 70.2 |
京都府 | 46.8 | 27.6 | 74.4 |
大阪府 | 25.1 | 39.2 | 64.3 |
兵庫県 | 34.6 | 32.9 | 67.5 |
奈良県 | 28.6 | 37.7 | 66.3 |
和歌山県 | 28.1 | 28.5 | 56.5 |
(引用:東京都福祉保健局「介護職員処遇改善加算等取得促進支援事業に係る取組事例集」/https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/kourei/hoken/shogu/R3_shoguu.files/jirei_torikumi.pdf/引用日2022/3/2)
和歌山県の介護職員等特定処遇改善加算の取得状況は、全国平均より低くなっています。しかし、 全国的に見ると50%前後の取得率の都道府県も複数あるため、和歌山県の取得状況は決して悪いとは言えません。
2-2. 【公益財団法人介護労働安定センター】介護労働実態調査結果をもとにした対応状況
公益財団法人介護労働安定センターは、介護労働者の雇用管理・能力開発・福祉の向上を支援する機関です。公益財団法人介護労働安定センターが実施した「介護労働実態調査結果」は、各都道府県の介護職員処遇改善などの対応状況などをまとめている資料です。
下記は、関西地方における介護職員処遇改善加算の対応状況をまとめた表です。
【関西地方】介護職員処遇改善加算の算定及び対応状況(令和2年度) 単位(%) | |||
---|---|---|---|
諸手当の導入・引き上げ | 一時金支給 | 基本給引き上げ | |
全国平均 | 61.6 | 57.6 | 35.3 |
滋賀県 | 54.7 | 61.6 | 26.7 |
京都府 | 61.7 | 55.6 | 42.0 |
大阪府 | 57.6 | 63.0 | 33.6 |
兵庫県 | 61.4 | 51.7 | 39.3 |
奈良県 | 58.6 | 60.0 | 28.6 |
和歌山県 | 57.9 | 70.2 | 31.6 |
(出典:公益財団法人介護労働安定センター「―令和2年度 介護労働実態調査結果について―」/http://www.kaigo-center.or.jp/report/2021r01_chousa_01.html)
和歌山県は、一時金支給の割合が関西地方で最も高くなっています。また、基本給の引き上げは、大阪府の33.6%に次いで4番目です。基本給は、残業代・賞与などのベースとなる金額であるため、基本給の引き上げが行われると平均給与のアップにつながりやすくなります。
下表は、関西地方における介護職員等特定処遇改善加算の対応状況を示しています。
【関西地方】介護職員等特定処遇改善加算の算定及び対応状況(令和2年度) 単位(%) | |||
---|---|---|---|
職員全体の処遇改善 | 経験・技能のある介護職員の処遇改善 | 介護職員全体の処遇改善 | |
全国平均 | 38.5 | 31.4 | 29.2 |
滋賀県 | 42.9 | 25.0 | 30.4 |
京都府 | 42.9 | 25.0 | 32.1 |
大阪府 | 30.9 | 30.9 | 37.0 |
兵庫県 | 29.8 | 38.1 | 31.0 |
奈良県 | 50.0 | 32.6 | 17.4 |
和歌山県 | 22.2 | 48.1 | 25.9 |
(出典:公益財団法人介護労働安定センター「―令和2年度 介護労働実態調査結果について―」/http://www.kaigo-center.or.jp/report/2021r01_chousa_01.html)
和歌山県では、他の都道府県に比べて、経験・技能のある介護職員の処遇改善に力を入れていることがうかがえます。経験者が今後も長く介護職に勤められる環境づくりに力を入れている状況です。
経験者が転職する場合は、「経験者優遇」と記載された求人を出している施設に転職することで、より給与アップを実現しやすくなるでしょう。
3. 和歌山県が実施する介護施策の状況
和歌山県が策定している「わかやま長寿プラン2021」では、介護人材を確保・育成する取り組みの一環として、「介護職場の労働環境・処遇改善」を進めています。同制度では、職場環境の見える化の推進を図り、職員が働きやすい環境づくりに注力している状況です。また、介護職員等特定処遇改善加算の未取得事業者に対して、事業所の意向を踏まえて取得促進も行っています。
和歌山県では、今後も介護職員処遇改善加算と介護職員等特定処遇改善加算のどちらの取得率も上昇するでしょう。
(出典:和歌山県「わかやま長寿プラン」/
https://www.pref.wakayama.lg.jp/prefg/040300/plan/index.html)
3-1. 【和歌山県】介護職員処遇改善加算を取得している傾向にある施設は?
ここでは、厚生労働省の「介護給付費等実態統計」において、介護職員処遇改善加算の取得状況が80%以上の施設・サービスで、和歌山県にあるものを2つ紹介します。
訪問介護 |
---|
訪問介護とは、利用者の自宅に直接訪問し、暮らしの援助を行うサービスを指します。基本的には、日中に利用者の介護を行うことが多く、夜勤が少ない職種です。利用者の自宅には1人で訪問することがほとんどで、介護に関する知見が求められます。 |
通所リハビリテーション |
---|
通所リハビリテーションは、利用者が自宅で生活を送り続けられるように、介助だけでなく機能訓練を行う施設です。介護老人保健施設の他、病院や診療所などから求人が出されており、職場の種類は多岐にわたります。また、通所リハビリテーションでは介護職員に加えて、理学療法士・言語聴覚士などの需要もあります。 |
転職したい施設で介護職の処遇改善加算が行われているかどうかを調べる際は、各職場のホームページなどを調べることをおすすめします。また、給与アップを目的に転職を検討している人は、ぜひ「マイナビ介護職」にご相談ください。マイナビ介護職では、求職者様の希望条件をヒアリングし、最適な求人をご提案いたします。
まとめ
介護職における処遇改善加算は、「介護職員処遇改善加算」と「介護職員等特定処遇改善加算」に分類できます。
近年は、国を挙げて介護職員処遇改善加算が推し進められたことに伴い、介護職の平均給与額は上昇傾向です。和歌山県では、今後も介護職員処遇改善加算の取得を支援する動きがあるため、介護職の給与額はさらに上昇するでしょう。
「マイナビ介護職」は、介護職専門の転職エージェントです。福利厚生が整った施設だけでなく、高収入が得られる施設の求人もありますので、希望条件に合った施設を見つけたい人は、ぜひマイナビ介護職にお問い合わせください。
※当記事は2021年11月現在の情報をもとに作成しています
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