看取りをする介護士が、人生の最期に寄り添い 別れの悲しみを乗り越えるために 浦安エデンの園(3)

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介護職は人の死や別れに直面する仕事。「浦安エデンの園」の看取り介護、家族へのケア、職員の心のケアについてうかがうと、入居者と職員それぞれの“心の平安”が垣間見えました。

穏やかな最期を......看取り介護で大切にしていること

自立時から介護が必要になったときまで、人生の後半を安心して送ることができる浦安エデンの園。ご入居者の多くがここで最期を看取ってほしい、と希望するといいます。

この施設では看取り介護をどのように行っているのか、ケアサービス課・介護居室係の介護職員、水澤雅敏さんにうかがいました。

「その方のペースに合わせ、寄り添った介護ができるようにと心がけています。例えば日を追って食欲がなくなってきたご入居者には、少しでも食事を摂っていただけるよう、1日3食にこだわらず、食べていただけそうな頃合いをみはからって1日2食にしたり、お出しする量を毎回調整するといった対応をさせていただいています」と水澤さん。

この看取り介護においても、「入居時自立」のホームだからこそ、できることがあるといいます。
「その方がお元気なときからの長いお付き合いですから、好きな食べ物や趣味を知っていることが役に立っています。お好みの料理を提供したり、好きなお花を部屋に飾ったり、好きな音楽のCDを流したり......。
その方が今まで生活してきたことを大切に、介護に携わらせていただいています」

職員の悲しみをやわらげるための心のケア

並んで座るケアマネジャー・介護福祉士の水澤さんと看護師の平野さん

並んで座るケアマネジャー・介護福祉士の水澤さんと看護師の平野さん

「ご入居者がお亡くなりになるのは、いつも悲しいです。また、2~3日前までお元気だったご入居者との突然の別れもあり、そのときのショックは大きいです。自分が介護福祉士としてその方の最期に、なんの看取り介護もして差し上げられなかったと思うと、つらいですね」と、水澤さんは話します。

長く一緒に過ごしてきた入居者さんを亡くした悲しみは、深いものがあるでしょう。しかし、その悲しみを重く背負いこんだままだと、介護のプロフェッショナルとして仕事を続けていくことが難しくなります。そこで特筆したいのは、浦安エデンの園では「亡くなったご入居者についての振り返りのカンファレンス」を実施していることです。

取り組みについて、ケアサービス課・課長で看護師の平野きくえさんにお話を聞きました。

「ケアサービス課の職員が中心になって、亡くなったご入居者のケアがどうだったのか、振り返る場です。
『もっとこうすれば、安楽に過ごせたのかもしれない』、『自分が行った介護はどうだったんだろう』と悩んでいることを話してもらったり、その方の思い出を語り合ったり。
私たちの気持ちを吐き出して悲しみをやわらげる場になっています。それと同時に、次につなげるための場でもあります。
精神的に落ち込んでいる介護職員がいたら、『こんなことができたんだから、良かったと思うよ』と励ましたり、『今後、こういう対応をしていこう』と前向きな意見を出し合います」

また、ご家族に対する心のケアも行っています。
「ご家族が荷物整理にいらっしゃった際に、暮らしの様子をお話させていただいています。悲しみに暮れるご家族から『今までありがとうございました』と感謝のお言葉をいただいたときのことは、忘れることはできません」と、水澤さん。
さらに介護職員自らが家族へ手紙を書き、故人をしのぶメッセージを伝えるといったこともしているそう。介護職員の悲しい感情を外に出し分かち合うことによって、徐々に現実を受け入れることにもつながっているのではないでしょうか。

人の死に直面することはつらく、乗り越えるのはたやすいことではありません。しかし、こうした「振り返りカンファレンス」「ご家族へのケア」などの取り組みが、介護職として多くのものを学べる機会になっているのでしょう。

入居者の共同墓苑で死後の安心を提供

花が供えられたエデンの園 共同墓苑

花が供えられたエデンの園 共同墓苑

エデンの園の興味深い取り組みとして、「共同墓苑」があります。
「お墓を継ぐ人がいない」「お墓が遠くてお墓参りに行けない」「お墓のことで子どもに迷惑をかけたくない」......。そんな入居者の悩みに応え、浦安エデンの園が開設されて間もないころに設けられた共同墓苑です。

施設から車で約1時間のところにある「弥生の里 自然聖園」(千葉県鎌ケ谷市)の一角に設置され、希望すれば宗教・宗派に関係なくご利用できます(入会金などの支払いが必要)。
共同墓苑には施設の入居者自身だけではなく、配偶者や父母なども一緒に入ることができるので、先祖代々のお墓の「墓じまい」をして、遺骨を共同墓苑に改葬する入居者も少なくないそうです。

年1回、お彼岸のころに慰霊祭を開催。親族のほか、「ゆくゆくはここへ入る」と決めている入居者が多数参加しているといいます。
こうした共同墓苑を選択する理由には、人生の終末を「終の棲家」でともに暮らした仲間と同じお墓に入り、旅立ったあともずっとつながっていられるという安心感があるからなのかもしれません。

このように自立していて元気なとき、要介護になったとき、そして死後と、入居者が安心して過ごせる環境、仕組みが整っている浦安エデンの園。そんな職場で働く職員もまた、安心と自信、そして誇りをもって働いているように感じました。

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プロフィール

小林裕子

フリーランスライター

介護雑誌『介護のことがよくわかる本』などで取材・執筆。プライベートでも実家の母親が要介護状態にあるため、よりよい介護の実践には強い関心をもっている。その他生活分野などで幅広く活動中。

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