介護職のストレスの原因と対処法とは?良い施設の選び方まで解説

介護職のストレスの原因は、職場環境や人間関係などさまざまです。介護の仕事を続けるうちに、キャリアアップや正規雇用などを目指して転職を考える人は少なくありません。この記事では、介護職におけるストレスの原因や対処法について解説します。良い施設の選び方など転職のためのポイントも紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
目次
介護職におけるストレスとは?
介護職によくあるストレス症状を紹介します。
バーンアウト(燃え尽き症候群)
「バーンアウト(燃え尽き症候群)」は、介護職に多いとされる心の病の一つです。ある日突然やる気を失い、仕事が手につかなくなります。食欲不振や不眠などの身体的な不調にも悩まされ、離職する人も少なくありません。
介護うつ
介護が原因で発症するうつ症状を「介護うつ」といいます。主な症状として、食欲不振・睡眠障害・強い疲労感・倦怠感などがみられます。精神的に不安定になり、仕事はもちろん日常生活にも支障をきたすため、早めの対処が必要です。
労災請求の多い介護職
ストレスが多い介護職では、精神疾患による労災申請が少なくありません。厚生労働省が発表したデータによると、2018年度の精神疾患による労災申請は1,820件でした。そのうち192件は「社会保険・社会福祉・介護事業」の従事者で、業種別では最多となっています。
介護職のストレスの原因
介護職のストレスの原因を解説します。
職場の人間関係
ストレスの原因として一番多いのが人間関係です。介護スタッフは年齢層が幅広く、経歴や価値観も異なります。性格的にあわない人とチームを組むこともあり、ストレスがたまりがちです。問題行動を起こす利用者がいる場合には、その対応に追われることもストレスにつながります。
慢性的な人手不足
高齢者に比べて若年層が少ないという現実に加え、事業所によりますが、介護職は重労働のわりに低賃金であることから離職率が高めです。業界全体が慢性的な人手不足で、事業所によってはサービス残業や休日出勤などを求められることも珍しくありません。その場合ゆっくりと休みをとることも難しく、心身の疲れでストレスがたまります。
身体的負担の増加
入浴介助・ベッド移動など介護のほとんどは肉体労働で、介護スタッフの多くは腰痛などの悩みを抱えています。夜勤で生活のリズムが崩れることもストレスの原因の一つとなります。身体的な負担が多く、家事や育児との両立が難しくなって離職する人も少なくありません。
身体的負担の増加
入浴介助・ベッド移動など介護のほとんどは肉体労働で、介護スタッフの多くは腰痛などの悩みを抱えています。夜勤で生活のリズムが崩れることもストレスの原因の一つとなります。身体的な負担が多く、家事や育児との両立が難しくなって離職する人も少なくありません。
賃金・休暇の少なさ
厚生労働省が発表した統計によると、2018年の介護職の平均年収(非常勤含む)は約320万円とされています。全産業における平均年収は約440万円です。飲食サービス平均などより高いものの、介護職は労働内容の割には給与水準が低く、報われない気持ちになりがちです。生活費を稼ぐためにアルバイトと夜勤を掛け持ちし、体調を崩すケースもあります。
※参考: 平成30年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要|厚生労働省
※参考: 平成30年分民間給与実態統計調査結果について|国税庁
職場の運営方法
職場の運営方法や経営方針がスタッフのストレス原因になることもあります。売上のために無理に利用者を増やしたり、イベント開催で休日出勤を強要したり、などにより介護スタッフの負担が増えます。不満から仕事への意欲が低下し、転職や離職につながるため、人手がますます不足するという悪循環により、介護スタッフのストレスは増すばかりです。
介護職のストレスへの対処法
なるべく早くストレスを解消するための方法を紹介します。
ストレスの原因を書き出す
ストレスの原因だと思われることをそのまま素直に紙に書き出してみましょう。汚い言葉やネガティブな言葉もそのまま書き出します。自分の感情を客観的にみることで、ストレスの本当の原因に気づくことができます。
人に悩みを打ち明ける
人に悩みを打ち明けることは大事です。誰かに愚痴や悩みを聞いてもらうだけでも気持ちがスッキリします。ただし、相手は家族や信頼できる友人など、職場とは無関係な人を選びましょう。職場での愚痴は上司や同僚の耳に入り、トラブルになる可能性があり、新たなストレスにつながります。
価値観の相違と割り切る
価値観の相違と割り切りましょう。価値観は、人によって異なります。自分の考えを押し付けたり押し付けられたりすることは、ストレスやトラブルの原因となります。気分を入れ替えることで、イライラやクヨクヨといった感情を長引かせないことが大切です。
リラックスできる方法を考える
映画・ショッピング・カラオケなど、自分がリラックスできる方法で気分転換をしましょう。仕事中にストレスを感じたときには、静かな場所に移動して深呼吸を1分間するだけでも気持ちが楽になります。目を閉じて深呼吸すると脳もリラックスできるため、さらに効果的です。
出勤前に湯を張ったお風呂に入るのもいいでしょう。
バランスの良い生活習慣をおくる
バランスの良い生活習慣をおくるように心がけましょう。シフト勤務の多い介護職は生活リズムが乱れがちです。夜勤による睡眠障害には注意が必要です。忙しくても睡眠時間はしっかり確保するようにしましょう。ウォーキングやストレッチなどの軽い運動なども、寝つきを良くする効果がありおすすめです。
リラックス休暇を取る
リラックス休暇を取得し、身体も心も休めましょう。人手不足のために休暇申請を行うのが、新たなストレスにつながる可能性もあります。しかし、ストレスで体調を崩してしまっては、かえって職場に迷惑をかけてしまいます。早めにストレスを解消するためにも、ゆっくり休んで気分転換することは大切です。
転職を考える
こまめに対策してもなかなかストレスが解消せず、どうしても耐えられなくなった場合には、転職を考えるのも良いでしょう。しかし、どんな職種・職場にもストレスはつきものです。転職を繰り返すことにならないように、慎重に考えることをおすすめします。
大変だけど働き続けるメリット
大変なことが多い介護職ですが、働き続けるメリットがあります。
キャリアアップできる
介護職は、年齢・性別・学歴に関係なくキャリアアップが目指せます。スキルを積んで資格を取得し、正規雇用や役職を目指すことも可能です。景気に左右されない業種のため安定して長く働けますし、役職に応じて給与アップも期待できます。
専門職へ転職できる
3年以上の実務経験を積み、実務者研修か、基礎研修と喀痰吸引等研修を受けると、国家資格である「介護福祉士」の受験資格が得られます。さらに、「介護支援専門員」や「社会福祉士」を取得すれば、ケアマネージャーやソーシャルワーカーといった専門職への転職が可能です。
高齢になっても働ける
一般的に40代からの転職は難しいといわれていますが、人手不足で需要が高い介護職は中高年でも転職が可能です。40~50代の未経験者でも採用される可能性が高く、定年を70歳以上に延長する施設も多いため、長く働き続けられます。
ストレスが少ない介護施設を選ぶポイント
ストレスが少ない介護施設を選ぶポイントを解説します。
施設内が清潔であるかを確認する
採用面接の際などに、ゴミやホコリがないか、トイレが清潔かなど、施設内の清潔感をチェックしましょう。不潔なまま放置されている施設は、設備管理やスタッフ教育が行き届いていない可能性があります。
スタッフの表情・態度をよくみる
採用後はともに働く仲間となるスタッフの年齢や人数をさりげなく観察して、良い関係を築けそうかをチェックしましょう。年齢層に偏りが少なくご利用者やスタッフに笑顔が多い施設なら、コミュニケーションが良好で比較的ストレスが少ないと考えられます。
キャリアアッププランがあるか確認する
勉強会・研修会・資格取得のサポートなど、キャリアプランがあるかを確認しましょう。スタッフのスキルアップに積極的な施設なら、教えてくれる先輩や同僚も多く、良い職場環境だといえます。正規雇用や管理職などへのキャリアアッププランの有無も確認しておくことよいでしょう。
ストレスが多いかも?避けた方がよい介護施設とは
ストレスが多いかもしれない、就業を避けたい介護施設の特徴を紹介します。
残業・休日出勤・夜勤が多い
面接時に「残業・休日出勤・夜勤の可否」を尋ねられた場合には、内容を詳しく確認しておきましょう。休日や労働時間については労働基準法に定められていますが、極端な人手不足が原因で守られていない可能性があります。
ハラスメントが多い
スタッフやご利用者に笑顔がなく重苦しい雰囲気の施設では、ハラスメントを始め、いじめなどが横行しているおそれがあります。面接官の態度にも注意し、高圧的であったり、無気力であったりする場合は、問題が多い施設であることが少なくありません。
医療行為を無理強いされる
看護師がいないことを理由に「簡単なことだから」などと医療行為を強要される施設は避けましょう。インスリン注射などの医療行為を介護スタッフに行わせる施設が存在します。医療行為は医療の有資格者でなければ行えません。
介護職を円満に退職する方法
介護職として働くうちに、待遇の良い職場や専門職を目指して転職を考えることがあるかもしれません。退職する際は、社会人としてきちんと手続きを済ませ、円満に退職するように心がけましょう。
退職までの計画を立てる
退職の意思表示は、法律では2週間前までとされていますが、職場によってどのくらい前までに申し出るか慣習が違うため、もめたくない場合はそれに合わせて計画をしっかりと立てましょう。職場の就業規則に退職についての記載があれば、それに従い、退職する時期を決め、そこから逆算して転職活動を開始します。
上司に退職希望を伝える
引継ぎや求人などを考慮して、上司に直接、退職希望を伝えます。退職理由を尋ねられた際には、場合によりますが職場への不満は主な理由としないほうが円満に退職できることは多いです。「チャレンジしたい仕事がある」「親の介護が必要」など個人都合は受け入れられやすいです。
退職届を出す
上司との話し合いで退職日が決定したら、退職届を提出します。退職届はインターネットからダウンロードすることもできますが、指定されたフォーマットがある場合には、それに従いましょう。
全員に周知し引き継ぎを行う
退職届を提出したら、職場全員に最終出社日・退職日を伝えて引継ぎを始めましょう。自分が退職した後もスムーズに仕事ができるよう、担当していた業務内容を記した引継ぎファイルかノートを作成しておくことをおすすめします。
まとめ
介護職はストレスが多く離職率の高い仕事ですが、やりがいもあります。環境の良い職場で正規雇用を目指してみてはいかがでしょうか。
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