介護福祉経営士とは?資格の概要から生かし方・メリットまでを解説!

介護従事者の方の中には、介護施設運営やマネジメントに携わりたい方もいるでしょう。介護福祉経営士の資格は、介護施設経営やマネジメント業務、人材育成や財務管理、サービス開発など、介護事業に関わる幅広い知識が学べる資格です。
当記事では、介護福祉経営士の資格について、受験の流れや取得するメリットなどを詳しく解説します。介護業界でのキャリアアップを目指したい方や、経営者として独立・開業を考えている方は、ぜひ参考にしてください。
1.介護福祉経営士とは?
介護福祉経営士とは、介護福祉事業に関する知識を修得し、実務の現場において発揮する人材を育成するための民間資格のことです。介護福祉事業の経営、マネジメントができる人材の育成を目的に、2013年に民間団体によって創設されました。
介護福祉経営士は、高齢化が進む日本社会において、より良質な福祉サービスの提供を目指し、介護保険だけではカバーできない地域のニーズに応える役割を担っています。仕事内容は、人事育成や労務管理、サービスの開発、財務管理など、多肢にわたります。
(出典: 日本介護福祉経営人材教育協会「介護福祉経営士とは」)
資格取得者は、介護福祉事業運営に関する知識の全般を修得している証明になるため、介護事業の立ち上げを考えている方には、スキルアップの手段としておすすめの資格です。
資格を生かせる場面・職場
介護福祉経営士の資格は主に、介護福祉事業の経営やマネジメントに関する業務で生かせます。下記では、資格を生かせる主な仕事内容について具体的に解説します。
・人材管理・育成と職場環境の改善
介護職員の働きやすい環境を整えることは、介護福祉経営士として重要な仕事です。キャリアアップ制度の充実や職場環境の改善、職員のやる気やモチベーションを高められるよう人材管理・育成など行います。
・サービスの向上や地域包括ケアの推進
利用者さんのニーズに応えた良質なサービスの開発や、予想されるトラブルの対応を考えるなど、リスクマネジメントに取り組みます。また、福祉と介護・医療機関の間を結びつける地域包括ケアを実現していくことも、役割の1つです。
・介護福祉関連の法律制度への対応や理解
介護福祉に関連する法制度や仕組みの正確な理解も必要です。介護福祉事業の経営に関わる、介護保険法や介護報酬制度などの法律や制度・知識を身につけて対応します。
・事業の経営・財務管理
経営に必要な資金調達やコスト削減、補助金の活用など、介護福祉事業のマネジメントを行います。補助金・助成金などの公的制度を活用し、財務管理・経営改善に努めることも重要な役割です。
・利用者層への広告・マーケティングや広報活動
介護を必要とする方に向けた、広告活動やマーケティングも重要な仕事です。また、必要なサービスの把握や経営のIT化、利用者獲得のための営業なども率先して行います。
2.介護福祉経営士の資格を取るには?
介護福祉経営士の資格には、2級と1級の段階が定められており、2級が基礎知識、1級は専門的な知識と実践力を問う内容となっています。介護福祉経営士になるには、2級と1級いずれも試験に合格した上で、登録審査による資格認定を受けることが必要です。
下記では、資格を取るための方法や手順について解説します。
受験資格
介護福祉経営士の受験資格は、2級と1級では要件が異なります。
介護福祉経営士2級では、資格認定試験の受験資格は特に定められておらず、年齢や学歴、国籍等の制約もありません。一方で、介護福祉経営士1級は、介護福祉経営士2級の正会員であることが受験要件として定められています。なお、2級・1級ともに「成年被後見人および被保佐人でないこと」が条件です。
(出典: 日本介護福祉経営人材教育協会「認定区分/受験資格/出題科目」)
受験の流れ
介護福祉経営士の受験は、公式サイトから申し込みが必要です。試験はJ-Testingというサービスを使った「CBT方式」で実施されます。CBT方式は、問題用紙やマークシートなどの紙を使わずにパソコンを使用する試験方法です。
受験後はその場ですぐに合否判定が出て、試験合格者には証明書が発行されます。合格後は資格認定の手続きが必要です。2級と1級どちらの試験でも、試験に合格しただけでは「介護福祉経営士」に認定されないため、注意しましょう。
介護福祉経営士2級では、6か月以内に「一般社団法人日本介護福祉経営人材教育協会」の入会手続きを行い、完了すると資格認定を受けられます。また、介護福祉経営士1級の場合、「介護福祉経営士実践研修」の受講が必要です。実践研修を受講し課題を提出後、等級変更申請および審査を経て、介護福祉経営士1級に認定されます。
(出典:日本介護福祉経営人材教育協会「資格認定の流れ」)
(出典:日本介護福祉経営人材教育協会「更新の手続き/等級変更の手続き」)
試験概要
試験の概要については、2級と1級で設けられている出題数と試験時間が異なります。いずれも60%以上の得点率で合格です。受験日は3か月先まで設定可能な上、再受験については特に制限がありません。受験当日は顔写真付きの身分証明書1点もしくは、顔写真無しの身分証明書が2点必要です。
介護福祉経営士試験の試験概要 | ||
---|---|---|
2級 | 1級 | |
問題数 | 40問 | 50問 |
試験時間 | 60分 | 80分 |
受験費用 | 9,000円 | 10,400円 |
出題傾向と学習方法
試験の出題内容は、2級は介護福祉経営学基礎1と基礎2の内容で構成され、1級は介護福祉経営学実践1と実践2、さらに総合問題で構成されています。学習方法は、学習テキストを使用した独学と、公式で行われている試験対策講座を受講する方法があります。
学習テキストは、公式サイトで推奨されている「介護福祉経営士テキストシリーズ」がおすすめです。介護・医療の現場、教育、経営など各分野で活躍する執筆陣によってまとめられており、介護福祉経営の知識を体系的に修得できる内容となっています。
また、試験対策講座は会場での受講と、Zoomを使用したWEBでの受講が選べます。介護福祉経営士テキスト基礎編全10巻をテキストに使用されるため、持参もしくは、当日購入する必要があります。会場とZoomどちらの受講でも、事前の申し込みが必要です。
試験対策講座の概要 | |
---|---|
時間 | 9:30~17:30 |
受講料 | 1日講座 15,000円 |
会場受講 | S-GATE八丁堀 |
3.介護福祉経営士の資格を取るメリット
下記では、介護福祉経営士の資格を取得するメリットを3つに分けて解説します。
・経営について学べる
施設長や管理者などの経営者は、施設の仕組みや資金計画策定の他に、公的な補助金・助成金、介護福祉関連の法律など、総合的な知識が求められます。介護福祉経営士資格を取得するにあたり、マネジメントや財務など、経営ノウハウを幅広く身につけられるため、将来的に独立・開業を考えている方におすすめです。
・キャリアアップを目指せる
介護福祉経営士の資格があると、介護福祉事業運営に関する知識を修得しているとみなされるため、管理職を目指す場合や転職で有利となる可能性があります。人材育成・介護報酬制度などの知識も深まるため、キャリアアップに生かすことができ、職場によっては年収アップも期待できるでしょう。
・実施するサービスの質を上げられる
介護福祉経営士の資格を取ると、身につけた知識で、職場におけるチーム介護の質の向上に貢献できます。人材育成の知識を生かし実践することで、職員全員の介護技術を上げ、より良いサービスの実施や施設の利益拡大などにもつなげられます。
まとめ
介護福祉経営士とは、介護福祉事業の経営やマネジメントができる人材を育成するために創設された民間資格です。資格には1級と2級が設けられており、それぞれ受験資格や試験内容が異なります。受験する際は、テキストや試験対策講座などで十分に学習し、準備しておくとよいでしょう。
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※当記事は2022年6月時点の情報をもとに作成しています
「社会福祉士」「介護福祉士」はどんな資格?違いや資格取得方法も
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