訪問介護の仕事内容は?訪問介護員ができることやNG行為・資格を解説

介護業界で働いている方や転職を考えている方の中には、訪問介護がどのような仕事なのか知りたい方もいるのではないでしょうか。訪問介護員の主な仕事内容は、大きく分けて「身体介護」「生活援助」「通院等乗降介助」の3つです。
当記事では、3つの仕事内容について具体的に紹介し、訪問介護で介護職員ができないことを解説します。あわせて、訪問介護員の給与水準や必要資格についても触れるため、これから訪問介護員を目指したい方は、ぜひ参考にしてください。
目次
1. 訪問介護とは?
訪問介護とは、介護を必要とする高齢者や障害のある人の自宅を訪問し、日常生活を支える介護サービスです。利用者さんが住み慣れた自宅で安心して生活を続けられるよう、身体介護や生活援助を中心に支援を行います。
サービス内容は多岐にわたり、食事・入浴・排泄などの身体介護のほか、掃除・洗濯・買い物・調理などの生活援助も含まれます。また、利用者さんやその家族の不安を和らげる精神的ケアや、介護方法の助言を行うことも大切な役割です。
訪問介護員は行政、医療、保健の専門職と連携し、地域全体で利用者さんを支える存在です。定期的な巡回や夜間の訪問など、利用者さんの生活リズムに合わせた柔軟なサービス提供も進んでいます。
(出典:job tag(職業情報提供サイト(日本版O-NET)「訪問介護員/ホームヘルパー - 職業詳細)」)
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https://shigoto.mhlw.go.jp/User/Occupation/Detail/133)
2. 訪問介護員の仕事内容
訪問介護員の仕事は大きく、「身体介護」「生活援助」「通院等乗降介助」に分けられます。それぞれの仕事内容について詳しく解説するため、訪問介護員への就職・転職を検討中の方は参考にしてください。
(出典:厚生労働省 老健局「訪問介護」
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https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001123917.pdf)
2-1. 身体介護
身体介護とは、利用者さんの体に直接触れて実施する介護業務のことです。具体的には、利用者さんの食事や入浴(全身もしくは部分浴)、排泄、着替えなどの介護が身体介護に含まれます。利用者さんの状態によっては、床ずれ防止のための体位変換や姿勢交換、排泄のケア、歩行の介助などを行うのも訪問介護員の大切な仕事です。
身体介護は、利用者さんの体を動かしたり支えたりする機会が多く、体力が必要です。また、身体介護は訪問介護員側だけではなく利用者さん側からしても負担が大きく、特に排泄介助や清拭・入浴介助などに対して、精神的に強い抵抗を感じる利用者さんも多くいます。訪問介護員は、利用者さんの尊厳を傷つけないよう、常に相手を思いやりながらサービスを提供することが大切です。
2-2. 生活援助
生活援助は、身体介護以外の介護であり、利用者さんが自宅で自立した生活を送るために必要な家事などの支援を指します。具体的には、以下のような内容が生活援助にあたります。
・利用者さんが生活するスペースの掃除
・衣類の洗濯・収納
・食事の準備
・食材・日用品の買い物
・ベッドメイク
・薬の受け取り
・ゴミ出し
生活援助は一見すると家事代行サービスに近い仕事内容ですが、訪問介護で行うのはあくまで利用者さん本人の手助けに限られるのが大きな特徴です。
また、訪問介護員はすべての家事をただ引き受けるのではなく、利用者さんが自分でできる内容は声掛けをして促しながらサポートすることが求められます。
2-3. 通院等乗降介助
通院等乗降介助は、利用者さんが医療機関へ行く際に必要な移動の介助を行うことです。1人で外出するのが難しい利用者さんに対して、外出の準備や車の乗り降りの介助をし、必要に応じて目的地への送迎を行います。あわせて、目的地での移動の介助や受診手続きのサポートなどを行うのも訪問介護員の仕事の1つです。
(出典:総務省「訪問介護における通院等乗降介助」
/
https://www.soumu.go.jp/main_content/000468034.pdf)
通院等乗降介助には病院だけではなく、食料品・日用品の買い物や金融機関、役所、選挙などに行くことも含まれます。
ただし、基本的には日常生活に必要なもの以外の買い物や趣味のための外出、行事への参加といった外出については通院等乗降介助に含まれません。訪問介護員がサポートできるのは、あくまで利用者さんの生活に必要な外出に限られます。
3. 訪問介護員ができない仕事内容は?
訪問介護員は、介護以外のことは行えません。具体的には、以下の行為は訪問介護員の仕事の範囲に含まれないものとなっています。
・医療行為
・日常生活に含まれない家事代行
・利用者さん以外への支援
それぞれ、どのような内容が仕事の範囲外にあたるのかを詳しく解説します。
3-1. 医療行為
医療行為は、緊急時を除けば医師や看護師などの医療職の方しかできない行為です。訪問介護員はあくまで介護のスペシャリストであり、医療に関する国家資格を有する仕事ではないため、医療行為は行えません。具体的には以下のような内容が医療行為にあたり、訪問介護員が行うことは禁止されています。
・痰の吸引
・インスリンの注射
・経管栄養の交換
・服薬管理
・床ずれの処置
・点滴の交換
・摘便
上記はあくまで一例であり、ほかにもさまざまな行為が医療行為に該当するため注意が必要です。自宅で医療行為を受けたい利用者さんは、訪問介護とは別に訪問看護の事業所への申請が必要です。
ただし、医師の診断や医療に関する専門知識を必要としない範囲の医療行為であれば、訪問介護員にも「医療的ケア」として認められています。たとえば、「血圧の測定や目薬をさす」などは訪問介護員でも行えます。
3-2. 日常生活に含まれない家事代行
訪問介護員は、利用者さんが日常生活を送る上で支障がない範囲の家事は行えません。たとえば、以下のような内容は訪問介護員の仕事の対象外となります。
・庭の草むしり
・エアコンクリーニング
・換気扇の掃除
・床のワックスがけ
・家具・家電の移動・修理
・おせちや誕生日など、行事のための料理
・窓拭き
・ベランダ掃除
・ペットの散歩
・酒・タバコなどの趣向品の購入
・車の給油・洗車
利用者さんによっては上記のような内容を相談される可能性もありますが、訪問介護員として「できること・できないこと」の線引きはしっかりとしましょう。
3-3. 利用者さん以外への支援
訪問介護員の仕事は、あくまで利用者さん本人への支援に限られます。訪問先の利用者さんに同居家族がいる場合でも、利用者さん以外への訪問介護サービスの提供は行えません。
たとえば、利用者さん本人が使っていない部屋の掃除や、利用者さんの家族が食べる分の料理、家族の衣類も一緒に洗濯することなどは、訪問介護のサービスの範囲外です。利用者さんだけではなく家全体の家事への支援が必要な場合は、訪問介護とは別に家事代行サービスなどを利用してもらう必要があります。
4. 訪問介護員に必要な資格
訪問介護の現場で働くためには、一定の介護知識と技術を身につける必要があります。主要な資格として「介護職員初任者研修」「介護福祉士実務者研修」「介護福祉士」があります。資格を取得することで、より専門的な業務に携われるようになり、キャリアアップにもつながります。
ここでは、それぞれの資格について詳しく解説します。
4-1. 介護職員初任者研修
介護職員初任者研修は、訪問介護や施設介護で働くための入門資格です。介護の基本知識や技術を身につけ、利用者さんの生活を支援できるようにすることを目的としています。研修は都道府県や指定機関が実施し、130時間のカリキュラムを受講します。内容は「尊厳の保持と自立支援」「介護の基本」「認知症の理解」「生活支援技術」など幅広く、講義と実技を組み合わせた構成です。
修了には筆記試験を受け、合格すると「修了証明書」が交付されます。受講資格に特別な条件はなく、未経験からでも受講可能です。介護職を目指す第一歩として位置づけられる資格であり、訪問介護員として働くための基礎を築くことができます。
(出典:厚生労働省「介護員養成研修の取扱細則について」
/
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000331389.pdf)
4-2. 介護福祉士実務者研修
介護福祉士実務者研修は450時間以上の研修時間が必要な、初任者研修よりもやや上位の資格です。
授業では、医療的ケア(たとえば喀痰吸引や経管栄養など)に関する知識や、介護過程の組み立て方などを学びます。通信講座とスクーリングを組み合わせた形態が多く、働きながら受講する人も少なくありません。また、過去に「初任者研修」や旧制度の研修を修了している場合は、一部科目の免除を受けられることもあります。実務経験が3年以上ある方が実務者研修を修了すると、国家資格である介護福祉士への受験資格を得られます。
(出典:厚生労働省「実務者研修のイメージ」
/
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/care/dl/care_16.pdf)
4-3. 介護福祉士
介護福祉士は、「社会福祉士及び介護福祉士法」に基づく国家資格で、介護分野における専門職です。身体的・精神的な障害により日常生活に支障がある人に対して、専門的知識と技術を用いて介護を行います。また、利用者さんやその家族への介護指導を担うことも求められます。
資格を取得するには、3年以上の実務経験を経た上で実務者研修を修了するか、介護福祉士養成施設もしくは福祉系高校で必要科目を修了した後に国家試験を受け合格する必要があります。試験は年1回、筆記試験形式で実施され、「人間の尊厳と自立」「生活支援技術」「医療的ケア」など幅広い分野から出題されます。
国家資格としての信頼性が高く、給与面やキャリア面での優遇を受けやすい資格です。
(出典:厚生労働省「ページ4:介護福祉士の概要について」
/
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/shakai-kaigo-fukushi1/shakai-kaigo-fukushi4.html)
5. 訪問介護員の給与水準
訪問介護員の給与は、雇用形態や勤務時間、地域によって大きく異なります。ここでは、令和4年度の統計をもとに訪問介護員の平均給与について解説します。
5-1. 訪問介護員は月でいくら稼げる?
訪問介護員の給料の支払形態はさまざまで、月給や日給、時間給などがあります。令和6年度の調査によると、平均月給は248,884円、平均時間給は1,262円でした。
(出典:公益財団法人 介護労働安定センター「令和6年度「介護労働実態調査」結果の概要について」
/
https://www.kaigo-center.or.jp/content/files/report/R6_jittai_chousa_press.pdf#page=22)
訪問介護員は正社員だけではなく、非正規で活躍している方が多いのも特徴です。今の日本では高齢化によって介護職の需要が高まっている一方、介護職になりたいと考える方は少なく、介護業界は慢性的に人手不足の状況となっています。そこで、非正規でも可という条件で求人を出し、主婦や学生なども働きやすいよう工夫している訪問介護事業所が多い傾向にあります。
訪問介護員は需要が高く、今後も長く働き続けられる点がメリットです。介護資格を取得してキャリアアップを目指したい方や空き時間を活用したい方など、向いている人も多い職種と言えるでしょう。
6. 訪問介護員は1日に何件仕事をする?
訪問介護員が1日に担当する件数は、雇用形態や勤務時間、事業所の方針によって異なります。ここでは、厚生労働省のデータを参照しながら、正社員とアルバイト・パートの違いを詳しく解説します。
6-1. 正社員の場合
厚生労働省の「令和5年度介護事業経営実態調査」によると、常勤換算職員1人あたりの訪問回数は月104.6回とされています。これを月20日勤務と仮定すると、1日平均は約5件となります。午前に2件、午後に2~3件のペースで訪問するケースが多いとされています。
(出典:厚生労働省「令和5年度介護事業経営実態調査結果」
/
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kaigo/jittai23/dl/r05_kekka.pdf#page=9)
ただし、事業所によって訪問件数にはばらつきがあります。たとえば、1回のサービス時間が短い場合や移動範囲が狭い地域では、7~8件、場合によっては10件以上訪問することもあります。反対に、入浴介助など時間を要する支援が多い日には3件程度となることもあります。訪問介護員の勤務形態や担当する利用者さんの状態によって、1日のスケジュールは変化するでしょう。
6-2. アルバイト・パートの場合
アルバイトやパートの訪問件数は、勤務時間に応じて変動します。フルタイムで勤務する場合は、正社員と同様に1日あたり約5件が目安になると考えられますが、午前のみ・午後のみの勤務では、1~2件程度の訪問となるケースが一般的です。
また、訪問介護は移動時間や準備の時間も勤務時間に含まれるため、実際に訪問できる件数は勤務時間よりも少なくなります。特に短時間勤務の場合は、利用者さんの希望時間帯と職員の勤務時間が合わないことも多く、訪問件数を増やしづらい傾向があります。柔軟なシフトで働ける点は魅力ですが、勤務時間の調整や希望時間帯のマッチングが収入にも影響することを理解しておく必要があります。
7. 訪問介護の仕事が向いている人の特徴
訪問介護は、利用者さんの生活を支えると同時に、心に寄り添う仕事です。そのため、技術や資格だけでなく、人としての姿勢や考え方も大切です。
介護現場では、1人で判断して行動する場面も多く、責任感や柔軟性も求められます。利用者さんに安心してもらえる信頼関係を築くには、思いやりと誠実さが欠かせません。ここでは、訪問介護に向いている人の4つの特徴について詳しく紹介します。
7-1. 利用者さんに寄り添って仕事ができる
訪問介護員にとって最も大切なのは、利用者さんの気持ちに寄り添えることです。訪問先は、利用者さんにとって「自分の生活空間」であり、他人が入ることに抵抗を感じる場合もあります。そうした状況でも相手の立場に立って接し、安心して介護を受けられるよう配慮することが求められます。
利用者さんの中には、言葉で思いを伝えるのが難しい方もいます。日常の表情や行動から気持ちを汲み取り、相手が望む支援を考える力が大切です。小さな変化に気づき、穏やかな対応で支えられる人は、訪問介護員として信頼を得やすいでしょう。
7-2. 強い責任感を持って仕事ができる
訪問介護は、利用者さんの命や健康に直結する仕事です。そのため、任された業務を途中で投げ出さず、最後までやり遂げる責任感が欠かせません。たとえば、薬の管理を誤ったり、介助方法を誤ったりすれば、重大なトラブルにつながる恐れもあります。
現場では、1人で判断しなければならない場面も多くあります。その際には、冷静に状況を把握し、必要に応じて管理者やケアマネジャーに連絡を取る判断力も必要です。小さな仕事でも丁寧に取り組み、利用者さんに安心感を与えられる人は、訪問介護の現場で信頼を築けます。
7-3. コミュニケーション能力が高い
訪問介護は、利用者さんと個別に接する時間が長い仕事です。介護技術だけでなく、信頼関係を築くためのコミュニケーション能力も大切です。笑顔であいさつし、相手の話を丁寧に聞く姿勢が、安心感や信頼感につながります。
また、介護内容の報告や連絡をチームで共有することも欠かせません。家族やケアマネジャーとの連携を円滑に進めるためにも、正確で分かりやすい伝達が求められます。人との関わりが好きで、相手の立場を尊重しながら対話できる人は、利用者さんにも信頼される訪問介護員になれるでしょう。
7-4. 体力に自信がある
訪問介護の仕事は、身体を使う場面が多くあります。利用者さんの移動や入浴介助、ベッドからの移乗など、力や持久力を必要とする作業が少なくありません。さらに、1日に複数の家庭を訪問するため、移動の負担も加わります。
特に要介護度が高い利用者さんを担当する場合は、支え方や姿勢にも気を配る必要があります。無理のない範囲で自分の体力を管理し、健康を維持する意識が大切です。体調管理をしっかり行い、安定したコンディションで仕事に臨める人は、長く活躍できるでしょう。
まとめ
訪問介護の仕事内容は、大きく分けて「身体介護」「生活援助」「通院等乗降介助」の3つです。具体的には、食事や入浴、排泄、着替えなどの介護、利用者さんが生活するスペースの掃除、衣類の洗濯・収納、食事の準備、医療機関への送迎などが挙げられます。
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※当記事は2025年11月時点の情報をもとに作成しています
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