社会福祉法人の退職金の平均は?退職金に関するQ&Aなど徹底解説
社会福祉法人で働く介護職員にとって、退職時に受け取れる退職金の金額は重要な問題です。しかし、退職金の有無および支給額は勤務先の施設や事業所によって異なるため、「詳しく把握できていない」というケースも少なくありません。
当記事では、社会福祉法人で働く介護職員が退職金をもらえるかどうかに加えて、退職金の種類や平均額を解説します。また、介護職員が抱くことの多い退職金にまつわるQ&Aも紹介するため、ぜひ参考にしてください。
社会福祉法人とは?働くメリット・デメリットと重視するべきポイント
目次
- 3. 介護職員必見!退職金にまつわるQ&A4つ
- 3-1. 何年働けば退職金はもらえますか?
- 3-2. 退職金の計算方法を知りたいです
- 3-3. 退職金にも税金はかかりますか?
- 3-4. 退職金を多くもらう方法はありますか?
1. 介護職員は退職金をもらえる?
介護職員が退職金をもらえるかどうかは、勤めている介護施設や事業所ごとに異なります。
勤務先の介護施設が退職金制度を導入している場合、介護職員は退職金をもらえます。しかし、退職金制度の導入は法的な義務ではないため、退職金支給がない場合でも違法とは言えません。
厚生労働省の調査によると、医療・福祉業界において、平成30年時点で退職金制度を導入している施設は全体の87.3% です。ほとんどの施設で何らかの退職金制度を導入していることが分かります。
(出典:厚生労働省「平成30年就労条件総合調査 結果の概況」
/
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/jikan/syurou/18/dl/gaiyou04.pdf)
1-1. 退職金がもらえるかどうかを確認する方法3選
退職金がもらえるかどうかを知りたい場合、主な確認方法は3つあります。それぞれの詳細は以下の通りです。
就業規則の確認 |
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勤務先の就業規則を読むことで、退職金制度の有無を確認できます。原則として、就業規則は従業員がいつでも確認できるようにしておくべきものです。そのため、就業規則は入職時に配布されたり、パソコン上で共有されたりしています。 勤め先の施設が退職金制度を導入している場合は、就業規則に「退職金について」「退職一時金について」などの項目が記載されているため、詳しい内容を確認可能です。 |
事務員や担当者への確認 |
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事務員や総務・人事担当者に、退職金の有無について直接尋ねる方法も挙げられます。 事務員や各担当者は、従業員の入退職に深くかかわる職種です。そのため、退職金制度の有無だけでなく、受け取れる金額の概算や手続きの方法を教えてくれるでしょう。ただし、どの程度細かく教えてもらえるかは勤めている施設の方針次第です。 また、退職金について質問した場合「退職を考えている」という誤解を招く可能性があるため、あくまで退職金の詳細が知りたいことを伝えましょう。 |
給与明細の確認 |
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場合によっては、給与明細で退職金制度の有無を確認できることがあります。給与明細の控除欄を確認した際、「企業年金掛金」や「確定給付掛金」などの項目で一定の金額が差し引かれている場合は、退職金制度を導入している証拠です。 ただし、退職金制度の種類によっては、掛金の支払いが従業員と施設の折半、または従業員と施設のうちどちらかが掛金を支払うケースがあります。給与明細の中に該当の記載がない場合でも、退職金制度を導入している可能性があることに留意しましょう。 |
2. 退職金の種類とは?社会福祉法人からもらえる退職金の平均額も紹介
介護職員が受け取れる退職金の種類は、大まかに分けると下記の2つです。
・退職一時金制度
・退職年金制度
また、2つの退職金制度をさらに細かく分類すると、多くの退職金制度が存在します。ここでは、それぞれの制度の概要やメリットを分かりやすく解説します。
2-1. 退職一時金制度
退職一時金制度とは、退職時に退職金を一括で受け取れる制度 です。社会福祉法人が導入している主な退職一時金制度を2つ紹介します。
・中小企業退職金共済制度
中小企業退職金共済制度(以下、中退共制度)は、中小企業を対象とした国が運営する退職金制度です。
中退共制度の退職金の掛金は、介護施設や事業所が全額負担するよう定められています。そのため、介護職員の給与から掛金が差し引かれることはありません。
退職金の給付額は掛金額と納付年数から算出されるため、勤続年数が長いほど受け取れる退職金は高額になります。また、退職時の年齢が60歳以上で、なおかつ退職金が80万円以上の場合は、本人が希望すれば分割払いで退職金を受け取ることが可能です。
(出典:厚生労働省「中小企業退職金共済制度(中退共制度)」
/
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000113598.html)
(出典:中小企業退職金共済事業本部「8-1-5.退職金は分割して受け取れますか?」
/
https://chutaikyo.taisyokukin.go.jp/qa/qa-08/8-1-5.html)
・社会福祉施設職員等退職手当共済制度
社会福祉施設職員等退職手当共済制度は、介護士や保育士など、社会福祉施設で働く職員を対象とした退職金の支給制度です。支給される退職金の資金は、介護施設や事業所が負担する掛金と、国または都道府県の補助金でまかなわれています。
令和3年4月時点で、約89万人の社会福祉施設職員が加入している制度です。
(出典:独立行政法人福祉医療機構「社会福祉施設職員等退職手当共済制度について」
/
https://www.wam.go.jp/hp/guide-taisyokuteate-outline-tabid-229/)
社会福祉施設職員等退職手当共済制度の退職金支給額の例は、下記の通りです(定年退職や自己都合退職などの普通退職の場合)。
勤務年数 | 退職時本俸月額 | 退職金支給額 |
---|---|---|
5年 | 16万円 | 41万7,600円 |
10年 | 22万円 | 114万8,400円 |
15年 | 25万円 | 269万7,000円 |
20年 | 28万円 | 572万4,600円 |
(出典:独立行政法人福祉医療機構「退職される皆さまへ~福祉医療機構 退職手当共済制度のご案内~」
/
https://www.wam.go.jp/hp/wp-content/uploads/kyousai_taisyokusyayou-1.pdf)
2-2. 退職年金制度
退職年金制度では、退職後に分割で退職金を受け取れます。介護施設や事業所は外部機関に掛金を支払って運用することで、退職金の資金を用意します。主な退職年金制度は以下の2つです。
・確定拠出年金制度
確定拠出年金制度では、毎月の掛金を介護職員が自分で運用し、運用実績に応じた額の退職金を受け取ります。
確定拠出年金制度の種類は、掛金を事業者が負担する「企業型」と職員が負担する「個人型」の2つです。企業型確定拠出年金制度を導入している施設の場合でも、職員自身が掛金を上乗せして運用する「マッチング拠出」の仕組みを利用することが可能です。
退職金の支給額は運用結果に左右されるため、掛金よりも支給額のほうが少なくなる可能性もあります。また、退職金の支給は原則60歳以降ですが、条件によっては退職一時金を受け取れます。
(出典:厚生労働省「確定拠出年金制度の概要」
/
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/nenkin/nenkin/kyoshutsu/gaiyou.html)
・確定給付企業年金制度
確定給付企業年金制度は、介護施設や事業所などの企業が掛金を支払い、運用も行う制度です。
もらえる退職金給付額が事前に設定されており、運用で損失が出た場合は企業側の負担となるため、介護職員側にリスクがありません。
退職金給付のタイミングは基本的に60歳以上とされていますが、3年以上勤務している場合は「脱退一時金」として退職金を受け取ることが可能です。
(出典:企業年金連合会「企業年金制度」
/
https://www.pfa.or.jp/nenkin/nenkin_tsusan/nenkin_tsuusan01.html)
3. 介護職員必見!退職金にまつわるQ&A4つ
退職金が支給されるタイミングは施設によって異なるため、就業規則を読んだり担当者に聞いたりすることで、あらかじめ確認しておくことが大切です。また、退職金に関する疑問が浮かんだ際は放置せず、あらかじめ解消することを心がけましょう。
ここでは、介護職員が抱きやすい退職金に関するQ&Aを4つ紹介します。
3-1. 何年働けば退職金はもらえますか?
退職金がもらえる勤続年数の条件は、施設が導入している退職金制度ごとに異なります。
例えば、退職金制度の1つである社会福祉施設職員等退職手当共済制度では、勤続1年が支給条件です。そのほかの退職金制度でも、勤続1年以上を支給対象としていることが多いと言えるでしょう。
3-2. 退職金の計算方法を知りたいです
退職金の計算方法は施設により異なりますが、一般的な計算式は下記の通りです。
1か月分の基本給×勤続年数×給付率=退職金
上記の「基本給」とは、夜勤手当や処遇改善手当などの各種手当を含まない給与です。給付率は施設や退職理由によって数値が異なります。具体的な給付率を知りたい場合は、勤め先の就業規則などで確認しましょう。
3-3. 退職金にも税金はかかりますか?
退職金には、所得税と住民税の2つの税金がかかります。
退職一時金として一括で退職金をもらう場合は「退職所得」として扱われ、税負担軽減のための所得控除を受けることが可能です。一定金額を毎月分割で受け取る年金方式の場合は、国民年金や厚生年金と併せて計算され「雑所得」として税金が課されます。
3-4. 退職金を多くもらう方法はありますか?
退職金を多くもらうために重要なポイントは、1つの職場で長く働くことです。勤続年数が長くなれば、退職金の対象となる加入期間も長くなります。
また、退職金は基本給によって支給額が変わるケースも多くあります。そのため、できるだけ基本給が高い施設を選ぶことも、退職金を多く受け取る方法の1つです。
まとめ
職場が退職金制度を導入している場合、介護職員は退職金をもらうことが可能です。退職金制度は大きく分けて退職一時金制度と退職年金制度の2種類があり、さらに細かく分類するとさまざまな制度があります。就業規則などを確認し、退職金がもらえるかどうか調べてみましょう。
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