【高知県】介護職員処遇改善加算の取得状況は？介護施策の状況も解説

公開日:2023.02.08 更新日:2023.02.21

加算減算

令和3年10月時点における、高知県の高齢化率は36.0％です。高知県では総人口の約3人に1人が65歳以上となっており、介護サービスを求める高齢者が少なくありません。また、生産年齢人口の減少などにより介護職員が不足しており、介護職を対象とした処遇改善加算を用いて、人材の確保・定着を進めている最中です。

（出典：高知県「高知県推計人口」 /https://www.pref.kochi.lg.jp/soshiki/121901/t-suikei.html）

（出典：高知県「高知県高齢者保健福祉計画及び第８期介護保険事業支援計画」 /https://www.pref.kochi.lg.jp/soshiki/060201/2015082100034.html）

この記事では、介護職員処遇改善加算の概要・介護職員処遇改善加算を取得した事業所の平均給与の推移を紹介します。高知県における介護職員処遇改善加算・介護職員等特定処遇改善加算の取得状況なども解説するため、介護職に転職することを考えている人は、ぜひ参考にしてください。

※本文では、介護職員処遇改善加算（Ⅳ・Ⅴ）のデータにも触れておりますが、介護職員処遇改善加算（Ⅳ・Ⅴ）は令和3年3月31日で廃止されており、令和3年3月31日時点で算定している事業所については、令和4年3月31日までの算定です。

そのため、介護職員処遇改善加算（Ⅳ・Ⅴ）のデータは参考値としてご参照ください。

1.　介護職員処遇改善加算とは？

1-1.　介護職員処遇改善加算における平均給与の推移

2.　高知県における介護職員処遇改善加算の取得状況

2-1.　【厚生労働省】介護給付費等実態統計をもとにした取得状況

2-2.　【公益財団法人介護労働安定センター】介護労働実態調査結果をもとにした対応状況

3.　高知県が実施する介護施策の状況

3-1.　【高知県】介護職員処遇改善加算を取得している傾向にある施設は？

まとめ

1.　介護職員処遇改善加算とは？

介護職を対象とした処遇改善加算は、介護職員の給与水準・モチベーションアップのために施行された制度です。ここでは、「介護職員処遇改善加算」「介護職員等特定処遇改善加算」の概要を簡単に紹介します。

・介護職員処遇改善加算
介護職員処遇改善加算は、「キャリアパス要件」「職場環境等要件」を満たす項目数によって、加算（Ⅰ）～（Ⅲ）に区分される制度です。介護職員1人あたり月額で約15,000〜37,000円の加算額が支給されます。

・介護職員等特定処遇改善加算
介護職員等特定処遇改善加算は、介護職員処遇改善加算に上乗せして支給される制度です。介護職員処遇改善加算とは異なり、経験・技能のある職員を対象としています。介護職員等特定処遇改善加算を取得している事業所では、月額で80,000円相当の処遇改善が行われる見込みがあります。そのため、経験者の場合は介護職員処遇改善加算と併せて、介護職員等特定処遇改善加算の取得状況も確認しましょう。

1-1.　介護職員処遇改善加算における平均給与の推移

介護職員処遇改善加算を取得している事業所では、平均給与が上昇しています。

実際に、平成31年2月から令和2年2月までにおける1年間の平均給与の増加額は、介護職員が15,730円、生活相談員・支援相談員が10,330円、介護支援専門員が10,390円です。他の職種における平均給与の増加額は理学療法士・作業療法士・言語聴覚士が9,370円、管理栄養士・栄養士が8,960円となっており、いずれも介護職の増加額を下回っています。

（出典：厚生労働省「令和2年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要（案）」 /https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000689849.pdf）

なお、今後は介護職員処遇改善加算と併せて介護職員等特定処遇改善加算を取得した事業所が増えれば、介護職の給与水準はさらにアップするでしょう。

2.　高知県における介護職員処遇改善加算の取得状況

介護職員処遇改善加算は、令和3年11月時点で施行されてから10年近く経つため、全国的に90％以上の取得率を誇る都道府県がほとんどです。一方で、介護職員等特定処遇改善加算は令和元年に施行されたことから、介護職員処遇改善加算ほど取得率は高くありません。

ここからは、高知県における介護職員処遇改善加算・介護職員等特定処遇改善加算の取得状況・対応状況を紹介します。

2-1.　【厚生労働省】介護給付費等実態統計をもとにした取得状況

下表は、令和3年1月時点における介護職員処遇改善加算の取得状況を示しています。なお、表中の数値は厚生労働省の「介護給付費等実態統計」をもとにしています。

【中国・四国地方】介護職員処遇改善加算の取得状況（令和3年1月サービス提供分）　単位（％）
	加算（Ⅰ）	加算（Ⅱ）	加算（Ⅲ）	加算（Ⅳ）	加算（Ⅴ）	合計
全国平均	80.0	7.1	5.3	0.2	0.3	92.9
鳥取県	78.2	5.1	6.9	0.5	2.0	92.6
島根県	81.6	7.6	6.6	0.1	0.1	96.0
岡山県	76.8	9.3	6.4	0.2	0.2	92.9
広島県	75.2	10.5	6.8	0.0	0.6	93.2
山口県	72.4	6.8	6.5	0.8	1.6	88.2
徳島県	78.8	4.7	5.5	0.0	0.5	89.6
香川県	77.0	7.7	6.6	0.1	0.1	91.4
愛媛県	80.3	6.8	5.7	0.1	0.4	93.2
高知県	65.8	11.7	9.5	0.5	0.9	88.5

（引用：東京都福祉保健局「介護職員処遇改善加算等取得促進支援事業に係る取組事例集」/https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/kourei/hoken/shogu/R3_shoguu.files/jirei_torikumi.pdf/引用日2022/3/2）
※加算（Ⅳ・Ⅴ）については、令和3年3月末時点で同加算を算定している事業者について、１年の経過措置を設けた上で、令和2年度で廃止されています。

高知県における介護職員処遇改善加算の取得率は88.5％となっており、全国平均より4.4％低くなっています。しかし、取得率が低いことは、今後も給与水準の改善が期待できることだと言えるため、ネガティブに捉える必要はありません。

下記は、令和3年1月時点における中国・四国地方の介護職員等特定処遇改善加算の取得状況をまとめた表です。

【中国・四国地方】介護職員等特定処遇改善加算の取得状況（令和3年1月サービス提供分）　単位（％）
	加算（Ⅰ）	加算（Ⅱ）	合計
全国平均	32.0	34.3	66.4
鳥取県	46.9	17.9	64.8
島根県	38.3	25.6	63.9
岡山県	36.4	28.2	64.6
広島県	34.8	36.4	71.2
山口県	27.7	27.8	55.5
徳島県	36.3	25.6	61.9
香川県	30.3	33.8	64.1
愛媛県	31.1	37.3	68.5
高知県	29.0	20.3	49.3

高知県における介護職員等特定処遇改善加算の取得率は、中国・四国地方で最も低くなっています。しかし、高知県で介護職員等特定処遇改善加算の取得状況を見ると、加算額の多い加算（Ⅰ）の割合が高く、給与水準の改善に尽力する事業所は決して少なくありません。

2-2.　【公益財団法人介護労働安定センター】介護労働実態調査結果をもとにした対応状況

公益財団法人介護労働安定センターは、介護サービスの需要増大に対処するために設立された機関で、介護職の雇用管理の改善・能力開発などを支援しています。

ここでは、公益財団法人介護労働安定センターの「介護労働実態調査結果」をもとに、令和2年度における中国・四国地方の介護職員処遇改善加算の対応状況を紹介します。

【中国・四国地方】介護職員処遇改善加算の算定及び対応状況（令和2年度）　単位（％）
	諸手当の導入・引き上げ	一時金支給	基本給引き上げ
全国平均	61.6	57.6	35.3
鳥取県	39.3	64.3	35.7
島根県	62.7	69.3	38.7
岡山県	66.7	53.1	36.5
広島県	62.3	63.2	34.9
山口県	60.8	50.0	32.4
徳島県	55.6	61.1	27.8
香川県	64.4	62.7	30.5
愛媛県	46.8	65.9	27.0
高知県	69.5	49.2	32.2

（出典：公益財団法人介護労働安定センター「―令和2年度介護労働実態調査結果について―」/http://www.kaigo-center.or.jp/report/2021r01_chousa_01.html）

高知県では、「諸手当の導入・引き上げ」を実施する事業所の割合が高くなっています。「基本給引き上げ」の対応状況は全国平均より若干の遅れが見られますが、四国地方で見ると最も高い割合です。近隣県と比較すると基本給を引き上げる事業所の割合が高いため、高知県では賞与の支給額も上がっていると考えられます。

令和2年度における、中国・四国地方の介護職員等特定処遇改善加算の対応状況は、下表の通りです。

【中国・四国地方】介護職員等特定処遇改善加算の算定及び対応状況（令和2年度）　単位（％）
	職員全体の処遇改善	経験・技能のある介護職員の処遇改善	介護職員全体の処遇改善
全国平均	38.5	31.4	29.2
鳥取県	35.7	7.1	57.1
島根県	28.9	33.3	37.8
岡山県	46.6	32.8	20.7
広島県	32.8	39.7	25.9
山口県	54.9	19.6	23.5
徳島県	31.0	34.5	34.5
香川県	40.5	21.6	32.4
愛媛県	43.8	36.3	20.0
高知県	21.4	35.7	42.9

（出典：公益財団法人介護労働安定センター「―令和2年度介護労働実態調査結果について―」/http://www.kaigo-center.or.jp/report/2021r01_chousa_01.html）

高知県では、「介護職員全体の処遇改善」を行う事業所の割合が、取り分け高くなっています。一方で、高知県の「職員全体の処遇改善」の対応状況は中国・四国地方で最も遅れている状況です。

高知県では63.5％の事業所が「介護職員の不足を感じている」と回答していることから、介護職員全体の処遇改善に力を入れていると考えられます。

（出典：公益財団法人介護労働安定センター高知支部「令和２年度介護労働実態調査結果都道府県版」/
http://www.kaigo-center.or.jp/shibu/kouchi/b52cf72567f575224be17ad1602c47a4d5b6d635.pdf）

3.　高知県が実施する介護施策の状況

高知県では、「高知県高齢者保健福祉計画及び第８期介護保険事業支援計画」を策定し、介護人材の確保・定着促進を行うことが挙げられています。今後の取り組みとして、「処遇改善につながるキャリアアップ支援」「加算取得を通じた介護職員の処遇改善」を定めており、給与水準を上げる取り組みに意欲的です。

（出典：高知県「高知県高齢者保健福祉計画及び第８期介護保険事業支援計画」/
https://www.pref.kochi.lg.jp/soshiki/060201/2015082100034.html）

処遇改善加算の取得が進められると、給与水準が上がるだけでなく、働きやすい施設が増えることも意味します。徳島県では介護職員が勤めやすい環境整備が推し進められているため、長く勤められる職場が見つけやすくなるでしょう。

3-1.　【高知県】介護職員処遇改善加算を取得している傾向にある施設は？

厚生労働所は「介護給付費等実態統計」で、介護職員処遇改善加算の取得状況を公表しています。ここでは、介護給付費等実態統計をもとに、高知県で介護職員処遇改善加算の取得状況が良好な施設・サービスを2つ紹介します。

訪問入浴介護
訪問入浴介護は、利用者の自宅へ訪問し、持参した入浴器材を使って入浴介助を行うサービスです。介護職員2人、看護職員1人でチームを組んで仕事を行うことが基本です。

認知症対応型共同生活介護
認知症対応型共同生活介護は、認知症を患った入居者を専門的にケアするサービスです。入居者は7人前後のユニットを組んで介護職員と共同生活を送る中で、社会性などを養います。

気になる施設を見つけた際は、各施設の公式ホームページなどで介護職員処遇改善加算の取得状況を確認しましょう。また、年収アップを目的に転職をしたい人は、「マイナビ介護職」をご利用ください。マイナビ介護職では、管理職候補者を募集する求人・大手法人が運営する施設から出された求人など、年収アップにつながりやすい求人を数多く取り扱っています。

まとめ

介護職を対象とした処遇改善加算には、「介護職員処遇改善加算」「介護職員等特定処遇改善加算」の2つがあります。いずれも、介護職員の給与水準・モチベーションアップを図るために施行されており、高知県をはじめ各都道府県の事業所で取得が行われています。

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※当記事は2021年11月現在の情報をもとに作成しています

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