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【長崎県】介護職員処遇改善加算の取得状況は?介護施策の状況も解説

公開日:2023.02.09 更新日:2023.02.21

令和2年10月1日時点における長崎県の高齢化率は32.9%となっています。長崎県は全国に比べて高齢化率が加速している状況であり、令和7年には35.2%に上昇する見込みです。介護需要が高まることに伴い、介護職の人材不足が懸念されています。

(出典:長崎県「長崎県異動人口調査 年齢別市町別推計人口」 /https://www.pref.nagasaki.jp/bunrui/kenseijoho/toukeijoho/idojinko/546151.html

(出典:長崎県「長崎県老人福祉計画・長崎県介護保険事業支援計画」(令和3年度から令和5年度) /https://www.pref.nagasaki.jp/bunrui/hukushi-hoken/koreisha/keikaku-koreisha/fukushikeikaku/

そこで長崎県は、介護人材の確保・育成に注力する取り組みを行い、介護職への処遇改善や環境整備を推し進めている状況です。

当記事では、介護職員処遇改善加算の概要と処遇改善による平均給与の推移、長崎県における介護職員処遇改善加算の取得状況・対応状況などを詳しく解説します。

※本文では、介護職員処遇改善加算(Ⅳ・Ⅴ)のデータにも触れておりますが、介護職員処遇改善加算(Ⅳ・Ⅴ)は令和3年3月31日で廃止されており、令和3年3月31日時点で算定している事業所については、令和4年3月31日までの算定です。

そのため、介護職員処遇改善加算(Ⅳ・Ⅴ)のデータは参考値としてご参照ください。

1. 介護職員処遇改善加算とは?

介護職員処遇改善加算とは、介護現場の最前線で働く従業員の処遇改善を行う制度です。介護職員処遇改善加算は「介護職員処遇改善加算」と「介護職員等特定処遇改善加算」に分類されます。ここでは、それぞれの特徴を紹介します。

・介護職員処遇改善加算
介護職員処遇改善加算は、キャリアパス要件・職場環境等要件を満たす数により、加算(Ⅰ)~(Ⅲ)の3区分に分類されます。賃金体系の整備や、資質向上のための取り組みなどが判断基準です。加算(Ⅰ)の対象事業所は、介護職員1人当たり月額37,000円相当の加算が受け取れます。

・介護職員等特定処遇改善加算
介護職員等特定処遇改善加算は、勤務年数10年以上の介護福祉士1人以上に対して月額80,000円相当、もしくは年収440万円まで増額することを基本方針としています。既存の介護職員処遇改善加算に上乗せ支給される仕組みです。

介護職員処遇改善加算を取得する事業所は、未取得の事業所より給与額が高水準となり、職場環境にも配慮しています。給与アップを目的とした転職をする際は、事業所の介護職員処遇改善加算の取得状況を確認しておきましょう。

1-1. 介護職員処遇改善加算における平均給与の推移

厚生労働省の「令和2年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要(案)」によると、介護職員の給与額は改善傾向にあります。

平成31年2月から令和2年2月までの1年間で介護職員の平均給与額は15,730円上昇しており、介護従事者の中で最も高い上がり幅です。また、基本給は3,160円上昇しています。基本給が増額すると賞与額も上がることから、介護職員の賃金は上がりやすくなっている状況です。

勤務先の取得区分によって支給額に変動はあるものの、介護職の賃金水準は向上しています。

(出典:厚生労働省「令和2年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要(案)」 /https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000689849.pdf

2. 長崎県における介護職員処遇改善加算の取得状況

全国における介護職員処遇改善加算の取得率は、92.9%と制度が浸透している状況ですが、介護職員等特定処遇改善加算の取得率は、66.4%と進捗がよくありません。今後制度が浸透することで、介護職員処遇改善加算と同様に介護職員等特定処遇改善加算の取得率の向上が期待できるでしょう。

ここからは、長崎県における「介護職員処遇改善加算」と「介護職員等特定処遇改善加算」の取得率・対応状況を紹介します。

2-1. 【厚生労働省】介護給付費等実態統計をもとにした取得状況

全国平均と九州・沖縄地方の介護職員処遇改善加算の取得状況を紹介します。なお、表中の取得率は、厚生労働省の「介護給付費等実態統計」から算出しています。

【九州・沖縄地方】介護職員処遇改善加算の取得状況 (令和3年1月サービス提供分) 単位(%)
加算(Ⅰ) 加算(Ⅱ) 加算(Ⅲ) 加算(Ⅳ) 加算(Ⅴ) 合計
全国平均 80.0 7.1 5.3 0.2 0.3 92.9
福岡県 77.4 7.9 5.5 0.4 0.6 91.7
佐賀県 78.2 5.7 6.9 0.6 1.0 92.5
長崎県 73.1 9.6 9.0 0.3 0.2 92.2
熊本県 74.3 7.6 10.4 0.0 0.1 92.3
大分県 73.7 12.4 6.2 0.1 0.0 92.4
宮崎県 74.4 7.8 10.3 0.3 0.1 92.9
鹿児島県 73.3 11.5 6.4 0.2 0.3 91.8
沖縄県 77.6 7.1 7.4 0.1 0.2 92.4

(引用:東京都福祉保健局「介護職員処遇改善加算等取得促進支援事業に係る取組事例集」/https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/kourei/hoken/shogu/R3_shoguu.files/jirei_torikumi.pdf/引用日2022/3/2)
※加算(Ⅳ・Ⅴ)については、令和3年3月末時点で同加算を算定している事業者について、1年の経過措置を設けた上で、令和2年度で廃止されています。

長崎県の介護職員処遇改善加算の取得率は全国平均より下回っていますが、近隣の県とほぼ同水準の結果であり、決して低い数字ではありません。

下記は、2020年1月時点における、全国平均および九州・沖縄地方の介護職員等特定処遇改善加算の取得状況をまとめた表です。

【九州・沖縄地方】介護職員等特定処遇改善加算の取得状況(令和3年1月サービス提供分) 単位(%)
加算(Ⅰ) 加算(Ⅱ) 合計
全国平均 32.0 34.3 66.4
福岡県 26.2 30.7 56.9
佐賀県 27.8 27.9 55.7
長崎県 34.1 23.3 57.4
熊本県 33.5 26.2 59.7
大分県 31.6 24.7 56.3
宮崎県 27.2 31.2 58.4
鹿児島県 30.4 27.3 57.8
沖縄県 24.9 26.6 51.5

(引用:東京都福祉保健局「介護職員処遇改善加算等取得促進支援事業に係る取組事例集」/https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/kourei/hoken/shogu/R3_shoguu.files/jirei_torikumi.pdf/引用日2022/3/2)

長崎県の介護職員等特定処遇改善加算は、加算(Ⅰ)の取得率が九州・沖縄地方の中で最も高く、業務全般が担える人材に向けた求人が豊富であることがうかがえます。

2-2. 【公益財団法人介護労働安定センター】介護労働実態調査結果をもとにした対応状況

公益財団法人介護労働安定センターは、介護労働者の雇用管理改善・能力開発・福祉の向上を目的とした介護全般のサポート機関です。同機関が実施する「介護労働実態調査結果」は、各都道府県の介護職員処遇改善状況をまとめた資料となります。

下記は、九州・沖縄地方における介護職員処遇改善加算の対応状況の一覧表です。

【九州・沖縄地方】介護職員処遇改善加算の算定及び対応状況(令和2年度) 単位(%)
諸手当の導入・引き上げ 一時金支給 基本給引き上げ
全国平均 61.6 57.6 35.3
福岡県 59.7 56.5 29.6
佐賀県 68.6 60.0 40.0
長崎県 64.0 59.6 36.0
熊本県 67.1 64.2 42.8
大分県 64.2 55.6 42.0
宮崎県 67.3 62.7 33.6
鹿児島県 61.7 57.1 33.8
沖縄県 69.9 47.3 25.8

(出典:公益財団法人介護労働安定センター「―令和2年度 介護労働実態調査結果について―」/http://www.kaigo-center.or.jp/report/2021r01_chousa_01.html

長崎県では「一時金支給」「基本給引き上げ」という形で介護職員処遇改善加算を活用する事業所が特に多いことが分かります。

下表は、九州・沖縄地方における介護職員等特定処遇改善加算の対応状況を示しています。

【九州・沖縄地方】介護職員等特定処遇改善加算の算定及び対応状況(令和2年度) 単位(%)
職員全体の処遇改善 経験・技能のある介護職員の処遇改善 介護職員全体の処遇改善
全国平均 38.5 31.4 29.2
福岡県 36.8 31.1 31.1
佐賀県 36.8 31.6 31.6
長崎県 44.9 31.9 21.7
熊本県 49.0 27.9 22.1
大分県 44.4 27.8 25.0
宮崎県 47.2 26.4 26.4
鹿児島県 48.9 30.4 18.5
沖縄県 53.1 20.4 24.5

(出典:公益財団法人介護労働安定センター「―令和2年度 介護労働実態調査結果について―」/http://www.kaigo-center.or.jp/report/2021r01_chousa_01.html

長崎県は「経験・技能のある介護職員の処遇改善」に取り組む事業所の割合が九州・沖縄地方全体で最も高く、介護職の経験者は給与アップが期待できるでしょう。

3. 長崎県が実施する介護施策の状況

長崎県が策定する「長崎県老人福祉計画・長崎県介護保険事業支援計画」では介護人材の育成・確保を目標に掲げています。意欲が高い介護職員が長く働き続けられる職場環境づくりを推進しています。

(出典:長崎県「長崎県老人福祉計画・長崎県介護保険事業支援計画」/
https://www.pref.nagasaki.jp/bunrui/hukushi-hoken/koreisha/keikaku-koreisha/fukushikeikaku/

また、介護職員等特定処遇改善加算が未取得の事業者に対して、申請から取得までの手続きを支援する取得促進も行っています。

(出典:東京都福祉保健局「介護職員処遇改善加算等取得促進支援事業に係る取組事例集」/
https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/kourei/hoken/shogu/R3_shoguu.files/jirei_torikumi.pdf

3-1. 【長崎県】介護職員処遇改善加算を取得している傾向にある施設は?

ここでは、厚生労働省「介護給付費等実態統計」において、全国的に介護職員処遇改善加算の取得率が高く、長崎県にある施設・サービスの特徴と仕事内容を紹介します。

認知症対応型通所介護
認知症対応型通所介護は、認知症の利用者を対象とした通所介護サービスです。主に食事介助や入浴介助といった生活支援や、リハビリテーション・口腔訓練などを提供し、利用者の身体機能の維持を目指します。認知症対応型通所介護は、利用者の身体機能のサポートだけでなく、在宅介護を行う家族の介護負担軽減にもつながります。

小規模多機能型居宅介護
小規模多機能型居宅介護は、利用者が安全に在宅生活を送れるようサポートをするサービスです。施設へ通うデイサービスを中心に、短期間の宿泊や自宅への訪問などを一貫して担います。すべて同じ事業所で完結するため、利用者が安心できるサービス体制と言えます。通所時の送迎もサービスの一環です。

検討段階にある転職先の介護職員処遇改善加算の取得状況は、各職場の公式ホームページにて確認が可能です。また、転職の際に給与を重視したい人は、高給与の優良求人を多数掲載するマイナビ介護職をご活用ください。キーワードで条件検索が可能なため、理想の求人が探しやすくなっています。

まとめ

長崎県は高齢化が進んでおり、介護需要がさらに高まっていく地域です。介護人材確保のため「介護職員処遇改善加算の取得」を推進する独自の取り組みや「経験・技能のある介護職員の処遇改善」に注力しています。実務経験者は歓迎される傾向にあるでしょう。

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※当記事は2021年11月現在の情報をもとに作成しています

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