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【東京都】介護職員処遇改善加算の取得状況は?介護施策の状況も解説

公開日:2021.10.27 更新日:2022.08.23

東京都の老年人口(65歳~)は毎年増加しており、全国の超高齢化社会を加速させる一因となっています。高齢化が進むことによることの大きな問題は、労働力人口の減少と介護・医療面における需要と供給のバランス崩壊です。

特に多数企業の本社が集中する東京都では、他都道府県と比べて労働力人口の減少による影響は大きくなるでしょう。人口も多いため、介護・医療面における需要と供給のバランスが崩れると、要介護者やその家族が住みづらい社会となってしまいます。

そのため東京都の介護施設・事業所では、介護職員の処遇改善を目的とした「介護職員処遇改善加算」の取得が進められていることが現状です。今回は、東京都における介護職員処遇改善加算の取得状況・その他実施する介護施策の状況・当制度の取得傾向にある介護サービスを紹介します。

1. 東京都における介護職員処遇改善加算の取得状況

東京都福祉保健局が発表した「介護職員処遇改善加算等取得促進支援事業に係る取組事例集」では、全国の介護施設・事業所における介護職員処遇改善加算の取得状況が記載されています。

下記は、全国と東京都を比較した介護職員処遇改善加算の取得状況です。

介護職員処遇改善加算の取得状況 (令和3年1月サービス提供分)
加算(Ⅰ) 加算(Ⅱ) 加算(Ⅲ) 加算(Ⅳ) 加算(Ⅴ) 合計
全国 80.0% 7.1% 5.3% 0.2% 0.3% 92.9%
東京都 82.6% 5.6% 4.6% 0.1% 0.2% 93.0%

(出典:東京都福祉保健局「介護職員処遇改善加算等取得促進支援事業に係る取組事例集」/https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/kourei/hoken/shogu/R3_shoguu.files/jirei_torikumi.pdf

全国の平均取得率と東京都の合計取得率を見ると、わずかに東京都の取得率の方が高いことがわかりました。人口の最も多い東京都は、介護施設・事業所数も全国トップクラスにあることを考えると、多くの事業所が介護職員処遇改善加算の取得を進めていると言えるでしょう。

また、令和元年度から運用された「介護職員等特定処遇改善加算」の取得状況については、下記を参考にしてください。

介護職員等特定処遇改善加算の取得状況(令和3年1月サービス提供分)
加算(Ⅰ) 加算(Ⅱ) 合計
全国 32.0% 34.3% 66.4%
東京都 27.4% 44.6% 72.0%

(出典:東京都福祉保健局「介護職員処遇改善加算等取得促進支援事業に係る取組事例集」/https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/kourei/hoken/shogu/R3_shoguu.files/jirei_torikumi.pdf

東京都の介護施設・事業所における職員等特定処遇改善加算の取得率は、介護職員処遇改善加算とは違い、全国平均から5.6%ほど高くなっていました。とりわけ加算(Ⅱ)の取得率が高いことも特徴です。

このように、東京都では介護職員処遇改善加算と介護職員等特定処遇改善加算の取得を進めている事業所が多く、介護人材の勤務環境は徐々に改善されていると言えるでしょう。

1-1. そもそも介護職員処遇改善加算とは?

介護職員処遇改善加算・介護職員等特定処遇改善加算はいずれも、事業所で働く従業員に対する賃金向上を目的として、事業所に手当金が支給されるという制度です。下記では、それぞれの制度についてより詳細を解説します。

・介護職員処遇改善加算
介護職員処遇改善加算とは、賃金体系の整備をしたり、キャリアアップ制度を制定したりした介護施設・事業所に対して、「介護報酬」という形で手当金が支給されるといった制度です。当制度は、平成24年(2012年)から本格的に運用されました。加算(Ⅰ)~加算(Ⅴ)までの5つの区分があり、取得・申請するためには区分ごとの設定要件を満たさなければなりません。例として、加算(Ⅰ)を取得した事業所は、介護職員1人につき月額37,000円相当の手当が加算されます。

・介護職員等特定処遇改善加算
介護職員等特定処遇改善加算とは、介護職員処遇改善加算に加えて、スキル・経験のある従業員に対してさらなる賃金向上を行うための制度です。令和元年(2019年)から本格的に運用されました。加算(Ⅰ)~加算(Ⅱ)の2つの区分があり、加算率は区分と介護サービスにより異なります。

また介護職員等特定処遇改善加算は配分ルールがあり、介護職員の区分も必要です。例として、スキル・経験のある介護職員のうち1人以上は「月額8万円、または年収440万円まで」の賃金向上が必要といったルールがあります。

なお、介護施設・事業所が介護職員処遇改善加算・介護職員等特定処遇改善加算を取得するためには、各制度で定められているルールや要件を満たしたうえで、申請書・年度計画書などの必要書類一式を都道府県知事に提出しなければなりません。また取得後は、事業年度ごとに年度実績報告書も提出する必要があることに注意してください。

1-2. 介護職員処遇改善加算における平均給与の推移

介護職員処遇改善加算による介護職員の賃金向上効果は、厚生労働省が発表した介護職員の平均給与額データから見てとれます。

令和2年2月平成31年2月
平均給与(合計) 315,850円 300,120円
手当 78,440円 70,350円

(出典:厚生労働省「令和2年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要」/https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000689849.pdf

上記のデータは、正社員として働く介護職員の平均給与額をまとめたデータです。令和2年2月時点における介護職員の平均給与額は、平成31年2月と比べて約15,000円もアップしていることがわかります。平均給与額は基本給・手当・賞与などを含めた額ですが、そのうち数値のアップが最も顕著だった項目は手当です。介護職員処遇改善加算による手当は従業員にもそのまま手当として渡されるため、当制度による給料水準の向上効果と言えるでしょう。

また勤続年数別の介護職員(正社員)の平均給与額の推移は、下記の通りです。

令和2年2月平成31年2月
勤続1年 283,480円 258,260円
勤続3年 291,010円 277,120円
勤続5~9年 307,980円 294,020円
勤続10年~ 350,820円 333,980円

(出典:厚生労働省「令和2年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要」/https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000689849.pdf

平成31年2月の状況と比較すると、令和2年2月時点では勤続年数にかかわらず、すべての介護職員の給与がアップしていることがわかりました。特に勤続1年目の介護職員においては平成31年と令和2年で約25,000円の差があります。

このことから、介護施設・事業所の処遇はここ数年でも非常に改善されつつあり、未経験・初心者でもしっかり収入を得られると言えるでしょう。

2. 東京都が実施する介護施策の状況

東京都公式ホームページが発表した内容によると、令和3年9月時点での老年人口は3,116,000人と過去最高値を更新しており、高齢化率は23.4%となっていました。超高齢化社会と判断できる目安・定義は高齢化率21%からと言われており、東京都はまさに超高齢化社会が始まっていると言っても過言ではありません。

(出典:東京都「令和3年「敬老の日にちなんだ東京都の高齢者人口(推計)」の概要」/https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/hodohappyo/press/2021/09/14/14.html

高齢化が進むと要介護者も自ずと増加するため、介護人材の需要は高まっていく一方です。需要と供給のバランス崩壊を防ぎ、地域の人々が住みやすい街にすべく、東京都では下記のような介護施策を打ち出しています。

・介護人材確保対策事業
→職場体験・資格取得支援・就業促進など

・介護職員処遇改善加算取得促進支援事業
→専門コンサルタントによる電話での無料相談など

・東京都訪問看護推進総合事業
→補助金・研修の開催など

このように、介護が必要な方へはもちろん、介護サービスを提供する方など多方面へのサポートがあらゆる事業により行われています。

3. 【東京都】介護職員処遇改善加算を取得している傾向にある施設は?

介護職員処遇改善加算を取得している介護施設・事業所で働けば、給与アップが見込めます。下記では、全国でも処遇改善加算の取得率が高く、かつ東京都でも多数存在する介護サービスについて紹介します。

短期入所生活介護
短期入所生活介護とは、要介護認定を受けた利用者に対して、短期入所施設あるいは老人ホームなどで短期間入所させ、なるべく自立した日常生活を行えるような機能訓練(リハビリテーション)や身の回りの世話を提供する介護サービスです。医師や看護師、リハビリ職員との連携をとりながら働くことが特徴です。

介護老人福祉施設
介護老人福祉施設とは、一般的に「老人ホーム」として知られる代表的な介護施設です。介護老人福祉施設で働く介護職員は主に、要介護認定を受けた利用者の身の回りの世話や機能訓練、健康管理などが仕事内容となります。24時間体制となるため、夜勤や当直もあります。

定期巡回・随時対応型訪問介護看護
定期巡回・随時対応型訪問介護看護とは、要介護認定を受けた利用者の自宅を24時間365日定期的に訪問して、身の回りの世話や緊急時の対応を行う介護サービスです。必要なタイミングで訪問をするという柔軟な対応が求められるため、突然の夜勤や当直もあります。

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まとめ

老年人口・高齢化率が年々上昇している東京都は、人口と企業の多さから、高齢化社会による影響が大きく出るおそれのある地域です。実際に超高齢化社会と言えるまでに達しており、一刻も早い介護施策が求められています。

東京都では、介護人材を確保・定着させ、質の高い介護サービスを今後も提供し続けられるよう、介護職員の処遇改善にも力を入れていることが特徴です。介護職員処遇改善加算・介護職員等特定処遇改善加算を取得する事業所は今後も増加し、それに伴い平均給与も上昇するでしょう。

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