【山口県】介護職員処遇改善加算の取得状況は？介護施策の状況も解説

公開日:2023.02.07 更新日:2023.02.08

加算減算

山口県における高齢者（65歳以上）の割合は令和2年10月1日時点で34.7％で、全国平均の28.8％よりも高い状況です。高齢者の割合は年々増えており、人口減少も進んでいる山口県は少子高齢化が深刻な地域と言えます。

（出典：山口県「市町年齢別推計人口」 /https://www.pref.yamaguchi.lg.jp/cms/a12500/jinko/suikei.html）

（出典：総務省統計局「1．高齢者の人口」 /https://www.stat.go.jp/data/topics/topi1291.html）

この記事では、介護職員処遇改善加算の基礎知識と介護職員の平均給与の推移を紹介した後、山口県の介護職員処遇改善加算の取得状況・取り組みを紹介します。山口県で介護職に転職することを検討している人や、給与に関する情報が知りたい人はぜひご覧ください。

※本文では、介護職員処遇改善加算（Ⅳ・Ⅴ）のデータにも触れておりますが、介護職員処遇改善加算（Ⅳ・Ⅴ）は令和3年3月31日で廃止されており、令和3年3月31日時点で算定している事業所については、令和4年3月31日までの算定です。

そのため、介護職員処遇改善加算（Ⅳ・Ⅴ）のデータは参考値としてご参照ください。

1.　介護職員処遇改善加算とは？

1-1.　介護職員処遇改善加算における平均給与の推移

2.　山口県における介護職員処遇改善加算の取得状況

2-1.　【厚生労働省】介護給付費等実態統計をもとにした取得状況

2-2.　【公益財団法人介護労働安定センター】介護労働実態調査結果をもとにした対応状況

3.　山口県が実施する介護施策の状況

3-1.　【山口県】介護職員処遇改善加算を取得している傾向にある施設は？

まとめ

1.　介護職員処遇改善加算とは？

介護職員処遇改善加算とは、介護サービスを提供する介護職員の処遇を改善するために、国と自治体が一体となって勤務環境と賃金の改善を図る制度です。介護職処遇改善加算は「介護職員処遇改善加算」と「介護職員等特定処遇改善加算」に大別され、それぞれには以下の特徴があります。

・介護職員処遇改善加算
「介護職員処遇改善加算」は、区分ごとの要件を満たした介護事務所で働く介護職員の賃金改善を行うための制度です。区分は5つあり、区分を分類する要件には「キャリアパス要件」と「職場環境等要件」が定められています。

・介護職員等特定処遇改善加算
「介護職員等特定処遇改善加算」は、令和元年10月から新たに運用が開始された制度で、スキルや経験が豊富な介護職員の処遇改善を目的としています。「勤続年数10年以上の介護福祉士について月額平均8万円相当の処遇改善を行うこと」は、を内閣府が平成29年12月に閣議決定し、「新しい経済政策パッケージ」においても提示されています。

1-1.　介護職員処遇改善加算における平均給与の推移

「介護職員処遇改善加算」の浸透によって、介護職員の生活にもつながる給与は変動します。

令和元年2月と令和2年2月で比較すると、介護職員の平均給与は15,730円アップしました。住宅や通勤などの諸手当、一時金などの報酬の伸びが目立ちますが、基本給が3,160円とベースがしっかりアップしていることがポイントです。

また、勤続年数の違いで比較すると、勤続1年目の介護職員の待遇が最も手厚く、25,220円アップとなっています。人材定着を目指し、職員を大切に育てたいという思いが垣間見えます。

（出典：厚生労働省「令和2年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要（案）」 /https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000689849.pdf）

2.　山口県における介護職員処遇改善加算の取得状況

全国の介護職員処遇改善加算における取得率は、多くの都道府県でも90％を超える状況です。一方で、介護職員等特定処遇改善加算においては、全国平均で60％台となっています。

ここからは山口県における「介護職員処遇改善加算」と「介護職員等特定処遇改善加算」の取得・対応状況について詳しく解説します。

2-1.　【厚生労働省】介護給付費等実態統計をもとにした取得状況

東京都福祉保健局の「介護職員処遇改善加算等取得促進支援事業に係る取組事例集」によると、全国平均と中国地方・四国地方の介護職員処遇改善加算の取得状況は、下記の通りです。表中のデータは、厚生労働省の「介護給付費等実態統計」をもとにしています。

【中国・四国地方】介護職員処遇改善加算の取得状況（令和3年1月サービス提供分）　単位（％）
	加算（Ⅰ）	加算（Ⅱ）	加算（Ⅲ）	加算（Ⅳ）	加算（Ⅴ）	合計
全国平均	80.0	7.1	5.3	0.2	0.3	92.9
鳥取県	78.2	5.1	6.9	0.5	2.0	92.6
島根県	81.6	7.6	6.6	0.1	0.1	96.0
岡山県	76.8	9.3	6.4	0.2	0.2	92.9
広島県	75.2	10.5	6.8	0.0	0.6	93.2
山口県	72.4	6.8	6.5	0.8	1.6	88.2
徳島県	78.8	4.7	5.5	0.0	0.5	89.6
香川県	77.0	7.7	6.6	0.1	0.1	91.4
愛媛県	80.3	6.8	5.7	0.1	0.4	93.2
高知県	65.8	11.7	9.5	0.5	0.9	88.5

（引用：東京都福祉保健局「介護職員処遇改善加算等取得促進支援事業に係る取組事例集」/https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/kourei/hoken/shogu/R3_shoguu.files/jirei_torikumi.pdf/引用日2022/3/2）
※加算（Ⅳ・Ⅴ）については、令和3年3月末時点で同加算を算定している事業者について、１年の経過措置を設けた上で、令和2年度で廃止されています。

山口県における介護職員処遇改善加算の取得率は全国平均を下回る88.2％で、中国地方・四国地方の中で最も低い取得状況となっています。加算（Ⅰ）は高知県に次いで低い数値となっていますが、今後、介護職員処遇改善を進める上では伸びしろがあると言えます。

下記は、令和3年1月時点における「介護職員等特定処遇改善加算」の取得状況を、全国と中国地方・四国地方で比較した表です。

【中国・四国地方】介護職員等特定処遇改善加算の取得状況（令和3年1月サービス提供分）　単位（％）
	加算（Ⅰ）	加算（Ⅱ）	合計
全国平均	32.0	34.3	66.4
鳥取県	46.9	17.9	64.8
島根県	38.3	25.6	63.9
岡山県	36.4	28.2	64.6
広島県	34.8	36.4	71.2
山口県	27.7	27.8	55.5
徳島県	36.3	25.6	61.9
香川県	30.3	33.8	64.1
愛媛県	31.1	37.3	68.5
高知県	29.0	20.3	49.3

山口県は全国平均の66.4％に対して10％以上の差があり、特に加算（Ⅰ）は中国・四国地方で最も低い数値となっています。

介護職員処遇改善加算においても、高い取得率で推移する島根県を筆頭とする近隣エリアからの刺激によって、今後山口県でも取得率が高まることが期待されます。

2-2.　【公益財団法人介護労働安定センター】介護労働実態調査結果をもとにした対応状況

公益財団法人介護労働安定センターでは、介護職の雇用管理や能力開発、福利厚生を支援しています。下記は、公益財団法人介護労働安定センターの資料をもとに、各都道府県の介護職員処遇改善などの対応状況についてまとめた表です。

【中国・四国地方】介護職員処遇改善加算の算定及び対応状況（令和2年度）　単位（％）
	諸手当の導入・引き上げ	一時金支給	基本給引き上げ
全国平均	61.6	57.6	35.3
鳥取県	39.3	64.3	35.7
島根県	62.7	69.3	38.7
岡山県	66.7	53.1	36.5
広島県	62.3	63.2	34.9
山口県	60.8	50.0	32.4
徳島県	55.6	61.1	27.8
香川県	64.4	62.7	30.5
愛媛県	46.8	65.9	27.0
高知県	69.5	49.2	32.2

（出典：公益財団法人介護労働安定センター「―令和2年度介護労働実態調査結果について―」/http://www.kaigo-center.or.jp/report/2021r01_chousa_01.html）

山口県の基本給引き上げ状況は、全国平均を約3ポイント下回っています。一時金支給も全国平均を約7ポイント下回り、伸び悩んでいる印象です。一方で、諸手当の導入・引き上げについては1％未満の差となっており、今後改善が進めば全国平均との同水準も見込めます。

下記は、中国・四国地方の介護職員等特定処遇改善加算の算定及び対応状況をまとめた表です。

【中国・四国地方】介護職員等特定処遇改善加算の算定及び対応状況（令和2年度）　単位（％）
	職員全体の処遇改善	経験・技能のある介護職員の処遇改善	介護職員全体の処遇改善
全国平均	38.5	31.4	29.2
鳥取県	35.7	7.1	57.1
島根県	28.9	33.3	37.8
岡山県	46.6	32.8	20.7
広島県	32.8	39.7	25.9
山口県	54.9	19.6	23.5
徳島県	31.0	34.5	34.5
香川県	40.5	21.6	32.4
愛媛県	43.8	36.3	20.0
高知県	21.4	35.7	42.9

（出典：公益財団法人介護労働安定センター「―令和2年度介護労働実態調査結果について―」/http://www.kaigo-center.or.jp/report/2021r01_chousa_01.html）

山口県では「職員全体の処遇改善」において全国平均を16.4％上回る改善が見られ、中国・四国地方で最も高い数値となっています。山口県は、職員全体の待遇が大きく前進していることがうかがえます。

一方、「経験・技能のある介護職員の処遇改善」では11.8％、「介護職員全体の処遇改善」では5.7％も全国平均を下回っています。今後は、既存の職員の処遇を改善することが課題と言えるでしょう。

3.　山口県が実施する介護施策の状況

山口県では介護職員の働きやすい環境整備を推進し、地域密着のサービスを展開するための「やまぐち働きやすい介護職場宣言」を掲げています。

宣言をした事業所には「宣言事業所」として事業者指定され、「やまぐち働きやすい介護職場宣言制度HP」では積極的な職場紹介が行われます。また、宣言事業所の認定証とともにロゴマークを付与するなど、働きやすい職場作りをサポートしています。

（出典：やまぐち働きやすい介護職場宣言「「やまぐち働きやすい介護職場宣言」とは？」/
https://www.kaigo.pref.yamaguchi.lg.jp/sengen/about/outline.html）

3-1.　【山口県】介護職員処遇改善加算を取得している傾向にある施設は？

ここでは、厚生労働省の「介護給付費等実態統計」にある介護職員処遇改善加算取得状況で、加算（Ⅰ）から加算（Ⅴ）の合計が80％以上の施設・サービスについて、山口県にあるものを2つ紹介します。

訪問入浴介護
訪問入浴介護とは、自宅の浴槽では入浴が難しい在宅の要介護者に対し、浴槽を自宅に持ち込み入浴をサポートするサービスです。介護職員2名と看護師1名の3名体制が一般的で、入浴前後に血圧や発熱などの健康チェックも行います。

介護医療院
介護医療院とは、長期的な医療と介護の両方を必要としている高齢者を対象とした施設です。平成30年4月に法定化された施設で、従来の介護治療型病床は廃止され、介護医療院へと転換されることになっています。設備基準は診察に適した診察室、1人あたりに8.0平米以上の床面積を持つ療養室、40平米以上の機能訓練室・談話室・食堂・浴室・レクリエーションルームなどが定められており、長期の療養に適した施設となっています。

介護医療院

介護医療院とは、長期的な医療と介護の両方を必要としている高齢者を対象とした施設です。平成30年4月に法定化された施設で、従来の介護治療型病床は廃止され、介護医療院へと転換されることになっています。設備基準は診察に適した診察室、1人あたりに8.0平米以上の床面積を持つ療養室、40平米以上の機能訓練室・談話室・食堂・浴室・レクリエーションルームなどが定められており、長期の療養に適した施設となっています。

気になった施設・サービスの職場で介護職員処遇改善加算の取得が行われているかどうかについては、各施設・サービスの公式サイトでチェックしましょう。山口県では、上記で紹介した「やまぐち働きやすい介護職場宣言」を参考にすることもおすすめです。

また、「介護職の職場選びで給与を重視したい」「仕事内容をしっかり把握したい」など、要望や気になるポイントがある場合は、「マイナビ介護職」にご相談ください。求職者様の要望などをヒアリングした上で、最適な求人をご提案させていただきます。