社会福祉士の給料が高い職場とは?収入アップを目指せる転職先の選び方を解説

公益財団法人社会福祉振興・試験センターが2020年度に行った調査によると、社会福祉士の平均年収は403万円でした。しかし、実際には働く場所によって差があります。給与の高い職場に転職することで、収入が上がる可能性があります。
この記事では、社会福祉士の給料について取り上げ、高収入を目指せる職場の特徴や給与が高い職場の見極め方、収入アップを目指す方法などを解説します。収入を上げたい方は、ぜひ参考にしてください。
目次
1. 社会福祉士の給与が高い職場とは?
公益財団法人社会福祉振興・試験センターが公表している「令和2年度社会福祉士就労状況調査結果報告書」によると、社会福祉士の平均年収(約403万円)を上回る主な職場は、以下のとおりです(一部抜粋)。
| 職場 | 平均年収 |
|---|---|
| 保護観察所・地方更生保護委員会 | 638万円 |
| 児童相談所 | 532万円 |
| 身体障害者更生相談所 | 504万円 |
| 都道府県庁 | 496万円 |
| 都道府県社会福祉協議会 | 475万円 |
| 市区町村社会福祉協議会 | 447万円 |
| 乳児院・児童養護施設・母子生活支援施設 | 437万円 |
| 市役所、町村役場 | 436万円 |
| 介護老人福祉施設 | 423万円 |
| 障害者支援施設 | 416万円 |
参考:公益財団法人社会福祉振興・試験センター「令和2年度社会福祉士就労状況調査結果報告書」
この結果から、公務員として働く社会福祉士は、平均年収が高い傾向にあることが分かります。これは公務員の給与体系が、長く勤めるほど着実に上がりやすい仕組みになっているためです。
公務員に近い安定性を持つ社会福祉協議会も、年収は高めの水準です。民間の施設では、夜勤手当などが加算される入所系施設の給与が高くなりやすい傾向にあります。
2. 社会福祉士の給料が高い職場の例
社会福祉士の給料の水準が高い職場としては、以下のようなものが挙げられます。
・行政機関
・社会福祉協議会
・児童・母子福祉施設
・介護老人福祉施設
・障害者支援施設
それぞれの職場について詳しく解説します。
2-1. 行政機関
前述の「令和2年度社会福祉士就労状況調査結果報告書」によると、社会福祉士の平均年収が最も高かった職場が、「保護観察所・地方更生保護委員会」です。社会復帰調整官として採用されると、保護観察所やその支部に勤務し、対象者の生活環境の調査・調整、精神保健観察などの業務を行います。
国家公務員として採用されるため、法律や条例に基づいた給与表が適用されるのが特徴です。毎年着実に昇給しやすい上に、賞与や手当も充実しているため、安定して高収入を得やすいでしょう。
また、児童相談所や都道府県庁、市区町村役場、身体障害者更生相談所も地方公務員として採用されるため、社会福祉士の中では給与水準が高くなっています。とはいえ、採用されるにはそれぞれの機関が実施する採用試験や選考を通過する必要があり、狭き門と言えるでしょう。
参考:法務省保護局「社会復帰調整官」
関連記事:社会福祉士は公務員としても活躍できる?働く場所や採用ルートを解説!
2-2. 社会福祉協議会
社会福祉協議会も比較的平均年収が高い職場で、社会福祉士は地域福祉の推進役として、住民の生活相談やボランティア活動の調整などを行います。
民間組織ですが、多くの社会福祉協議会は自治体の給与体系に準拠しているため、公務員と同様に昇給や退職金制度が整っている傾向にあります。そのため、長く勤めるほど給与が上がりやすいのが特徴です。
一方で、長く勤める職員が多く欠員が生じにくいことから、求人募集は少ない傾向にあります。
2-3. 児童・母子福祉施設
乳児院や児童養護施設、母子生活支援施設は、さまざまな事情で家庭にいられない子どもや親子を、24時間体制で支援する入所施設です。
夜勤に入ると基本給に加えて夜勤手当や宿直手当が支給されるため、一般的には日勤のみの仕事に比べて年収が高くなります。ただし、勤務時間が不規則になりやすく、体力的な負担は大きくなるでしょう。
2-4. 介護老人福祉施設
介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)は、民間施設の中では比較的高水準の給与が期待できます。その理由は、生活相談員も宿直や夜勤を行う場合があり、回数に応じて手当が加算されるためです。
一方で、介護老人福祉施設には、日勤のみの勤務体制をとっているところも多くあります。その場合は手当の有無によって給与額が変わってくるので、就職・転職活動の際には、夜勤の有無や待遇の詳細をしっかり確認するようにしましょう。
2-5. 障害者支援施設
障害者支援施設は、日常生活に介護を要する障害者を支援する入所施設です。障害者支援施設では、利用者の方の生活全般を支えるため、日中の相談業務だけでなく、夜勤や宿直業務が発生するケースも多くあります。
そのため、基本給に夜勤手当や深夜業務手当が上乗せされて、結果として給料の水準が高くなりやすいのが特徴です。しかし、高い給料が期待できる反面、勤務形態が不規則になりやすく、体力的な負担も大きくなります。
3. 社会福祉士が給料の高い職場を選ぶためのポイント
給与の高い職場へ転職する際は、給与の額面だけで判断しないことが重要です。入職後に「想定していた条件と異なっていた」と後悔しないように、以下の三つの視点で求人情報をチェックしましょう。
・給与体系が安定しているか
・手当の種類は充実しているか
・業務内容に高い専門性を求められるか
それぞれについて詳しく解説します。
3-1. 給与体系が安定しているか
長く働きながら年収を上げていくためには、昇給や賞与の金額が安定していることが大切です。求人情報を見る際は、基本給の金額だけでなく、賞与の支給実績も確認しましょう。月給が平均的でも、賞与が手厚く支給されている職場であれば、トータルの年収は高くなります。
また、給与規定が地方公務員の俸給表(給料表)に準拠している職場であれば、年齢や勤続年数に応じて着実に昇給していくため、将来的なライフプランも立てやすいでしょう。
3-2. 手当の種類は充実しているか
基本給の高さだけでなく、上乗せされる手当の種類と金額をチェックすることも大切です。求人情報では、「住宅手当」や「扶養手当」といった各種手当があるかどうかも確認しておきましょう。
公務員や大手法人は、家賃補助や家族手当が手厚い傾向にあり、年間で数十万円の差になることも少なくありません。
3-3. 業務内容に高い専門性を求められるか
一般的に、高度な専門知識や、複雑な調整力が求められる業務ほど報酬は高くなります。例えば、権利擁護や虐待対応など、高い専門スキルが不可欠な業務が該当します。
業務の負担は大きくなりますが、責任が重い分、「職務手当」や「資格手当」が手厚く設定される傾向にあり、高収入が期待できるでしょう。
4. 社会福祉士が収入アップを目指す方法
給料が高い職場に転職する以外にも、スキルアップや働き方の工夫によって、年収を上げることは可能です。ここでは、五つの方法を紹介します。
4-1. 管理職へのキャリアアップを目指す
社会福祉士として働きながら施設長や管理者、チームリーダーなどの管理職を目指すことで、収入を上げられる可能性があります。管理職の場合、現場の相談援助業務からは離れることになりますが、責任の重さに応じた役職手当が支給される分、年収アップが期待できるでしょう。
ただし、管理職になるには、現場経験だけでなく経営的な視点や、マネジメント能力が必要です。キャリアアップを目指す場合は、研修参加や他部署との連携を積極的に行い、必要な知識・スキルを身に付けましょう。
4-2. 関連資格を取得する
精神保健福祉士や介護支援専門員など、複数の関連資格の取得を目指すのも有効です。資格手当として、月に数千円〜数万円が上乗せされるだけでなく、対応できる業務の幅が広がることで、職場内での評価も高まりやすくなります。
複数の資格を持っていることは、好条件の転職やキャリアアップを目指す場合にも、大きなアピール材料となるでしょう。
4-3. 成年後見人になる
社会福祉士が成年後見人として活動する方法の一つに、所定の研修を修了し、日本社会福祉士会の権利擁護センター「ぱあとなあ」の名簿に登録するルートがあります。名簿登録者が候補者として推薦され、家庭裁判所から選任されると業務を行うことができます。報酬付与の申し立てを行った場合、家庭裁判所が管理財産や本人の資力などを考慮して報酬額を決めます。なお、最高裁判所が2023年に報告したデータによると、成年後見人を務める社会福祉士の平均報酬は、年間約26万円でした。
参考:最高裁判所事務総局家庭局「成年後見制度利用促進専門家会議 第3回 成年後見制度の運用改善等に関するワーキング・グループ 報酬実情調査の集計結果資料」
本業と両立して活動する例もあり、専門性を生かしながら副収入を得たい方に向いています。
4-4. 副業をする
勤務先が副業を認めている場合、社会福祉士としての知識を生かして副収入を得ることも可能です。
例えば、社会福祉士養成校やヘルパー研修の非常勤講師、行政主催のセミナーの講師などは、一般的な副業の一つです。また、最近ではWebライターとして福祉系の記事を執筆するなど、在宅でできる副業も増えています。本業以外に収入の柱を持てれば、精神的・経済的な余裕にもつながるでしょう。
4-5. 独立する
社会福祉士は、独立して事務所を開業することも可能です。その場合は、成年後見人業務や行政からの委託相談、講師業などを組み合わせて収入を得ることになります。
公務員や会社員のように収入の保証はありませんが、自分の裁量で仕事ができて収入の上限もないため、経営手腕次第では高年収を目指せる可能性があるでしょう。
まとめ:自分のキャリアプランに合わせて給与の高い職場を選ぼう
社会福祉士の給料が高い職場としては、行政機関や社会福祉協議会、入所系施設などが挙げられます。これらの職場は給与規定が整備されていたり、手当が手厚かったりするため、給料が高くなる傾向にあります。
ただし、納得のいく待遇で働くためには、事前準備が欠かせません。公務員を目指すのであれば、希望する職種や機関の採用試験・選考に応じた対策が必要です。民間の施設で働く場合は、手当や賞与実績をチェックした上で、効率的に転職活動を進める必要があるでしょう。
収入アップを目指すにあたっては、自分のキャリアプランに合わせて、しっかりと準備をすることが大切です。
介護・福祉業界の転職事情|仕事の種類・平均給与・おすすめの資格
プロフィール
倉元せんり(Senri Kuramoto)
社会福祉士
大学卒業と同時に社会福祉士の資格を取得。約8年、医療ソーシャルワーカーとして勤務。出産・育児と同時に退職し、現在は福祉・金融系webライターとして、福祉やお金にまつわるさまざまな記事を執筆している。
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