【岩手県】介護職員処遇改善加算の取得状況は?介護施策の状況も解説
岩手県では、高齢化率が年々上昇しており、介護サービスを求める高齢者が増加しています。しかし、将来的に介護を担う人材が不足することが予測されており、岩手県では介護職員処遇改善加算を取得する事業所を増やし、介護職に携わる人材の定着・確保を進めている状況です。
(出典:岩手県「岩手県の高齢化率」/https://www.pref.iwate.jp/kurashikankyou/fukushi/koureisha/torikumi/1003633.html)
(出典:岩手県「いわていきいきプラン(2021~2023)」/https://www.pref.iwate.jp/kurashikankyou/fukushi/koureisha/torikumi/1040722.html)
この記事では、介護職員処遇改善・介護職員等特定処遇改善加算の概要を簡単に紹介した後に、岩手県における介護職員処遇改善・介護職員等特定処遇改善加算の取得状況を紹介します。岩手県が実施する介護施策も紹介するため、介護職に転職を考えている人は、ぜひ参考にしてください。
※本文では、介護職員処遇改善加算(Ⅳ・Ⅴ)のデータにも触れておりますが、介護職員処遇改善加算(Ⅳ・Ⅴ)は令和3年3月31日で廃止されており、令和3年3月31日時点で算定している事業所については、令和4年3月31日までの算定です。
そのため、介護職員処遇改善加算(Ⅳ・Ⅴ)のデータは参考値としてご参照ください。
目次
1. 介護職員処遇改善加算とは?
介護職員を対象とした制度には、給与のベースアップに関わる「介護職員処遇改善加算」「介護職員等特定処遇改善加算」があります。ここでは、2つの処遇改善加算の概要を簡単に紹介します。
・介護職員処遇改善加算
介護職員処遇改善加算は、すべての介護職員を対象とした制度です。「キャリアパス要件」「職場環境等要件」を満たす数によって加算(Ⅰ)~(Ⅲ)に分けられており、介護職員1人あたり月額で約15,000~37,000円の加算額が得られます。加算率はサービス区分によって若干違いがあるため、加算額の月額はあくまでも目安である点に注意してください。
・介護職員等特定処遇改善加算
介護職員等特定処遇改善加算は、令和元年10月から施行された、介護職経験者を対象とした制度です。介護職員処遇改善加算に上乗せされて加算額が得られ、政府の方針では「月額80,000円相当の処遇改善加算を行うこと」が定められています。なお、加算額の配分は各事業所にゆだねられていることから、介護職員等特定処遇改善加算を取得している施設であっても、給与に80,000円相当の加算額が上乗せされるとは言い切れません。
処遇改善加算を取得している事業所に転職できれば、給与アップすることが期待できます。そのため、転職先を探す際は、介護職員処遇改善加算・介護職員等特定処遇改善加算を取得している事業所を中心に探すことをおすすめします。
1-1. 介護職員処遇改善加算における平均給与の推移
介護職員処遇改善加算を取得している事業所の平均給与は、職種を問わず上がっています。実際に、平成31年2月から令和2年2月までにおける正社員として働く職員の平均給与の推移を見ると、介護職員は15,730円、生活相談員・支援相談員は10,330円、介護支援専門員は10,390円上昇しています。
なお、同期間の理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の平均給与は9,370円、管理栄養士・栄養士は8,960円の増加でした。他の職種と比較すると、介護職の給与水準は大幅にアップしていると言えるでしょう。
(出典:厚生労働省「令和2年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要(案)」/https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000689849.pdf)
2. 岩手県における介護職員処遇改善加算の取得状況
介護職員処遇改善加算は、以前の名称であった「介護職員処遇改善交付金」の運用期間と通算すると10年近く経っているため、全国的に取得率が90%を超えています。一方で、介護職員等特定処遇改善加算は令和元年10月に施行されたばかりであることから、全国平均の取得率は66.4%にとどまっている状況です。
ここからは、岩手県における介護職員処遇改善加算・介護職員等特定処遇改善加算の取得状況を紹介します。
2-1. 【厚生労働省】介護給付費等実態統計をもとにした取得状況
下記は、令和3年1月時点における北海道・東北地方の介護職員処遇改善加算の取得状況をまとめた表です。なお、表中の数値は厚生労働省の「介護給付費等実態統計」を参考にしています。
【北海道・東北地方】介護職員処遇改善加算の取得状況(令和3年1月サービス提供分) 単位(%) | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|
加算(Ⅰ) | 加算(Ⅱ) | 加算(Ⅲ) | 加算(Ⅳ) | 加算(Ⅴ) | 合計 | |
全国平均 | 80.0 | 7.1 | 5.3 | 0.2 | 0.3 | 92.9 |
北海道 | 79.7 | 7.5 | 5.1 | 0.2 | 0.1 | 92.7 |
青森県 | 83.4 | 7.6 | 3.6 | 0.1 | 0.3 | 95.0 |
岩手県 | 78.9 | 9.4 | 5.6 | 0.2 | 0.0 | 94.1 |
宮城県 | 80.6 | 9.1 | 4.3 | 0.2 | 0.3 | 94.4 |
秋田県 | 87.5 | 6.4 | 2.6 | 0.1 | 0.2 | 96.8 |
山形県 | 88.9 | 4.2 | 2.9 | 0.1 | 0.3 | 96.4 |
福島県 | 79.6 | 8.7 | 5.5 | 0.1 | 0.1 | 94.0 |
(引用:東京都福祉保健局「介護職員処遇改善加算等取得促進支援事業に係る取組事例集」/https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/kourei/hoken/shogu/R3_shoguu.files/jirei_torikumi.pdf/引用日2022/3/1)
※加算(Ⅳ・Ⅴ)については、令和3年3月末時点で同加算を算定している事業者について、1年の経過措置を設けた上で、令和2年度で廃止されています。
岩手県の介護職員処遇改善加算の取得率は、北海道・東北地方では宮城県の94.4%に次いで5番目となっています。しかし、全国平均である92.9%を上回っていることから、岩手県における介護職員処遇改善加算の取得状況は決して悪くありません。
下記は、令和3年1月時点における北海道・東北地方の介護職員等特定処遇改善加算の取得状況をまとめた表です。
【北海道・東北地方】介護職員等特定処遇改善加算の取得状況(令和3年1月サービス提供分) 単位(%) | |||
---|---|---|---|
加算(Ⅰ) | 加算(Ⅱ) | 合計 | |
全国平均 | 32.0 | 34.3 | 66.4 |
北海道 | 37.6 | 28.3 | 66.0 |
青森県 | 45.4 | 18.6 | 64.0 |
岩手県 | 44.8 | 22.3 | 67.1 |
宮城県 | 36.8 | 35.6 | 72.4 |
秋田県 | 46.5 | 25.2 | 71.7 |
山形県 | 50.5 | 20.0 | 70.5 |
福島県 | 36.4 | 27.9 | 64.2 |
(引用:東京都福祉保健局「介護職員処遇改善加算等取得促進支援事業に係る取組事例集」/https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/kourei/hoken/shogu/R3_shoguu.files/jirei_torikumi.pdf/引用日2022/3/1)
岩手県の介護職員等特定処遇改善加算の取得率は67.1%となっており、全国平均よりも高水準を記録しています。全国的に見ると、取得率が60%を下回る都道府県もあることから、岩手県における介護職員等特定処遇改善加算の取得状況は進んでいると言えます。
2-2. 【公益財団法人介護労働安定センター】介護労働実態調査結果をもとにした対応状況
公益財団法人介護労働安定センターは、介護職関連の情報を取りまとめる機関です。同センターが毎年公表している「介護労働実態調査結果」は、介護職に携わる人材の推移・職員の働きやすさに関するアンケートなどを取りまとめた資料です。
下記では、介護労働実態調査結果をもとに、岩手県における介護職員処遇改善加算・介護職員等特定処遇改善加算の対応状況を紹介します。
【北海道・東北地方】介護職員処遇改善加算の算定及び対応状況(令和2年度) 単位(%) | |||
---|---|---|---|
諸手当の導入・引き上げ | 一時金支給 | 基本給引き上げ | |
全国平均 | 61.6 | 57.6 | 35.3 |
北海道 | 62.7 | 55.0 | 32.6 |
青森県 | 64.2 | 59.1 | 34.3 |
岩手県 | 59.1 | 56.8 | 30.7 |
宮城県 | 58.5 | 55.9 | 34.7 |
秋田県 | 64.9 | 46.8 | 34.0 |
山形県 | 68.0 | 48.0 | 41.3 |
福島県 | 68.2 | 48.2 | 24.5 |
(出典:公益財団法人介護労働安定センター「―令和2年度 介護労働実態調査結果について―」/http://www.kaigo-center.or.jp/report/2021r01_chousa_01.html)
岩手県の介護職員処遇改善加算の対応状況を見ると、「諸手当の導入・引き上げ」「一時金支給」は、全国と同水準と同水準となっています。一方で、「基本給引き上げ」を実施している事業所の割合は低く、岩手県では基本給の引き上げを行う職場が増えれば、さらに給与水準がアップする見込みがあります。
下記は、令和2年度における北海道・東北地方の介護職員等特定処遇改善加算の対応状況をまとめた表です。
【北海道・東北地方】介護職員等特定処遇改善加算の算定及び対応状況(令和2年度) 単位(%) | |||
---|---|---|---|
職員全体の処遇改善 | 経験・技能のある介護職員の処遇改善 | 介護職員全体の処遇改善 | |
全国平均 | 38.5 | 31.4 | 29.2 |
北海道 | 38.1 | 32.0 | 29.4 |
青森県 | 35.7 | 31.0 | 33.3 |
岩手県 | 41.9 | 33.9 | 22.6 |
宮城県 | 29.3 | 28.0 | 42.7 |
秋田県 | 50.0 | 22.1 | 26.5 |
山形県 | 31.9 | 44.7 | 23.4 |
福島県 | 43.5 | 23.2 | 33.3 |
(出典:公益財団法人介護労働安定センター「―令和2年度 介護労働実態調査結果について―」/http://www.kaigo-center.or.jp/report/2021r01_chousa_01.html)
「職員全体の処遇改善」を実施する事業所の割合を北海道・東北地方で見ると、岩手県は秋田県の50.0%・福島県の43.5%に次いで、3番目に高くなっています。一方で「介護職員全体の処遇改善」を実施する事業所は22.6%と、全国平均および北海道・東北地方の他の道県よりも少ない状況です。
3. 岩手県が実施する介護施策の状況
岩手県では、「いわていきいきプラン」を策定し、福祉施策に関する方向性を明確にしています。同制度では、介護職に携わる人材を確保する取り組みとして、労働環境・処遇の改善が行われる見通しです。具体的には、介護ロボット・ICTの導入を進めて職員の負担軽減が行われます。
また、岩手県では「収入が少なかった」ことが理由で、介護職を辞める職員が多い傾向です。その結果を受けて、処遇改善を行うだけでなく、キャリアパス制度を導入して給与水準が上がる評価制度を構築する取り組みを推進しています。
岩手県では、さまざまな施策を打ち出しながら介護職で働きやすい環境整備を行っている状況です。段階的に給与水準・労働環境の改善が進められているため、長く勤めやすい職場が増えるでしょう。
(出典:岩手県「いわていきいきプラン(2021~2023)」/https://www.pref.iwate.jp/kurashikankyou/fukushi/koureisha/torikumi/1040722.html)
3-1. 【岩手県】介護職員処遇改善加算を取得している傾向にある施設は?
厚生労働省の「介護給付費等実態統計」では、各施設・サービスにおける介護職員処遇改善加算の取得状況を公表しています。ここでは、全国的に介護職員処遇改善加算の取得状況が高い施設・サービスで、岩手県にあるものを2つ紹介します。
通所介護 |
---|
通所介護は、利用者が自宅で生活し続けられるように機能訓練などのサービスを提供します。利用者同士のコミュニケーションを取る場所にもなっており、高齢者の社会的孤立防止の役割も果たしています。 |
地域密着型介護老人福祉施設 |
---|
地域密着型介護老人福祉施設は、常に介護が必要な利用者が入所する施設です。24時間体制で食事・入浴・排せつなどの日常生活に必要な介助を行うため、早番・普通番・遅番・夜勤で業務に携わることが基本です。 |
興味がある職場が見つかった際には、各職場の公式サイトで介護職員処遇改善加算の取得状況をチェックしましょう。また、「年収アップを目的に転職したい」という人は、ぜひマイナビ介護職にお問い合わせください。マイナビ介護職では、月収30万円以上の求人・賞与の年間支給額が4か月以上の求人など、好待遇の求人を豊富に掲載しています。
まとめ
介護職を対象とした処遇改善加算には、「介護職員処遇改善加算」「介護職員等特定処遇改善加算」の2つがあります。対象となる職員に違いが見られるものの、どちらも介護職員の給与水準を上げる制度となっています。
岩手県の介護職員処遇改善加算・介護職員等特定処遇改善加算の取得率は、全国平均とほぼ同水準となっており、取得状況は良好と言えます。
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※当記事は2021年11月現在の情報をもとに作成しています
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