30代は介護職へ転職できる?メリットや年収・職場の選び方を解説

介護業界は、年齢や経歴に関係なく新しい挑戦ができるフィールドです。特に30代は、体力や柔軟性が求められる現場にとって貴重な人材とされ、異業種からの転職者も多く活躍しています。
当記事では、30代が介護職に転職できる理由やメリット・デメリット、役立つ資格や仕事の流れ、職場選びのポイントなどを詳しく解説します。介護業界への転職を前向きに検討している方はぜひ参考にしてください。
目次
- 2. 30代が介護業界に転職するメリット
- 2-1. 30代でも採用されやすい
- 2-2. 完全に未経験からでも働ける
- 2-3. 経験に応じてキャリアアップできる
- 2-4. 30代でも正職員採用されやすい
- 2-5. 圧倒的な売り手市場である
- 2-6. 自分のライフスタイルに合わせて働き方を変えやすい
- 2-7. 今後の待遇改善に期待ができる
- 2-8. 残業時間が少ない
- 2-9. 有給休暇取得率が改善し続けている
- 8. 30代の方が介護職へ転職するときの流れ
- 8-1. 介護業界についての基礎知識を集める
- 8-2. 自己分析して転職条件に優先順位をつける
- 8-3. 複数の事業所を比較検討する
- 8-4. 事業所へ見学に行く
- 8-5. 応募して面接を受ける
- 9. 30代で介護職へ転職するときの職場の選び方
- 9-1. 施設ごとの働き方の違いを知る
- 9-2. 応募先の理念や職場の方針を確認する
- 9-3. 離職率が高すぎないかチェックする
- 9-4. スタッフや利用者さんの雰囲気を見て判断する
1. 介護業界では30代でも転職できる理由
介護業界では、未経験からでも転職のチャンスが豊富です。実際に、30代で他業種から介護職へ転職し、現場で活躍している方も少なくありません。ここでは、30代の方が介護業界で活躍できる理由を紹介します。
未経験でも介護職で働ける?不安を解消して理想の職場を探そう!
1-1. 介護業界で30代は若手である
介護業界においては、30代は若手人材として歓迎される傾向があります。公益財団法人介護労働安定センターの調査によると、介護職員の平均年齢は47.3歳となっていますが、体力を必要とする場面も多いため、比較的若く体力的に余裕のある30代は貴重な戦力とされます。
さらに、30代であれば資格取得やキャリア形成の期間も十分にあり、将来のリーダー候補として育成されやすい点も特徴です。こうした背景から、年齢を理由に転職をためらう必要はほとんどなく、30代はむしろチャンスの多い年代と言えます。
(出典:公益財団法人 介護労働安定センター「令和4年度介護労働実態調査 事業所における介護労働実態調査 結果報告書」
/
https://www.kaigo-center.or.jp/content/files/report/2023r01_chousa_jigyousho_kekka.pdf#page=98)
1-2. 人手不足を多くの事業所が感じている
介護業界では、多くの事業所が慢性的な人手不足を感じています。公益財団法人介護労働安定センターの調査によれば、介護職員が「大いに不足」「不足」「やや不足」と回答した事業所は合計で65.9%に達しており、特に訪問介護員では80%を超える深刻な状況です。
(出典:公益財団法人介護労働安定センター「令和5年度介護労働実態調査 事業所における介護労働実態調査 結果報告書」
/
https://www.kaigo-center.or.jp/content/files/report/2023_jittai_chousa_jigyousya_honpen.pdf#page=40)
また、厚生労働省によると、2026年度には約25万人、2040年には約57万人の介護職員が不足するとされています。
(出典:厚生労働省「第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」
/
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_41379.html)
人材不足が続けば、サービスの質の低下や職員の過重労働にもつながるため、新しい人材の確保が急務です。30代の求職者は年齢や経験の有無にかかわらず、多くの事業所から必要とされています。採用意欲の高い環境なので、転職活動も比較的スムーズに進めやすいと考えられます。
1-3. 伸びしろがあるとみなされやすい
30代はまだ社会人経験も多くはなく、将来性を見込んで採用される年代です。介護業界では、実務経験を積みながら資格を取得し、将来的にはリーダーや管理職として活躍する道もあります。30代は定年までの勤務年数が長く、組織にとって中長期的に貢献できる人材とみなされやすいため、未経験でも採用されるケースが少なくありません。
また、介護職では勤務先によって資格取得支援制度が用意されているケースも多く、働きながらスキルアップを目指すことが可能です。30代であれば柔軟な思考や吸収力も高く、成長の余地が大きいと評価されるため、他業種からの転職者にも十分なチャンスがあります。
2. 30代が介護業界に転職するメリット
30代で新たな業界に飛び込む際は、年齢や未経験であることに不安を抱える方も少なくありません。しかし、介護業界には働き方の柔軟性や資格取得支援制度、処遇改善の動きなど、長期的に働きやすいメリットが多数あります。
ここでは、30代が介護職へ転職することで得られる主なメリットを解説します。
2-1. 30代でも採用されやすい
介護業界では、30代はまだ若手とされるため、年齢を理由に採用を見送られるケースは少ないでしょう。高齢化の進行により介護人材の需要が高まっており、求職者に対する求人の数は他業種と比べて非常に多い状況です。
30代でも未経験でも採用されやすく、採用側は長期的な活躍を期待しています。また、職場によっては30代の転職者が同世代の仲間として受け入れられやすい環境があり、人間関係の面でも不安が少ない傾向にあります。転職市場において年齢がネックになることの多い30代にとって、介護業界は有利な選択肢と言えます。
2-2. 完全に未経験からでも働ける
介護業界は、完全に未経験からでも働き始めやすい業界の1つです。異業種からの転職者や、一時的に無職であった方でも多くが介護業界で新たなキャリアを築いています。現場では、人柄ややる気を重視する傾向があり、前職の接客経験やマネジメント経験を生かして活躍する事例も少なくありません。
知識や技術は働きながら身に付けることが可能であり、実務経験を重ねれば自然とスキルアップにつながります。
2-3. 経験に応じてキャリアアップできる
介護業界では、実務経験に応じて段階的なキャリアアップが可能です。
未経験者でも、まずは「認知症介護基礎研修」を受講すれば現場で働き始められ、その後「介護職員初任者研修」「実務者研修」「介護福祉士」などの資格を取得することで専門性を高めていけます。30代であれば、資格取得のための時間的余裕もあり、長期的なキャリア形成がしやすい世代です。
さらに、介護福祉士として経験を積めば、将来的にはケアマネジャーや施設のリーダーなど、別の職種や管理職への道も見えてきます。努力が評価されやすい業界であることも、キャリア志向の方にとって大きな魅力です。
2-4. 30代でも正職員採用されやすい
介護業界では、無期雇用である正職員の割合が高く、30代でも正職員として採用されやすいのが特徴です。2023年度の介護労働実態調査によれば、介護職員のうち69.2%が正規職員として働いており、訪問介護員でも多くの方が正規雇用で活躍しています。
(出典:公益財団法人介護労働安定センター「令和5年度介護労働実態調査 事業所における介護労働実態調査 結果報告書」
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https://www.kaigo-center.or.jp/content/files/report/2023_jittai_chousa_jigyousya_honpen.pdf#page=26)
正職員であれば、社会保険や各種手当、賞与の支給といった待遇面が安定し、長期的な生活設計を立てやすくなります。また、職場によっては正職員への登用制度も整っており、パートや派遣からのステップアップも十分に可能です。30代からの転職で安定した雇用形態を求める方にとって、介護業界は魅力的な選択肢です。
2-5. 圧倒的な売り手市場である
介護業界は他業界と比較して極めて高い有効求人倍率を誇っており、求職者にとって有利な売り手市場が続いています。2024年時点で、全職種平均の有効求人倍率が1.32であるのに対し、介護サービス職種は3.84と非常に高い水準にあります。この数値は、1人の求職者に対して約4件の求人があることを示しており、転職者が希望に合った職場を選びやすい状況です。
(出典:厚生労働省「一般職業紹介状況[実数](含パート)」
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https://www.mhlw.go.jp/content/11602000/001389804.pdf#page=9)
特に30代の求職者にとっては、未経験でも積極的に採用される土壌があるため、キャリアチェンジがしやすい環境と言えます。豊富な選択肢の中から、自分に合った職場を見つけやすい点が大きなメリットです。
2-6. 自分のライフスタイルに合わせて働き方を変えやすい
介護業界は、勤務形態の幅広さが大きな特徴です。施設によっては日勤のみや夜勤専従、週2~3日のパートタイムなど、多様な働き方が用意されています。30代は子育てや介護といったライフイベントの多い世代であるため、時間に融通の利く職場を選べる点は大きなメリットです。
また、登録型の訪問介護であれば、1日のスケジュールを自分で組みやすく、プライベートとの両立もしやすくなります。ライフスタイルに合わせた働き方を実現しやすい点は、介護業界の魅力の1つです。
2-7. 今後の待遇改善に期待ができる
介護業界では、近年、国や事業所による処遇改善の取り組みが進められており、今後の待遇向上にも期待が持てます。たとえば、給与表の見直しや賞与の増額、各種手当の新設などを行っている事業所も多く、賃金水準が少しずつ改善されています。
(出典:厚生労働省「介護職員の処遇改善:TOP・制度概要」
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https://www.mhlw.go.jp/shogu-kaizen/)
さらに、キャリアアップを支援する研修制度や、労働環境の整備にも力を入れる事業所が増えており、働き続けやすい環境が整いつつあります。将来的な賃金アップだけでなく、育成制度の充実により、30代で転職した方も安心してキャリア形成に取り組める点がメリットです。
2-8. 残業時間が少ない
介護職は比較的残業が少なく、ワークライフバランスを重視した働き方が実現しやすい職種です。2023年の調査によると、介護職全体の57.7%が「残業なし」、24.3%が「月5時間未満」と回答しており、8割以上がほとんど残業のない職場で働いています。
30~34歳の介護職では54.0%が残業なし、35~39歳では55.5%が残業なしと、30代も例外ではありません。残業の少なさは、仕事と家庭の両立を求める世代にとって大きな魅力です。
(出典:公益財団法人介護労働安定センター「令和5年度介護労働実態調査 介護労働者の就業実態と就業意識調査 結果報告書」
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https://www.kaigo-center.or.jp/content/files/report/2023_jittai_chousa_roudousya_honpen.pdf#page=56)
特に、夜勤が明確に時間管理されている介護施設では、時間外労働が発生しにくい傾向があります。プライベートの時間を大切にしながら働ける点は、30代の転職先としての介護職の強みです。
2-9. 有給休暇取得率が改善し続けている
介護業界では、かつて有給休暇が取りづらいという印象がありましたが、近年ではその状況が大きく改善されています。特に、労働者の定着や働きやすさを重視する事業所では、有給休暇の取得を積極的に促しており、制度を利用しやすい職場が増えています。
また、事前に希望休を申請できるシフト制を採用している施設も多いため、私生活の予定にあわせて休暇を取得しやすくなっています。30代で転職を考える際には、休みやすさや働きやすさも重要な判断基準となるため、この点も介護職の大きなメリットと言えるでしょう。
3. 30代が介護職になるデメリット
30代で異業種から転職する場合は、収入面や体力面の不安、職場環境への適応などが気になる方もいるでしょう。これらの課題をあらかじめ把握しておくことで、転職後のギャップを減らし、自分に合った職場選びや準備がしやすくなります。
ここでは、30代が介護職を目指す際に注意すべき主なデメリットについて解説します。
3-1. 給料が下がりやすい
介護職に転職すると、前職と比べて給与が下がる可能性があります。2024年時点での介護職員の平均月収は約27.1万円、訪問介護従事者は約28.6万円であるのに対し、日本人全体の平均月収は約30.8万円とされており、依然として賃金差が存在しています。無資格・未経験からスタートする場合は、なおさら給与面での不安を感じやすいでしょう。
(出典:厚生労働省「結果の概要」
/
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2024/dl/01.pdf)
(出典:e-Stat「令和6年賃金構造基本統計調査」
/
https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00450091&tstat=000001011429&cycle=0&tclass1=000001224440&tclass2=000001225782&tclass3=000001225788&tclass4val=0)
ただし、近年では国の処遇改善加算などによって給与水準が徐々に上がっており、今後さらなる改善が期待されています。また、資格を取得すれば昇給や手当の対象になるため、キャリアアップによる収入増加も見込めます。短期的には下がる可能性がありますが、長期的には安定と成長を目指せる職種です。
介護士の平均給料とは|年数・資格による差や年収アップの方法も解説
3-2. 身体的な負担が大きい
介護職は、日常的に身体介護を行うため、腰痛や関節痛といった身体的負担を感じやすい職種です。特に要介護度が高い利用者さんのケアを行う場面では、体位変換や移乗介助など力仕事が求められることもあります。小柄な女性が体格の大きな利用者さんを担当するケースもあり、体への負荷は無視できません。
ただし、近年では介護ロボットの導入や福祉機器の活用が進み、身体的負担の軽減を図る取り組みも広がっています。現場での正しい介助技術の習得や職場のサポート体制によって、負担を最小限に抑えることも可能です。自分の体調や体力に不安がある場合は、事前に配属先の業務内容や設備を確認しておきましょう。
3-3. 人手が足りていない
介護業界は慢性的な人手不足に直面しており、その影響が現場の働き方に及ぶこともあります。1人あたりの業務量が増えやすく、休憩時間が取りにくい、休日の確保が難しいといったケースも発生しがちです。
ただし、すべての施設で過重労働が発生しているわけではなく、働き方改革を進めている事業所では、シフトの調整や業務分担を通じて改善が図られています。転職を考える際には、求人情報だけでなく、見学や面談を通じて実際の労働環境を確認することが重要です。
3-4. 人の命を預かる職業ゆえの苦労がある
介護職は利用者さんの健康と安全を支える責任の大きな仕事であり、精神的なプレッシャーを感じやすい傾向にあります。
たとえば、利用者さんとのコミュニケーションがうまくいかず、対応に悩む場面や、ケアの方針をめぐって職場内で意見が対立することもあります。また、転倒や誤嚥などの事故リスクが常につきまとうため、一つひとつの業務に高い集中力と注意力が求められます。
30代で未経験から介護職に転職する場合、知識や経験が不足していることへの不安を感じるかもしれません。しかし、研修や先輩職員の指導を受けながら経験を積めば、徐々に自信を持って対応できるようになります。責任が重い分、やりがいも大きい職種だと言えるでしょう。
4. 30代で介護職へ転職するのが向いている方の特徴
介護業界は、年齢や経歴を問わず幅広い人材を受け入れており、30代からの転職者にも多くのチャンスがありますが、あらかじめ自分の性格や適性が現場に合っているかを確認しておくと安心です。
ここでは、30代で介護職に向いているとされる方の特徴について紹介します。
4-1. オンとオフの切り替えがうまい
介護職は、心身ともにストレスがかかりやすい仕事です。特に利用者さんの体調や精神状態が日々変化する現場では、状況に応じた柔軟な対応が求められます。
そのため、仕事とプライベートをうまく切り分け、感情を引きずらないことが大切です。オンとオフの切り替えがうまい方は、業務中は集中し、終業後はしっかり休息や趣味に時間をあててリフレッシュできます。介護職では真面目すぎる方ほど疲弊しやすい傾向があるため、適切な距離感と自己管理ができる方は長く働き続けられるでしょう。
感情の切り替えが上手な方は、結果的に安定したケアの提供につながり、職場でも信頼を得やすくなります。
4-2. 誰かの役に立つのが好き
人の役に立つことに喜びを感じる方は、介護職に向いています。介護の現場では、利用者さんやその家族から「ありがとう」と感謝される場面が多く、自分の行動が誰かの支えになる実感を得られます。たとえ小さなサポートであっても、それが利用者さんにとっては大きな安心につながるでしょう。
また、援助的な姿勢を持つ方は、チームの中でも周囲と協力しながら働けるため、良好な人間関係を築きやすい点も強みです。
4-3. 人と関わるのが好き
介護職は、多くの人と関わる仕事です。利用者さんはもちろん、その家族、看護師やケアマネジャー、同僚の介護スタッフの方など、職場ではさまざまな立場の人と接する機会があります。こうした環境の中で、自然なコミュニケーションが取れる方や、人との交流を前向きに楽しめる方は介護職に適しています。
特に、相手の立場や気持ちを考えながら対応できる協調性のある方は、チームワークを重視する現場で重宝されます。また、利用者さんとの信頼関係を築くには日常的な会話や小さな気遣いが大切です。明るく前向きな会話ができる方、人と話すことに抵抗がない方にとって、介護職はやりがいのある仕事と言えるでしょう。
4-4. 体力に自信がある
介護の仕事は、利用者さんの身体介助や夜勤など、身体的な負担がかかる場面が多くあります。入所型施設では24時間体制のシフト勤務が求められることもあるので、体力がある方はその環境に順応しやすくなります。
また、利用者さんの移乗や体位変換を行う際には、腰や肩に負荷がかかるので、基本的な筋力や持久力が必要です。近年は介護ロボットやリフトの導入も進んでいますが、現場での動きやすさという意味で、体力があることは大きなアドバンテージです。
5. 30代の介護職の平均年収
介護職は年代や職種によって収入に差があり、30代の年収は今後のキャリア形成を考える上で重要な指標となります。ここでは、厚生労働省の「令和6年賃金構造基本統計調査」をもとに年齢別の平均年収を紹介します。
| 職業 | 平均年収 |
|---|---|
| 介護職員(医療・福祉施設等) | 約376万円 |
| ~19歳 | 約256万円 |
| 20~24歳 | 約323万円 |
| 25~29歳 | 約353万円 |
| 30~34歳 | 約390万円 |
| 35~39歳 | 約404万円 |
| 40~44歳 | 約404万円 |
| 45~49歳 | 約395万円 |
| 50~54歳 | 約393万円 |
| 55~59歳 | 約384万円 |
| 60~64歳 | 約347万円 |
| 65~69歳 | 約319万円 |
| 70歳~ | 約289万円 |
| 訪問介護従事者 | |
| 訪問介護従事者 | 約381万円 |
| ~19歳 | 約299万円 |
| 20~24歳 | 約318万円 |
| 25~29歳 | 約351万円 |
| 30~34歳 | 約411万円 |
| 35~39歳 | 約375万円 |
| 40~44歳 | 約398万円 |
| 45~49歳 | 約388万円 |
| 50~54歳 | 約387万円 |
| 55~59歳 | 約389万円 |
| 60~64歳 | 約379万円 |
| 65~69歳 | 約346万円 |
| 70歳~ | 約336万円 |
| 介護支援専門員(ケアマネジャー) | 約430万円 |
| ~19歳 | - |
| 20~24歳 | - |
| 25~29歳 | 約338万円 |
| 30~34歳 | 約434万円 |
| 35~39歳 | 約423万円 |
| 40~44歳 | 約428万円 |
| 45~49歳 | 約461万円 |
| 50~54歳 | 約445万円 |
| 55~59歳 | 約442万円 |
| 60~64歳 | 約399万円 |
| 65~69歳 | 約364万円 |
| 70歳~ | 約355万円 |
(出典:厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」
/
https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?stat_infid=000040247864)
30代の介護職では、年齢の上昇とともに年収も安定しており、30~34歳の介護職員は約390万円、訪問介護従事者は約411万円、介護支援専門員は約434万円となっています。資格や職種によって差はありますが、30代は収入面でも成長が見込める時期と言えます。
5-1. 【年齢・企業規模別】30代の介護職の平均年収
介護職の年収は、年齢だけでなく勤務先の規模や職種、性別によっても大きく異なります。ここでは、令和6年の賃金構造基本統計調査をもとに、30代の介護職員・訪問介護従事者・ケアマネジャーの年収を企業規模別に紹介します。
・男性
| 介護職員 | 10人以上 | 1,000人以上 | 100~999人 | 10~99人 |
|---|---|---|---|---|
| 30~34歳 | 約413万円 | 約414万円 | 約431万円 | 約366万円 |
| 35~39歳 | 約431万円 | 約444万円 | 約441万円 | 約403万円 |
| 訪問介護従事者 | 10人以上 | 1,000人以上 | 100~999人 | 10~99人 |
| 30~34歳 | 約450万円 | 約473万円 | 約442万円 | 約455万円 |
| 35~39歳 | 約394万円 | 約494万円 | 約390万円 | 約357万円 |
| 介護支援専門員(ケアマネジャー) | 10人以上 | 1,000人以上 | 100~999人 | 10~99人 |
| 30~34歳 | 約492万円 | 約405万円 | 約510万円 | 約369万円 |
| 35~39歳 | 約451万円 | 約423万円 | 約454万円 | 約462万円 |
(出典:厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」
/
https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?stat_infid=000040247860)
・女性
| 介護職員 | 10人以上 | 1,000人以上 | 100~999人 | 10~99人 |
|---|---|---|---|---|
| 30~34歳 | 約369万円 | 約374万円 | 約383万円 | 約334万円 |
| 35~39歳 | 約374万円 | 約390万円 | 約385万円 | 約340万円 |
| 訪問介護従事者 | 10人以上 | 1,000人以上 | 100~999人 | 10~99人 |
| 30~34歳 | 約378万円 | 約315万円 | 約383万円 | 約417万円 |
| 35~39歳 | 約362万円 | 約352万円 | 約400万円 | 約317万円 |
| 介護支援専門員(ケアマネジャー) | 10人以上 | 1,000人以上 | 100~999人 | 10~99人 |
| 30~34歳 | 約310万円 | - | 約317万円 | 約302万円 |
| 35~39歳 | 約408万円 | 約372万円 | 約427万円 | 約376万円 |
(出典:厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」
/
https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?stat_infid=000040247860)
大規模事業所ほど年収が高い傾向が見られる一方で、訪問介護やケアマネなど職種によっては小規模事業所でも高水準の年収が得られるケースもあります。
6. 未経験・無資格の30代の仕事内容
介護業界では、未経験・無資格からでもスタートできる求人が数多く存在しますが、無資格で携われる業務には制限があり、専門的なケアを行うには段階的な資格取得が必要です。ここでは、無資格でも携わることのできる代表的な業務を紹介します。
6-1. 生活援助
生活援助とは、利用者さんの身体に直接触れることなく、日常生活を支える業務です。無資格者でも対応できる仕事が多く、介護職初心者の方が最初に任されることが多いです。
具体的には、居室やトイレの掃除、洗濯、シーツ交換、衣類の整理、買い物、調理・配膳といった内容を中心に行います。施設によっては、食事の見守りや話し相手になるなど、利用者さんとのコミュニケーションも業務の一環です。未経験者にとっても取り組みやすく、介護の基礎を学ぶ第一歩となる業務です。
6-2. 送迎業務
送迎業務は、デイサービスや通所リハビリなどの通所型施設で利用者さんの送迎を担当する仕事です。利用者さんの自宅と施設間を安全に送迎することが主な役割であり、運転業務だけでなく、乗降時の介助や体調確認なども求められます。
無資格でも担当できることが多いですが、職場によっては初任者研修の修了を条件とする場合があります。また、送迎中に急変が起きた場合への対応力も求められるため、基本的な接遇や安全運転への意識も必要です。
運転が得意な方や、接客経験のある方には向いている業務であり、現場との関わりを持ちながら介護業界に慣れていく良い機会となります。
6-3. 事務作業
介護施設では、現場の介護業務だけでなく、事務作業を担うスタッフも必要とされています。無資格であっても、受付・電話対応・備品の発注管理・データ入力・帳票作成など介護施設に関する業務に携わります。特にPC操作が得意な方や、事務経験のある方には適した職種だと言えるでしょう。
介護の知識がなくても対応可能な範囲が多いため、まずは施設の雰囲気に慣れたい方、段階的に介護業務へ進みたい方にとって、入り口として有効な仕事と言えます。
6-4. 身体介護(介護施設内のみ・有資格者の指導必須)
身体介護とは、食事・入浴・排泄・衣類の着脱・体位変換など、利用者さんの身体に直接触れて行う支援を指します。通常、こうした業務には介護職員初任者研修などの資格が必要ですが、施設内に限り、介護福祉士の方の指示や指導のもとで無資格者が補助的に関わることが認められています。
たとえば、利用者さんの着替えの手伝いや入浴前後の準備、食事の配膳や見守りなどは、指導を受けながらであれば行うことが可能です。経験を積みながら少しずつ介護技術を身に付けていけるため、今後資格取得を目指す方にとって貴重な実務経験となるでしょう。
7. 30代の方が介護職へ転職するときに役立つ資格・研修
介護業界は、未経験からでも働けますが、資格を取得することで業務の幅が広がり、待遇やキャリアアップにもつながります。特に30代は、今後のキャリアを長期的に築く上で最適なタイミングなので、働きながら受講できる研修制度や資格を検討してもよいでしょう。
ここでは、30代で介護職への転職を目指す方にとって役立つ資格や研修について紹介します。
7-1. 認知症介護基礎研修
認知症介護基礎研修は、認知症の方に対する基本的な介護技術や考え方を学ぶための入門的な研修です。2024年4月からは無資格者に対して受講が義務化されており、介護施設や事業所で働く際には必須の内容となっています。
対象は介護現場で認知症の方に接する職員であり、受講によって尊厳の保持・心のケア・継続的支援の重要性などを体系的に学びます。医師や看護師、介護福祉士など一部の有資格者を除き、無資格で介護職に就く30代にとっては、早期に受講しておくべき研修です。
研修は各自治体や事業所で実施されており、就職後に受講を支援してくれる職場もあります。
認知症介護実践者研修とは?取得するメリット・難易度・受講方法
7-2. 介護職員初任者研修
介護職員初任者研修は、介護業界の入門資格として位置づけられており、介護職として働く上で必要な基礎知識と技術を体系的に学べる研修です。修了には筆記試験の合格が必要ですが、年齢・学歴・経験などの受講条件は設けられていないため、未経験の30代でも受講しやすい資格です。
研修は都道府県指定のスクールなどが実施しており、教育訓練給付制度や自治体の助成金を活用できる場合もあります。訪問介護や施設での身体介護を行うには、この資格の取得が事実上の必須条件となるため、介護職を目指す方にとって最初に取得したい資格です。
(出典:厚生労働省「介護員養成研修の取扱細則について(介護職員初任者研修・生活援助従事者研修関係)」
/
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/kaigoinnyouseikennsyuu.pdf)
7-3. 介護福祉士実務者研修
介護福祉士実務者研修は、介護の専門知識と実践力を高め、介護福祉士の国家試験を受験するために必須となる研修です。研修時間は無資格者の場合で450時間以上に及び、期間はおおむね6か月が目安です。
2017年以降、国家試験の受験資格に組み込まれており、30代でキャリアアップを目指す方にとって重要なステップとなります。初任者研修やヘルパー2級を修了している場合は、一部科目の免除も可能で、働きながらでも受講しやすいカリキュラムが用意されています。
(出典:厚生労働省「介護福祉士の資格取得方法の見直しの延期について」
/
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/care/dl/care_16.pdf#page=4)
7-4. 普通自動車運転免許
普通自動車運転免許は、介護職として必須ではありませんが、通所介護(デイサービス)やショートステイ、小規模多機能型居宅介護など、送迎業務が発生する現場では必要になります。
送迎業務を担う場合は、運転だけでなく利用者さんの乗降補助も含まれるため、安全運転や丁寧な対応が求められます。将来的に訪問介護や通所型施設での勤務を希望する場合は、運転免許の取得を検討するとよいでしょう。
8. 30代の方が介護職へ転職するときの流れ
30代で介護職への転職を目指す場合は、業界の特性や働き方を理解し、自身の条件や将来像を明確にしておく必要があります。ここでは、情報収集から応募・面接までの基本的な流れを5つのステップに分けて解説します。
8-1. 介護業界についての基礎知識を集める
まずは、介護業界に関する基礎知識をしっかりと集めることが大切です。介護には訪問型や通所型、施設型などさまざまなサービス形態があり、職場環境や業務内容にも違いがあります。インターネットや書籍、自治体の福祉関連講座などを活用して、自分に合いそうな働き方を見極めましょう。
また、介護職に必要な資格や今後のキャリアパスも調べておくと、転職後の見通しが立てやすくなります。経験者の体験談や口コミを参考にするのもおすすめです。
8-2. 自己分析して転職条件に優先順位をつける
情報収集ができたら、次に行うべきは自己分析です。自分の性格・価値観・ライフスタイルを見直し、転職の目的や働き方の希望を整理します。たとえば「夜勤なしがよい」「資格取得支援がある職場がよい」といった条件を明確にすることで、求人選びがスムーズになります。
また、将来的なキャリアイメージもあわせて描いておくと、面接時のアピールにもつながります。譲れない条件と妥協できる点を区別し、優先順位を明確にしておくことが、失敗しない転職につながるポイントです。
8-3. 複数の事業所を比較検討する
希望条件が整理できたら、実際に複数の事業所や求人情報を比較検討してみましょう。求人サイトやハローワーク、自治体の福祉人材センターなどを活用すれば、多数の求人にアクセスできます。通勤距離や給与、福利厚生、職場の雰囲気など、自分に合った項目で条件を比較してください。同じ「介護職」でも、事業所によって仕事内容や方針は大きく異なります。
求人を探す際は、資格取得支援や研修制度の有無などもチェックしましょう。複数の候補から納得のいく職場を見つけるために、冷静に見極める視点が必要です。
8-4. 事業所へ見学に行く
気になる事業所があれば、できる限り見学に行くことをおすすめします。求人票やホームページだけでは分からない、現場の空気感やスタッフの雰囲気を直接確認できる貴重な機会です。
見学時には、働いているスタッフの様子や、利用者さんとの接し方、施設内の清潔感などを観察するとよいでしょう。実際に足を運ぶことで、入職後のミスマッチを防ぎやすくなります。
転職前に介護施設を見学するときの服装やマナー|メリットも解説
8-5. 応募して面接を受ける
事業所選びが済んだら、いよいよ応募と面接に進みます。履歴書や職務経歴書を整え、転職の動機や介護への関心を分かりやすく記載しましょう。未経験の場合は「なぜ介護職を志したのか」「どのように成長していきたいか」など、将来への意欲をしっかり伝えることが重要です。
面接では、清潔感のある服装と丁寧な言葉遣いを心がけます。準備を万全にし、自信を持って臨みましょう。
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介護職の面接でよくある質問と回答|逆質問や施設見学のポイントも
9. 30代で介護職へ転職するときの職場の選び方
介護職として転職を検討する際には、職場環境が自分に合っているかを見極めることが大切です。特に30代は、将来のキャリア形成にも関わる時期であり、長期的に働けるかどうかを意識した職場選びが求められます。
ここでは、介護業界で職場を選ぶためのポイントを解説します。
9-1. 施設ごとの働き方の違いを知る
介護施設は、入居型・通所型・訪問型などさまざまな形態があり、勤務時間や業務内容に大きな違いがあります。たとえば、特別養護老人ホームや有料老人ホームなどの入居施設では夜勤を含むシフト勤務が基本で、体力的な負担が大きくなる可能性があります。
一方、デイサービスのような通所施設では日勤中心の働き方となるので、家庭との両立を重視する方には向いています。訪問介護では、利用者宅を訪問して1対1で対応するため、自分のペースで働ける反面、移動や天候による影響も受けやすい点に注意が必要です。
施設の特徴や勤務形態を理解した上で、自分にとって働きやすい環境を選びましょう。
9-2. 応募先の理念や職場の方針を確認する
介護施設の理念や運営方針は、スタッフの行動指針や職場の雰囲気に直結します。特に30代での転職では、これまでの経験や価値観と施設の方針が合っているかを見極めることが重要です。
たとえば、「利用者本位の支援」や「チームケアの重視」といった理念が自分の考えと一致していれば、日々の業務にも納得感を持って取り組めます。理念や方針はホームページなどで確認できますが、実際の現場でどのように浸透しているかも見学などで把握しておくと安心です。
理念に共感できる職場を選ぶことは、モチベーションの維持にもつながり、やりがいを感じながら働く土台となります。
9-3. 離職率が高すぎないかチェックする
離職率が高い施設は、労働環境や人間関係に問題がある可能性があります。求人が頻繁に掲載されている事業所は、慢性的な人手不足か、スタッフの定着がうまくいっていない状況が考えられます。
ただし、事業拡大や全国規模での採用活動をしている場合もあるため、求人が多く出されているからと言って一概に悪いというわけではありません。見極めには、口コミや平均勤続年数のチェック、実際に施設を見学して現場の雰囲気を確認することが有効です。
また、面接時には「どのような理由で離職が多いのか」「フォロー体制はあるか」といった質問をしてみると、職場の実態をより深く把握できます。長く働くためには、安心して定着できる環境を選ぶことが大切です。
9-4. スタッフや利用者さんの雰囲気を見て判断する
職場見学や面接の際には、働いているスタッフや利用者さんの様子をよく観察しましょう。スタッフの表情やあいさつ、身だしなみに余裕がある場合、職場環境が整っていると考えられます。また、利用者さんとのコミュニケーションが温かく行われていれば、チームケアが機能している証拠とも言えます。
一方で、暗い表情や挨拶がない、衛生管理が不十分といった状況が見られる場合は、業務が過重である可能性があります。疑問点があれば、採用担当者に直接確認し、納得した上で応募することが大切です。
まとめ
体力や成長意欲のある30代は、介護業界にとって大きな戦力であり、未経験でも十分に活躍できる環境が整っています。正職員として安定した雇用を得ることも可能で、処遇改善や働き方の柔軟性が増している魅力のある業界です。
今後のキャリア形成を見据えた転職を目指す方にとって、介護業界は将来性のある有力な選択肢となるでしょう。介護業界への転職を検討している方は、マイナビ介護職にご相談ください。介護業界に詳しいキャリアアドバイザーが、転職活動をサポートします。
※当記事は2025年7月時点の情報をもとに作成しています
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